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JUONこぼれ話

JUON NETWORKのこぼれ話をご紹介します。

これならできる獣害対策―イノシシ・シカ・サル

2014年04月30日 | ブックレビュー
獣害対策の関連本の解説を、会誌連動企画として記します。
  JUON会誌Vol.90(2014年5月号)p14の「事務局リレー日記」のコーナーで、
  「詳しくはblog「JUONこぼれ話」で」と書いていた件です。


『これならできる獣害対策
       イノシシ・シカ・サル』
           井上 雅央 著
   農山漁村文化協会, 2008
         1,620円(税込)



農家や集落での獣害対策の本として、まずオススメなのが本書です。
講演をそのまま収録した形となっていて、笑いを取る場面もあり、
言葉も関西弁(正確には奈良弁だそうですが、その違いが僕には判らず・・・)のまま。
そんな演出(?)のお蔭もあって、とても楽しく一気に読み進められました。
なにせ、こんな感じですから。(1章)
  「昔はどうやったですか? たまにくるくらいで、被害もそんなになかったでしょ。
  それが、だんだん、くる回数も頭数も増えて、」
  「そうなったら、トウモロコシもいで逃げるんやなくて、その場で食い散らかしとるでしょ。
   つまり、お父さんは自分が被害者や思ってるけど、おきてること素直に解釈したら、
  自分の畑でサルの餌付けに成功した、それだけのことですよ。」

どういうのが餌付けや人慣らしになってしまうか。詳細は、ぜひ本書を読んで頂くとして、
井上さんの講演の記録がコチラ(「市民のための環境公開講座」)にも載っていますので、
エッセンスは感じていただけるかと。
作物ごとの事例は、本書には次のように色々と載っています。(3章)
  コメ、スイカ、トマト・キュウリ、キャベツ・ハクサイ・レタス、
  ダイズ・ソバ、ジャガイモ・サツマイモ、リンゴ・ナシ、
  シイタケ、タケノコ。

そして大事なのは、適切な柵を作ることよりも、
対策を次の順番通りに進めること。(6章)
  (1)みんなで勉強、(2)守れる集落や畑への変身、
  (3)自分でやる囲いや追い払い、(4)有害駆除や大規模柵。
その際、注意すべきことの具体例も色々と書かれていますので、
実際に獣害対策を進める方は、エッセンスだけでなく本書を手に取っていただければと。


ちなみに井上さんは、動物の専門家ではないそうです。
農生産システム管理が専門だそうで、
高齢農家でも持続的に取り組める畑の仕立て方などを色々と提案されてます。
その中には、外部の力の活用方法も。
なお、獣害に関して、野生動物の専門家と分担執筆した本も出ています。
「山と田畑をシカから守る」(農文協, 2006)

さらにちなみに井上さんは、子ども向けの本の監修もしてます。
「かわいい目のシカが害獣ってどうして?」(農文協, 2011)
「人はサルと共存できるの? できないの?」(農文協, 2011)
(いずれも、「シリーズ 鳥獣害を考える」)
本書で「(1)みんなで勉強」は子どもも含めてすべきと説いてますので、
そんな際に活用できるかも?                   (ぼーぐ)


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持続的な営農という視点で、井上さんは、こんな興味深い事も言ってます。(6章)

  たとえ持ち畑の半分しか耕作しないことにしても、周囲にゆとりもたせて
  「歩きやすい。楽な姿勢でいろんな仕事できる。脚立なんかいらん。いう畑にしとく」。
  そうして「85歳まで面白そうに畑やってたらね、息子ボチボチ定年で戻ってきよるでしょ。」
  「何にも、息子が学校上がったときに跡継ぎよらんでも、60歳で帰ってきたときに、」
  「おう、オヤジ。農業、一から教えてくれやいうて、一代荒れヘンしね。」
  逆に、「荒らしてしもうたら、先祖や開墾した親父に申しわけない」とかの
  義務感や強迫観念だけで畑を「減らさんとやっていこう」とするのがアカン。
  「草刈りとか剪定とか消毒とか摘蕾・摘果とか収穫とか、いろんな仕事あるでしょ。」
  「どれか一つができんようになっただけでね、
  ほかの仕事もバタッとやる気のうなってね、突然その年に荒れてしまうんやね。」
  それで「もしお父さん75歳で畑荒らしてしまうたら、町へ出た息子はまだ50歳でしょ。」
  「会社やめて田舎へ帰ってこい、いうてもなかなかそんなこと、できんときでしょ」

会誌Vol.90の特集「国際家族農業年」で家族農業の価値が謳われています。
日本の家族農業を維持するためにも、獣害に悩まされない集落が増えればと思います。


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▼獣害対策参考サイト
◇山村地域住民と野生鳥獣との共生 http://www.sanson.or.jp/tyouzyutop1.html
◇持続的な農業を展開するための鳥獣害防止技術成果概要集
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/warc/051964.html
└16pのパンフレットをダウンロード出来ます。



日本の記録 林業人列伝 vol.3

2010年12月21日 | ブックレビュー
今回は、JUON NETWORK事務局からオススメ図書をご紹介いたします。



『日本の記録 林業人列伝 vol.3』
 (社)全国林業改良普及協会 編
         2,100円(税込)



「木を伐ることは悪いこと」
「山に道を入れるなんて環境破壊だ」
という人はまだまだ多いんじゃないでしょうか?

かくいう私も、森林保全活動に参加し、本を読み、
自ら情報収集をはじめてから、
いかに山で働く人のことを知らなかったか
思い知りました。


山の手入れの仕方、考え方はそれぞれ違うにしろ、
この本で取り上げられている人はみな、
山を愛し、育てようと知恵を働かせていました。

山に道をつけないことには、伐った木材を
外へ搬出するのに大変な手間がかかるし、
危険も伴います。

安全な道をつくり、適切な間伐を施し、
材からお金を得られないと、
森林を管理する人がいなくなり、山は荒れます。

この本の林業家達は、作業道の作り方を
独自のやり方で工夫し、今日も森を守ってくれています。

たとえば、兵庫県在住の春名善樹さん。
彼は、長い材をそのまま運び出すため、
コンクリートで緩やかな道を舗装し、
山に入りやすい環境を整えています。


今、私は青年リーダー養成講座を受講中です。
前回は道づくりを行いました。

やはり道があるのとないのとでは
安全性、作業効率の点で圧倒的な差があると
体感しました。


山を守る林業家達の思いが詰まったこの本を、
ぜひ手にとってみてください。
そして、実際に山へ入ってみてください。
あなたの知らない世界が待っているはずです。


都会では草食男子が増えているようですが、
山男はやっぱりかっこいい!!!
と思ったさっちゃんでした(笑)。


            (JUONボランティア:さっちゃん)

「森と水」の関係を解き明かす 現場からのメッセージ

2010年11月05日 | ブックレビュー
今回は、JUON NETWORK事務局からオススメ図書をご紹介いたします。



『「森と水」の関係を解き明かす
       現場からのメッセージ』
           蔵治光一郎 著
   (社)全国林業改良普及協会
         2,310円(税込)



人々が緑、特に山の森林に望むことは何だろう。
 
大半の人が、「温暖化の防止」と答えるだろう。
水と森との関係から考えると、「洪水などの災害防止」と
答える人が多いと思う。

しかし実際には、森林が営むすべての事柄が
人間の都合良く作用しているわけではない。

森林が持つ蒸発作用、すなわち雨水を一時的に保水し、
水蒸気として大気に戻す作用が強いと、
水は川や地下水に流れることはない。

洪水緩和の働きから見れば人間の都合に合っているが、
そのかわり、人間は利用できない。


この本では、水に関わる森林の「機能」と「作用」の
違いを明確にした上で、現在科学的にわかっている範囲で
研究結果を示している。

そこから地域ごとの合意形成や地域型の情報管理について
展開し、全国的にどんな仕組みづくりをしているか、
具体例を挙げている。
最終章では、研究者のあるべき姿に触れている。


私が一番関心を持ったのは、多摩川源流大学の
「住民講師」という取り組みだ。

多摩川源流大学では、山梨県の小菅村と東京農大が連携し、
小菅村全体をフィールドとしたさまざまな体験から
「源流学」を学ぶ。

現場の第一線で仕事している住民が教えることで、
学生の成長にもつながるし、地域にも活気をもたらす。
お互いに潤う画期的な取り組みだと思った。
 

研究者は、研究するだけではなく市民にわかりやすく
説明する義務があるし、市民は、研究者なら何でもわかると
思うのではなく、自分たちでどんな森を作っていくかを
真剣に話し合わなければならない。

私も市民の一人として、
世間に浮遊している都合の良い情報にだまされず、
日本の森林と水を守る手助けができればと思う。


このレビューを読んでいるあなた!まずは手始めに、
JUON NETWORKのイベントに参加して
情報を共有してみてはいかがでしょうか?


            (JUONボランティア:さっちゃん)



京たけのこが教えてくれた -放置竹林の喜怒哀楽

2010年09月28日 | ブックレビュー
今回のオススメ図書は、JUON NETWORKの会員さんでもある
宮崎省三(京都竹炭クラブ代表)さんからのご紹介です!!
ぜひ、ご覧になってみて下さい♪



 『京たけのこが教えてくれた
      ー放置竹林の喜怒哀楽』
           杉谷保憲 著
            京都新聞社
         1,575円(税込)



京都は全国有数のタケノコ産地であり、長岡や西山丘陵、
京田辺や南部などには多くの竹林がある。
そこではタケノコ農家の方たちの努力で、
美しい景観を保ちながら美味しいタケノコの生産の場となっている。
しかし、放置竹林も少なくない。
平成10年の資料によると京都府内では管理された竹林の
約8倍もの面積の放置竹林※があるとされている。
※( 管理竹林 608ha 放置竹林 4,754ha
「緑の公共事業」政策検討委員会資料による)

ここ数年、放置竹林をボランティアの手で美しくしようと
行政等の呼びかけもあり、ボランティア組織の活動が広がっている。
本書は、その一つ、長岡に拠点をおく「NPO竹の学校」の理事長であり、
ボランティアを10年続けてこられた杉谷さんが著わされたもので、
竹にまつわるさまざまな思いを存分に書き込まれた内容となっている。

著者は65歳になった折、終の棲家を関西に求め、
美しい竹林に囲まれた長岡京を選んで移り住む。
ご本人は当時、その竹林が名産品を栽培する所だと知らなかったという。
しばらくは朝な夕なタケノコ農家が一年中手入れをしている様子を
見ることとなるが、移り住んで3年目に放置竹林の整備の
ボランティア組織に誘われ参加する。
それが発端となり、その後10年、タケノコの不思議な魅力に惹かれ、
竹林整備、タケノコの生産に関わっていく。

本書は10章の構成になっており、タケノコ農家にいろいろ教わり、
ご自分でも勉強しながら竹薮に自ら入り、仲間とともに美しい竹林に戻し、
おいしいタケノコを作り出すまでにいたる過のさまざまな出来事を中心に、
「京たけのこの美味しさの秘密」、「タケの特性」、「タケ林の四季」など
タケに関しての知識がまるで囲炉裏端でお話を聞くような雰囲気で
次々と読みやすく書かれている。
中でも「乙訓タケノコがなぜ美味しいのか」の章は
机上資料だけのものではなく、著者の実践に裏付けられており、
説得力にあふれている。また、著者は長年マスコミの第一線で活躍された
豊富な体験と知識をもとに、「竹と日本文化」など
竹にまつわる知識やお話の章は、本書の魅力となっている。

最後に、著者は、「タケノコ畑での思いは私を根底から揺さぶる。
私たちは一体何をしてきたのか?」と自らに問いかけ、
現代文明の混迷に疑問をなげかける。疲弊した人々が整備された
竹林の清清しい空気の中で、癒し(セラピー)の場に
できないだろうかと模索しておられる。
そこでは、著者の精神の「若さ」があふれ出ており、
多くの人の共感を呼ぶ文章で締めくくられ、読者をして
竹林に誘い込んでいる賢人のように思えた。

                    宮崎省三(京都竹炭クラブ代表)


No Way Home 生きる場所がなくなった野生動物たち

2010年09月13日 | ブックレビュー
JUON NETWORK事務局からオススメ図書をご紹介いたします。
今回の図書は、JUON NETWORKの会員さんでもある
加藤恵子(第8期ヤングジュオン)さんが翻訳をしました!!
ぜひ、ご覧になってみて下さい♪

     

『No Way Home 
     生きる場所がなくなった野生動物たち』
        デイビッド・S・ウィルコブ 著
                 加藤恵子 訳
                 バベルプレス
                1,575円(税込)


人類は地球上に網目のように移動ルートを築いて繁栄しています。
一方、野生動物のなかには、試行錯誤の適応進化の結果、
繁殖地・越冬地などを移動しなければ種の保存がままならないものがあり、
多くは代替ルートを持っていません。

この本は、空の章で渡りをする鳥、昆虫、陸の章でアフリカのヌーや
アメリカのバイソン、水の章でクジラやウミガメ、サケ
といった代表的な移動をする種について、
著者と他の生態学者たちが実際に体験した調査を踏まえて、
動物たちの驚異的ともいえる『移動』の仕組みを紹介し、
それらの動物に代わってこれでは生きてゆけないと叫んでいます。

そして、動物が生息数を減らし、絶滅の危機に追い込まれている要因の
一つが、人間活動により『移動』を妨げられたからであると訴えます。

近年、動物の生息地や個体数を科学的に管理しなければならないと、
実践が叫ばれることが主流ですが、本書は、まずは動物の立場から
野生で生存するために必要なことは何かを考えてみようという、
一般向けの書。
生物多様性保全に関心が高まる今、多くの人に読んでもらいたいです。

                (JUONボランティア:けいちゃん)

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