
合計5発の空中弾。最後は“国立・男”平山の決勝点で決着。
天皇杯を挟んで2週間ぶりのリーグ戦。残り10戦となり、勝ち点を重ねていけないチームが脱落するサヴァイヴァルゲームの様相をを呈する時期。最終節まで良い緊張感をもって臨むためには、この中断明けからのスタートダッシュは非常に重要だ。東京五輪招致が決定した勢いも含めて、是が非でも勝利を獲得しなければならない試合だった。
結果は3-2で天敵・浦和に競り勝った。リーグ戦では2004年以来、実に10年近い間勝利がなかった浦和に、ようやく勝つことが出来た。
前半はどちらかというと浦和の支配するゲームだった。1対1となるような決定的なチャンスは浦和に多かったが、FC東京は最後を崩させず、必死に食らいつくようなディフェンスで士気を高め、カウンターを中心に相手陣へ攻め込む。そして、相手陣内でFKを獲得すると、8分にはチャンが太田からのクロスを、同様にFKから36分には森重が東からのクロスをそれぞれ頭で決めて、前半で2点を先制。楽に試合を進められる状況になったと思われた。
FC東京はあと1点追加すればほぼ試合を決する状況だったが、浦和に後半の立ち上がりに隙を突かれる。浦和のカウンターを止めるべく森重がファールを与えると、浦和の浮き球FKに槇野が頭で合わせて失点。さらに僅か2分後、右からの平川のクロスに那須が飛び込み失点。あっという間に同点とされてしまった。
不用意なファールは確かに修正すべきところだ。だが、そのカウンターを受けたきっかけになったのは、高橋の不用意なミスから。前半終盤から3バックから4バックへと守備陣形と変え、FC東京がボールを支配出来るかという流れになった矢先のことだった。その後、FKから失点。そして、そこで改めて修正点を共有しなければならないところだったが、いつものネガティヴモードが発動仕掛けてしまい、チャレンジすることを恐れ始め、後手になったところを浦和に畳み掛けられる。この日の浦和は決して素晴らしい出来だとは思わなかったが、相手が守りに入ったり弱みを見せたら、一気に流れを引き寄せ畳み掛けるチーム。この後半序盤でも同様、落胆と逡巡が入り混じる東京に一気に襲いかかった。
それでも、これまでならズルズルといってしまうところだったが、3万5千弱の観衆の前が発奮となったか、勝利を目指して攻めに出たこと、相手の決定機を権田がビッグセーヴしてピンチを凌いだこともあり、東京へも流れが向いてくる。それと、浦和が決定機を決められなかった原口から鈴木啓太へ交代したことが、東京にとっての脅威を減らす要因にもなった。
すると、東京は平山と石川を同時投入。どちらも攻め合うという一進一退の展開になりながらも、浦和の運動量が落ち始めたこともあり、東京のチャンスが続くようになる。終了間際、ヴチチェヴィッチを最後の切り札として投入した直後、中央やや相手陣内寄り右サイドでFKを獲ると、再び太田が質の高いボールを送り込むと、これに反応した平山が値千金のヘディングシュートを決める。そのままアディショナル・タイム4分を守り切り、2004年(2ndステージ)以来、リーグ16試合ぶりの勝利にこぎつけた。
こういう試合で競り勝ったことは、これまでと違って評価出来る。一つチームとしてステップを上がったことになるのかもしれない。前半は2-0だったが、むしろゲームとしては浦和が優勢だった。そして、後半も浦和が得点し、同点に追いつくあたりは、完全に浦和のペース。そのなかで、前半はゴールを割らせず、後半は士気を再び寄り戻して劇的な決勝弾に繋げたことは、自信にしていい。
ただ、FC東京の得点シーンをよく振り返ると、浦和のディフェンスがお世辞にも良かったとはいえない守備だった。しかも、競り勝った頭で得点したのではなく、どれも浦和のマークが甘く東京の選手がフリーでシュートを打てるような状況。FK3本を決めるという、これまでの東京ではあまり期待出来なかった部分での得点という意味では価値はあるが、相手による隠れたミスによるところも大きかったということは忘れてはならないと思う。特に、森重や平山のヘディングシュートなどは、浦和の守備の連係や確認の受け渡しがなされてなかった。
一方で、東京の失点シーンを振り返れば、槇野、那須のヘディングシュートも、東京のディフェンス(徳永?)が競り負けたり付き切れなかったりしてゴールを許している。結果とは別に、まだまだ修正、確認を怠ってはならない部分が多くあることを肝に銘じていかなければならない。
攻撃の面でも、米本が視野を広げて奮闘していたが、他の選手も特にボランチより後ろの選手はもう少し前線の動き出しを見ていく必要がある。サイドチェンジも少しずつ増えてきてはいるが、まだカウンターも速攻で完結せず、スローダウンすることも少なくない。リスクとチャレンジは紙一重ではあるが、リスクを恐れずに攻撃を仕掛けてもらいたい。
そして、大切なのはこれを継続すること。名古屋、大宮とアウェイ連戦のあとには、再び国立での鹿島戦がある。それまでにこの勢いを継続し、鹿島に対してチャレンジして勝利を得ることが出来るか。そこで初めて上位というものが意識出来るようになるはずだ。ここからはどの相手でも簡単な試合はない。心してかかってもらいたい。
◇◇◇
≪J1 第25節≫
【日時】2013/09/14 18:35
【会場】国立競技場
【観衆】34,756人
【天候】曇り、無風
【気温】28.5度
【湿度】69%
【審判】(主審)吉田寿光(副審)戸田東吾、安元利充
【結果】
FC東京 3(2-0、1-2)2 浦和
【得点】
(東):チャン(8分)、森重(36分)、平山(90分)
(浦):槇野(51分)、那須(53分)
【FC東京メンバー】
GK 20 権田修一
DF 02 徳永悠平
DF 03 森重真人
DF 30 チャン・ヒョンス
DF 06 太田宏介
MF 04 高橋秀人
MF 07 米本拓司
MF 38 東慶悟 → MF 18 石川直宏(73分)
MF 08 長谷川アーリアジャスール
MF 49 ルーカス → MF 32 ネマニャ・ヴチチェヴィッチ(90分)
FW 09 渡邉千真 → FW 13 平山相太(73分)
GK 01 塩田仁史
DF 05 加賀健一
DF 14 中村北斗
MF 36 三田啓貴
監督 ランコ・ポポヴィッチ
◇◇◇
03/02(土) ○FC東京 2-1 大分(A)
03/09(土) ○FC東京 3-0 柏 (H)
03/16(土) ●FC東京 0-1 C大阪(A)
03/30(土) ●FC東京 2-3 横浜FM(A)
04/06(土) ●FC東京 0-1 大宮(H)
04/13(土) ●FC東京 1-2 仙台(A)
04/20(土) ○FC東京 3-1 名古屋(H)
04/27(土) ○FC東京 2-0 川崎(H)
05/03(金) ○FC東京 3-2 鳥栖(A)
05/06(月) △FC東京 2-2 磐田(H)
05/11(土) ●FC東京 2-3 湘南(A)
05/18(土) ○FC東京 2-0 清水(H)
05/25(土) ●FC東京 2-3 鹿島(A)
07/06(土) ●FC東京 0-1 広島(H)
07/10(水) △FC東京 2-2 浦和(A)
07/13(土) ○FC東京 3-0 新潟(A)
07/17(水) ○FC東京 4-1 甲府(H)
07/31(水) △FC東京 0-0 清水(A)
08/03(土) ○FC東京 2-0 大分(H)
08/10(土) △FC東京 2-2 川崎(A)
08/17(土) ●FC東京 0-2 横浜FM(H)
08/24(土) △FC東京 0-0 磐田(A)
08/28(水) ●FC東京 2-3 鳥栖(H)
08/31(土) ○FC東京 2-1 広島(A)
09/14(土) ○FC東京 3-2 浦和(H)
09/21(土) FC東京 × 名古屋(A)
09/28(土) FC東京 × 大宮(A)
10/05(土) FC東京 × 鹿島(H)
10/19(土) FC東京 × 新潟(H)
10/27(日) FC東京 × 甲府(A)
11/10(日) FC東京 × C大阪(H)
11/23(土) FC東京 × 湘南(H)
11/30(土) FC東京 × 柏(A)
12/07(土) FC東京 × 仙台(H)
◇◇◇

聖火台に火が灯される。

“ユルネヴァ中”。

“ユルネヴァ”vs 浦和大合唱。

FC東京ゴール裏。

浦和ゴール裏。ビッグフラッグがなびく。

選手整列。

ヒョンスGOAL!

森重GOAL!!

後半直前。

雌雄を決する後半。

平山GOAL!!!

“ワッショイ!ワッショイ!”からの“ヒラヤマ~”大合唱。

スコアは3-2。

試合終了。

“WINNER”はFC東京。

ブーイングの浦和ゴール裏。

バックスタンドのサポーターに挨拶するFC東京の選手たち。

久しぶりに浦和に勝利し沸くゴール裏。

バックスタンド前からゴール裏へと移動するFC東京の選手たち。

ドロンパもご機嫌。
◇◇◇
平山決勝点
アナウンサー「“国立・男”の平山ぁぁぁぁ~!!!!!」
こちらはゴール裏から。
試合途中、『F.C. TOKYO魂!』メインMCの土屋礼央が横の階段を下りていったのですが、買い物にでも行っていたのでしょうか。その間にヒョンスが得点。すると、「ゴール見れなかったのよー」と周りに話しながら席へ戻っていきましたとさ。(笑)

