日本でも人気の高いアシッド・ジャズ・ユニット、インコグニートのブルーノート東京公演を観賞。すでに毎年恒例行事のようになっている。12月27日の1stショウ。ブルーノート東京では最終日となるが、横浜のモーションブルーではカウントダウン公演も(すでにソールドアウト)。
もう何度行っているか分からないが、インコグニートの公演は常に楽しめる。楽曲などの劇的な変化はないが、バンド陣の才能、技術、操縦術、表現力が高い位置で一定しているから、どのような楽曲やメンバーでも、高い興奮を与えてくれる。
当ブログを開始した2005年からは、少なくとも9回は観賞していることになる。
2005年12月
2007年03月
2008年03月
2008年12月
2010年01月
2010年11月
2011年04月
2011年08月
2012年08月
※ リンク先に当時の記事があります
今回の公演のトピックスは、新メンバーが加わったこと。イングランド出身の背が低めで小さい(MCでブルーイに「その靴は日本製?」といじられていた)ケイティ・レオーネ、オーストラリア出身のキアラ・ハンターという女性ヴォーカル二人。そして、シャーデーのワールドツアー参加などで一時ステージを空けていたトニー・モムレルがカムバック。また、イングランドからサックス奏者のナイジェル・ヒッチコックが初参加。ブルーイが手掛けたマリオ・ビオンディ『サン』にも参加している。
やはりヴォーカルにトニー・モムレルが加わると、安定感が増す。女性陣のエネルギッシュなヴォーカルを引き立て、時には背中を押すように添う。そして自身がソロ・パートの時には、スティーヴィー・ライクな滋味深いヴォーカルを聴かせてくれる(一時期、“スティーヴィーを彷彿とさせる”という惹句をさまざまなところで目にしたが、実際現役でコンスタントに活躍しているシンガーはどれくらいいるのだろう)。以前、ブルーイはMCでトニーのことをことあるごとに“ヤンチャサル”と言っていたが、それも近年はなくなった。インコグニートを成すのに欠かせない男性ヴォーカルとしてのリスペクトがあるだろう。
一方、女性ヴォーカルのメインを張るのは、“カリビアン・クイーン・オブ・インコグニート”ことヴァネッサ・ヘインズ。今回のヴァネッサは多少抑え目な感じもしたが、それはこのユニットでのメイン・シンガーという冷静な視点でのことなのかもしれない。
ケイティは、印象もUKのシンガーといった風で、ヘアスタイルなどはスウィング・アウト・シスターのコリーンのような感じも。エミリー・サンデーやジョセリン・ブラウンのバック・ヴォーカルを経験しているパワフルなヴォーカルのシンガー。キアラも白人ソウル・シンガー然としている22歳。
新参のナイジェル含めた、シド・ゴウルド、タリク・メキのホーン・トリオは“酔っ払い度”低めだが(笑)、アドレナリンを高めるテンション高めの音色で観客を煽る。伊達男イタリアンのフランチェスコ・メンドリアとマカオのジョアオ・カエタノによる激烈パーカッションの競演は、室温を数度高めたといっていい渾身のパフォーマンスで熱狂を呼んだ。フランシス・ヒルトンはトレードマークのロングのラスタ・ヘアが時折演奏の邪魔をしながら(笑)、太く響くグルーヴを提供。そして、マット・クーパーは相変わらずの“変態”っぷりだ(褒め言葉)。
ライヴは、先日、来日記念盤としてリミックス音源を中心とした日本企画アルバム『スーヴェニール・フォー・ジャパン』をリリースしたが、そのなかの新曲「ラヴ・ハズ・カム・アラウンド」(ドナルド・バード&125thストリートN.Y.C.の1981年発表曲のカヴァー)を加えた構成。「モーニング・サン」や「ギヴィン・イット・アップ」など、最近では演奏していなかった楽曲もセットに入った。「モーニング・サン」ではコーラス・パートで振り付けがあるのだが、その振りをしていた人が思ったほどいなかったところを見ると、「モーニング・サン」も久しぶりだったのだと実感。
その「モーニング・サン」の直前、ブルーイが“Let's party tonight, Are you ready?”と言った後、(ダンスタイムは)“イマデショ!”とシャウト。今回も何か仕込んでくるとは思ったが、選んだのは林修先生による流行語。その後、「レイバー・オブ・ラヴ」などで落ち着いたものの、終盤に再度“イマデショ!”で場内総立ち。スティーヴィーの「アズ」で一旦演奏を終えるも、“ワンモア!”から「オールウェイズ・ゼア」へ。“ボクたちにとっては、観客のみなさんがリアル・サンタクロースだ”と感謝の意を示した。ブルーイのシルエットがサンタに見えなくもなかった、エキサイティングなクリスマス・ナイトとなった。
◇◇◇
<SET LIST>
01 LOVE HAS COME AROUND
02 AIN'T IT TIME
03 IT'S JUST ONE OF THOSE THINGS
04 ABOVE THE NIGHT
05 MORNING SUN
06 GIVIN' IT UP
07 LABOUR OF LOVE
08 Mr. JONES
09 GOOD LOVE
10 STILL A FRIEND OF MINE
11 PARISIENNE GIRL
12 PERCUSSION & DRUM SOLO
13 BRAZILIAN LOVE AFFAIR
14 AS
≪ENCORE≫
15 ALWAYS THERE
16 ONE LOVE(CD)~MEMBER STAGE OUT
<MEMBER>
Jean-Paul“Bluey”Maunick(g)
Vanessa Haynes(vo)
Tony Momrelle(vo)
Katie Leone(vo)
Chiara Hunter(vo)
Sid Gauld(tp)
Nigel Hitchcock(sax)
Tarik Mecci(tb)
Matt Cooper(key)
Francis Hylton(b)
Francesco Mendolia(ds)
Joao Caetano(per)
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