ラストプレーで痛恨のミス、対鳥栖8連敗。
主審が試合終了の笛を吹かんとしたまさにその時にドラマは訪れた。GKヤクブ・スウォビィクが徳元に出したパスをカットした河田が、ペナルティエリア右から右脚を振り抜くと、シュートはヤクブ・スウォビィクスの手を弾きながら、ゴールマウスへ吸い込まれた。直前に横山が怪我でピッチを出て10人で戦っていた鳥栖だが、誰もがスコアレスドローで終わるだろうと思った瞬間、鳥栖へ緊急移籍してきたばかりの河田が値千金のゴールを決めて、鳥栖が劇的な勝利。FC東京は対鳥栖戦の連敗を止めることが出来ず、これで対鳥栖戦8連敗という屈辱の記録を更新することになった。
ラストプレーだけにフォーカスすれば、GKヤクブ・スウォビィクの試合を左右するミスは、決して擁護出来るものではない。だが、GKだけを戦犯にあげつらうのは、まったく本質を捉えていないことになる。このミスを生んだ要因は、GKとDFなどとの間の連係や共通認識が疎かになっていたことであり、その意味では当該場面だけでなく、試合開始当初から終始良好な連係パフォーマンスを発揮出来ずにいた試合であった。
FC東京は、前半はアンカーに小泉、インサイドハーフに塚川と寺山を置いた4-3-3でスタートするも機能せず、低い位置でボールを保持するところに留まり、なかなかアタッキングサードへ侵入出来ない。すると、後半から寺山を俵積田に代えて、仲川、ディエゴ・オリヴェイラの2トップに、左にアダイウトン、右に俵積田を配置する4-2-3-1へ変更。CKを立て続けに獲得するなどようやくゴール前でチャンスを作り始めたが、それも束の間。アダイウトンの突破に頼る左サイド偏重の攻撃から、少しずつ右サイドの俵積田からのアタックが見られるようになるも、クロスの精度が低かったり、ゴール前での受け渡しが上手くいかずに、オープンな展開へと流れていく。終盤はペロッチ、熊田の2トップ、久しぶりの実戦となった青木を投入して、4-4-2の布陣で停滞を打開しようとしたが、効果は上がらず。そして、ドロー直前に前述の痛恨のミスで自滅した形となった。
豊富な運動量で広大なスペースをスピーディかつタイトにカヴァーする松木の不在を、別の形でチームとして連帯していくことが求められたが、それはどうやら遂行するには至らなかった。ビルドアップが低い位置のまま停滞し、一本調子のままでディエゴ・オリヴェイラへ預けたり、アダイウトンの独立突破に期待し過ぎたりと、前線のブラジルコンビに依存する場面多数。ディエゴ・オリヴェイラの周囲には的確な距離にサポートがないのは、チームが不調の時のそれ。今季のアダイウトンはキレがイマイチで（もうひと絞りする必要があるか）、パワフルな突破を随所に見せてはくれるが、フィニッシュのところでシュートを撃ち切れない場面が多数。先発時のアダイウトンはそれほど成功しないという以前のイメージが蘇ってくる。
また、セカンドボールへの反応も遅く、高い位置で攻撃モードへ入ろうとした時に鳥栖にボールを奪われるなど、攻撃のリズムを作れぬまま。一気呵成に攻め込める場面でも、仲川や塚川、アダイウトン、寺山とタッチやトラップが大きくなり、絶好機へ至りそうなシーンをみすみす逃して鳥栖DFに阻まれるシーンも散見。相手のプレスに苦しむというよりも、自ら攻守のリズムが生み出せず、テンポがズレたパス回しやフィードをしているから、結局球離れが遅くなり、パスコースも限定され、ワンタッチで繋ごうとしてもチャレンジする比重が高くなり、攻守が入れ替わられていた。
チームのムードを変えるにはやはり得点が一番の特効薬だ。まずは積極的に枠内シュートを放っていくという姿勢からリズムを作っていくことだろう。ゴールへの執念が勝利へと繋がり、それに感化されてパフォーマンスとメンタルも上昇する。そういった流れを自ら創り出していくような積極性が必要だ。中3日でルヴァンカップ、また中3日でリーグ湘南戦と連戦が続くが、低迷したムードを引きずることは最も悪手となる。怪我人も少なくなく、しばらくは我慢の時間が続くかと思われるが、リスクを背負ってもゴールへと貪欲に向かう強い心持ちをピッチで表現していく、そういったムードを絶やさずにいることで、停滞からの脱却が見えてくるはずだ。
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明治安田生命J1リーグ 第6節
2023年4月1日（土）15:03KO 駅前不動産スタジアム
入場者数：8,548人
天候：晴 ／ 気温：24.2℃ ／ 湿度 21％
主審：谷本 涼 ／ 副審：三原 純、村井良輔
第4の審判員：村田裕介
VAR：上田益也 ／ AVAR：大塚晴弘
鳥 栖 1（0-0 / 1-0）0 FC東京
【得点】
鳥 栖：河田篤秀（90+5分）
FC東京：
〈試合経過〉
46分* 交代 東京 寺山 翼 → 俵積田晃太
58分 交代 鳥栖 岩崎悠人 → 横山歩夢 ／ 小野裕二 → 河田篤秀 ／ 堀米勇輝 → 菊地泰智
67分 交代 鳥栖 楢原慶輝 → 西川 潤
72分 交代 東京 塚川孝輝 → 青木拓矢 ／ ディエゴ・オリヴェイラ → ペロッチ
82分 警告 鳥栖 田代雅也
82分 交代 東京 アダイウトン → 鈴木準弥 ／ 仲川輝人 → 熊田直紀
84分 交代 鳥栖 坂本稀吏也 → 樺山諒乃介
90+5分 得点 鳥栖 河田篤秀
【FC東京】
〈スターティングメンバー〉
ＧＫ 27 ヤクブ・スウォビィク
ＤＦ 05 長友佑都
ＤＦ 04 木本恭生
ＤＦ 44 エンリケ・トレヴィザン
ＤＦ 17 徳元悠平
ＭＦ 37 小泉 慶
ＭＦ 26 寺山 翼
ＭＦ 35 塚川孝輝
ＦＷ 39 仲川輝人
ＦＷ 09 ディエゴ・オリヴェイラ
ＦＷ 15 アダイウトン
〈控えメンバー〉
ＧＫ 41 野澤大志ブランドン
ＤＦ 28 鈴木準弥
ＤＦ 03 森重真人
ＭＦ 16 青木拓矢
ＦＷ 22 ペロッチ
ＦＷ 29 熊田直紀
ＦＷ 33 俵積田晃太
〈監督〉
アルベル
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【明治安田生命J1リーグ 2023シーズン FC東京試合日程・結果】
第01節 02月18日(土)14:00〇FC東京 2-0 浦 和（Ｈ・味スタ）
第02節 02月26日(日)15:00△FC東京 1-1 柏 （Ａ・三協Ｆ柏）
第03節 03月04日(土)14:00✕FC東京 0-2 京 都（Ａ・サンガＳ）
第04節 03月12日(日)15:00〇FC東京 3-1 横浜FC（Ｈ・味スタ）
第05節 03月18日(土)14:00△FC東京 0-0 名古屋（Ａ・豊田ス）
第06節 04月01日(土)15:00✕FC東京 0-1 鳥 栖（Ａ・駅スタ）
第07節 04月09日(日)15:00 FC東京 ✕ 湘 南（Ｈ・味スタ）
第08節 04月15日(土)16:00 FC東京 ✕ Ｃ大阪（Ｈ・味スタ）
第09節 04月22日(土)14:00 FC東京 ✕ 広 島（Ａ・Ｅスタ）
第10節 04月29日(土)15:00 FC東京 ✕ 新 潟（Ｈ・味スタ）
第11節 05月03日(水)15:00 FC東京 ✕ 福 岡（Ａ・ベススタ）
第12節 05月06日(土)14:00 FC東京 ✕ 札 幌（Ａ・札幌ド）
第13節 05月12日(金)19:30 FC東京 ✕ 川 崎（Ｈ・国 立）
第14節 05月20日(土)15:00 FC東京 ✕ 鹿 島（Ａ・カシマ）
第15節 05月27日(土)14:00 FC東京 ✕ 神 戸（Ａ・ノエスタ）
第16節 06月03日(土)15:00 FC東京 ✕ 横浜FM（Ｈ・味スタ）
第17節 06月11日(日)18:00 FC東京 ✕ Ｇ大阪（Ａ・パナスタ）
第18節 06月24日(土)19:00 FC東京 ✕ 名古屋（Ｈ・味スタ）
第19節 07月01日(土)19:00 FC東京 ✕ 柏 （Ｈ・味スタ）
第20節 07月08日(土)19:00 FC東京 ✕ 浦 和（Ａ・埼 玉）
第21節 07月16日(日)19:00 FC東京 ✕ 鹿 島（Ｈ・味スタ）
第22節 08月06日(日)19:00 FC東京 ✕ Ｃ大阪（Ａ・ヨドコウ）
第23節 08月12日(土)19:00 FC東京 ✕ 京 都（Ｈ・味スタ）
第24節 08月19日(土)19:30 FC東京 ✕ 横浜FM（Ａ・日産ス）
第25節 08月26日(土)19:00 FC東京 ✕ 神 戸（Ｈ・国 立）
第26節 09月02日(土)00:00 FC東京 ✕ 福 岡（Ｈ・味スタ）
第27節 09月16日(土)00:00 FC東京 ✕ 川 崎（Ａ・等々力）
第28節 09月23日(土)00:00 FC東京 ✕ 鳥 栖（Ｈ・味スタ）
第29節 09月30日(土)00:00 FC東京 ✕ Ｇ大阪（Ｈ・味スタ）
第30節 10月21日(土)00:00 FC東京 ✕ 横浜FC（Ａ・ニッパツ）
第31節 10月28日(土)00:00 FC東京 ✕ 広 島（Ｈ・味スタ）
第32節 11月11日(土)00:00 FC東京 ✕ 新 潟（Ａ・デンカＳ）
第33節 11月25日(土)00:00 FC東京 ✕ 札 幌（Ｈ・味スタ）
第34節 12月03日(日)00:00 FC東京 ✕ 湘 南（Ａ・レモンＳ）
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