厳しく激しい展開を制したFC東京が、J1再開戦に勝利。
新型コロナウィルス禍によって中断を余儀なくされていたJリーグ。先週のJ2、J3再開に続いて、J1も再開。中断期に日程も改めて設定され、FC東京の約4ヵ月ぶりの試合となる第2節はアウェイにて昨季J2王者の柏との対戦に。リモートマッチ(無観客試合)により生観戦とはいかなかったが、ようやくJリーグのファン・サポーターに一喜一憂が溢れる週末が戻ってきた。
ホームの柏は、強力攻撃陣の一角クリスティアーノがベンチ外だったが、オルンガ、江坂は先発に名を連ねた。対するFC東京は、ディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン、レアンドロのブラジル人トリオを前線に配し、安部もスターティングメンバー入り。橋本や三田、怪我からの復帰が待たれる永井がベンチ外となった。
実践の試合勘を取り戻すまでに多少時間がかかったのか、試合序盤からなかなかボールが落ち着かない展開。FC東京は当初ダブルボランチによる4-2-3-1に近い4-3-3のシステムで試合に入ったものの、ディエゴ・オリヴェイラとアダイウトンの2トップによる4-4-2へ移行。前線へ早めにボールを預けて柏陣内に攻め込んでいく。柏も最終ラインでボールをしっかりと回しながら、前線のオルンガへ向けてボールを供給していく。オルンガのストライドやリーチは驚異的で、一瞬間に合わなそうなスペースへのボールでも追いついてしまう速さがあるゆえ、FC東京守備陣も十分に警戒していたと思うが、早くも5分に高いディフェンスラインの裏へスルーパスに反応したオルンガがペナルティエリア内に侵入。GK林と1対1になりかけるも、シュートは枠外で得点機を活かせない。
FC東京はアダイウトン、レアンドロが状況に応じてトップに入ったり、安部がトップ下へ、東がサイドハーフへ流れるなど流動的なシステムにしたことで、柏の中盤のヒシャルジソンを困惑させていく。すると、12分にヒシャルジソンがディエゴ・オリヴェイラの後ろからタックル。既に7分に警告を受けていたヒシャルジソンが前半早々に警告2枚で退場かと思われたが、ここで荒木主審はカードを提示せず。ディエゴ・オリヴェイラは痛めた足を引きずりながらプレーを続行し始め、次第に強いフィジカルを活かしたボールキープで攻撃を組み立てていたところ、26分に相手ディフェンダーが立ちはだかる狭いエリア左から強引に侵入してシュートを放った際に倒されて、再び足を痛め、田川と交代。FC東京は、強靭なフィジカルでボールの収め役として機能していたディエゴ・オリヴェイラを前半途中で失うことに。すると、それまではパスを繋げるも外、外とボールを回されていた柏が、江坂やマテウス・サヴィオが巧みに配球し始め、柏のペースになりかけたところで、前半が終了。
後半の序盤も柏のペース。江坂、瀬川からオルンガへパスを出してチャンスを作るも、森重、渡辺のCBを中心としたディフェンス陣がオルンガにプレッシャーを与え続ける。同時にオルンガの調子もいま一つで、シュートに精彩を欠き、得点機を逃していると、60分にヒシャルジソンがエリア中央手前でアダイウトンを後ろからスライディングタックル。リプレイで見ると、ヒシャルジソンはボールに触っていたように見えるが、後ろからのタックルということと、ここまでカードが出てもおかしくないプレーが数回見受けられた心象もあってか、2枚目の警告を受けて退場。
数的有利となったFC東京は、レアンドロのFKが壁に当たって右CKを獲得すると、小川のファーへのCKを森重が頭で折り返し、中央に陣取っていた渡辺が押し込んで待望の先制点を挙げる。渡辺は昨季のプロ初得点もアウェイの柏戦だった。それまで好セーヴを連発していた柏GKのキム・スンギュだったが、ここでは小川のクロスへ中途半端に飛び出したことでゴール前を開けてしまい、また柏のディフェンス陣も足を止めてしまったことで、渡辺のゴールを導いてしまった。
柏はマテウス・サヴィオに戸嶋、大谷に神谷、瀬川に仲間と次々と選手交代して、前への推進力を高めて、何度かチャンスを創出。退場者を出して一人少ない数的不利の状況をあまり感じさせなかったが、FC東京もCBを中心に最後の砦を崩させず。短いパスで時間を使いながら、最後まで失点することなく、J1再開の初戦を手中にした。
FC東京は、ボールが落ち着かないとみるや4-4-2へシステムチェンジしたり、安部をトップ下に配し、ブラジル人勢を中心に臨機応変にポジションチェンジしながら、自陣へ流れを引き寄せようとするなど、試合中の修正を繰り返しながら、失点せずに凌ぎ切ったというのが、試合内容としては適切なのかもしれない。ディエゴ・オリヴェイラという柱を失い、攻撃面ではやや柏に押されていたところもあったが、その勢いに呑み込まれず、最低限“勝ち点3”を得るというプロセスを遂行。しっかりと結果を持ち帰るというところに、成長の一端を垣間見た。
ただし、早々とピッチを後にしたディエゴ・オリヴェイラ、途中出場も怪我で試合終了直前に交代した田川、試合終了間際に足を捻ったか、ピッチに倒れたまま試合終了のホイッスルを聞いた安部と、怪我の状態が心配。雨や湿気の影響なのか、緩めに見えたピッチに足を取られたり、滑らせたりする選手が多く見受けられただけに、足への疲労の蓄積も綿密にケアしなければならない。今季はスケジュールがタイトゆえ、怪我は出来るだけ避けたいところ。そういう意味では、再開早々ながらチームとしての総合力が問われそうなシーズンとなりそうだ。
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【明治安田生命J1リーグ 第2節】
2020年07月04日(土)19:03試合開始 三協フロンテア柏スタジアム
入場者数 (リモートマッチ)
天候 曇 / 気温 25.8℃ / 湿度 81%
主審 荒木友輔 / 副審 聳城 巧、森川浩次 / 4審 川俣 秀
柏 0(0-0 / 0-1)1 FC東京
≪得点≫
(柏):
(東): 渡辺 剛(62分)
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【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 33 林 彰洋
DF 02 室屋 成
DF 04 渡辺 剛
DF 03 森重真人
DF 06 小川諒也
MF 10 東 慶悟
MF 31 安部柊斗
MF 08 高萩洋次郎
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ → 田川亨介(28分)→ アルトゥール・シルバ(90+4分)
FW 15 アダイウトン → 紺野和也(78分)
FW 20 レアンドロ
≪サブスティテューション≫
GK 13 波多野豪
DF 32 ジョアン・オマリ
DF 37 中村帆高
MF 45 アルトゥール・シルバ
FW 23 矢島輝一
FW 27 田川亨介
FW 38 紺野和也
≪監督≫
長谷川健太
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【2020 明治安田生命J1リーグ FC東京 試合日程】
第01節 02月23日(日)13:03〇FC東京 3-1 清 水(A・アイスタ)
第02節 07月04日(土)19:00〇FC東京 1-0 柏 (A・三協F柏)※Remote Match
第03節 07月08日(水)19:30 FC東京✕川 崎(H・味スタ) ※Remote Match
第04節 07月12日(日)19:30 FC東京✕横浜FM(A・日産ス)
第05節 07月18日(土)19:00 FC東京✕浦 和(H・味スタ)
第06節 07月22日(水)19:05 FC東京✕札 幌(A・札幌ド)
第07節 07月26日(日)18:30 FC東京✕鹿 島(A・カシマ)
第08節 08月01日(土)19:00 FC東京✕鳥 栖(H・味スタ)
第09節 08月09日(日)19:00 FC東京✕C大阪(A・ヤンマー)
第10節 08月15日(土)19:00 FC東京✕名古屋(H・味スタ)
第11節 08月19日(水)19:00 FC東京✕広 島(A・Eスタ)
第12節 08月23日(日)19:00 FC東京✕湘 南(H・味スタ)
第13節 08月29日(土)19:00 FC東京✕G大阪(A・パナスタ)
第14節 09月05日(土)・06日(日) FC東京✕大 分(A・)
第15節 09月09日(水) FC東京✕横浜FC(H・)
第16節 09月12日(土)・13日(日) FC東京✕神 戸(A・)
第17節 09月19日(土)・20日(日) FC東京✕仙 台(H・)
第18節 09月23日(水) FC東京✕C大阪(H・)
第19節 09月26日(土)・27日(日) FC東京✕鳥 栖(A・)
第20節 10月03日(土)・04日(日) FC東京✕湘 南(A・)
第21節 10月10日(土)・11日(日) FC東京✕G大阪(H・)
第22節 10月14日(水) FC東京✕清 水(H・)
第23節 10月17日(土)・18日(日) FC東京✕横浜FC(A・)
第24節 10月24日(土)・25日(日) FC東京✕大 分(H・)
第25節 10月31日(土) FC東京✕川 崎(A・)
第26節 11月03日(火祝) FC東京✕鹿 島(H・)
第27節 11月14日(土)・15日(日) FC東京✕名古屋(A・)
第28節 11月21日(土)・22日(日) FC東京✕横浜FM(H・)
第29節 11月25日(水) FC東京✕浦 和(A・)
第30節 11月28日(土)・29日(日) FC東京✕ 柏 (H・)
第31節 12月05日(土)・06日(日) FC東京✕広 島(H・)
第32節 12月12日(土) FC東京✕仙 台(A・)
第33節 12月16日(水) FC東京✕札 幌(H・)
第34節 12月19日(土) FC東京✕神 戸(H・)
※第14節以降の日程詳細は、8月初旬・10月初旬に分割して発表予定
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