
4試合ぶりにゴールを奪ったものの、首位・広島と痛み分け。
8月5日の神戸戦以来6試合勝利なし、3試合連続で無得点が続く3位・FC東京。優勝を目指すにはもう負けられないなかでの首位・広島との直接対決は、リンスのゴールで同点に追いついた勢いを活かせず、痛恨のドローに終わった。
FC東京は累積警告により出場停止の室屋に代わって小川が右SB、2トップの一角にリンス、サイドハーフに田邉が先発。ベンチにはフレッシュな矢島が入った。
FC東京が5分、ディエゴ・オリヴェイラの右サイドからのクロスにリンスが合わせるもシュートがポストを叩くと、広島は9分にチャン・ヒョンスから橋本へのパスが高い位置で奪われ、柏がシュートを放つもFC東京のGK・林彰洋が弾き出す。13分には左サイドから受けたパスをディエゴ・オリヴェイラがヒールで中央へ流すと、これに反応したリンスがワンステップでミドル。これを広島のGK・林卓人がセーヴするというような一進一退の展開に。均衡が破れたのは18分。柴崎のFKから青山がゴール前にボールを送ると、FC東京のGK林彰洋が飛び出すも触れず、ゴール前で混戦のなかで高萩がクリアしようとしたボールがパトリックの足に当たって跳ね返り、ゴールへ吸い込まれて広島が先制。そのゴールの加勢で広島が攻めに転じたが、FC東京はしっかりブロックを作って対応。一方で、攻撃はアタッキングサード~ボックス内での精度に欠け、決定機を作ることは少なかった。
流れを変えたいFC東京は後半開始直後、ディエゴ・オリヴェイラがドリブルで抜け出してゴールライン手前まで侵入し、マイナスのパスを送ると、走り込んできたリンスが右足でゴールを奪い同点に追いつく。すると、FC東京が主導権を握り始め、広島はパスミスなどのボールロストが散見されると、FC東京に追加点のチャンスが生まれ始めたが、広島は最後のところで身体を張ってゴールを許さず。
広島はティーラシンを投入した60分以降に一度やや勢いを吹き返すが、80分以降はFC東京のペースに。88分にディエゴ・オリヴェイラを下げて米本をピッチに送ると、この試合で何度も巧みなパスを供給していた高萩を一つ前のポジションに動かして、より攻撃性を高める布陣に。これでより広島陣内へ多く攻め込む回数が増え、90分にはその高萩が左エリア角付近から鋭いシュートを放つも、ゴール枠の上に外れる。その後もディフェンスラインの背後にボールを供給。永井が浮き球に反応して抜け出し、広島のGK・林と1対1になりそうな場面は、林が寸前にサイドラインへクリアで逃れる。この場面で林が足を痛めたのか、タイムアップまで残り時間がないなかでゴールマウス前で倒れ込む。広島も首位キープのためには勝ち点3を奪いたかったはずだが、ここは無理して勝ち点3を奪いにいって失点するリスクを避けたか。アディショナルタイムは3分の表示も、この間の時間が追加され、4分台に入るが、雌雄を決するゴールは生まれず。川崎が迫るなかで勝ち点差を縮められたくない広島にとっても、優勝戦線に残りたいFC東京にとっても、共に痛いドローという結果に。特にFC東京にとっては、アウェイながらも勝ち点3を積み重ねられなかったのは、優勝への挑戦権を失いかける非常に大きな痛手となってしまった。
とはいうものの、この3試合で得点がなく、勝利から遠のいているFC東京にとってはゴールシーンこそ少なかったが、高萩を中心に奮闘し、ゴールに迫る回数も増えたのはいい傾向だ。ワンタッチやダイレクトでのパスも増え、エリア付近で停滞する数も減ったと思う。先制されながらも追いついたというのも評価は出来る。ただし、エリア付近からボックス内でのラストパスやトラップなどの精度に欠き、シュートチャンスを逃す、あるいは、シュートを放ってもブロックされるという場面が頻出しており、そこの修正を高めないと決定機の創出やゴールには結びつかない。
そして気になるのが、チャンスを作ってはいるものの、ディエゴ・オリヴェイラがサイドに流れていく場面が少なくないということ。確かに推進力のあるディエゴ・オリヴェイラがサイドからボールを持ち込むという戦術も有効ではあるが、チャンスの時に出来ればディエゴ・オリヴェイラは中央に陣取っていたいところ。その意味で、もう少し近い距離でディエゴ・オリヴェイラをサポートする選手がいると、タイトにマークされるディエゴからだけでない、ヴァリエーションも増えた有効な攻撃が生まれるのではないかと思う。
もう一つは太田の精度と推進力。CKではチャン・ヒョンスの頭に合わせたゴールが印象深いのかニアに蹴ることが多いが、この数試合ではそれも対策され、ゴール前の選手とのタイミングに微妙にズレが生じている気がする。また、左サイドから持ち上がるものの、相手のプレッシャーがかかると次のプレーのファーストチョイスがバックパスになるのが非常に多いので、守備陣形が整っていないなかでのアーリークロスなどの選択肢を自ら消してしまっているのももったいないところ。この試合でFC東京が右からの攻めの割合が思った以上に少なかったのは、そのあたりがスムーズな攻撃へ繋がっていないことにも起因していると思う。
残り7試合で広島との差は13のまま。一方、日曜に試合が組まれている札幌対鹿島戦で札幌が勝利すると順位を上回られ(札幌は未消化1試合あり)、鹿島が勝てば勝ち点1差に迫られる。3位・FC東京から7位・鹿島までは勝ち点差4位内で、ACL圏内もまったく予断を許さない状況だ。正直なところ、優勝へは残り全試合勝利するくらいでないと奪い取ることは厳しいところまできてしまった。それでも可能性が消えない限り、戦わなくてはならない。
まずは、次節のホームの清水戦で勝ち点3を奪い取ることが最重要。この広島戦で無得点はストップした。今度は7試合未勝利の壁を突き破り、その勢いで最終節まで勝ちを重ね、上位2チームに可能な限りのプレッシャーを与えていきたい。
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【明治安田生命J1リーグ 第27節】
2018年09月22日(土)19:03試合開始 エディオンスタジアム広島
入場者数 19,031人
天候 晴 / 気温 23.9℃ / 湿度 78%
主審 東城穣 / 副審 山内宏志、中井恒 / 4審 吉田哲朗
広 島 1(1-0 / 0-1)1 FC東京
≪得点≫
(広): パトリック(18分)
(東): リンス(49分)
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≪スターティングメンバー≫
GK 33 林 彰洋
DF 25 小川諒也
DF 48 チャン・ヒョンス
DF 03 森重真人
DF 06 太田宏介
MF 38 東 慶悟
MF 18 橋本拳人
MF 08 高萩洋次郎
MF 27 田邉草民 → 大森晃太郎(72分)
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ → 米本拓司(88分)
FW 13 リンス → 永井謙佑(72分)
≪サブスティテューション≫
GK 01 大久保択生
DF 29 岡崎 慎
DF 05 丹羽大輝
MF 39 大森晃太郎
MF 07 米本拓司
FW 11 永井謙佑
FW 23 矢島輝一
≪監督≫
長谷川健太

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【明治安田生命J1リーグ 2018シーズン日程】
第01節 2018/02/24(土)14:00△FC東京 1-1 浦 和(H・味スタ)
第02節 2018/03/03(土)15:00✕FC東京 0-1 仙 台(H・味スタ)
第03節 2018/03/10(土)15:00✕FC東京 0-2 磐 田(A・ヤマハ)
第04節 2018/03/18(日)15:00〇FC東京 1-0 湘 南(H・味スタ)
第05節 2018/03/31(土)15:00〇FC東京 3-2 G大阪(H・味スタ)
第06節 2018/04/08(日)14:00〇FC東京 5-2 長 崎(A・トラスタ)
第07節 2018/04/11(水)19:00〇FC東京 2-1 鹿 島(H・味スタ)
第08節 2018/04/14(土)15:00✕FC東京 0-1 C大阪(A・ヤンマー)
第09節 2018/04/21(土)13:00〇FC東京 1-0 清 水(A・アイスタ)
第10節 2018/04/25(水)19:00〇FC東京 3-1 広 島(H・味スタ)
第11節 2018/04/28(土)15:00〇FC東京 3-2 名古屋(H・味スタ)
第12節 2018/05/02(水)19:00△FC東京 0-0 神 戸(A・ノエスタ)
第13節 2018/05/05(土)14:00〇FC東京 2-0 川 崎(A・等々力)
第14節 2018/05/13(日)16:00△FC東京 0-0 札 幌(H・味スタ)
第15節 2018/05/20(日)15:00△FC東京 0-0 鳥 栖(A・ベアスタ)
第16節 2018/07/18(水)19:00〇FC東京 1-0 柏 (A・三協F柏)
第17節 2018/07/22(日)19:00〇FC東京 5-2 横浜FM(H・味スタ)
第18節 2018/07/27(金)19:00✕FC東京 0-1 長 崎(H・味スタ)
第19節 2018/08/01(水)19:00〇FC東京 2-1 鹿 島(A・カシマ)
第20節 2018/08/05(日)19:00〇FC東京 1-0 神 戸(H・味スタ)
第21節 2018/08/10(金)19:00✕FC東京 1-2 G大阪(A・吹田S)
第22節 2018/08/15(水)19:00✕FC東京 0-1 柏 (H・味スタ)
第23節 2018/08/19(日)13:00✕FC東京 2-3 札 幌(A・札幌ド)
第24節 2018/08/26(日)19:00△FC東京 0-0 湘 南(A・BMWス)
第25節 2018/09/02(日)19:00△FC東京 0-0 鳥 栖(H・味スタ)
第26節 2018/09/15(土)14:00✕FC東京 0-1 仙 台(A・ユアスタ)
第27節 2018/09/22(土)19:00△FC東京 1-1 広 島(A・Eスタ)
第28節 2018/09/29(土)17:00 FC東京 vs 清 水(H・味スタ)
第29節 2018/10/07(日)16:00 FC東京 vs 名古屋(A・豊田ス)
第30節 2018/10/20(土)19:00 FC東京 vs C大阪(H・味スタ)
第31節 2018/11/03(土)14:00 FC東京 vs 横浜FM(A・日産ス)
第32節 2018/11/10(土)14:00 FC東京 vs 磐 田(H・味スタ)
第33節 2018/11/24(土)14:00 FC東京 vs 川 崎(H・味スタ)
第34節 2018/12/01(土)14:00 FC東京 vs 浦 和(A・埼 玉)
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【明治安田生命J1リーグ 2018順位表】※2018/09/22現在(暫定)
01 広 島 56/27/17/05/05/42/21/+21
02 川 崎 52/26/16/04/06/42/20/+22
03 FC東京 43/27/12/07/08/34/25/+09
04 C大阪 41/27/10/11/06/34/30/+04
05 札 幌 41/25/11/08/06/35/36/-01
06 仙 台 41/27/12/05/10/36/38/-02
07 鹿 島 39/26/11/06/09/35/34/+01
08 神 戸 36/26/10/06/10/33/31/+02
09 浦 和 35/26/09/08/09/33/27/+06
10 清 水 34/27/10/04/13/38/40/-02
11 磐 田 33/27/08/09/10/29/37/-08
12 横浜FM 32/27/09/05/13/45/46/-01
13 名古屋 31/26/09/04/13/43/48/-05
14 湘 南 31/26/08/07/11/31/36/-05
15 鳥 栖 30/27/07/09/11/22/28/-06
16 柏 30/27/09/03/15/33/42/-09
17 G大阪 30/27/08/06/13/29/39/-10
18 長 崎 27/27/08/03/16/32/48/-16
※(勝点/試合数/勝利/敗戦/引分/得点/失点/得失点差)
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