試合数を先に消化した札幌に暫定的に首位を譲って迎えた横浜FCとの一戦。国立競技場には2万人を超える観客が集まった。横浜FCは前節、国立で東京ヴェルディに2-7で大敗して2連敗中。とはいえ、ヴェルディ戦ではフランサとカズ(三浦知良)が出場した69分以降は1失点はするものの、高地とフランサのゴールで2得点を挙げている。1点差や同点で後半へ入るようだと、勝点3獲得もそう簡単とはいかなくなってくる。早めに得点、追加点を挙げて、優位に立ちたいところ。
東京は前節で足首を痛めた塩田に代わってU-22日本代表の権田が出場。控えに常澤が入った。一報、横浜FCはカズが先発に名を連ねた。
前半8分と早い時間にCKから梶山がヘッドでゴールを決め先制した東京。だが、その後チャンスは作るもゴールを奪えず前半を1-0で折り返す。怒濤の攻撃という訳でもなかったが、横浜FCにはほぼシュートチャンスがなかったことを考えると、ややもの足りない前半となった。横浜FCで沸いた場面といえば、カズが左から持ち上がり跨ぎフェイントを繰り出した時とミドルシュートを放った時くらいか。それに対して、東京は谷澤、ルーカス、徳永とシュートを放つもいずれも決まらず。徳永の豪快なミドルはバーに嫌われて惜しくもバースデイ弾とはならなかったが、谷澤は決定機にことごとく枠を捉えきれずに終わった。上位あるいはJ1の舞台に上がっての1点がものを言う試合では、このような決定機を如何に決めるかが勝つか否かの分岐点となる。動き出しやトリッキーなプレイなどはもちろん貴重な戦力となるのだが、それらと共にその手の“持ち味”で笑えていられるほどの余裕が現在にはないことを考えると、やはり決める時は決めて試合を楽にコントロールしなければならない。石川も復調してきたし、ポジションを奪われないためにも、ここでしっかりと修正をしていかなくてはならない(千葉時代に常に先発に固定されなかったのは、そういう好不調の波が激しいこともあったのだろう)。
横浜FCはカイオとカズの2トップなのだが、カズが左サイドに大きく開くことが多く、また致し方ないのかもしれないが、ややスピードで劣るため、中盤で受けて前や横へ捌く役割を主に担っており、それほど脅威とはならなかった(ただ、バイタルエリアからエリア付近で前にスペースがあるところで持たれるとその限りではない)。東京も横浜FCもサイドからの攻撃を仕掛け合う回数が多かったが、ルーカスを起点に中央付近でボールを止め、楔が打てる東京が俄然好機も多く、中央で持てない横浜FCはなかなか策を仕掛けられなかった。
とはいえ、東京が好機を逃し続けて最小得点差のまま時間が過ぎると、後半の59分にカズに代えて野崎を、藤田に代えてフランサを投入してきた。当然のことながら横浜FCはフランサへボールを集めだすと、ボールの動きも徐々に活性化されてくる。フランサに対しては、特に最後の場面で今野がしっかりとした対応をすることで事なきを得ていたが、1-0で凌ぎきれるかどうかの不安が徐々に脳裏を過ぎっていたのも事実だ。
そんな不安を吹き飛ばしたのが、羽生の追加点だった。この日も抜群の運動量で東京のキーマンとしての役割を全うしていたが、これまではフィニッシュの部分で精度を欠いたところもあったものの、田邉に代わって入った石川のお膳立てに応えるように、サイドネットへの浮き球パスのようなゴールを挙げた。さらに、その2分後、梶山からルーカスへパス、さらにそのルーカスがエリア内前方への絶妙な落としで決定機をお膳立てして、羽生が2ゴール目を奪った。流れるような演出も素晴らしかったが、この3点目は、2点目の追加点で横浜FCが精神的にガックリときたことが非常に大きかったのだろうといえる。
これでほぼ勝利を手中に収めた東京だったが、後半の終盤は横浜FCの時間帯が続いた。得点こそ奪われなかったものの、ゲームの締め方としては次に繋がるものではなかった。それは、相手のサッカー、調子に合わせてサッカーをしてしまうことにある。
今日は運良く立て続けに得点を決め、3-0という安全なスコアで試合が展開したが、タイムアップが鳴るまでにかなり時間が残っている中で、一気にギアを下げてしまうかのような試合運びはいかがなものか。当然、この先の厳しいスケジュールを想定してのこともあろうが、意識やプレイの質を落としてのセーヴはいただけない。権田のキックミスによるピンチやラストの相手のシュートミスなど、簡単に言えば、J2レヴェルだからこそ助かったミスともいえなくもない。ラストのシュートを決められていたからといって試合の大勢が変わる訳ではなかったとは思うが、結果のみの一喜一憂では次へと繋がらないのだ。
次節は中2日でホーム味スタでの北九州戦。北九州は現在勝点37の8位で、昇格圏3位の鳥栖とは勝点で10差。もう負けられないギリギリのところということもあり、死に物狂いで勝ちを狙いに来るはずだ。無論、東京はアウェイでは敗戦しているだけに、ここはしっかりと自分たちの試合運びで勝点3を勝ち取って、さらに一歩抜け出したいところだ。
◇◇◇
Jリーグディビジョン2 第29節
2011/09/25 国立競技場
FC東京 3(1-0、2-0)0 横浜FC
【得点】
(東):梶山(8分)、羽生(66分)、羽生(68分)
観衆: 21,330人
天気: 晴、無風
<メンバー>
≪FC東京≫
20 GK 権田修一
02 DF 徳永悠平
03 DF 森重真人
06 DF 今野泰幸
33 DF 椋原健太
04 MF 高橋秀人
10 MF 梶山陽平
27 MF 田邉草民 → 18 MF 石川直宏(61分)
39 MF 谷澤達也 → 32 MF 上里一将(80分)
22 FW 羽生直剛 → 38 FW 坂田大輔(74分)
49 FW ルーカス
31 GK 常澤聡
14 DF 中村北斗
17 MF 永里源気
11 FW 鈴木達也
◇◇◇
“ユルネヴァ”中。
横浜FCサポーターのみなさん、“俺たち”の国立へようこそ。
選手整列。
横浜FCゴール裏。
梶山ゴール!
前半は1-0で東京リード。
横浜FCゴール裏は休みなくチャントを続ける。
円陣。後半開始。
羽生ゴール!
また羽生ゴール!!
試合終了。3-0の完封勝ち。
横浜FCゴール裏へ挨拶する横浜FCの選手たち。
相手ゴール裏まで入った東京サポーターへ挨拶。
ドロンパもゴキゲン。
大型ヴィジョンに“WINNER”の文字。
この日は2万人超。
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