攻撃に課題山積みも、集中切らさずスコアレスドロー。
開幕4試合で3勝1敗で1失点、堅守で2位の名古屋のホーム豊田スタジアムに、前節3得点を挙げた5位のFC東京が乗り込んだ一戦は、中盤での激しい攻防を繰り広げるも、決め手なくスコアレスドロー。互いに失点のリスクに最善の注意を払って中央を固め、ゴール前で好機をもたらす回数も少なかった。シュート数は両者6本ずつだが、枠内シュートは名古屋の1本のみ。堅守で崩させなかったといえば聞こえはいいが、どちらかといえば攻撃の組み立てへの着想が乏しく、拙攻に苦しんだ展開となった。
FC東京は、名古屋の布陣に対してミラーゲームとなるように、木本、森重、エンリケ・トレヴィザンの3バックを採用。長友と日本A代表に初選出されたバングーナガンデの両SBをワイドの高い位置に張らせて、前線はディエゴ・オリヴェイラの左右に仲川と塚川を配置。名古屋の強固な中盤に対して、左からバングーナガンデ、右から長友を起点としたサイドからの攻めと、時折森重や木本が中に入って持ち上がり、前線へボールを供給するというスタイルで攻撃を組み立てようとするが、稲垣、米本ら名古屋の中盤をなかなか掻い潜ることができず、シュートチャンスを創出することが難しかった。
一方、名古屋もマテウス・カストロ、キャスパー・ユンカー、永井という縦に速いタレントを配して、カウンターから何度かゴールエリアへの進入を試みるが、精度をやや欠いたラストパスやシュートとFC東京はDF陣の粘り強い対応によってネットを揺らすまでには至らず。
後半にFC東京は塚川に代わってアダイウトンをピッチに投入すると、アダイウトンがシュートを重ね始める。79分、名古屋は自陣でFC東京のパスをカットすると、ユンカーがFC東京の選手たちを引き付けながらセンターサークルを越えたあたりで前線へスルーパスを供給すると、これに反応したマテウス・カストロがエリア内へ侵入。森重のスライディングを切り返してかわし、GKと1対1の場面を作るが、カヴァーに入った長友の陰が気になったか、左脚のシュートはやや力なく、GKヤクブ・スウォビィクの正面に。最大のピンチを回避したFC東京は、直後に途中交代で入ってきた俵積田が、左サイドから3人の名古屋の選手を切り崩し、左サイド奥のフリーのディエゴ・オリヴェイラでパス。エリアに入ってグラウンダーで折り返したところをアダイウトンがゴール前へ駆け込むが、名古屋DFに寸前でクリアされ、得点には至らない。
名古屋が82分に永井謙佑、キャスパー・ユンカーを下げると、速いカウンターへの脅威が軽減したか、FC東京がボールを持ち、攻め込む時間が続いたが、やはりクロスやシュートの精度を欠き、絶好機を演出出来ず。アディショナルタイムに名古屋はマテウス・カストロに代わってレオナルド、FC東京はディエゴ・オリヴェイラに代わってペロッチを投入し、オープンな展開となってきた終盤での一発に期待したが、効果的な攻撃は作れず。そのままアディショナルタイム4分を費やした。
安部や渡邊凌磨を怪我で、松木、熊田をU-20日本代表選出の関係で欠くなか、若手を起用しながら、名古屋に対して3バックを採用するなど、戦略を練ってきたFC東京だが、球離れやプレスが僅かながらワンテンポ遅く、ボールを引っかけられたり、かわされて裏を取られる場面が散見。特に最終ラインからのビルドアップ時にテンポの良さがなく、ボールを持ち運びながらもサイドで詰まって打開出来ずにボールを奪われるなど、停滞する場面を重ねた。ダイレクトタッチや大きく展開するなどのメリハリも少なく、中で動いてスペースを作り出す動きをしているのが仲川くらいなのと、中盤と前線との距離がまだ好フォローアップしやすい位置関係にならないため、堅い名古屋の守備陣を崩すことはままならなかった印象だ。
それでも俵積田やアダイウトンの仕掛けでチャンスのきっかけを生み出そうとしたところは、あまりハイライトが見いだせないなかでも好材料か。アダイウトンの絶好調時と比べるといま一つキレの鈍さを感じるが、これから次第に調子を上げてくるはずだ。懸念となるのは、累積警告3枚となった東をはじめとする中盤。激しいプレスと豊富な運動量は欠かせないところではあるが、周囲との連係やプレスがもうワンテンポ速くならないと、競り合った後にこぼれたボールを獲り切れず、切り返されてのカウンターを受ける率も高くなる。
来週はルヴァンカップのホーム京都戦でリーグは、再来週からとなる。ただ、その再来週のリーグ次節はリーグ戦7連敗中の鳥栖、その次は昨季ダブルを喰らった湘南と、FC東京にとっては難しい試合が続く。日本代表戦ウィークとルヴァンカップ京都戦を有効活用するべく、さまざまなチャレンジと修正を施しながら、チームの勢いをつける活力を生み出してもらいたい。
◇◇◇
明治安田生命J1リーグ 第5節
2023年3月18日（土）14:03KO 豊田スタジアム
入場者数：33,139人
天候：雨のち曇 ／ 気温：14.0℃ ／ 湿度 72％
主審：飯田淳平 ／ 副審：聳城 巧、西尾英朗
第4の審判員：植田文平
VAR：上村篤史 ／ AVAR：森川浩次
名古屋 0（0-0 / 0-0）0 FC東京
【得点】
名古屋：
FC東京：
〈試合経過〉
10分 警告 東京 小泉 慶
48分 警告 名古屋 稲垣 祥
50分 警告 東京 塚川孝輝
58分 交代 名古屋 和泉竜司 → 丸山祐市
58分 交代 東京 塚川孝輝 → アダイウトン
67分 警告 東京 東 慶悟
78分 交代 東京 仲川輝人 → 俵積田晃太
82分 交代 名古屋 永井謙佑 → 長澤和輝 ／ キャスパー・ユンカー → 酒井宣福
90+3分 交代 名古屋 マテウス・カストロ → レオナルド
90+3分 交代 東京 ディエゴ・オリヴェイラ → ペロッチ
【FC東京】
〈スターティングメンバー〉
ＧＫ 27 ヤクブ・スウォビィク
ＤＦ 05 長友佑都
ＤＦ 03 森重真人
ＤＦ 44 エンリケ・トレヴィザン
ＤＦ 49 バングーナガンデ佳史扶
ＭＦ 10 東 慶悟
ＭＦ 04 木本恭生
ＭＦ 37 小泉 慶
ＦＷ 35 塚川孝輝
ＦＷ 09 ディエゴ・オリヴェイラ
ＦＷ 39 仲川輝人
〈控えメンバー〉
ＧＫ 41 野澤大志ブランドン
ＤＦ 17 徳元悠平
ＤＦ 47 木村誠二
ＦＷ 15 アダイウトン
ＦＷ 22 ペロッチ
ＦＷ 33 俵積田晃太
ＦＷ 42 野澤零温
〈監督〉
アルベル
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【明治安田生命J1リーグ 2023シーズン FC東京試合日程・結果】
第01節 02月18日(土)14:00〇FC東京 2-0 浦 和（Ｈ・味スタ）
第02節 02月26日(日)15:00△FC東京 1-1 柏 （Ａ・三協Ｆ柏）
第03節 03月04日(土)14:00✕FC東京 0-2 京 都（Ａ・サンガＳ）
第04節 03月12日(日)15:00〇FC東京 3-1 横浜FC（Ｈ・味スタ）
第05節 03月18日(土)14:00△FC東京 0-0 名古屋（Ａ・豊田ス）
第06節 04月01日(土)15:00 FC東京 ✕ 鳥 栖（Ａ・駅スタ）
第07節 04月09日(日)15:00 FC東京 ✕ 湘 南（Ｈ・味スタ）
第08節 04月15日(土)16:00 FC東京 ✕ Ｃ大阪（Ｈ・味スタ）
第09節 04月22日(土)14:00 FC東京 ✕ 広 島（Ａ・Ｅスタ）
第10節 04月29日(土)15:00 FC東京 ✕ 新 潟（Ｈ・味スタ）
第11節 05月03日(水)15:00 FC東京 ✕ 福 岡（Ａ・ベススタ）
第12節 05月06日(土)14:00 FC東京 ✕ 札 幌（Ａ・札幌ド）
第13節 05月12日(金)19:30 FC東京 ✕ 川 崎（Ｈ・国 立）
第14節 05月20日(土)15:00 FC東京 ✕ 鹿 島（Ａ・カシマ）
第15節 05月27日(土)14:00 FC東京 ✕ 神 戸（Ａ・ノエスタ）
第16節 06月03日(土)15:00 FC東京 ✕ 横浜FM（Ｈ・味スタ）
第17節 06月11日(日)18:00 FC東京 ✕ Ｇ大阪（Ａ・パナスタ）
第18節 06月24日(土)19:00 FC東京 ✕ 名古屋（Ｈ・味スタ）
第19節 07月01日(土)19:00 FC東京 ✕ 柏 （Ｈ・味スタ）
第20節 07月08日(土)19:00 FC東京 ✕ 浦 和（Ａ・埼 玉）
第21節 07月16日(日)19:00 FC東京 ✕ 鹿 島（Ｈ・味スタ）
第22節 08月06日(日)19:00 FC東京 ✕ Ｃ大阪（Ａ・ヨドコウ）
第23節 08月12日(土)19:00 FC東京 ✕ 京 都（Ｈ・味スタ）
第24節 08月19日(土)19:30 FC東京 ✕ 横浜FM（Ａ・日産ス）
第25節 08月26日(土)19:00 FC東京 ✕ 神 戸（Ｈ・国 立）
第26節 09月02日(土)00:00 FC東京 ✕ 福 岡（Ｈ・味スタ）
第27節 09月16日(土)00:00 FC東京 ✕ 川 崎（Ａ・等々力）
第28節 09月23日(土)00:00 FC東京 ✕ 鳥 栖（Ｈ・味スタ）
第29節 09月30日(土)00:00 FC東京 ✕ Ｇ大阪（Ｈ・味スタ）
第30節 10月21日(土)00:00 FC東京 ✕ 横浜FC（Ａ・ニッパツ）
第31節 10月28日(土)00:00 FC東京 ✕ 広 島（Ｈ・味スタ）
第32節 11月11日(土)00:00 FC東京 ✕ 新 潟（Ａ・デンカＳ）
第33節 11月25日(土)00:00 FC東京 ✕ 札 幌（Ｈ・味スタ）
第34節 12月03日(日)00:00 FC東京 ✕ 湘 南（Ａ・レモンＳ）
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