FC東京がホームで広島に勝利したのは、2002年7月14日のJ1ファーストステージ第8節以来12年ぶり。それほどまでに相性が悪かった相手だったが、追いつかれても気落ちすることなく攻め続けた結果、勝ち点3を獲得することに成功した。
とはいえ、試合は広島が支配する時間が多く占めた。決定的な場面も多く作られたが、相手の決定力不足に助かったところが大いにある。一方、東京は権田のキャッチングミスで追いつかれたものの、少ないチャンスを武藤がしっかりと決めて勝ち越せた。結果を残したという意味では、価値ある勝ち点3だと思う。
ただ、内容については、東京は多くの課題を突き付けられた。広島はサイドに起点を作りながらも素早くボールを回して東京の選手を動かし、ギャップを作ってエリア付近へと進出する。ワンツーパスの精度も高く、肝を冷やす場面が散見された。東京も同様に、当初は3トップを中心に攻め立てるも、狭い地域を強引に突破しようとしたり、細かいパスを繋げようとした挙句奪われてカウンターを受けるなど、攻撃のバリエーションという意味では、豊富さに欠いたところもあった。
雨、滑りやすいピッチということも考慮して、相手がプレッシャーを掛けて迫ってくる前にボールを動かすこと。特に最終ラインではセーフティファーストでパスを出してもよかった。広島は(東京がボールを積極的に奪いに来るという情報から対策を徹底したのか)相手が迫る前に精度の高いパスを回す。ボールをどんどん動かして、東京の狙いを乱すことに成功した。代わって、東京は迫ってきたところをかわして相手スペースへ進出という頭があったのかもしれないが、絶好のコンディションではないピッチ上で果たしてそれが得策だったかというと疑問だ。結局詰められてボールを下げるか、不用意な形でボールを奪われて、一気にピンチを迎えることも。
相手を引き込んで交わし一気にスペースとチャンスを作るチャレンジは必要だろう。ただし、どのタイミングでするべきかは重要だ。リスクを負っていい部分とそうでない部分、時間帯を考えながら、迷った時にはシンプルなプレーに戻ることが大切だ。滑りやすいピッチならばボールを早めに動かすなり、広いスペースへボールを展開して、ボールホルダーが余裕を持てるスペースを与えるなど、状況に応じたプレーが求められるはずだ。
混沌としたり複雑化して停滞した時には、一度シンプルなスタイルに戻してみること。ボールを動かし、絶えずスペースを求めて移動を繰り返しながらも、頭は冷静に。落ち着きが生まれるまでは忠実なプレイにクールダウンすることで、仕掛けるべきポイントも解かってくる。
権田はミスで追いつかれたが、佐藤寿人のPKを止めたスーパーセーヴのほか、何本か枠内のシュートを弾き出すスーパープレーも。武藤は塩谷を再三再四振り切り、ゴールへ走り惜しいクロスを供給。広島ゴール前へ飛び出したチャンスでは、広島ディフェンス4人が武藤を囲むということもあって、その非凡な突破力を見せた。
そして、今季は不調続きの渡邉による先制点は大きかった。無心でガムシャラに頭で飛び込んだのが良かったのではないか。ただし、まだまだシュートチャンスを不意にしてしまった場面もあり、まだ本調子とはいえないだろうが、シュートを打つという姿勢は崩さないでおきたい。
12年ぶりに広島相手にでホームで勝利は嬉しいが、すぐアウェイでのガンバ戦が待ち受けている。ACL圏内に入るためには、是が非でも勝ち点を奪取したところ。期間は短いが頭をリフレッシュさせてアウェイに乗り込みたい。
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≪J1 第29節≫
【日時】2014/10/22 19:04
【会場】味の素スタジアム
【観衆】13,048人
【天候】雨、無風
【気温】14.1度
【湿度】87%
【審判】(主審)榎本一慶(副審)中井恒、堀越雅弘
【結果】
FC東京 2(1-0、1-1)1 広島
【得点】
(東):渡邉(25分)、武藤(74分)
(広):佐藤(55分)
【FC東京メンバー】
GK 20 権田修一
DF 02 徳永悠平
DF 03 森重真人
DF 30 カニーニ
DF 06 太田宏介
MF 04 高橋秀人
MF 07 米本拓司
MF 22 羽生直剛 → FW 17 河野広貴(74分)
FW 09 渡邉千真
FW 11 エドゥー → MF 08 三田啓貴(67分)
FW 14 武藤嘉紀 → MF 38 東慶悟(90+4分)
GK 01 塩田仁史
DF 29 吉本一謙
DF 50 松田陸
MF 39 中島翔哉
監督 マッシモ・フィッカデンティ
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≪FC東京 2014 J1日程≫
01 03月01日 △FC東京 1-1 柏(A)
02 03月08日 △FC東京 1-1 甲府(H)
03 03月15日 ×FC東京 1-2 神戸(A)
04 03月23日 ×FC東京 0-4 川崎(H)
05 03月29日 ○FC東京 3-1 清水(A)
06 04月06日 ○FC東京 2-1 鳥栖(H)
07 04月12日 ×FC東京 0-1 広島(A)
08 04月19日 ○FC東京 2-0 C大阪(H)
09 04月26日 ○FC東京 1-0 横浜FM(A)
10 04月29日 ×FC東京 0-1 名古屋(H)
11 05月03日 ×FC東京 0-1 浦和(A)
12 05月06日 ×FC東京 0-1 大宮(H)
13 05月10日 △FC東京 0-0 徳島(A)
14 05月17日 ○FC東京 3-0 G大阪(H)
15 07月19日 △FC東京 1-1 鹿島(H)
16 07月23日 ○FC東京 1-0 新潟(A)
17 07月27日 ○FC東京 3-0 仙台(H)
18 08月02日 ○FC東京 4-0 清水(H)
19 08月09日 △FC東京 0-0 C大阪(A)
20 08月16日 ○FC東京 2-0 鳥栖(A)
21 08月23日 △FC東京 4-4 浦和(H)
22 08月30日 △FC東京 2-2 鹿島(A)
23 09月13日 △FC東京 1-1 神戸(H)
24 09月20日 △FC東京 0-0 川崎(A)
25 09月23日 ○FC東京 4-0 徳島(H)
26 09月27日 ○FC東京 4-0 柏(H)
27 10月05日 ×FC東京 0-1 仙台(A)
28 10月18日 ×FC東京 0-1 大宮(A)
29 10月22日 ○FC東京 2-1 広島(H)
30 10月26日 FC東京×G大阪(A)
31 11月02日 FC東京×名古屋(A)
32 11月22日 FC東京×新潟(H)
33 11月29日 FC東京×甲府(A)
34 12月06日 FC東京×横浜FM(H)
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雨の味スタ。
数は多くはないが、遠方より広島サポーターも。
FC東京ゴール裏。
羽生のJ1リーグ通算300試合出場達成を祝う。
千真ゴール!
武藤ゴール!!
で沸く東京ゴール裏。
2-1で勝利!