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*** june typhoon tokyo ***

MISIA@横浜アリーナ

■ THE TOUR OF MISIA JAPAN SOUL QUEST GRAND FINALE 2012

Misia_soulquest02


 
 「“素晴らしいもの探しに行こう”という旅(=SOUL QUEST)で辿り着いた宝物は、みなさんでした」。
 
 昨年の2月20日より幕を開けたツアー“THE TOUR OF MISIA JAPAN SOUL QUEST”がその後発展した形の“
THE TOUR OF MISIA JAPAN SOUL QUEST GRAND FINALE 2012”の横浜アリーナ公演2日目、ツアー・ファイナルを観賞。個人的には、2011年4月9日のNHKホール公演同5月3日の神奈川県民ホール公演に引き続いての3度目となるが、“GRAND FINALE”版としては初。ということで、セット・リストはおおむねこれまでの構成を引き継いでいるが、アリーナ公演としての独自の演出と豪華なライティングなど、グランドフィナーレに相応しい華やかなステージとなった。

 大きく異なったのは、まずJPによるソロ・パートが増えたこと。デュエット曲「このままでtonight」を含めると4曲になった。ミラクルズ「ラヴ・マシーン」、デヴィッド・フォスター制作による「Learning To Live」、そして、人妻との不倫を歌ったビリー・ポールの1972年作「ミー・アンド・ミセス.ジョーンズ」の3曲。「ミー・アンド・ミセス.ジョーンズ」はフレディ・ジャクソンのカヴァーもよく知られている。JPのオリジナルを除き、どちらも著名なソウル・ナンバー。そのあたりは“SOUL QUEST”というテーマに沿った選曲だったのだろう。

Misia_sqgf01 だが、JP自身もお茶目に「トイレに行きたい人は今のうちに行って来てください」と言っていたが、そこで実際にJPのパートでトイレへ行く人が多かった。生理的現象ゆえ解からなくもないが、ソウルを嗜好する者としてはいささか残念だった。これは多くが“MISIAファン=ソウルやファンク、R&Bなどのブラック・ミュージック愛好者”ではないということなのかもしれない。まぁ、3曲のうち1曲が不倫の歌という選曲はどうなのかということもあるが(しかも、JPが客席まで降りていって、数人の女性に赤いバラの花を配っていたから、不倫のお誘いにとれなくもない演出だし……苦笑)、それは冗談として、ステージングとしてもただ単純にJPにソロを歌わせるだけではなくて、もう少々導入などの工夫を凝らしたら耳目を惹き付けたのではないかと思う。「ラヴ・マシーン」などは『ソウル・トレイン』などでもミラクルズが白のジャケット・スーツのいでたちで披露していたように、軽やかなダンスステップも特徴の楽曲。ダンサーなどを加えてラインでステップを踏むといったアイディアもあるのではないか(もちろん、前後の曲構成によって可否を判断しなければいけないが)。
 そこに「ミー・アンド・ミセス.ジョーンズ」での花配りが加わったら、単なるソロ・パートのイメージも払拭出来たように思う。ただ、観客がこの楽曲の自体やその詞の意味を知らない人が多かったかもしれないので、たとえば、ステージで(ダンサーなどに)詞世界よろしく求愛のパフォーマンスをした後で、客席に降りていって……という演出があっても面白いかもしれない。

Misia_soulquest 次には、MUROのラップを迎えたこと。NHKホール公演の時に、「エンタテインメントとしては、正直個人的にはやや物足りなかった。前半から中盤にかけては未発表の新曲を随所に組み入れたセットだったが、歌い上げるバラード系の楽曲が多かった印象と、楽曲と楽曲の間が何も施されていないような繋ぎだったことが、その原因なのかもしれない」と書いていたのだが、それはMUROのアクセントによってそのイメージはガラリと変わった。もちろん、当時が東日本大震災から1ヵ月という時期的なものもあっただろう。とはいえ、「素晴らしいもの探しに行こう」からのMUROの登場は、楽曲自体にスパイスを加えただけでなく、このショウ全体にメリハリをもたらす効能となった。コール&レスポンスにより、迫力で押すだけではなく、観客の気持ちをいっそうステージへとと一体化させるための引き上げにも、会場のヴォルテージをさらに上昇させるにも非常に効果的だった。特に「つつみ込むように…」でのMISIAとの何ともいえない呼吸の良さは、自身たちの高揚感も高めたのではないか。そこへ、コール&レスポンスやホーン・セクションの煽り……と前半戦でのベスト・アクトといってもいいパフォーマンスだった。

Misia_sqgf02 そして、アリーナならではの演出。「THIS IS ME」で現れたアーチ状に連なった光る風船が「EDGE OF THIS WORLD」になると、そのアーチが観客席の上空を左右に動き、また交差して世界観を創っていく。実際は風船の紐を持ったスタッフが客席の通路を呼吸を合わせて周回しているのだが、ステージから遠い客席の人にも楽しめる好演出だったように思う。そして、それは単なる飾りではなくて、MISIAが近年テーマとして掲げている“生物多様性”に結した演出だ。その数々の光る風船で連なったアーチがそれぞれ交差するさまは遺伝子モデルのようでもあり、遺伝子の連鎖(交差)の違いで異なったものとして生まれてきても、生物としての素は同じなんだ……というメッセージのようでもあった。
 そのメッセージの集大成ともいえるのが、アンコールのラスト「LIFE IN HARMONY」で上空に登場した、実物大サイズのシロナガスクジラの模型だ。ゆったりと尻ヒレを動かしながら客席上空を遊泳するクジラ。これも生物多様性のメッセージの一つ。聴覚だけでなく視覚としてオーディエンスに訴えたシンプルかつ驚きの演出だった。
 さらには、バニラグロテスクのキレのあるダンス、カラフルな照明、ミラーボール……前回以上にもきらびやかなエンターテインメントが濃縮されていた。

 高揚を呼ぶダンサブルなパート、息を呑むような静寂と心底を揺さぶるバラード、会場が一体となるクライマックス、さらには考えてもらいたい真摯なメッセージ……。それらがしっかりとメリハリを持って構成されたステージだった。その内容の濃さや充実度からしても“グランド・フィナーレ”と呼べるクオリティだったと感じた。その興奮度は、いつもは丁寧な言葉で語りかけるMISIAが「それにしてもさぁ~」などと思わずフレンドリーになっていたことからも窺えるだろう。

 昨年の2月20日で幕を開け翌年の2月19日の横浜アリーナまで続いた“魂を揺さぶる冒険”は、1年かけてその幕を閉じた。そして得た最後の答えが「探し続けた宝物の先にあったものはファン」だった。でもそれは、探したのではなく、自分が描いていたことを確信した瞬間だったのではないか。ファンのために、みんなのために歌うんだ。それが私が求めている、続けて行きたいことなんだ……そのことを再確認した旅だったのではないかと感じた。
 さまざまな出会いでもたらしたかけがいのない愛という贈り物を抱きしめながら、MISIAは次のステージへと向かうだろう。だが、しばらくはこの長旅の疲れを癒して、次なる航海への意欲を増してもらいたいと思う。


◇◇◇

<SET LIST>

00 SOUL QUEST OVERTURE
01 THIS IS ME
02 FUTURE FUNK
03 EDGE OF THIS WORLD
04 JP/Love Machine(Original by The Miracles)
05 素晴らしいもの探しに行こう(feat. MURO)
06 Yes Forever(feat. MURO)
07 つつみ込むように…(feat. MURO)
~MC~
08 smile(Original written by Charles Chaplin, sing by Nat King Cole)
09 君には嘘をつけない
10 JP/Learning To Live
11 記憶
12 雨のソナタ
13 このままでtonight(with JP)
~MC~
14 明日へ
15 逢いたくていま
16 JP/Me and Mrs. Jones(Original by Billy Paul)
17 REMIX MEDLEY
果てなく続くストーリー
CATCH THE RAINBOW
少しずつ大切に
太陽の地図
Never Gonna Cry!
THE GLORY DAY
Everything
INTO THE LIGHT
≪ENCORE≫
18 MAWARE MAWARE
19 We are the music
~Introduce to Members~
20 Can't Take My Eyes Off Of You(Also Known as Boys Town Gang's cover, Original by Frankie Valli)
~MC~
21 LIFE IN HARMONY


<MEMBER>

MISIA(Vo)

重実徹(Key/BandMaster)
山口周平(G)
日野“JINO”賢二(B)
JP(Key/Cho&Vo)
FUYU(Ds)
ASA-CHANG(Per)
鈴木明男(Sax&Flu)
佐々木史郎(Tp)
小林太(Tp)

MURO(Rap)

Vanilla Grotesque:(Dancer)
MIKEY(Vanilla Grotesque/東京★キッズ)
MAIKO(東京★キッズ)
BOW
MARIE
AKI
TACCHI
and more...

Kids Dancer(Dancer)

 
 
 
 
 

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