■ ホイットニー・ヒューストン急逝
世界的人気のシンガー、ホイットニー・ヒューストンが死去。48歳。カリフォルニア州のロサンゼルスの近郊、ビバリーヒルズにあるホテル「ビバリーヒルトン」で2月11日午後に遺体が発見されたという。
地元警察によると、11日15時20分頃(日本時間12日朝)に通報があり、警察官が駆け付けるも既に息がなく、15時55分頃死亡を確認。目立った外傷などはなく、警察が死因などを調べているという。グラミー賞前夜パーティに出席する予定だったと思われるが、それも叶わないところとなってしまった。
近年ではアルコールや薬物中毒に悩み、トラブルも伝えられていたが、厚生施設に入りリハビリを続けていた。
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1963年、アメリカ・ニュージャージー州ニューアーク生まれ。本名はホイットニー・エリザベス・ヒューストン。母シシー・ヒューストンはアレサ・フランクリンやエルヴィス・プレスリーなどのバックコーラスを務めたことがあるスウィート・インスピレーションズのリーダーで、有名なゴスペル・シンガー。「愛のハーモニー」(原題「That's What Friends Are For」)のカヴァーを歌ったディオンヌ&フレンズのディオンヌ・ワーウィックは、ホイットニーの従姉妹。
1975年(12歳)、ニューアークのニュー・ホープ・バプティスト教会でソロを歌うと、その2年後の1978年(14歳)にマンハッタンのタウンホールでソロ・デビューを飾った。
1983年、アリスタ・レコードのオーディションに合格。2年後の1985年、「そよ風の贈りもの」(原題「You Give Good Love」)が全米3位となり、アルバム『そよ風の贈りもの』(原題『Whitney Houston』)が14週全米1位、2300万枚という記録を打ち立てた。
その後、ヒットチャートで7曲連続1位を記録したほか、1991年のスーパーボウルで歌った国歌や自身が主演した映画『ボディガード』でも活躍。そのサウンドトラックに収められた主題歌「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は14週全米1位、850万枚のメガヒット。現在でも結婚式などでの定番曲として知られる。アルバムやシングル、ヴィデオなどの売り上げ枚数の合計は、約1億7000万枚に及んだといわれている。
元夫のボビー・ブラウンの暴力や麻薬をめぐってのスキャンダルが伝えられることも多かったが、2012年は1996年に出演した映画『天使の贈りもの』以来となる映画『スパークル』(Sparkle)が公開予定だった。
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次に挙げた楽曲は、米・ビルボードチャートによるホイットニー・ヒューストンのヒット・シングル“トップ20”となる。
最も売り上げたヒット曲は「オールウェイズ・ラヴ・ユー」で、続いて「すてきなSomebody」「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」となっている。トップ20位中で11もの楽曲が1位を獲得している。
≪Whitney Houston's Top 20 Billboard Hits≫
01位 I Will Always Love You (1992) … 1位(14週)
02位 I Wanna Dance With Somebody (Who Loves Me) (1987)… 1位(2週)
03位 Greatest Love Of All (1986) … 1位(3週)
04位 All The Man That I Need (1990) … 1位 (2週)
05位 I'm Your Baby Tonight (1990) … 1位 (1週)
06位 So Emotional (1987) … 1位 (1週)
07位 How Will I Know (1985) … 1位 (2週)
08位 Didn't We Almost Have It All (1987) … 1位 (2週)
09位 Saving All My Love For You (1985) … 1位 (1週)
10位 Exhale (Shoop Shoop) (1995) … 1位 (1週)
11位 Where Do Broken Hearts Go (1988) … 1位 (2週)
12位 My Love Is Your Love (1999) … 4位
13位 Heartbreak Hotel (featuring Faith Evans & Kelly Price) (1999) … 2位
14位 You Give Good Love (1985) … 3位
15位 I Have Nothing (1993) … 4位
16位 One Moment In Time (1988) … 5位
17位 I Believe In You and Me (1996) … 4位
18位 I'm Every Woman (1993) … 4位
19位 Count On Me (Whitney Houston & CeCe Winans) (1996) … 8位
20位 It's Not Right But It's Okay (1999) … 4位
※(順位/曲名/発表年/最高位(週)
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自分が初めて“出会った”ディーヴァは、ホイットニーだった。それまでも洋楽は聴いていたが、おそらくCDプレイヤーが比較的手ごろな価格で買えるようになった年に鮮烈に登場したのが彼女だった。アルバム『そよ風の贈り物』、続く1987年の2nd『ホイットニーII』はレコードとCD両方買ったのではないか。おそらく、人生で最初に買った“CD”は、マイケルでもカーペンターズでもなくて、ホイットニーだった気がする。
1st『そよ風の贈りもの』では「すべてをあなたに」(「Saving All My Love For You」)「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」(「Greatest Love Of All」)、2nd『ホイットニーII』(女性として最初の初登場全米1位アルバム、11週!!)では「すてきなSomebody」(「I Wanna Dance With Somebody」)「恋のアドバイス」(「Didn't We Almost Have It All」)「やさしくエモーション」(「So Emotional」)などはかなりヘヴィローテーションしていた記憶がある。そして、この2ndのラストには、母シシー・ヒューストンとのデュエット「アイ・ノウ・ヒム・ソー・ウェル」(「I Know Him So Well」)が収められているのだが、その卓越した歌唱力の母子に興奮、驚愕したものだ。
復活作『アイ・ルック・トゥ・ユー』がリリースされヒットを記録した翌年の2010年、ワールドツアーの一環として来日公演が行なわれたが、好調時とは程遠い歌唱などもあって、ツアー各地でトラブルが続き、ブーイングを受けたり、公演が中止に追いやられることもあった。来日公演も決して素晴らしいものではななかったという評価がされたが、こうなる顛末なら行っておけばよかったな……というのは、本当に後の祭りだ。アリーヤが主演する予定だった映画に出演、その公開間近で逝くとは、なんとも虚しい。
巷には多くの“ディーヴァ”や“歌姫”と呼ばれた歌手がいるけども、自分の中ではその衝撃と興奮の両方を兼ね備えたシンガーとして、ホイットニーを超える存在はまだ登場していない。マライアでさえもそうだ。そして、そのエレガントで圧倒的なヴォーカルは、心の中でこれからも永遠に響き続けるだろう。
そういえば、弟の結婚式のクライマックスで使用した曲は「オールウェイズ・ラヴ・ユー」でした。本来は結婚式に相応しくない歌詞なんだけども(私がいたら邪魔になるから別れるけど、いつまでもあなたを愛するでしょう……という別れる人へのメッセージ・ソングだから)、そのフレーズをホイットニーにも送ろう。“あなたは別の道へと行くけれど、あなたとあなたの歌をいつまでも愛して止まない”と。
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