*** june typhoon tokyo ***

FC東京×FC KAGOSHIMA【天皇杯】

■ FC東京×FC鹿児島
 
 
 FC東京にとっての天皇杯の初戦の相手は、今年九州リーグに初参戦し、2017年度のJリーグ入りを目指している鹿児島県代表・FC鹿児島。まずは地域リーグからJFL参入へ向けて戦っている社会人チームだ。プレイングマネージャーの田上(FC刈谷、FC琉球などに所属)、山内(前FC岐阜)、谷口(前サガン鳥栖)などが所属する。GKの船川航司朗はアミーゴス鹿児島U-18所属の17歳の高校生だ。

 FC東京は、今野と権田が日本代表選出のため不在だが「これまでの連勝の流れを断ち切らず、岡山戦へつながる戦いをしたい」ということで、ほぼリーグ戦スタメンと変わらない布陣で臨む。今野に代わってセンターバックには徳永、右サイドバックに中村北斗が入った。
 リーグは次節まで通常と同様に1週間ほど間隔があるため、実践感覚を鈍らせないようにリーグ戦とほぼ同様のメンバーだったのだろう。それも一理ある。ただ、通常公式戦にあまり出場していない選手や組み合わせを試す絶好の機会でもあっただけに、多少メンバーを入れ替えても良かったのではないか、という気もする。たとえば、GKの常澤だとか、DFのジェイド・ノースであるとか。ロベルト・セザーに実践の場を与えたことはよかったが、それ以外の交代はタイミング、起用選手ともに通常と変わらずで、これから厳しい連戦が続くなかで、カード累積による出場停止や怪我、中2日3日が続くハードなスケジュールなどを考慮すれば、出場時間数が短い選手を積極的に起用する手はあったと思う。ベストメンバー規定(先発メンバー11人は、当該試合直前のリーグ戦5試合の内、1試合以上先発メンバーとして出場した選手を6人以上含まなければならず……)の是非は別として(天皇杯には罰則が適用されないが)、その範囲内でも充分価値はあったはずだ。

 格下との試合……そう考えていると波乱の展開=ジャイアントキリングが起こる(それが一つの醍醐味でもある)トーナメントの試合だが、前半からFC鹿児島は自らその可能性を狭めていたようだ。というのも、通常は4-2-3-1のスタイルということだが、事実上5バックのような形で守備に重点を置いたシステムへ変更していたからだ。おのずと最終ラインが低くなり、FC東京の攻撃を受ける形となってしまった。時折、ボールを奪ってカウンターを試みるも、前線にはFW谷口のみで人数が足りず、すぐに東京の守備陣に囲まれてボールを奪われてしまい、シュートで終わることが出来ない状態が続いていた。
 後半のFC鹿児島は従来の4バックに戻すと、少しずつカウンターが効いた場面も。だが、FC東京の守備陣が冷静に対処し、FC東京が4-0でFC鹿児島を下し、3回戦進出が決まった。

 FC鹿児島はプレイングマネージャーの田上が豊富な運動量で奮闘。17歳の高校生GK船川も、ルーカスのPKを左手で文字通り“止める”など、気持ちの入った前を見据えたプレーが光った。2017年にJリーグ昇格を目指しているというが、審査に通過する環境を整えられるかは別として、チームとしての成熟度はこれから高まっていくんじゃないか、そんな期待を抱けるチームだったことは間違いない。

 FC東京に関しては、谷澤が“しっかりと枠を捉えた”ゴールが生まれたこと、ロベルト・セザーの試運転が出来たこと、5バックでブロックを形成しスペースがないなかで得点をしたことなど、良い材料もあった。一方で、ボールをキープは出来たが、イージーな奪われ方をして、カウンターを食らう場面やFKを与えてしまう場面が後半には見られた。地域リーグレヴェルということで失点までには至らなかったが、これがJ2相手であればどうだったか、ということを考えると、修正しなければいけないところとなるだろう。また、田上の気迫が勝ったということもあろうが、中村北斗の仕掛けはことごとく好機を奪われた形となった。単に仕掛けてのミスが重なったこともそうだが、ボールを持ってエリア付近まで上がるも、仕掛けるのかパスをするのかの選択で逡巡し、スピードに乗った攻撃を自ら失う場面では、サポーターからブーイングも。これを石川が「まぁまぁ……」となだめるようなジェスチャーでサポーターを落ち着かせようとしていた。周りの動き出しとの関係もあるので、一概に中村北斗だけが悪いという訳ではないだろうが、今日のトライが空回りと見られても仕方ないのも事実。しっかりと修正して、次の出場の時に繋げてもらいたい。

 
 
◇◇◇
 

天皇杯 2回戦

2011/10/08 味の素スタジアム

FC東京 4(2-0、2-0)0 鹿児島

【得点】
(東):谷澤(14分)、森重(30分)、ルーカス(76分)、谷澤(90+0分)

観衆: 5,301人
天気: 晴、弱風


<メンバー>

≪FC東京≫

01 GK 塩田仁史
02 DF 徳永悠平
03 DF 森重真人
14 DF 中村北斗
33 DF 椋原健太
04 MF 高橋秀人
10 MF 梶山陽平
27 MF 田邉草民 → 38 FW 坂田大輔(69分)
39 MF 谷澤達也
22 FW 羽生直剛 → 18 MF 石川直宏(59分)
49 FW ルーカス → 09 FW ロベルト セザー(78分)

31 GK 常澤聡
36 DF ジェイド ノース
17 MF 永里源気
32 MF 上里一将


◇◇◇
 
 
FC東京×FC鹿児島 ダイジェスト



◇◇◇

 
 ちなみに、アルウィンで行なわれた横浜FCと松本山雅のダイジェストはこちら。

横浜FC×松本山雅FC ダイジェスト


 
 フランサ、カイオ、エデルのブラジル人トリオを先発させた横浜FCだが、どうもチグハグ。フランサにボールを集めることが出来ず、松本山雅が主導権を握る展開。前半こそ0-0で終わったものの、後半早々にDFの中途半端なクリアミスをゴール前でフリーとなっていた片山が冷静にシュートを放って松本山雅が先制。さらには、横浜FCが前がかりとなっていたところをDFから前線へのロングフィードに船山が反応。横浜FCのDFの裏を取ると、そのDFがエリア内で船山を突き飛ばしてPK。これを船山が左隅へ決めて松本山雅が追加点。横浜FCは攻撃も守備もチグハグ以上にバラバラな感じで、この追加点は松本山雅に確実に勝利をもたらすのに十分過ぎるほどの得点となった。

 JFLの松本山雅が横浜FCに勝利する番狂わせ! という見出しが多く出そうだが、松本山雅にしてみればジャイアントキリングは近年3度目。2008年は当時J1昇格有力候補だったJ2の湘南をPKで撃破、2009年にはホームのアルウィンで田中達也、エジミウソン、ポンテら通常のスタメンと変わらない浦和を相手に2-0で勝利(湘南、浦和戦はともに社会人地域リーグとしての出場)、昨年はJ2甲府と接戦を演じている。J2相手のここまでのポテンシャルを発揮出来るならJFLも……と行かないのが昨季からの松本山雅。現在、松本山雅は勝点36の6位。J昇格ラインといわれる4位にいるツエーゲン金沢とは勝点差2という状況だ。首位のSAGAWA SHIGA FCの勝点は46で、残り10試合ほどでの逆転は厳しいが、2位から5位までの勝点は、長野42、長崎40、金沢38、町田36という状況なので、これからの残り試合でしっかりと勝点を上積みしていかなければならない。7位以下も、琉球35、ホンダロック34、讃岐34、Honda FC32、栃木30と混戦で、連敗などすれば一気に順位も下降する。

 それにしても、横浜FCはどうしたのか。他チームとはいえ、大丈夫なのかというチーム状態だ。いや、FC東京としてはまだ10月19日にアウェイのニッパ球での対戦が控えている。過信することなく、その日を迎えたい。

 松本山雅は次節、西が丘で横河武蔵野戦。JFL昇格後初となった今井昌太のゴールが生まれたピッチだ。しっかりと勝点3を奪いたい。


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