中3日でヤマザキナビスコカップの4強へ駒を進める戦いは、鹿島の優れた部分が多く出たというよりも、FC東京が鹿島にいいようにさせてしまった非常に残念な内容で、FC東京はナビスコカップを終えることになった。
戦術という意味では、羽生と東をスタメンにして調子が良かった河野をベンチスタートに。前半を0-0で持ちこたえて、後半にアクセントをつけるという狙いだったのか。
前田が1トップで東と中島がそれに続く形をとったものの、中盤でことごとくボールをキープ出来ないこともあって、前田が孤立。米本、東、羽生は無駄に走らされる場面を多く作られたこともあってか、マイボールになかなか出来ず、前線への供給もほぼない時間帯で占められた。それでも前半無失点なら後半への修正で期待もかけられたはずだが、その間、7分の早々とした時間帯で金崎のグラウンダーのミドルがイレギュラーバウンドして榎本が弾いてネットを揺らされてしまったことで自分たちのプランと冷静さを失ってしまい、その後、ほとんど何も出来ないまま試合を終えてしまった。
チャンスはなかったかというとそうではなく、後半に河野がピッチに登場してからは変化が生まれてシュートへの匂いもあったが、結局いいリズムのうちにシュートを放っていくことが出来ないでいると、鹿島のプレッシャーに押しつぶされたり、自分たちのパスミスなどから主導権を鹿島にあっさりと渡してしまった。前半に羽生に代えて平山を投入して手を打とうとしたものの、平山はまだコンディションは万全とは言えず、ボールの収め、反応、スピードなど、いずれにしても鈍さばかりが目立った。
2点差を追わなければならない状態で東に代わって橋本をピッチに送り出したというのも、観ている者たちにとっては少々疑問も残ったところか。ガムシャラに得点を奪いに行かねばならないところであり、3枚のカードのうちの1枚はサンダサをチョイスしてもよかったと思う。前半でFWのカードとして平山を使ったから、という訳ではないだろうが、ほぼ機能していない平山との組み合わせを考えるならば、攻撃的なサンダサを出すべきだった。それでなければ三田だろう。とにかく、シュートを打つ積極性を持つ選手を投入してもらいたかった。
しかしながら、そういった手段を講じたところで、この試合での鹿島の有利は揺らがなかっただろう。判断やプレッシャーの早さ、運動量、足下の技術、そして何よりも勝とうという意識、それら全ての面で鹿島が圧倒していた。
FC東京は相手のプレッシャーに焦ってプレーの判断の正確性を失い、パスミスを連発。前への推進力も失い、ただ前線へボールを送って任せてしまう状態。前線と中盤との連動性がないゆえ（そもそも前線が収められなかったが）、セカンドボールも奪えず、あっという間に鹿島の時間帯を作られてしまっていた。全てにおいて、判断や反応が鈍っていた。ボールが自分の足下へ来る前に次の一手、二手を選手間同士で連動して着想していないゆえ、ボールを受けてから次の判断をしようとするため、ここぞというタイミングでパスを出したり、ドリブルで切り込んだり、サイドチェンジをしたりということがない。その場で取捨選択をしている間に鹿島にプレッシャーを掛けられ、あるいは守備陣形を整えられてしまい、スペースを消されてしまっていた。
その一方、鹿島はFC東京の中盤のプレッシャーが甘いことをいいことに、遠藤、金崎、山村などが大いに躍動。余裕をもってボール捌きをして東京の喉元をグイッと掴んでいった。好調時の鹿島の巧みなサッカーが展開され、東京は何も出来ず仕舞い。得点を奪いに行かなければいけないFC東京よりもよく走り、プレッシャーをかけ、完勝といえる内容でベスト4へ勝ち抜けた。
何よりも悲しかったのは、ボールを最後まで追っていこうとしたのが中島くらいだったことだ。絶望的な2点差をつけられた上、疲労も蓄積して、肉体的にも精神的にも厳しい時間帯が続いたが、それでも最後まで諦めずにゴールを奪う姿勢を見せてもらいたかった。相手のゴールを許した場面では、金崎のシュートも遠藤の見事なミドルも、エリアの外から枠へ飛ばしている。そして、吉本をはじめ、そのボールや相手に少しでもプレッシャーを掛けようと詰める姿勢があったなら、シュートの精度も少しは低くなったかもしれない。だが、いずれのシュートの場面でもシュートを打った鹿島の選手の前に十分なスペースを与えてしまっていた。それでは、いくら優れたGKでもゴールマウスを守りきることは難しい。
ナビスコの結果はどうあれ、非常に嫌な負け方でリーグ戦へ向かうこととなってしまった。この嫌なムードを引きずったままリーグ戦へ戻ることだけは避けたいが、そのためには次節の神戸戦は死にもの狂いで勝ち点3を獲りに行かなければならない。
今日の試合はいいところなしだったが、逆に言えば、この日のパフォーマンスで目立った、トラップの大きさや判断の遅さ、相手へのプレッシャー意識やミドルシュートの意識の低さなどを改善していけば、東京の時間で試合を運ぶことが可能になるということでもある。悪い膿を出し切ったと考えて、リーグ戦にはフレッシュな気持ちでアグレッシヴに臨んでもらいたい。
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【ヤマザキナビスコカップ 準々決勝 第2戦】
2015年09月06日／県立カシマサッカースタジアム／18:34キックオフ
観衆：8,568人
天候：曇のち雨、無風
気温：24.2度 湿度：93％
主審：東城穣／副審：山内宏志、今岡洋二
鹿島 3（1-0／2-0）0 FC東京
得点：
（鹿）金崎夢生（7分）、金崎夢生（60分）、遠藤康（90+5分）
（東）
≪スターティングラインアップ≫
13 GK 榎本達也
02 DF 徳永悠平
29 DF 吉本一謙
33 DF 奈良竜樹
06 DF 太田宏介
04 MF 高橋秀人
07 MF 米本拓司
22 MF 羽生直剛 → 平山相太（36分）
20 FW 前田遼一 → 河野広貴（51分）
38 FW 東慶悟 → 橋本拳人（62分）
39 FW 中島翔哉
≪サブスティテューション≫
46 GK ブラダ・アブラモフ
50 DF 松田陸
08 MF 三田啓貴
37 MF 橋本拳人
09 FW 平山相太
17 FW 河野広貴
21 FW サンダサ
≪マネージャー≫
マッシモ・フィッカデンティ
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【2015Jリーグヤマザキナビスコカップ】
≪予選リーグAグループ≫
第01節 03月18日(水)19:00〇 FC東京 2-1 新 潟（H・味スタ）
第02節 03月28日(土)17:00△ FC東京 1-1 松 本（A・松本平）
第03節 04月08日(水)19:00 （休み）
第04節 04月22日(水)19:00〇 FC東京 2-0 鳥 栖（H・味スタ）
第05節 05月20日(水)19:00〇 FC東京 2-1 甲 府（H・味スタ）
第06節 05月27日(水)19:00△ FC東京 1-1 広 島（A・Ｅスタ）
第07節 06月03日(水)19:00△ FC東京 0-0 湘 南（A・BMWス）
≪グループA 順位≫
01 FC東京 12／6／3／3／0／8／04／+4
02 新 潟 11／6／3／2／1／9／04／+5
03 広 島 09／6／2／3／1／9／06／+3
04 湘 南 09／6／2／3／1／5／05／+0
05 鳥 栖 08／6／2／2／2／3／04／-1
06 松 本 04／6／1／1／4／8／13／-5
07 甲 府 02／6／0／2／4／4／10／-6
※（勝点／試合数／勝／分／負／得点／失点／得失点差）
≪決勝トーナメント≫
準々決(1) 09月02日(水)19:00△ FC東京 2-2 鹿 島（H・味スタ）
準々決(2) 09月06日(日)18:30× FC東京 0-3 鹿 島（A・カシマ）
準決勝(1) 10月07日(水)
準決勝(2) 10月11日(日)
決 勝 10月31日(土)
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