FC東京×京都＠味スタ

■ 修正力なのか相性なのか

　前回、アウェイでの対戦は4-1と勝利した。その時の京都は大木監督が掲げるサッカーがまだ浸透していない印象を受けたが、このところは宮吉、伊藤など若手を中心とした3トップで攻撃に厚みを持たせたスタイルで得点力を増している。決して侮れない相手だが、ここ3試合で1得点しか奪えていない東京は、決して好調とはいえないなかで、どのように相対してゴールを決めるかが注目するところだった。

　東京は中村が累積による出場停止、代わりに椋原が左SBに入った。代表から帰ってきた今野がCBに復帰。トップのルーカスをはじめ、その他は同様の布陣。

　結果としては6-1の大勝で終えた。ルーカスは貴重な同点ゴールをはじめ、FKも直接決めるなどハットトリックの活躍。勝ち越し点の綺麗なゴールを生んだ椋原、CKからのドンピシャの森重のヘッド、石川の相手ゴールへの突破から決定的なパスを坂田へ流し、それを難なく坂田が決めて、ゴールの饗宴は幕を閉じた。
　椋原の勝ち越しゴール、そして森重のドフリーのヘッドでのゴールを決めると、京都の選手たちはガックリしたようになり、気持ちが切れてしまったようだった。それに乗じてその後も得点を重ねたことは、ここ数試合の得点不足を考えればよかった。

　ただ、この試合、あくまでも“結果としては”の大勝なのだ。試合開始序盤は京都にボールを支配された。細かいパスで東京陣内に攻め込まれた。そして、梶山の谷澤へのパスがカットされ、あっという間にゴール前へ送られると、宮吉に決められて先制された。恐れていたミスからの失点。先制されると勝てない今季、嫌なムードがスタジアムを覆った。それまでの攻撃は、トップのルーカスへ浮き玉を当てようとするものの、ルーカスがハイボールにほとんど競り勝てず、相手に奪われることの繰り返し。正直、またお決まりの展開か……と思った人も多かったはずだ。その後、ルーカスが泥臭いゴールを決め、椋原が逆転弾と、前半で勝ち越したことにより、試合がガラッと変わることになる。
　また、京都の戦い方も、あるいは東京に味方をしたのかもしれない。京都は若い選手たちによる攻撃的なサッカーを仕掛けてきた。トップが前へ前へと仕掛けてくるのと同時にDFの裏にスペースが出来ると、次第に東京も京都ゴールへと攻め込む機会が増えてきた。その後、京都のイージーなパスミスが増え、東京にとってボールを支配する時間が生まれた。もし、これが引いて守ってくる戦術をとってくるチームであったら、果たして逆転勝ちを収めていたかどうか……。

　序盤からの20分間、それは確実に京都の時間だった。もちろん、その時間が90分続くとは限らないが、東京が後手に回っていたのも事実だ。これまではしっかりと引いて守ってきたチームに苦戦を強いられてきた。京都戦の大勝でその崩し方を手に入れた訳ではない。上位との戦いも徳島以外は勝利を収めていない。まだまだ課題を残しているなかで、どう勝ちを積み重ねていけるか。その意味でも、これからが本当の勝負だ。

◇◇◇
　

Jリーグディビジョン2 第27節

2011/09/10　味の素スタジアム

FC東京　6（2-1、4-0）1　京都

【得点】
（東）：ルーカス（31分）、椋原（36分）、森重（47分）、ルーカス（57分）、ルーカス（85分）、坂田（90+3分）
（京）：宮吉（11分）

観衆： 15,517人
天気：晴、弱風

＜メンバー＞

≪FC東京≫

01　GK 塩田仁史
02　DF 徳永悠平
03　DF 森重真人
06　DF 今野泰幸
33　DF 椋原健太
04　MF 高橋秀人
10　MF 梶山陽平
27　MF 田邉草民 → 38　FW 坂田大輔（84分）
39　MF 谷澤達也
22　FW 羽生直剛 → 18　MF 石川直宏（71分）
49　FW ルーカス → 32　MF 上里一将（87分）

20　GK 権田修一
36　DF ジェイドノース
17　MF 永里源気
11　FW 鈴木達也

◇◇◇
　