*** june typhoon tokyo ***

FC東京 vs 札幌【ルヴァンカップ】


 “ホーム”レモンガススタジアムで無失点快勝、逆転でルヴァンカップ準決勝へ進出。

20分 レアンドロのゴールでFC東京が先制
68分 東慶悟のゴールでFC東京がリードを広げる
88分 小川諒也がイエローカード2枚目で退場

 FC東京が準決勝へ進むためには、無失点で勝利(1-0以上)、あるいは2点差以上をつけて勝つことが条件。第1戦でアウェイゴールを得たものの、2対1では延長となる。その意味でも先制点が非常に重要だったが、20分にレアンドロ、68分に東慶悟がゴールを決めて、FC東京が2点をリード。1点返せば延長に持ち込める札幌は、幾度もゴールへと迫ったが、最後まで決め切ることが出来ず。札幌の猛攻を避けたFC東京が2対0、2戦のトータルスコア3対2で、ルヴァンカップ準決勝へ駒を進めた。

 FC東京は前線にディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン、レアンドロのブラジリアントリオ、2列目の右に東を配置。三田が安部柊斗とボランチを組んだ。一方、札幌は第1戦同様に高さのあるジェイを最前線に配する3-4-2-1のフォーメーション。

 試合開始当初より中盤で激しく攻守が切り替わり、互いにゴールへと迫るオープンな展開に。札幌はジェイをターゲットに浮き球を送り、FC東京がブロックやCKへ逃げながら耐える。この日のCKはFC東京の1本に対し、札幌は14本と圧倒するも、CKからのクロスをことごとく得点に結びつけられない。だが、別な言い方をすると、FC東京が札幌のドリブルの仕掛けやパス交換でエリアへ侵入しようとする際に、しっかりとセーフティにクリア出来ていないという見方も出来る。FC東京は、最終ラインでパスを回しながらビルドアップしようとする際に、特に左SBの小川に顕著だったが、スムースにボールを動かさずに足元でボールを持ち過ぎて、相手のプレスを受けて苦し紛れにパスを出す、あるいは奪われるという場面が散見。札幌は枠内シュートが少なく、決定力の欠如に助かった形だが、そういった綻びをなくしておかなければ連覇を難しくしてしまうだろう。小川は後半につまらないイエローカードを2枚もらって、88分に退場。怪我人が多く手薄となっているSBだけに、守備時のリアクションの遅さからピンチを招くことも含め、猛省してもらいたい。

 それでもFC東京にやや風向きが有利になってきたのは、前半のうちに札幌のSB・福森がアクシデントで交代を余儀なくされてしまったこと。FKが13本あっただけに、左脚が脅威の福森が早々とピッチを後にすることになったのは、FC東京にとってはラッキー、札幌にとっては不運だった。
 とはいえ、FC東京もFKは札幌を上回る19本。そのうちから、20分のレアンドロの芸術的なゴールが生まれる訳だが、札幌は激しく競りかけてブラジリアントリオを抑えるという意図があったのだろうが、ややエリア前のリスキーな位置でのファールが目についた。

 早く1点を返したい札幌は、後半序盤からアグレッシヴに攻撃を展開。引き続き、ジェイをターゲットに押し込む時間を作る。立て続けにCKのチャンスを得るが決め切れずにいると、FC東京がアダイウトンに代えて永井をピッチへ送り、前線のレアンドロや東、ディエゴ・オリヴェイラとともに攻め込む時間へ。65分にはショートカウンターで巻き返し、永井、レアンドロが立て続けに決定機を迎えるが、永井はクロスバー、レアンドロが枠外と絶好機を逃してしまう。

 どちらに転ぶか分からない、手に汗握る一進一退の攻防が続く中で、68分、ハーフウェー付近から札幌のミスで右サイドのスペースへボールが出ると、素早く永井が反応し、エリア内右へパス。受けたレアンドロがペナルティアーク手前の安部柊斗へ戻すと、安部がエリア内のディエゴ・オリヴェイラへ縦パス。ディエゴ・オリヴェイラがワンタッチで左へ流したところ、受けた東が勢いよく食いついてきた札幌を切り返しでかわしてシュート。これが巻くような軌道でゴール右に突き刺さり、FC東京が価値ある追加点を挙げる。

 激しい当たりで荒れ気味になり、展開も二転三転。まずはアウェイゴールとなる1点を返して、最低でも延長戦に持ち込みたい札幌は、70分に菅を今夏加入したミラン・トゥチッチに、荒野をドウグラス・オリヴェイラにスイッチ。ジェイに加えて高さを増して空中戦を挑んでくるが、FC東京のCB森重が奮闘。エリア内でのピンチも身体を張って防いでいく。

 FC東京は86分に東、三田を下げて、田川と青木を投入。直後に得点機を迎えるが、レアンドロのシュートは札幌GK・菅野に阻まれ、3点目が奪えない。すると、直後に小川が札幌にチャンスをファールで潰してイエローカード2枚目で退場。1人少ないFC東京の隙を突いて、札幌は90分前後にFC東京ゴールに迫り、混戦のなかで柳がシュートを放つも、FC東京GK・波多野が好セーヴで阻み、得点を許さず。小川の退場の穴に対処するため、FC東京は93分に蓮川、岡崎を入れて5バックを敷き、守備の強化を図る。

 終盤は接触などで倒れることも多くなり、その度に早くプレイを始めたい札幌、焦らすFC東京とでヒートアップ。ピッチ、ベンチから怒号も飛び交うが、6分のアディショナルタイムを凌いだFC東京が逃げ切りに成功。札幌は最後までゴールをこじ開けられず、逆転負けでルヴァンカップ準決勝進出の道を断たれた。チャナティップほか怪我人が多く、試合序盤で福森が交代したことで、安定した攻撃的なスタイルを繰り出せなかったことが焦りを生み、決定機に精度を欠いたことになったのかもしれない。

 勝ち方は決して綺麗ではないが、劣勢から逆転勝ちに繋げて“結果”を出したことは評価したい。とはいえ、相手にボールを持たせて、攻守の素早い切り替えからの速攻を身上としているならば、押されている際の対応、クリアやセットプレーといった対応の精度を高めておかなければ、今季露呈した守備の綻びを再び招いてしまう。

 FC東京の準決勝の相手は、準々決勝で鹿島に対して2戦ともに2対0の無失点完封で勝ち進んできた名古屋となった。比較的相性の良い印象の相手だが、リーグでは昨季からの近2戦で1分1敗、今季も現時点で名古屋が上位だ。リーグでは失点は川崎に次いで2位と堅守を誇り、先制を許すと非常に難しい試合となることは必至だ。
 その名古屋とは9月22日にリーグで対戦が控えている。その時にどのような順位になっているかはわからないが(現時点で名古屋47、FC東京42の勝ち点5差)、ホーム味スタで幸先よく勝利して、ルヴァンカップ準決勝を待ち望みたい。準決勝の第1戦は豊田スタジアムで10月6日に、第2戦は味の素スタジアムで10月10日に行なわれる。

◇◇◇

【JリーグYBCルヴァンカップ 準々決勝 第2戦】
2021年9月5日(水)18:03試合開始 レモンガススタジアム平塚
入場者数 3,272人
天候 曇 / 気温 24.3℃ / 湿度 57%
主審 笠原寛貴 / 副審 武部陽介、田中利幸
第4の審判員 榎本一慶
VAR 井上知大 / AVAR 西尾英朗

 FC東京 2(1-0 / 1-0)0 札 幌

得点:
(東)レアンドロ(20分)、東 慶悟(68分)
(札)


【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 13 波多野豪
DF 28 鈴木準弥
DF 04 渡辺 剛
DF 03 森重真人
DF 06 小川諒也
MF 10 東 慶悟  → 田川亨介(86分)
MF 07 三田啓貴  → 青木拓矢(86分)
MF 31 安部柊斗
FW 15 アダイウトン → 永井謙佑(58分)
FW 20 レアンドロ → 蓮川壮大(90+3分)
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ → 岡崎 慎(90+3分)

≪サブスティテューション≫
GK 01 児玉 剛
DF 25 蓮川壮大
DF 29 岡崎 慎
MF 21 青木拓矢
FW 11 永井謙佑
FW 23 渡邊凌磨
FW 27 田川亨介

≪監督≫
長谷川健太









◇◇◇

【2021 Jリーグ YBCルヴァンカップ Bグループ順位表】 
1位 FC東京 12/6/3/3/0/6/2/+4
2位 神 戸 08/6/2/2/2/6/4/+2
3位 大 分 06/6/1/3/2/4/6/-2
4位 徳 島 05/6/1/2/3/3/7/-4
※(順位/チーム/勝点/試合/勝/分/敗/得点/失点/得失点差)

◇◇◇

【2021 JリーグYBCルヴァンカップ FC東京 試合日程】
〈グループステージ・グループG〉
第01節 03月03日(水)19:00〇FC東京 1-0 徳 島(H・味スタ)
第02節 03月28日(日)14:00〇FC東京 2-0 神 戸(H・味スタ)
第03節 04月21日(水)19:00〇FC東京 1-0 大 分(A・昭和電ド)
第04節 04月28日(水)19:00△FC東京 1-1 徳 島(A・鳴門大塚)
第05節 05月05日(水)15:00△FC東京 0-0 神 戸(A・ノエスタ)
第06節 05月19日(水)19:00△FC東京 1-1 大 分(H・味スタ)

〈プレーオフステージ〉
第1戦 06月05日(土)14:00✕FC東京 0-1 湘 南(H・駒 沢)
第2戦 06月13日(日)17:00〇FC東京 4-1 湘 南(A・レモンS)
※トータルスコア: FC東京 4-2 湘 南

〈プライムステージ〉
《準々決勝》
第1戦 09月01日(水)19:00✕FC東京 1-2 札 幌(A・札幌厚別)
第2戦 09月05日(日)18:00〇FC東京 2-0 札 幌(H・レモンS)
※トータルスコア: FC東京 3-2 札 幌

《準決勝》
第1戦 10月06日(水)19:30 FC東京 vs 名古屋(A・豊田ス)
第2戦 10月10日(日)14:00 FC東京 vs 名古屋(H・味スタ)

《決 勝》
決勝戦 10月30日(土)13:05 未 定 vs 未 定(埼 玉)

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