こんにちは。クラリネットの葉月です。
次の演奏会までひと月を切りました。プログラムとなっている曲を順次大山先生にご指導頂き練習しました。毎回どこかが良くなり、毎回新たな課題が見つかります。変容する様が大変面白い、グレイスの練習です。
ベートーヴェン「運命」を聴いていると、幸せな未知の世界への扉を自ら開く勇気が湧いてくるような、明るい未来を感じられるような気がしてきます。大好きな曲のひとつです。
が、今の私が演奏者の立場になるとこの曲は、体力のなさを痛感し、ベートーヴェンの偉大さの前に自分の器の小ささも痛感する曲となります。一生懸命練習するほど、練習後は精神的にげっそりしてしまいます。ミーティングについていくのはいっぱいいっぱい。それだけ全身全霊で演奏しないと表現がとても及ばないということだと思うので、本当に頑張っています。
何故か最近、もともと大好きな曲だということもありますが、練習から帰ると決まってブラームスの3番を聴きたくなりつい聴いてしまいます。曲から得られるイメージが、その数週間のうちに以前のものから変わってきました。目に見えないものを、これまた目に見えない、浮かんではすぐに消えてしまう音で表現するって、本当にロマンティックです。ショルティ&シカゴのブラ3のレコードを真空管アンプで聴き、ブラームスの世界にどっぷり浸り、気付けば自分の孤独な世界にどっぷり浸り、孤独感に耐えられなくなったところで終楽章。終わりまで聴くと何か救われる思いになるのです。
ある時聴いていると、3楽章クレヴェンジャーのホルンソロで孤独感が最高潮に達し、涙が止まりませんでした。寄り添うようなファゴットに孤独を慰める優しさを感じて、これにも涙。悲しくて悲しくて仕方なく溢れてくる涙でした。ですが、終楽章が進むにつれ私にはひとつの物語が生まれ、心から喜びを感じました。もしかしたらどなたかがどこかに記されたのを読んで感銘を受けたのかもしれませんが、その時は自分の心の奥からじわじわと、その物語は広がっていきました。素晴らしい世界でした。
またある時は、2楽章冒頭ラリー・コムスのクラリネットソロがとても心地良く感じられ、安心して眠ってしまったようです。気付いたら2楽章が終わっていて、気持ちいいからいいか~、と思って3楽章を聴かずにやめました。
何にもとらわれずに、自分の感性のまま音楽に身を委ねる時間は幸せです。どこかにいってしまっていた自分を取り戻したような気持ちになります。
感じるままに表現できる演奏者に憧れつつ、演奏会を迎えます。
5月12日(土)、シューベルト「未完成」&ベートーヴェン「運命」他、一生懸命演奏します。入場は無料です。皆様のご来場を心よりお待ちしております。