「建て直そう日本・女性塾」一年間の歩み
皆様方には、日頃より女性塾の運動に格別のご理解とご支援を賜り、衷心よりお礼申し上げます。
教育問題・学校現場の不祥事、危うい親子関係等の事件等が相次ぐ現状に「なんとかしなければ」と、立ち上げた女性塾も一年を過ごしました。
その間都内では八回の研修会を開催し、伊藤玲子幹事長は自らの体調も顧みず請われるまま全国各地に遊説に出かけました。幹事長は、主に日本女性が家庭の中で継承してきた伝統文化・行事に、母として子供たちに教え導いてきた良識・規範が、歪められている現状を訴えてまいりました。
緒についたばかりの一年間ではまだまだ実るに至りませんが、ここにご報告申し上げ、皆様からのさらなるご鞭撻をいただきたく存じます。
【ご報告事項】
女性塾設立記念 特別シンポジューム
◎日 時 :平成17年10月25日
◎挨 拶 :○山谷 えり子先生 (当時の女性塾塾長、参議院議員、現首相補佐官)
◎テ ー マ :良識ある女性・若手を政治の場に
◎パネリスト:○安倍 晋三先生 (当時の自民党幹事長代理、現総理大臣)
○稲田 朋美先生 (衆議院議員)
○伊藤 玲子先生 (女性塾 幹事長)
◎コーディネータ:○伊藤 哲夫先生 (日本政策研究センター所長)
研修会報告
◎第一回 日時:平成18年1月28日
テーマ:「憲法について」
講師:伊藤哲夫先生(日本政策研究センター所長)
敗戦国日本に施したアメリカの占領基本マニュアルは、物理的・精神的武装解除。
軍隊を解除し、日本人の精神的支柱である天皇を「象徴」という言葉に置き換え、日本人の誇り・自尊心を亡くす思想統制を行った。今後、改憲に着手するとき、「日本国憲法」はこのマニュアルに沿って制定されたものであることを認識する必要がある。
ところが自民党の改憲草案でさえ、「象徴天皇はこれを維持する」という前文から始まっている。これでは日本の精神性・国民性再建には程遠い。
日本のマスコミには、まだ占領下の思想統制のトラウマがあり、日本国憲法に阿っている。これを下敷きにしている間は創憲はおろか改憲もおぼつかない・・
女性塾の皆さんに、歴史的事実から曇りのない感性を育まれんことを望む。
◎第二回 日時:平成18年3月4日
テーマ:「現場からの教育改革―教師と親の意識改革」
講師:高橋史朗先生(明星大学教授)
教育はトップダウン型では再生しそうもない。制度改革は限界。親を変え、家庭を変え、先生をどう変えるか、ここからしか教育改革は始まらない。
子育て支援策でも親の子育てを「支援」するのではなく、親は子育ての「主体」であることを明確に伝えなければならない。誰かが肩代わりをするのではなく「あなたが責任者」であること、私はそのためのスキル、態度、価値観を学ぶ「親学」を提唱している。
子供は母性・父性の中で育つ。それを否定するジェンダーフリーの中では子供の精神の健全育成も安定も望めない。
教師の意識改革も伝統を踏まえる必要がある。風土・国民性を勘案しない日教組のような組合組織ではなく、教員同士が切磋琢磨する職能団体を結成すべき。私は杉並、埼玉などに「師範館」「師範塾」として教師の学びの場を立ち上げた。・・・
「凡事徹底」足元からの教育改革、まず家庭再生、特に女性の意識改革を期待したい。
◎第三回 日時:平成18年4月8日
テーマ:「日本の安全保障政策の課題」
講師:濱口和久先生(日本政策研究センター研究員)
米田建三先生(帝京平成大学教授)
○濱口先生:国家は、領土・国民・統治機構から成り立っている。大陸に弓なりに位置する領土に住む国民の安全を守るべく、統治機構は機能しなければならない。
同胞が拉致され、領土が占拠されてもあまり怒りを感じない国民では安全保障はおぼつかない。国の守りは、精強な軍隊や最新鋭の武器を持っていることではなく、国民1人1人の意識が重要・・国防を忘れることは亡国に繋がる、ことを肝に銘じて欲しい。
○米田先生:世界の動きを見定める必要がある。世界は国家間のせめぎあいの中にある事実を直視し、国際社会での安全は軍事力が保障していることを認識しなければならない。
日本は「専守防衛」が幅を利かせ、我が国はたとえ防衛上の必要があっても他国に脅威を与えないことになっている。近隣諸国に殴られても抵抗しない国と看做されている。
アメリカを盲信せず、主体的な国防を考えなければならない。・・・・
◎第四回 日時:平成18年5月13日
テーマ:「歴史問題をめぐる日本の課題」
講師:藤岡信勝先生(拓殖大学教授)
「新しい歴史教科書」(扶桑社)が描く5つの歴史問題について話したい。
1、「聖徳太子」の評価
大国隋に服属せず、独立国家として宣言したこと、仏教・漢字を取り入れる一方で、伝統文化を自覚的に継承していったこと、天皇を中心に国家の統合をはかったこと、など国の骨格と
なる大方針を示した「聖徳太子」を実写。
2、「鎖国」江戸時代の実相
「鎖国」は列強支配から逃れるため、安全保障上有効な政策だった。江戸時代の庶民の文化的豊かさは「貧農史観」ではみえてこない。
3、「明治維新」
近代国家建設のため、自ら特権を捨て公に順ずることを選んだ武士階級は「廃藩置県」を行うにあたって、「一発の弾丸も発することなく、一滴の血を流すこともなく成し遂げた」(岩倉具視)自己犠牲と勤労の精神からの成功。
4、近代日本とアジア
近代日本の成功はアジアのモデル。中国革命も日本に学び、日本をモデルとした。
オランダのインドネシア支配、イギリスのインド支配とは異質な日本の朝鮮・台湾統治。
5、「冷戦」
日本の冷戦は1925年ソ連と国交を結んだときから始まり、今もって続いている。
共産主義国家はコミンテルンなどを組織し、破壊活動・国家転覆を目的としている。横田めぐみさんなど拉致事件が頻発し国家主権が侵害されている現在まで日本の「冷戦」は終わっていない。
◎第五回 日時:平成18年6月3日
テーマ:「教育基本法改正、日教組の現状と今後の課題」
講師:小林 正先生(民間教育臨調教育制度部会長 元参議院議員)
教育基本法改正は来年の統一地方選・参議院選の争点になりうる。改正の状況如何で
これらの選挙に、改正を求める署名360万がどう動くかが勝敗に関わるだろう。
民間教育臨調の促進委員会は、改正に「愛国心」「宗教的情操教育」「教育基本法十条(・・不当な支配・・)削除」を求めている。与党案は公明党と妥協に妥協を重ね、民主案は前文に「愛国心」はあるものの随所に左派・右派の妥協が見られ、いわば「羊頭狗肉」の感がある。促進委員会案に近づけることを求めていく。
日教組の組織率は、現在29、5%に落ち込んでいる。団塊の世代が定年を迎える数年後は10%台になる、立ち枯れ状況。しかし日本民主教育政治連盟(日政連)から衆議院2名、参議院8名を送り出している。選挙資金に組合費が使われていることは明らか(ex,山梨教職員組合問題)。文科省は彼らに迫られ後退している。
◎第六回 日時:平成18年7月1日
テーマ:「男女共同参画(ジェンダーイクオリティー=性別否定)の実態と背景について」
講師:桜井裕子先生(ジャーナリスト)
平成11年に制定された「男女共同参画社会基本法」の言葉の違和感は、国連で使われている「ジェンダーイクオリティー」の訳から来ている。「男女共同参画」ではなく「性別否定」と訳したほうが正確。根底に男性=支配、女性=被支配の対立構造で捉えるマルクス主義思想がある。自治体の条例は思想的侵略の好餌となっている。またフエミニスト教師による過激な性教育に教育現場は混乱した。性別否定は培ってきた伝統文化・規範意識の否定に繋がる。
日本再生には、伝統文化を見直し、営々と築いた道徳体系を取り戻すことが不可欠。この「基本法」に隠されたマルクスフェミニズムの危険性を認識することを求めたい。
◎第七回 日時:平成18年9月9日
テーマ:「我が国が当面する諸課題」
講師:中山成彬先生(元文部科学大臣・衆議院議員)
文部科学大臣時代に訪ねた小・中学校400校に「早寝・早起き・朝ごはん」「読み書き計算」の徹底をお願いした。基本的なことをしっかり教えることは義務教育の使命であり、教育者の責務。悪しき平等主義が学校から活力を奪った。公教育が再生しなければ格差社会が生まれる。真の平等は教えるべきものをしっかり教えることだ。
◎第八回 日時:平成18年10月14日
テーマ:「子供は親に何を求めているか」
講師:田下昌明先生(医学博士、小児科医)
育児は男女が半分ずつ担うものではない。また育児には父・母それぞれの役割がある。
育児には、母親による強力な保護とそれを守り安心できる環境をつくる父親の役割が必要。
また、母性愛はDNAにプログラムされているが、父性愛は社会的産物である。
「1人の女性による継続的な養育」が子供の発達には必要である。母親が担えない場合は祖母でも育ての親でもよいが、「女性」でなければならない、とボウルビィ(英国の医師、母子関係の大家)が言っている。母と父との役割を認めない、育児の外注化を提唱するフェミニズムの子育て論では「人間」は育たない。
以上(文責:河村)
皆様方には、日頃より女性塾の運動に格別のご理解とご支援を賜り、衷心よりお礼申し上げます。
教育問題・学校現場の不祥事、危うい親子関係等の事件等が相次ぐ現状に「なんとかしなければ」と、立ち上げた女性塾も一年を過ごしました。
その間都内では八回の研修会を開催し、伊藤玲子幹事長は自らの体調も顧みず請われるまま全国各地に遊説に出かけました。幹事長は、主に日本女性が家庭の中で継承してきた伝統文化・行事に、母として子供たちに教え導いてきた良識・規範が、歪められている現状を訴えてまいりました。
緒についたばかりの一年間ではまだまだ実るに至りませんが、ここにご報告申し上げ、皆様からのさらなるご鞭撻をいただきたく存じます。
【ご報告事項】
女性塾設立記念 特別シンポジューム
◎日 時 :平成17年10月25日
◎挨 拶 :○山谷 えり子先生 (当時の女性塾塾長、参議院議員、現首相補佐官)
◎テ ー マ :良識ある女性・若手を政治の場に
◎パネリスト:○安倍 晋三先生 (当時の自民党幹事長代理、現総理大臣)
○稲田 朋美先生 (衆議院議員)
○伊藤 玲子先生 (女性塾 幹事長)
◎コーディネータ:○伊藤 哲夫先生 (日本政策研究センター所長)
研修会報告
◎第一回 日時:平成18年1月28日
テーマ:「憲法について」
講師:伊藤哲夫先生(日本政策研究センター所長)
敗戦国日本に施したアメリカの占領基本マニュアルは、物理的・精神的武装解除。
軍隊を解除し、日本人の精神的支柱である天皇を「象徴」という言葉に置き換え、日本人の誇り・自尊心を亡くす思想統制を行った。今後、改憲に着手するとき、「日本国憲法」はこのマニュアルに沿って制定されたものであることを認識する必要がある。
ところが自民党の改憲草案でさえ、「象徴天皇はこれを維持する」という前文から始まっている。これでは日本の精神性・国民性再建には程遠い。
日本のマスコミには、まだ占領下の思想統制のトラウマがあり、日本国憲法に阿っている。これを下敷きにしている間は創憲はおろか改憲もおぼつかない・・
女性塾の皆さんに、歴史的事実から曇りのない感性を育まれんことを望む。
◎第二回 日時:平成18年3月4日
テーマ:「現場からの教育改革―教師と親の意識改革」
講師:高橋史朗先生(明星大学教授)
教育はトップダウン型では再生しそうもない。制度改革は限界。親を変え、家庭を変え、先生をどう変えるか、ここからしか教育改革は始まらない。
子育て支援策でも親の子育てを「支援」するのではなく、親は子育ての「主体」であることを明確に伝えなければならない。誰かが肩代わりをするのではなく「あなたが責任者」であること、私はそのためのスキル、態度、価値観を学ぶ「親学」を提唱している。
子供は母性・父性の中で育つ。それを否定するジェンダーフリーの中では子供の精神の健全育成も安定も望めない。
教師の意識改革も伝統を踏まえる必要がある。風土・国民性を勘案しない日教組のような組合組織ではなく、教員同士が切磋琢磨する職能団体を結成すべき。私は杉並、埼玉などに「師範館」「師範塾」として教師の学びの場を立ち上げた。・・・
「凡事徹底」足元からの教育改革、まず家庭再生、特に女性の意識改革を期待したい。
◎第三回 日時:平成18年4月8日
テーマ:「日本の安全保障政策の課題」
講師:濱口和久先生(日本政策研究センター研究員)
米田建三先生(帝京平成大学教授)
○濱口先生:国家は、領土・国民・統治機構から成り立っている。大陸に弓なりに位置する領土に住む国民の安全を守るべく、統治機構は機能しなければならない。
同胞が拉致され、領土が占拠されてもあまり怒りを感じない国民では安全保障はおぼつかない。国の守りは、精強な軍隊や最新鋭の武器を持っていることではなく、国民1人1人の意識が重要・・国防を忘れることは亡国に繋がる、ことを肝に銘じて欲しい。
○米田先生:世界の動きを見定める必要がある。世界は国家間のせめぎあいの中にある事実を直視し、国際社会での安全は軍事力が保障していることを認識しなければならない。
日本は「専守防衛」が幅を利かせ、我が国はたとえ防衛上の必要があっても他国に脅威を与えないことになっている。近隣諸国に殴られても抵抗しない国と看做されている。
アメリカを盲信せず、主体的な国防を考えなければならない。・・・・
◎第四回 日時:平成18年5月13日
テーマ:「歴史問題をめぐる日本の課題」
講師:藤岡信勝先生(拓殖大学教授)
「新しい歴史教科書」(扶桑社)が描く5つの歴史問題について話したい。
1、「聖徳太子」の評価
大国隋に服属せず、独立国家として宣言したこと、仏教・漢字を取り入れる一方で、伝統文化を自覚的に継承していったこと、天皇を中心に国家の統合をはかったこと、など国の骨格と
なる大方針を示した「聖徳太子」を実写。
2、「鎖国」江戸時代の実相
「鎖国」は列強支配から逃れるため、安全保障上有効な政策だった。江戸時代の庶民の文化的豊かさは「貧農史観」ではみえてこない。
3、「明治維新」
近代国家建設のため、自ら特権を捨て公に順ずることを選んだ武士階級は「廃藩置県」を行うにあたって、「一発の弾丸も発することなく、一滴の血を流すこともなく成し遂げた」(岩倉具視)自己犠牲と勤労の精神からの成功。
4、近代日本とアジア
近代日本の成功はアジアのモデル。中国革命も日本に学び、日本をモデルとした。
オランダのインドネシア支配、イギリスのインド支配とは異質な日本の朝鮮・台湾統治。
5、「冷戦」
日本の冷戦は1925年ソ連と国交を結んだときから始まり、今もって続いている。
共産主義国家はコミンテルンなどを組織し、破壊活動・国家転覆を目的としている。横田めぐみさんなど拉致事件が頻発し国家主権が侵害されている現在まで日本の「冷戦」は終わっていない。
◎第五回 日時:平成18年6月3日
テーマ:「教育基本法改正、日教組の現状と今後の課題」
講師:小林 正先生(民間教育臨調教育制度部会長 元参議院議員)
教育基本法改正は来年の統一地方選・参議院選の争点になりうる。改正の状況如何で
これらの選挙に、改正を求める署名360万がどう動くかが勝敗に関わるだろう。
民間教育臨調の促進委員会は、改正に「愛国心」「宗教的情操教育」「教育基本法十条(・・不当な支配・・)削除」を求めている。与党案は公明党と妥協に妥協を重ね、民主案は前文に「愛国心」はあるものの随所に左派・右派の妥協が見られ、いわば「羊頭狗肉」の感がある。促進委員会案に近づけることを求めていく。
日教組の組織率は、現在29、5%に落ち込んでいる。団塊の世代が定年を迎える数年後は10%台になる、立ち枯れ状況。しかし日本民主教育政治連盟(日政連)から衆議院2名、参議院8名を送り出している。選挙資金に組合費が使われていることは明らか(ex,山梨教職員組合問題)。文科省は彼らに迫られ後退している。
◎第六回 日時:平成18年7月1日
テーマ:「男女共同参画(ジェンダーイクオリティー=性別否定)の実態と背景について」
講師:桜井裕子先生(ジャーナリスト)
平成11年に制定された「男女共同参画社会基本法」の言葉の違和感は、国連で使われている「ジェンダーイクオリティー」の訳から来ている。「男女共同参画」ではなく「性別否定」と訳したほうが正確。根底に男性=支配、女性=被支配の対立構造で捉えるマルクス主義思想がある。自治体の条例は思想的侵略の好餌となっている。またフエミニスト教師による過激な性教育に教育現場は混乱した。性別否定は培ってきた伝統文化・規範意識の否定に繋がる。
日本再生には、伝統文化を見直し、営々と築いた道徳体系を取り戻すことが不可欠。この「基本法」に隠されたマルクスフェミニズムの危険性を認識することを求めたい。
◎第七回 日時:平成18年9月9日
テーマ:「我が国が当面する諸課題」
講師:中山成彬先生(元文部科学大臣・衆議院議員)
文部科学大臣時代に訪ねた小・中学校400校に「早寝・早起き・朝ごはん」「読み書き計算」の徹底をお願いした。基本的なことをしっかり教えることは義務教育の使命であり、教育者の責務。悪しき平等主義が学校から活力を奪った。公教育が再生しなければ格差社会が生まれる。真の平等は教えるべきものをしっかり教えることだ。
◎第八回 日時:平成18年10月14日
テーマ:「子供は親に何を求めているか」
講師:田下昌明先生(医学博士、小児科医)
育児は男女が半分ずつ担うものではない。また育児には父・母それぞれの役割がある。
育児には、母親による強力な保護とそれを守り安心できる環境をつくる父親の役割が必要。
また、母性愛はDNAにプログラムされているが、父性愛は社会的産物である。
「1人の女性による継続的な養育」が子供の発達には必要である。母親が担えない場合は祖母でも育ての親でもよいが、「女性」でなければならない、とボウルビィ(英国の医師、母子関係の大家)が言っている。母と父との役割を認めない、育児の外注化を提唱するフェミニズムの子育て論では「人間」は育たない。
以上(文責:河村)