建て直そう日本・女性塾

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女性塾第五回研修会

2006年07月02日 21時29分47秒 | 研修会報告
      建て直そう日本・女性塾5
   第五回研修会 平成18年6月3日 開催
       於:日本青年館
テーマ「教育基本法改正、日教組の現状と今後の課題」
     小林 正氏(民間教育臨調教育制度部会長)
≪略歴≫
昭和8年、東京生まれ。横浜国立大学学芸学部哲学倫理科卒業後、川崎公立学校教諭、神奈川県教職員組合執行委員長。平成元年、参議院議員に当選(日本社会党)。平成5年、日本社会党を離党、新生党を経て、新進党結党に参画。在任中は、参議院文教委員会理事、同地方分権・規制緩和特別委員会委員長などを務める。著書に『日教組という十字架』
(善本社)。

はじめにー教育基本法改正について

 私は教員の時代、組合活動から政治活動に展開した時代、そして現在、と3つの時代を生きてきました。一口で言えば反面教師です。
 この女性塾の伊藤玲子先生とは、彼女が鎌倉市議時代に湘南教組(神奈川県教組の一支部)の違法行為を追及されていたとき、私も連携して正常化に取り組みました。
 本日は、はじめに、今期国会で教育基本法改正案が上程されたにも拘らず、継続審議となった経緯についてお話したいと思います。

 教育基本法改正案には、私が関わっている民間教育臨調での促進委員会によるものと、自民・公明による与党案、そして民主党案との3つがあります。後者の2案が国会に上程され、桜井よしこ氏や鳥居中教審会長などが参考人として招聘され質疑を受けましたが、国会延長は認められず、結局継続審議となり、秋の臨時国会以後の審議に持ち越されました。ポスト小泉となる方が受け継ぎます。特別委員会として森山真弓委員を議長とする46人委員会に託されます。
 来年、統一地方選と参議院選があります。いままでこの種の重要問題を選挙の争点にすることを嫌う傾向がありましたが、改正がどの時点で成立するかが鍵になることは間違いありません。
通常国会での決着を願い、会期延長を前・元文科相が小泉首相に申し入れましたが、拒否され、秋以降に持ち越されました。ポスト小泉に誰が就くか、運命の分かれるところです。
 改正には3つの争点があります。
一つは「愛国心」についてです。与党案、つまり政府案は国を愛する「態度」とし、しかも他国を尊重することと抱き合わせでこれを入れています。
二つ目の「宗教的情操教育」は一般的に必要であることを認めながら、記述されていません。これには公明党の意向が大きく関わっています。
三つ目は教育基本法10条の「不当な支配・・」の条項に関することです。この条は国家を悪とし個人を善とする思想により、教育裁判を多発させた元凶でした。はじめ、促進委員会でも教育の中立を守る「不当な支配・・」があってもよい、という意見があり、私は「とんでもない」と、議員会館の会議室で絶対削除を説いてきました。その結果、促進委員会では削除が常識になっております。しかし、残念ながら政府案では入っています。言い分として、一般の法令を定めることによって今までの恣意的な解釈には歯止めがかかる、つまり教育裁判にいたることにはならなくなるだろう、という理屈のようですが、ならばなぜ削除しないのか問題を感じます。
 このような不条理はとりもなおさず、政府案作成において、公明党と妥協に妥協を重ねたが故です。自民党が本来持つ国家観と公明党のそれとでは融合するはずもありません。これでは伝統的な自民党支持者は不満でしょう。
 ある宗教団体の代表は、自民党幹部に対して、「宗教的情操教育」に反対の立場をとっているのは宗教界では創価学会ただ一つ、かつて改正に関し、506万の署名を集めてお願いしたが、村山内閣の成立で、自民党と社会党が握手を交わしている姿に我々は怒り心頭に達したものだった、直近の国体選挙で自民党はこの署名数の500万票を失った、今回は360万署名を集めている、来年の参議院選挙ではどういう結果になるかお分かりか、と迫りました。議員の中では下村博文氏などもまっとうな改正に努力しておられます。
 民主党案について、「なかなかいいじゃないか」という産経の社説もありました。確かに「愛国心」を明記しているところは評価できます。先日桜チャンネルで、私は高橋史朗氏とこの案を分析しましたところ、随所に左右の妥協がみられ、どうも「羊頭狗肉」の観ありです。
 やはり促進委員会案がベストでしょう。強いて言えば民主党案がベター、与党案がグット、といったところです。今後促進委員会案に近づけるよう努力しなければなりません。私は、政府案を1~2年掛けて審議を尽くせば必ず決着できると考えています。
 国会で教育勅語と教育基本法の関係について質問が出たとき、小坂文部科学大臣は、昭和21年10月8日の文部次官通達で、教育勅語は禁止された、と答弁しました。これはまちがいです。昭和21年6月21日の第90回帝国会議で田中耕太郎文相は「教育勅語と教育基本法は車の両輪である」という発言をしています。当初はその意識であったのです。GHQの圧力で奉安殿をつくり、奉読されるべきではないことの勧告をいれざるを得なくなりましたが、当時は教育基本法と教育勅語は並立して存在しうるものだったのです。
つまり禁止された事実はありません。このことは「文部省120年史」に明記されている事実です。この一事をとっても今の文部官僚も大臣もはなはだ無知であると指摘せざるをえません。
 教育基本法改正には教育勅語で求められた徳目を加える必要があるのです。
   日教組の現状と今後の課題

 昭和20年12月1日に羽仁五郎氏によって全日本教職員組合が結成されました。その翌日賀川豊彦氏により日本教職員組合が結成されました。
 紆余曲折を経て昭和22年6月8日、50万人を抱えた日本教職員組合の結成大会が開かれました。奈良県橿原神宮という神武天皇が即位された所が会場です。意外な印象がありましょうが、当時、適当な会場がなかったというのが理由のようです。
 昭和33年には86.3%の組織率を誇った日教組も、現在は29.5%で加入者30万余です。その加入者もほとんどが団塊の世代でここ両3年に退職の時期を迎えますので、ついには10%代に落ち込むことが予想されます。加えて新規の加入者は16%程度ですから、立ち枯れ状態になっていくでしょう。彼らの危機意識は深刻です。
 日教組の財政は、一般会計が26億円、救援資金が30億です。後者はストライキなどの実力行使で処分を受けた教員の救援に使われます。実力行使を何回もやると地方公務員法違反で昇給延期などの処分を受けます。そうすると本来もらうべき給与との差額ができ、仲間とも差がつきます。その差額分をこの救援資金から補うのです。
 ちなみに、最近10数年間、ストライキの類は一回もやっていません。にも拘らず、それ以前に給与に差が出た人たちに対する手当てをずっとやっていて、一般会計を越える金額を計上しているのです。日教組の仲間に補填するという「団結は力なり」の大義名分も右肩上がりだったときは、組合活動のお陰でベースアップが叶ったとして、補填も容認できたでしょうが、今のような右肩下がりになると、若い教員・中堅の教員に「なぜ過去のものの後始末までしなければならない」という不満が出てくるのも自然なことです。新規加入者が望めないのもむべなるかなです。
 日教組はその運動方針にもあるように、人権・平和・平等を掲げます。皮肉なことに、日教組の組織率が高いところは暴力行為の発生件数が多い、という相関関係が出ています。私が所属していました神奈川県や大阪・広島も多発地帯となっています。はなはだ「教育」的ではない組織といえましょう。
 教員の間からもユニオンとしての組織ではなくアソシエーション、職能団体としての組織への関心が高まっています。それを目的とした全日本教職員連盟は、昭和59年2月26日に結成されました。平成17年10月段階で2.3%、23,237人が加入しています。本年2月に東京都でも教育職能団体が結成されました。教職員団体も今後、教育正常化のために、組合組織ではないものに転換すべき時が来ていると思います。

   教育現場の諸問題

今、日教組の思想的影響から、教員は指導者ではなく支援者だ、とする考え方が広がっています。そういう公立学校に見切りをつけて、塾や私学に通わせる保護者が増えています。
PTAの調査でも「学校は楽しいところ、塾は厳しいところ」と判断している保護者が増えていることが分かります。日教組は、「競い合う教育から、共に学ぶ教育へ」といういかにも聞こえのいいことを掲げ、競争を悪として徹頭徹尾、平等主義教育を推進してきました。その結果、今深刻な学力低下が問題になっています。
文部科学省はその原因を「ゆとり教育」にあることを認め、方針の転換を行い、全国一斉学力テスト実施を打ち立てました。しかし実施に反対、実施したとしても学力テストの結果の公表を認めない、など日教組は表明しています。彼らは、日本民主教育政治連盟(日政連)に所属する衆議院二名、参議院八名を国会に出しています。この議員を使って強力に文部科学省と交渉し、中山前文部科学大臣のときと比べ、文科省が少しづつ後退していることがみえます。
このままでは塾や私学に通える余裕のある家庭と、そうではない家庭との間に格差が生じ「階層分化」が進行し、日本社会の弱体化につながる恐れがあります。
日政連に属する議員は、山梨県教員組合問題で明らかになりましたように、選挙の際に校長3万、教頭2万、一般職員1万、退職職員5千円を徴収することが慣例化しており、日教組の組合活動を支える議員の選挙資金に使われてきたのです。山教組は政治資金規正法違反で当然告発されました。このことで教職員組合の組織的な政治活動があらわになりましたが、財政部長が処分され、書記長はお咎めなしに終わりました。このようなトカゲの尻尾きりでは解決にはなりません。日政連が文部科学省の圧力になっている状況の是正のために我々はもっと眼を光らせる必要があります。
教育正常化のためには、日教組の影響を排する努力をしなければなりません。文部科学省でさえその影響下にあるようではとても正常化は望めません。


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1 コメント

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男女平等条項の問題点 (Bruckner05)
2006-07-02 22:59:56
小林正先生の講演録、拝見しました。改正促進委員会案がベストとのこと。是非、その方向で決着して頂きたいです。6月3日の時点では、小林先生は男女平等条項の問題点に触れておられませんが、チャンネル桜の6月後半の教育最前線コーナーで、高橋史朗先生との対談で言及があったそうです。



国会審議において、猪口邦子大臣は「教育現場でジェンダー平等を進めていく狙いがある」「生物学的性差以外のジェンダーは克服されなければならない」(要旨)と明言しました。政府案の男女平等条項は100%間違いなく、教育現場でジェンダーフリーを推進する根拠になります。そうなれば、学校教育はフェミニスト大量生産の場と化します。



今でさえそうです。本屋で見た今年3月刊行の「中学公民」参考書は、第2次基本計画に22行の但し書きが入ったにもかかわらず、男女共同参画社会はジェンダーフリーの社会だと書いてありますし、全国どこへ行っても、おそらく、ジェンダーフリーの語は使わずとも、中身は以前と同じ(男らしく・女らしくを否定/伝統的な役割分担を撤廃/家事・育児を均等に分担/専業主婦蔑視)でしょう。大本の男女共同参画社会基本法を抜本的に改正しない限り、性別に関わる日本文化は根こそぎにされてしまうのではないでしょうか。

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