アトリエ・レイジ

普段描いてる絵
これまでに描いた絵
これから描く絵

まったり更新

記録ではなく記憶

2010-07-25 13:42:17 | 雑記
絵を描くとき
モチーフやモデルを実像や写真からではなく
記憶の中から引き出して描く方法をよく使う

つまり…
実際に目に見えている実像ではなく
心の中に存在している虚像で下描する

やり方は単純だ
壁に貼り付けた画用紙に向かって、目を瞑って筆を振るう
何も見えないから何も確認できない
バランスも濃淡もいっさい確認できない
もちろん修正もできない

どんなに描画というものを理解している人間でも
まずマトモな形にはならないだろう

例えば人物の場合
目鼻立ちや輪郭、髪型や体躯を…
たとえどんなに長く連れ添った親しい間柄であっても、心のキャンバスに完璧に描き出せる人間がそういるとは思えない。描き上がったものは実像からかけ離れたデタラメだ。


実際にそうやって描かれた画面を見ればハッキリとする

実在するモデルに対して、いかに自分が心の中で要求をしていて、いかに自分が心の中では相手の不要な部分を省いてるかが解る


目を見開いてそれらをひとつひとつ確認しながら、今度は虚像からの脱却を試みる

一切の資料に頼らずに、記憶を呼び起こし修正と確認をしながら描きていく

いけるとこまでは其れを繰り返し、いけるとこまでいきついたら
そこで始めて実像を資料にしながら描き止めていくのだ



それがオレのスタンス

記録を描くのではなくまずは「記憶を描く」ということ

そして写実のなかに自分の心を封じ込めるということだ。

価値観が他人と違うと言う事・・

2010-07-14 18:44:27 | 雑記
価値観や世界観が他人とズレているという事を、やたら芸術性と絡めて語る人たちがいる。
それはそれで構わないとは思うのだが、たまにこんな事を言い始める人がいる。
「他人と違う世界が見えるのは、
俺たちが特別だから・・
俺たちが芸術家だから・・
それが解からないヤツは何も無い
芸術性のカケラもないヤツラだ」

ここまでくるとさすがに鼻をつまみたくなる。
絵画は所詮絵画だと思うし
彫刻は所詮彫刻だ

映画も漫画も文学も哲学も、
俺に言わせればみんな一緒だ

高尚なモンも下賎なモンも無い

表現したいことがあったから表現した。


こういう世界にいると、
病んでるという事をやたらと主張して芸術に結び付けようとする人がいる
俺はそういう場に立たされるたびにこの世界が大嫌いになる

病んでいようと壊れていようとどうだっていい・・

寂しいのなら寂しいでいいじゃないか
構って欲しい構って欲しいでいいじゃないか
「ともに技術や思想を切磋しましょう」
なんて気の利いたことを言いながら・・
その実、やたらと心のササクレに指を引っ掛けてその隙間から俺の中身を覗きたがる

美術ってそんなもんかよ・・
ただの社交の道具なら俺は面倒はゴメンだ



などとほんのちょっとグチを言ってみたりも・・する

一度筆を折ったら・・

2010-07-12 21:05:52 | 雑記
取り戻すのは難しいなって思った
描かなくても生きてはいける
ただ・・息が詰まるだけ

人並み以上の努力ってやつをしてみて
人並みほどの生活にもならなかったけど
それでもまた描けるなら構わないと思っていた

なんだろうか・・
また・・描ける場所が遠ざかっていく

手に入れても手に入れても
一瞬で奪われていく

そうなるとやっぱり心が裏返る
息を殺して・・
後何年耐えれば
また昔みたいに描けるんだろうか


総てが視界から消えて
総てを視界から奪い去られて
また一からやり直し


もう何が何だか解からない
意識の収集が出来ない
心が割れたみたいだ

また息の詰まる生活に入る

キャンバスの位置すら・・解からなくなった



あの時
筆さえ折らなかったら
こんな想いをする事は
なかったのだろうか・・

偶象と抽象

2010-07-11 23:40:40 | 雑記
写実派?
抽象派?
よく聞かれる

正直分ける意味が解からない

古典的手法だとか
現代的手法だとか

何故分けたがるのかが解からない

「ただの絵画です」
そう答えるしか術がない


ずっと前にこんな話を聞いた
「見えているものをそのまま描くんじゃない
自分が見えたと思うことを描くから
それが美学になるんだな」

裸の大将で有名な画家
山下清画伯がそんなことを口にしたという

ああ・・たしかにそうだ
美しいと思うものも
穢れていると思うものも
素敵だと思うものも
わざとらしいと思うものも
人それぞれの個性のなかで千差万別のもの

レアリズムもキュービズムも写実も抽象も無い

自分に見えている世界 現実 理想郷 妄想 空想
それを目の前の白い画用紙にぶつけたくて
想いのままに筆を振るってる

何も思い浮かばなくなったらそこで終わり

それまでは・・
自分にとっては総てがリアルな世界

たったそれだけの事なのに
やたらカテゴライズしたがる人たちがいる


見える世界が変わったら
描く手法が変わったら
俺のレッテルはまた張り替えられ
賛否も入れ替わり
今の俺自身の姿は
過去の偶像になって
棄てられてしまうのだろう


やるせない

俺は・・俺を描いてるだけ
俺だと思っている内なるものを
ただ・・描いてるだけ

絵画ってなんだろうか?

2010-07-11 10:21:13 | 雑記
ずっと昔、まだ画学生だった頃
「才能のあるものが絵を描かないということは犯罪と同じだ」
と教師が言った

犯罪と同じ・・
描かないことが罪・・
何故?

描けない者に描かせようとする試みか・・
それともただの気まぐれな叱咤か・・
あの当時
描く事よりも生きるという事のほうが感心事だった

強制されて・・
矯正されて・・
共生させられる

強い反発心の中で
身勝手な世界観が育まれていった

「絵の学校」
誰もが軽々しく芸術を語り
誰もが軽々しく他人の生き方を踏みにじり
誰もがもがき苦しむことすらなく消えて行った

「時期尚早の教室」
今も昔も変わらない
所詮・・ただの学校だ


「自分の世界観の中で生きる」

あの当時
俺はそれを教えて欲しかった


描くべき時が来たら
もちろん描く

描くべき時じゃ無いから描かない

上を目指す事ばかりを
誰もが望んでるわけじゃない


ただ・・
描きたいから描いてるだけだ