僕の仕事の業界では、徒弟制度というのが当たり前の世界でした。
今の流れで徒弟制度というのは古臭くて、まだやってる所もありますが、あまりそういう制度ではやっていけないようです。
まず、スタッフが集まりません。
今で言ったら、超ブラックというのが当たり前で、安い賃金で長時間働く状態です。
安い賃金で働く代わりに、技術であったり様々なノウハウを教えてもらうという部分もあります。
なので、働いているというより完全に最低限の生活費をいただいて修行させていただいている、というそんな感覚です。
教えてもらうためならこっちも必死なので、師匠が言ったことは基本全てイエスになります。
それが、本当に全て正しいことばかりなら問題ないかもしれませんが、それがエスカレートして変なことになることもよくあります。
仕事も8時間労働なんて無いに等しく。一通りの仕事が終わっても、ノウハウを学ぶため、教えていただくため、修行という名文のもとにひたすら残る。
師匠からすると帰ってもいいのではあるけど、残っておかないと色々と盗めることもなくなる。
そして、こちらもどんどんマヒして、ノウハウやテクニックを学ぶということはどうでもよくなり、それよりも、師匠が気に入ってくれるような態度を取らないと、置いていかれるのではないか、取り残されるのではないか、、と不安になり、どんどんと自分プライベートを削って、帰ることができなくなる状況に追い込まれてしまいます。
こんなことばかりでなく、良い師匠もあるのでしょうが、狭い組織の中で言うことを聞いてくれる人ばかりいると、自然と世間の見えないお山の大将になってしまう方は多いようで。
特に僕の世界には多いです。
師匠が右と言えば右、これはもう基本です。
下手をすれば法に触れることでもやり兼ねない状況です。
自分の意見を持つことはできず、帰りたくても、風邪引いても修行という名のもと長時間拘束され、盆正月も、修行の名のもとに研修に連れていかれ、終業は深夜2時3時、休日無し
そんなことは当たり前です。
ただ、一番しんどいのは過酷な労働時間というよりも、精神です。
自分という人間性を完全に消して弟子として過ごすので、自分らしさがなくなる、自分の人間性がわからなくなる、そういう苦悩が大きいです。
徒弟制度全てがこんな師匠ばかりではないですがそういう方が多い世界です。
一つの場所に勤めてそこでの環境がこういう徒弟制度で、その次の場所でも同じような師匠でした。
また、取り込みやすいという僕の性格も災いしています。
師匠に対しては気に入られたい、取り残されたくない、嫌われたくないという思いが強く出過ぎて、今から思うと間違った行動ですが、ハッキリとNOと言えずにそのままどんどんと言いなりになってしまうのも仇となってます。
ただ、良いところもあって技術の伝承という点ではこういう方法もありかと。
技術を教えて、すぐに辞められてしまっては指導する立場としてもやってられず、どんな仕事もそうですが、技術は教えてもらっても最後には経験がものをいってきます。
同じパターンということはなく、良い武器を持っていても使い方や使うタイミングで効果は全然変わります。
そのためには徒弟制度の中で給料が安い状態でもしっかり習得してからというのが良い部分もあります。
でも、今の時代にそぐわず、労働基準法であったりコンプライアンスの面からみても少なくなってきてます
修得することはできるかもしれませんが、僕としてはおススメできないです。
やっぱり、自分の人間性が最大限に活かされる世界でない自我がわからなくなり、自分を大切にすることができなくなりますよね。