a welcome rain

2010年夏にうまれた娘の日々と成長

第2回プラダー・ウィリー症候群勉強会~栄養について

2012年05月20日 | プラダー・ウィリー症候群

 

今月かかりつけの病院主催で

医療者とプラダー・ウィリー症候群患者の家族対象に

第2回勉強会が行われました。

今回のテーマは

Dsc033652

           「乳幼児期のプラダー・ウィリー症候群児の栄養管理」

関西の病院から医師と栄養士をまねいて講演をしていただきました。

 

今回も内容が豊富で

私が印象に残ったことだけを感想も交えて羅列していきますので

内容の正確さは保障できないことをご了承ください。

 

 

まず最初に小児科の先生のお話。

この先生はプラダー・ウィリー症候群やほかの疾患もあわせて

現在300名もの成長ホルモン治療を手掛けている

ホルモン治療に積極的な先生でしたが

1才前の早期導入までは必要ない、との考え方を示されました。

理由としては

  • 肥満に関しては体重コントロール良好群と不良群とをわける因子は

    ホルモン治療の有無ではなくて栄養指導の有無であったこと

 

  • 患児が小さいうちは打つ場所も限られ毎日注射する家族の負担も大きいこと

  • 国内の他の先生の学会発表ではホルモン治療で認知能に差が出なかったこと

 

などを挙げられました。

たしかに提示されたグラフでは

栄養指導の有る無しできれいに患者の体重が分かれていました。

さまざまな理由で成長ホルモン治療を受けられない、

または受けられなかった患者さんたちには少し気が楽になる情報だと思います。

Dsc033672

 

次に栄養士さんのお話。

これまでたくさんの患者さんや家族と

いっぱい話しあって考えてこられたんだろうなぁ・・

と思うほど豊富な経験を交え、関西の人らしく?お話がとても楽しかったです。

食事の時間や各自の皿を決めるなどけじめをつける、

低カロリーな食品を選んでカサを多くする、

などの一般的なお話から初めて聞くお話まで盛りだくさんでした。

もっとも印象に残ったことだけをピックアップしてみます。

 

まずこの病院では患者の摂取カロリーを

主に炭水化物を減らすことでコントロールしているそうです。

5才児を例に挙げると

プラダー・ウィリー症候群児と健常児では

必要なカロリーはすでに550kcalの差があるそうですが

この方法だと、たとえば給食で

ごはんとおやつ、それと牛乳を半分にすることで対応でき

保育園や学校でも対応しやすいのが大きな利点。

家庭でもおかずは家族と一緒なので調理の負担が激減します。

栄養バランス的には悪いそうだけれども

この病院での乳幼児~高校生までの患者さんの体重グラフは

きれいにコントロールされていました。

 

患児の行動面について。

いわゆる「盗食」をした患者はほぼ100%とのこと。

そういわれるとちょっと凹みますが

よ~く考えてみると

親に内緒で冷蔵庫の食べ物を食べることを「盗食」というのなら

私も夫も数えきれないくらいやりました

ちょっと小腹がすいたときに家のどこかに食べ物があれば

こっそりつまむのなんて当たり前ですよね。

ましてや思春期のハラペコ状態では買い食い・早弁、なんでもアリでした。

そういう自由が許されない患児には

食についての失敗をさせないようにまわりが立ち回ることが大事で

冷蔵庫に鍵をかけることでむしろ本人も家族も楽になるということ。

患者さんの中ではキッチンに自由に入れないように

改築までされた方がいるとのことでした。

「盗食」は患者の異常行動といわれる主な行動ですが

患児の立場で考えると健常でも十分理解できることなんですね。

 

食に対する問題行動については

ジジの担当の栄養士さんとも先月の受診の時に話し合ったのですが

担当されている中学生の子が食べ物を万引きしてしまった事柄にふれ、

「僕たちだってその年ごろには

親や世間に反抗して問題行動をおこしますよね。

それが小さいうちから制限された食べ物が対象になっただけで

すなわち過食だ、問題だ、とは思わないです。」

と言ってくれました。

「だから、今僕のしていることは栄養学的には正しいけれど社会的にはどうなのか

主治医の先生と話し合っているところなんです。

かえって子供に食べ物を意識させたり

頑張ってきたお母さんがやる気をなくしてしまったりしないように

臨機応変にゆるめていかないと、と思っています。」

と。

食事のことでは1歳半の健診の記事でも書いた通り

時々面倒で行き詰って折れそうになるときもあり

医療側からこちらの心理をくみ取ってくれたのは

心から救われる思いでした。

 

最後に学術的に興味をひかれたこと。

プラダー・ウィリー症候群の患児の基礎代謝をはかってみたら

ほぼ全例で健常児より代謝が高いことがわかったそうです。

それなのに患児はちょっと食べすぎただけで太るのは何故なのか?

なぜ基礎代謝は多いのに必要カロリーが少ないのか?

原因はまだわからないとのことですが

患者の体内で特別な機構が働いているのか

そもそも基礎代謝の理念が正しくないのか

とても興味がひかれます。

 

 

今回の勉強会では

先生方が配慮してくださって

家族同士のふれあいの場を設けて下さいました。

乳幼児対象のテーマだったので

来たのはほとんど1~2歳の子達。

リハビリのこと、幼稚園のこと、側彎のこと、

初めてお会いしたのに共感できる話題で時間が足りないくらいでした。

ジジがうまれてから孤独を感じることもよくありましたが

こんなに近くに同じくがんばってる人たちがいるのが心強くうれしかったです。

Dsc033692

今回も非常にためになるお話が聴けました。

先生方、どうもありがとうございました。

 

 

にほんブログ村 子育てブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 子育てブログ 2010年4月~11年3月生まれの子へ
にほんブログ村

にほんブログ村 子育てブログ 障がい児育児へ
にほんブログ村


プラダー・ウィリー症候群勉強会

2011年03月19日 | プラダー・ウィリー症候群

平常心が保てない日々が続いています。

Dsc00164

パソコンを立ち上げる気力が出ずに

書こうと思っていた記事や写真がたまってしまったので

時期外れのお蔵入りになる前にアップしておこうと思います。

 

 

先日通院している病院で

患者の家族を対象にした

プラダー・ウィリー症候群の勉強会がひらかれました。

この病気の治療では

トップにお名前があがる先生がいらっしゃって

とても貴重な講演をきくことができました。

Dsc00126

 

注*******************

ここの内容は講演された先生の承諾を得ておらず

私個人の印象に強く残ったものだけを書いています。

また、録音やメモをしていたわけでもありませんので

正確でない解釈をしている可能性もあります。

その点どうぞご了承ください。

*********************

 

講演は

プラダー・ウィリー症候群の自然歴からはじまり

その後

成長ホルモン、性ホルモン補充や

精神面の問題への投薬治療、

側わんに対する見解

成人患者への治療など

多岐にわたりました。

 

 

治療のキーとなる成長ホルモンは

まだ全患者が保健適応となるには厳しいですが

知能、体組成、身長など色々な面で有効で

個々の患者の状態によって

できれば2才前に行う方がよいとのことです。

 

性ホルモン補充に関して

以前は男性ホルモン補充で凶暴性が増すといわれていましたが

実際そのような事実はなく

筋力がついたり外見が男性らしくなることで自信がつくなど

benefitの方が上回るとのことです。

女子に対しての補充は何の問題もないようです。

Dsc00185

 

また、最近の研究で

プラダー・ウィリー症候群領域の遺伝子が

セロトニン受容体とかかわっていることがわかり

成長につれ問題となっている

かんしゃくやこだわりなどの心理的な問題に

SSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)が有効とのこと。

 

 

この講演で

私が一番うれしかったのは

「プラダー・ウィリーが満腹感を感じないというのはウソだと思います。」

という言葉です。

治療が進歩して自分のことを正確に話せる患者さんに聞くと

ちゃんと満腹は感じると言うそうです。

それでも過食に走る理由はストレスからだということ。

Dsc00221

それなら私だって十分覚えがあります。

ついこの前まで自分自身がまさにストレスによる過食状態でした

ジジを連れて思うように外出できない冬の間

たまにスーパーに行くと

今まで行ったことがないお菓子コーナーに飛んで行って

どっさりスナックを買い込んで

イライラする度に食べてしまっていました。

あまりお菓子類は好きではなかったのに

自分でもビックリするくらいの執着で

もし自分の使えるお金がなかったら

万引きでもしていたかもしれないなあと思ったくらいです。

この姿はまさにプラダー・ウィリー症候群の特徴・・

 

Dsc00214

さらに前述の

プラダー・ウィリー症候群で働きが阻害されているかもしれないセロトニンは

健常者でもストレスなどで減少し

衝動の抑制が効かなくなり過食がおこるといわれています。

今まで

「中枢からおこる得体のしれない飢餓感」

と恐ろしげに感じていたプラダー・ウィリー症候群の過食が

自分でも起こっているものだということが

「対処可能」

という希望につながりました。

 

シロウト考えですが

プラダー・ウィリー症候群で阻害されている種類のセロトニン受容体を

選択的に刺激する薬剤ができれば

過食の治療も将来可能かも、と期待しています。

_igp4148

ジジがプラダー・ウィリー症候群と診断された時

ネットで調べて出てくるのは

ほとんど

一番最初の

「自然歴(治療しない場合の経過)」のみ。

大抵患者の悪い面ばかり羅列してあり

プラダー・ウィリー症候群はこんなものだから受け入れなさい、と

言われているようで絶望感に陥りました。

先生の講演をきいて

「それは昔の話」

といわれているような明るい光がさっと射した気がしました。

こんな難病に対して

少しでも現状よりよくしようと

思考錯誤で治療してくださる先生方がいるだけで

なんと心強いことか!

にほんブログ村 子育てブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 子育てブログ 2010年4月~11年3月生まれの子へ
にほんブログ村

にほんブログ村 子育てブログ 障がい児育児へ
にほんブログ村


1月の通院

2011年01月11日 | プラダー・ウィリー症候群

月1回の小児科&リハビリの通院にいってきました。

_igp3808

                髪切りすぎてワカメちゃん

 

この日は

 

小児内分泌

リハビリ

遺伝子診療

 

の3つの科にかかるので半日がかり。

 

診察の前に

入院していたGCUに

余ったシリンジなどを寄付がてらごあいさつに。

ジジをとてもかわいがっていただき

私達にも細やかな心を配っていただいた

看護師さんたちに久しぶりに再会。

大きくなったジジとの再会をよろこんでくださって

かわるがわる抱っこしてもらい

写真も撮ってもらいました。

「この病院で出産してよかった」

ぽかぽかした心であらためて感謝です。

 

 

小児科で

主治医の先生も

管の取れたことを喜んでくれました。

ムラのある哺乳量で心配でしたが

体重と身長は成長曲線の下限にそって増えているので

この調子でよいとのこと。

 

リハビリでは

Dsc004772 おすわりの練習

プラダー・ウィリー症候群では

脊柱を支える筋力が弱いため

側彎の出る可能性があると思って

おすわりの練習はしないでおいたのですが

多少は重力に抗する運動はした方がいいとのこと。

Dsc00488

赤ちゃんに次の予想をさせたり

意外性をもたせた

「いないいないばあ」

などの遊びを取り入れるように

アドバイスをもらいました。

 

 

心配だった

院内授乳室の初ミルクタイムは

放送や他の赤ちゃんが気になって

キョロキョロしながらも全量飲んでひと安心

 

 

帰りは

Dsc00492 スタバでランチ

大好きなコーヒーと甘い物。

ほとんどないジジを連れての外食も

たまにはいいですね。

すごくリフレッシュになりました。

 

その日の夜から               

Dsc00493 おすわり復習

ジジは反り返りが強いので

こういう姿勢をのばす格好は

比較的すぐできるようです。

そのかわり

丸まる力を使う寝がえりは

まだニガテみたいでできません

にほんブログ村 子育てブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 子育てブログ 2010年4月~11年3月生まれの子へ
にほんブログ村

にほんブログ村 子育てブログ 障がい児育児へ
にほんブログ村


最上の週末

2010年12月20日 | プラダー・ウィリー症候群

わが家では

夜はテレビを消して

10時の最終授乳が終わったら

私はジジと一緒に寝室へ入るのですが

金曜日だけは特別。

 

なぜなら

Logo HPより画像拝借

          NHK「世界ふれあい街歩き」をみるからです

もともと旅番組は好きなのですが

この番組は

ひとり旅の旅行者の目線にあわせた独特のカメラワークで

本当に知らない街を

ぶらぶら気ままに歩いている気持ちになるのです。

 

金曜だけは

10時にテレビの前に座れるよう

みんなで手分けして

ジジをお風呂に入れ

夕食を片づけ

早めに授乳を終えて

お茶かコーヒーを用意して

わくわくしてオープニングを待ちます。

 

 

もうひとつ

金曜日にはスペシャルなことがあります。

ジジの経管栄養のチューブ交換は

毎週土曜日に行うので

金曜の最後の授乳が終わったら

鼻からチューブを抜いて

一晩ゆっくり寝かせてやるのです。

いつもは鼻をグズグズさせて

ときどき目覚めてしまうジジですが

鼻に何にも入っていない夜はとても気持ちよさそうにグッスリ寝ます。

 

 

そういうわけで

家族にとって

金曜日は一番まちどおしい

大好きな曜日になりました。

 

 

先週末もそんな一日。

本当に旅行をしてきたような番組の余韻にひたり

ジジのチューブを抜いてやって

ぐっすり眠るジジの顔をみながら私も安らかな気持ちで寝ました。

 

 

翌朝は

ジジに飲ませるのが一番上手な夫が

久しぶりのお休み。

チューブを入れずに

やれるところまでやってみようということに。

 

少し緊張しながら見守る中

ジジは

Dsc00200 昼も

Dsc002022 夜も

ゆっくりながらも

がんばって飲んで

計720ccのミルクを飲みました。

最終の哺乳瓶がからっぽになるときには

私は涙でグシャグシャ。

 

産まれた日以来

24時間以上ジジの胃に管が入らないのは

初めてです。

これまで幾度となく

涙を流しましたが

こんなうれしい涙なら何度でも流したい。

12/18はジジの記念日となりました。 

 

 

翌日曜日は

師走とは思えない

小春日和の抜けるような青空。

 

 

みんなで車に乗り込んで

モスでお昼を買って

公園へ。

Dsc002202

この日もジジは

がんばってミルクを飲み

管は必要ありませんでした。

Dsc00215

管のないジジは

抱き上げるときクシャミを連発したりしないし

ほっぺたのテープをかゆがりもしません。

キャップの突起が首にアザを作ることもありません。

 

ジジが必要なだけのミルクを飲み

家族でゆっくりと時間を共有する、

あたりまえのことが

こんなに幸せとは。

Dsc002372 イチョウのようにすくすく育て

Dsc002292

             お父さんもありがとう

にほんブログ村 子育てブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 子育てブログ 2010年4月~11年3月生まれの子へ
にほんブログ村

にほんブログ村 子育てブログ 障がい児育児へ
にほんブログ村


乳関係

2010年12月17日 | プラダー・ウィリー症候群

ジジが産まれてからずっと

全面解決にいたっていない哺乳問題。

_igp3135

無駄だとわかっていても

ついつい

「信じられないくらいごくごく飲むように!!」なる

魔法の乳首をもとめては

_igp3181_2 次々と棚の奥にお蔵入り

結局いつも

病院にいるときから使っている

上の写真の青いキャップの

チュチュベビー・口蓋裂用に戻ります。

 

ジジの上あごは

「高口蓋」

といって

高いアーチ状になっているので

乳首との間にすきまができ

うまく吸えません。

なので上あごをぴったりカバーする口蓋裂用がよいみたいです。

 

 

ジジが飲めなかったミルクは

その都度シリンジで手押し注入をしますが

_igp2520

残した量があまり多い場合

最近は

「イリガリードル」という容器でおとしています。

Dsc00025

洗浄が面倒なのと

消毒ケースが容器でいっぱいになってしまうのが難点ですが

注入しているあいだに手が空くので

搾乳ができ

大幅な時間の節約に。

Dsc00033 ただ

最近指が器用になってきたジジ。

上手にチューブをつまんで引っこ抜くので

チューブと手の間におきあがりこぼしのRody君をおいて

目を離さないようにしています。

 

 

ジジの飲むミルクの2~3割ほどが

私の母乳です。

生後1カ月のときには10分くらい直母ができていたのですが

入院が長くなるにつれ

ミルクと哺乳瓶に慣れてしまい

母乳はもっぱら注入用です。

 

この搾乳がつらくて

何度やめようと思ったことか。

「3時間ごとに」

「夜中も起きて」

搾乳しないと出なくなるぞ~

と1日中乳腺に脅迫されているよう。

 

ジジからも飲んでもらえず

搾乳量は減る一方、

乳腺炎でテニスボール大のしこりができたりもして

やめればずっと楽になるのに

なぜそこまでこだわるのか?

というと

_igp3147

やはりジジに少しでも免疫力をつけたいというのが一番の理由です。

 

 

調べてみると

母乳中の抗体は

赤ちゃんの腸壁に吸着して

免疫を果たすそうです。

なので

生後4カ月をすぎ

自分で腸に抗体を作り出すようになると

人工乳児と感染率に差はないとのこと。

んむむ・・

 

2番目の理由は

私の最初で最後のこの育児で

期間限定のもっとも母親らしい証明が

あっさり終わってしまうのが悲しいから。

_igp3155

ジジがお乳を吸ってくれたときに湧いた

なんともいえない幸福な気持ちが忘れられないのかもしれません。

 

 

そんな親の苦労もよそに

ジジの哺乳量はまた停滞期に突入。

「筋力が弱くて飲めない」

というより

「おしゃべりと周囲観察に忙しくてミルクにまったく興味がない」

という状態です。

1c106926 「あたちはいそがちいのよぉーっっ

とばかりに

哺乳瓶をひっつかんではねのけ

ベロで乳首を押しだし

そりかえって暴れます。

  

ようやく飲み始めたと思ったら

天井に何かおもしろいことが書いてあるのか

大ウケして

ライオン風呂状態・・

  

こんなに食に興味がないのに

どうして過食がはじまるんでしょう?

プラダー・ウィリー症候群の病態が

いまいちよく掴めません。

にほんブログ村 子育てブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 子育てブログ 2010年4月~11年3月生まれの子へ
にほんブログ村

にほんブログ村 子育てブログ 障がい児育児へ
にほんブログ村