今月かかりつけの病院主催で
医療者とプラダー・ウィリー症候群患者の家族対象に
第2回勉強会が行われました。
今回のテーマは
「乳幼児期のプラダー・ウィリー症候群児の栄養管理」
関西の病院から医師と栄養士をまねいて講演をしていただきました。
今回も内容が豊富で
私が印象に残ったことだけを感想も交えて羅列していきますので
内容の正確さは保障できないことをご了承ください。
まず最初に小児科の先生のお話。
この先生はプラダー・ウィリー症候群やほかの疾患もあわせて
現在300名もの成長ホルモン治療を手掛けている
ホルモン治療に積極的な先生でしたが
1才前の早期導入までは必要ない、との考え方を示されました。
理由としては
- 肥満に関しては体重コントロール良好群と不良群とをわける因子は
ホルモン治療の有無ではなくて栄養指導の有無であったこと
- 患児が小さいうちは打つ場所も限られ毎日注射する家族の負担も大きいこと
- 国内の他の先生の学会発表ではホルモン治療で認知能に差が出なかったこと
などを挙げられました。
たしかに提示されたグラフでは
栄養指導の有る無しできれいに患者の体重が分かれていました。
さまざまな理由で成長ホルモン治療を受けられない、
または受けられなかった患者さんたちには少し気が楽になる情報だと思います。
次に栄養士さんのお話。
これまでたくさんの患者さんや家族と
いっぱい話しあって考えてこられたんだろうなぁ・・
と思うほど豊富な経験を交え、関西の人らしく?お話がとても楽しかったです。
食事の時間や各自の皿を決めるなどけじめをつける、
低カロリーな食品を選んでカサを多くする、
などの一般的なお話から初めて聞くお話まで盛りだくさんでした。
もっとも印象に残ったことだけをピックアップしてみます。
まずこの病院では患者の摂取カロリーを
主に炭水化物を減らすことでコントロールしているそうです。
5才児を例に挙げると
プラダー・ウィリー症候群児と健常児では
必要なカロリーはすでに550kcalの差があるそうですが
この方法だと、たとえば給食で
ごはんとおやつ、それと牛乳を半分にすることで対応でき
保育園や学校でも対応しやすいのが大きな利点。
家庭でもおかずは家族と一緒なので調理の負担が激減します。
栄養バランス的には悪いそうだけれども
この病院での乳幼児~高校生までの患者さんの体重グラフは
きれいにコントロールされていました。
患児の行動面について。
いわゆる「盗食」をした患者はほぼ100%とのこと。
そういわれるとちょっと凹みますが
よ~く考えてみると
親に内緒で冷蔵庫の食べ物を食べることを「盗食」というのなら
私も夫も数えきれないくらいやりました
ちょっと小腹がすいたときに家のどこかに食べ物があれば
こっそりつまむのなんて当たり前ですよね。
ましてや思春期のハラペコ状態では買い食い・早弁、なんでもアリでした。
そういう自由が許されない患児には
食についての失敗をさせないようにまわりが立ち回ることが大事で
冷蔵庫に鍵をかけることでむしろ本人も家族も楽になるということ。
患者さんの中ではキッチンに自由に入れないように
改築までされた方がいるとのことでした。
「盗食」は患者の異常行動といわれる主な行動ですが
患児の立場で考えると健常でも十分理解できることなんですね。
食に対する問題行動については
ジジの担当の栄養士さんとも先月の受診の時に話し合ったのですが
担当されている中学生の子が食べ物を万引きしてしまった事柄にふれ、
「僕たちだってその年ごろには
親や世間に反抗して問題行動をおこしますよね。
それが小さいうちから制限された食べ物が対象になっただけで
すなわち過食だ、問題だ、とは思わないです。」
と言ってくれました。
「だから、今僕のしていることは栄養学的には正しいけれど社会的にはどうなのか
主治医の先生と話し合っているところなんです。
かえって子供に食べ物を意識させたり
頑張ってきたお母さんがやる気をなくしてしまったりしないように
臨機応変にゆるめていかないと、と思っています。」
と。
食事のことでは1歳半の健診の記事でも書いた通り
時々面倒で行き詰って折れそうになるときもあり
医療側からこちらの心理をくみ取ってくれたのは
心から救われる思いでした。
最後に学術的に興味をひかれたこと。
プラダー・ウィリー症候群の患児の基礎代謝をはかってみたら
ほぼ全例で健常児より代謝が高いことがわかったそうです。
それなのに患児はちょっと食べすぎただけで太るのは何故なのか?
なぜ基礎代謝は多いのに必要カロリーが少ないのか?
原因はまだわからないとのことですが
患者の体内で特別な機構が働いているのか
そもそも基礎代謝の理念が正しくないのか
とても興味がひかれます。
今回の勉強会では
先生方が配慮してくださって
家族同士のふれあいの場を設けて下さいました。
乳幼児対象のテーマだったので
来たのはほとんど1~2歳の子達。
リハビリのこと、幼稚園のこと、側彎のこと、
初めてお会いしたのに共感できる話題で時間が足りないくらいでした。
ジジがうまれてから孤独を感じることもよくありましたが
こんなに近くに同じくがんばってる人たちがいるのが心強くうれしかったです。
今回も非常にためになるお話が聴けました。
先生方、どうもありがとうございました。