魔法科高校の劣等生 (18) 師族会議編 (中) (電撃文庫) | |
佐島勤 | |
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス |
司波美深雪に『婚約』を申し込んだ一条将輝。彼は想いを果たすため、強引な手段にでる……!一方、達也は真由美とテロ犯を追う中で急接近をし―――
今回は、セリフではなく帯から…
先週、今週と読んだ本の中で悪い意味で印象に残り、悪い意味で印象に残らなかったという魔法科高校の劣等生シリーズ、18巻、師族会議編(中)のレビューをと思います。
まぁ、これはここ最近読んでいた本の中で一番ひどいものだったなと思いながら、逆に私の印象に残り過ぎたので、頑張って良いところを探しながら、頑張って書いてみたいなと思います。
ただ、前巻を読んでない方や、劣等生何それ?という方には全く伝わらない感想になりそうです…。
①ストーリーの概要みたいなもの
開催場所が極秘とされている師族会議中に、開催場所で爆発(テロ)が起きる。
師族会議中の魔法師たちは無事に脱出し、被害はなかったものの、開催場所であるホテルの利用客に多数の死傷者が出てしまい、反魔法師運動が活発になる。
そんなさ中、狙わた魔法師側もテロの犯人捜しを開始する。また、主人公達也は四葉家の長である真夜からの命で犯人捜索を行うことになる。
当主となった十文字克也と捜査という名目で一時的に一高へ転校してきた一条将輝、本家に隠れて協力することになった七草真由美とともに共同捜索を行うことになった達也は順調に犯人を追い詰めていく。
犯人を無力化する寸前で思わぬ横やりが入ってしまい…。
一方、反魔法師運動が過激化する中で、ついに魔法科高校の学生や大学もデモの対象にされてしまう。
達也が犯人探しに奔走しているときに、妹の美雪にも魔の手が???
②感想みたいなもの
・帯に偽りあり
帯に書いてある一条の強引な手段、達也と真由美が急接近!❓
ややネタバレで申し訳ないですが、この程度のことで強引な手段!!とか、急接近!!とかちょっとないなと…
何が強引!❓当の一条さん、巻き込まれただけな感じがしますし、真由美と達也の急接近のシーンはわずか1ページあまり…
帯にこんだけ煽っといてそれはないでしょう…というひどいものを読まされた感じがしました。
・ほのかさんが妙にうざい
一高にやってきた一条と美雪をどうにかくっつけようと姑息な手に出てくるほのかさん…。
そんなほのかさんみたくなかったなというのが正直な気持ちです。これは、どうみてもコスイ手にしか見えませんでした。
しかも、16巻で達也と美雪の婚約を決めたのは四葉家の一番の権力者である当主の真夜であって、大きな力が働いている婚約に今更、美雪が一条に乗り換えたところでどうにかできるものではないはずなのですが…。
いや、それでいろいろと覆るようならそれはそれでいいのですが、なぜか『婚約』という縛りがバレンタインで発動され、美雪は将輝に義理チョコは渡さないですし、真由美も達也に義理チョコを渡さないのがルールみたいなものになっています。
師族の渦中の方々は世間体などを気にしているのに、ほのかだけが達也に本命チョコを手渡してしまうということは、これってもうほのかさんは完全に蚊帳の外なんじゃなかろうかと思ってしまいました。
と、無駄にほのかさんがうざいというのと、何が面白かったのかよくわからないバレンタインデーを盛ってしまっており、結局残ったのがぐだぐだな犯人探しだけでした。
・美雪の内心の変化やそれに対処できない達也の描写
本巻で一番気に入っているのは、(気持ち悪いというのは別にして)美雪の兄の達也に対する気持ちの変化しているところです。
これまでは、兄に対する気持ちは恋愛であることは認めていたものの、妹としてそっと気持ちをしまっていましたが、婚約者という立場になって、兄に対する気持ちを開放できました。
ただ、美雪が気持ちを抑え「妹」という立場にいた時は『どんな振る舞いを達也にしても、ずっと達也の妹として一緒に生きていける』という気持ちでいれたものが、「婚約者」という立場になったら、『今度は男女という脆い立場になるため、こう振る舞ったら達也に嫌われるのでは?』という達也に嫌われたくないという恐怖の観念から積極的に兄に振る舞えないなどの弊害が出てきています。
例えば、真由美に対する嫉妬を達也にぶつけることが、達也に嫌われるのを恐れてできないシーンがあります。
この異変に達也も気が付いているのですがどう妹に接して良いのかわからず、お互いが内面的に若干ぎくしゃくしながら物語が進んでいき、最後の引きになっているというところが面白かったなと思います。
③まとめみたいなもの
と、面白い部分は最後に書いたものの、前に書いている部分の設定といろいろと矛盾がでているのではないか?などなどいつも通りのツッコミどころも満載だったなと感じました。
また、あとがきに作者が上下巻で終わる内容だったと書いていたため、なるほど、確かに妙な引き伸ばし感が半端なかったなと思います。
なんというか、内容自体が薄くて進んでいない上、バレンタインのくだりなどの冗長でどうでもよい部分を削ったら80ページくらいでまとまったんじゃないだろうかというくらいダラダラした内容だったなと思いましたので…。
最後のところから続く次回が楽しみな巻ではあるのですが、『帯に書いている部分の内容が薄すぎること』、『「婚約」という縛りがある中でのほのかの行動がこすい上にうざい』という印象しか残っていないので、今巻に関しては冒頭でも書いているように『悪い意味で印象に残り、悪い意味で印象に残らない』という巻だったなと思いました。