ASD特性の一つとして「こだわり」が挙げられます。
重度にこだわりが強すぎると日常生活にも支障が生じるようになります。
私たちは外に現れている症状を見て問題行動だと捉えてしまいますが、氷山の一角といわれるようにそれはあくまでも結果として生じているケースが多いように思えます。
その下の隠された部分に視点を当てないと、こだわりへの関わり方を間違えてしまいます。
幼少期によく表れる行動として、例えば水へのこだわりがあります。
絶えず水を流したがる。水道を見ると蛇口を開く。噴水、水路など水の流れのある所から離れない。
何故なのか。重度ASDだからなのか。
小さい子どもは本来水遊びが好きです。
感覚が心地よいですからプール遊びなど好きですが、一人で長い時間水の流れを楽しむ行為はあっても短い時期で終わります。
流れる様をずっと見ている。飛び散る水の煌めきを追っている。その場から離れずずっと一人でいる。
当然親は心配になります。ほかの子どもとの関わりが持てない、自分で持とうとしない、一人遊びからまわりとの関係に広がっていかない。
子ども同士が関わりを持てるような環境があれば改善していくのではないかと考えます。
集団生活の中で身についていくのではないか、薬でこだわりが軽減できるのでは、と検索します。
家では家族でゆっくり寛げる時間を持つことも難しくなるかもしれません。
炊事、洗濯、お風呂、トイレ、他にも、水を出しっぱなしにはできませんから、お母さんは元栓を閉めるか絶えず子どもに気を配らなければいけません。
どう気を配ればいいのか。その辺にヒントがある。
ずっと子どものこだわりに付き合っていくことはまず止めたほうがいいです。
こだわりに気を取られていると「だめ!やめて!」と、
どうしても私たちは子どもを否定してしまうことが多くなってきますから、
その行為を肯定される行動に少しだけ、置き換えていくのです。
手を洗った後に、おやつの時間(「おやつ」が次の行動へ切り替わる見通しとなります)
手を洗った後に、夕食の時間(同上。大好物なメニューほど効果は大です)
視覚化で切り替えの効果は確実になりますが、難しい準備は何もいりません。
スマホで写真を撮っておいたものを示せば良いのです。
いつも使っている洗面だとかハンドソープ、それとコップとかお皿、好きなおやつなど。
現物でも良いのです。見通しボックスに入れておく。
切り替えができた時点で「よくできたね」で肯定的な一言を添えればいいです。
視覚的見通しが習慣になれば、おやつの後でコップを洗うこともできます。
そうなると今度は「ありがとう」の言葉かけが増えていき、
それが子どもの成長の財産となっていきます。
自立課題:セルフレジでお金を払う