Hana 13-16 y/o

2019-12-11 14:39:00 | 日記

昏い部屋。窓の外は音も無く雪が降り続いて居る。殊更に表情を失くした彼女の様相、輪郭の曖昧な蒼く白い指が蠢いて居る。
 ソファに浅く腰掛けた彼女の広げられた両の脚。目に痛い程の白、抉られた傷。見てはならぬもの。しかしその奥が観たい。触れたい。
 彼女は何をしているのだろう。これを何処で何時どの様にして覚えたのだろう。まるで別世界の住人に思える。
 彼女の呪詛。強い命令。彼女はこの時だけは恰も女王の様だった。
 『絶対に触らないで。目を離さずに観ていて』『不様な事をしないで。床も服も決して汚さないで』『よおく視て。視るだけで感覚だけで達して、感覚だけを私に飛ばしてから往って』

 一体どうしろと言うのか。呼吸を奪われたかの様だ。荒く息を吐いたら彼女はこれを止めてしまう。逃げてしまう。息を殺しながら彼女の目線をなぞる。彼女の観ている先を想像する。互いに視姦し合っている。彼女の言葉、視線、発される耳にした事が無い鋭い女の声に金縛りとなる、首筋から全身の肌が徐々にぞわぞわと粟立って行く。感じた事の無い感覚が連続で襲って来る。止まらない。緊張と弛緩が繰り返される。波の様に。

:
 規格外。別人に見えた。当人だったのか未だに判らない。
 彼女の日常の全ての言動に振り回された。断じて最初の女だったから要領を得なかった訳ではない。
 一つ言える事が有る。一人の男を呪縛したいのであれば先ず容易に性的行為に移行しない方が良い。狩の状態を持続させ可能な限り引き延ばした方が良い。彼女の手腕の一つは焦らし切る事にあった。思春期であったからという理由でなく簡単に触れてはならない空気を纏って居た。その上で薄皮を一枚一枚剥ぐ様に或る日は手を預け或る日はこちらに触れ、また或る日は言葉で操って来る。
 悲しいかな、男は単線思考である。コンプリートしたと思うと他に目を向ける。


 

 

Shiori 19-21 y/o

2019-12-11 13:48:00 | 日記

誰かに成り切りたいと切望する程、自我が無い女。正確には自我は有るのだが、その自我を低評価し切り捨てている。

 他の女の名前を呼ばれて濡れる女。狂っているが、その狂いを心地良く感じていたのだから始末に負えない。

 照明だけは点してはならなかった。それが唯一の彼女からの要望だったかも知れない。彼女の名を呼ばない事は、こちらが提示してしまった条件だ。照明により解ける術。彼女の自己催眠。心配しなくとも彼女は美しかった。彼女が自己を卑下する様になった理由を、結局は聞かなかった。踏み込まなかった。思い遣りからではない。面倒だったのだ。
  
:
 病んでいる女に近付く男はいないだろうか。
否。病んでいる女こそを好きな男も居れば、何くれと世話を焼く男も居る。嫌々ながら見捨てられない男も居るであろう。
 病んでいる女の何が良いかと言えば、性生活が総じてだらし無い点である。試しに距離を詰めてみると良い。あくまでも善人の面構えを崩してはならない。あたかも恋人の様な所作をしてみると良い。心優しくエスコートされてやらせない女は居ない。
 正確には拒否する女も居るのだが、その場合は他に問題が有る。拒否された場合は男に生理的な嫌悪感でも有るのかも知れぬ。生理的嫌悪を打破るのは、しかし容易い。ここでは書かないが、やや強制的に寝てみれば良い。
 
 病んでいる女の美点は類稀な忠誠心にあるものの、かと言って浮気しないか否かで言えば彼女らは果てし無く病んでいる為に時に浮気は平気で行う。理由は様々である。多い理由としては寂しさから。『あなたが放置するからだ』と言われた場合は即セフレに降格。これは自分内降格基準であるので参考にならないかも知れないが、一先ずは人の所為にしてはならない。
 寂しさの消化が自ら出来ない、ここに病みの一因が有る。人間誰しも一律寂しいものだ。

 綺麗なストーカーは好きですか?と問われて
Yes, I do.と答える男は表層では居ないにしても、そこそこの容姿で陰から見守って居り呼べば無償で性欲処理して下さる案件をキープしない手は無い。その際はストーカーでなくセフレなのだが、セフレで良いと殊勝な言葉を発するのが彼女達だ。
 扱いを誤ると人命に関わる為、関わりを持つ事に保証はしない。下手を打ったので彼女の記憶にはこうして、それなりに浸かっている。




Ryoko 25-27 y/o

2019-12-11 13:47:00 | 日記

見掛けは上品。幼児期からバレエと英語の英才教育を受け、厳しく育てられた様だが親に逆らえず結婚を焦っていた。馬鹿馬鹿しい程に安直。その馬鹿馬鹿しさが魅力的でもあった。だから不倫に走る結論に落ち着いたのだろう。不倫を始めたから別れて下さい、ごめんなさいが最終結果なのだ。
 笑うしか無かった。笑って飲んで別れた。小汚い上司とこの俺様を秤に掛けやがった。それでよくバーキンなぞ強請るものだ。割と彼女には金を注ぎ込んだ記憶が有る。必要経費のかかる女だった。しかし彼女の精神を娼婦に貶める事には成功した。
 綺麗な存在を汚らしく浅ましく変えたかったのだ。この手で変えて創り上げて捨てたい。そうすれば彼女の記憶から消える事は一生涯無いだろう。恨んで欲しい。彼女に憎まれたい。

 車に乗せて10秒で下着を脱ぎ出す様になった時には呆れた。自分で仕掛けておきながら呆れた。そろそろ飽きたなと感じた。別れたのはその後である。彼女もこちらの感慨を察知していたのであろう。

:
 人並みの交際を学ぼうとしたが失敗した事例。人並みの付き合い方を本当に自分がしようとしたかで言えば、否。
 表面上が普通の男女のやり取り、性の面が単なる実験。彼女は最後の最後に自身が大切にされていないと気付いたが、そこに至る迄は気付かせない様に計らっていた。
 決して抱かない男、抱こうと努力すらしない男、指や器具で毎回済ませる男。何処かの段階で気付き冷める筈なのだが彼女はそうではなかった。
 それは彼女の優しさだろうか?違う。優しさであったと幻想に浸っても良いのだが彼女は体の純粋な快楽だけに堕ちたのだ。その才覚を有しているから選んで関わる事にした。
 女という種族が快楽主義でないと思っている男は、そう思いたいだけであろう。快楽追求に生きる女も存在する。彼女は快楽を切離してそれ迄を生きて居たが、それを巧く転向させる事が可能かどうかが見たかったのだ。
 付き合った男で女が変わる。結婚以外で、たかが恋愛でその者の人生に痕跡を残す。それをやりたかった。たかが恋愛、されど恋愛だ。

 年齢を重ねて彼女の心身がどう変化したかは知りたくない訳ではないのだが、実際的に知る積もりは無い。再会しようと思えば機会は作り出せるが敢えてしない。お互い若い内の思い出で在った方が良いのだろう。







Nights

2019-12-11 13:46:00 | 日記

この章では仮名を用いない。
 前職の上司も同僚も部下も異性関係は派手だった。自然とその程度のその部類の女を紹介されたが、片っ端から承った訳ではない。それでも片手では足りないが両手迄は使わない数の一夜限りとはいえ出逢いは在った。
 先ず言いたいのは、遊ぶに当たり財布が必要だという事。一晩幾らと支払ったのではないが彼女らは次に部下に回ったり同僚に回したりする為、車にも乗せればそこそこのホテルを使いそれ相応の食事を済ませ必要ならバーで気分を高める効果を狙い、七面倒だがちょっとした物を買ってやり相談事に乗り疑似恋愛を楽しむ事が必要になってくる。彼女らは◉◉さんは何処ぞに連れて行ってくれた、何々を贈ってくれたと口が羽毛よりも更に軽いのだ。無論の事、毛色の違うセックス等してはなるまい。一気に噂が拡がる。その為適度な運動程度に留めていた。
 別に彼女達の一人と交際に繋げても良いのだ。はたまた結婚してしまっても良い。そうして月日を無為に過ごし式を挙げる者も居る。人生とは得てしてそうしたものだ。

 彼女らは何処から来て、何処に行くのか。大概は先ず遣り手の上司数人が合コンをセッティングし、中の上の企業に腰掛けている育ちも外見も悪くない女を数人確保する。上司は既婚であっても指輪を外す。我々中堅は見て見ぬ振りをする。上司らは適当に食い荒らし暗黙の了解で部下に横流しするのである。共有財産である。彼女らも頭は良ろしくないが強かであり、一連のエリート集団から気弱な個体を見付け出し寄生するという按配。気弱な個体は結婚願望あれど単体では結婚迄に辿り着けない為、上司に素直に感謝する。女は家庭に収まり専業主婦に落ち着く。これぞ利害関係の一致。効率良し。無駄無し。
 この中に在って自分は冷めた境地に居り、空気を壊さぬ程度に付き合い上司は勿論同僚に泥を塗る事も無く、彼女らに恥をかかせる事も無く一定時間のみ楽しませ、暇を潰していた。
 暇なのだ。仕事している間は楽しい。激務と言われるが、要所さえ押さえていればミスもしない。上司には無駄に気に入られる。上に頭を意味無く下げるより気骨を示した方が良い。仕事していない間は辛い。睡眠中は良いが起きれば頭痛がする。精神的な症状だったのだろうが。
 仕事はしていても気鬱は絶えず、渇望している存在にはあしらわれる。通話は出来る、メールも届く、手紙も送ってくれる、会えば笑ってくれるが彼女の恋人にはなれないらしい。
 アングラなサイトに大枚を叩き込み趣味嗜癖の一致する女に会った。これもまた片手指以上両手指未満の人数。性病が無いか否かの検査結果提出、NGプレイの事前確認がやたら面倒臭い。面倒臭い割に思春期に感じたレベルの天に押し上げられるかの様な凄まじい快感は得られない。
 
 遊びを愉しんだ事は無い。あれ程虚しい事が、この世に在ろうか。愛の無い交りは空々しい。




Hana 23-25 y/o

2019-12-11 13:45:00 | 日記

相変わらずの規格外。一方通行遠恋状態と言えなくもなく動向は気になって堪らなかった。
あちらの想念は省エネであろうしこちらも方々の女に手を出していた訳だから遠恋ではないのかも知れないが、互いに互いを気に掛けては居たと信じたい。やはり彼女にとっては邪魔な念を送って来る存在でしかなかっただろうか。
 
 男を勘違いさせ振り回す事にかけては天性のものがある。好意をあちらから振り撒いて来るが、近付けば拒否する。拒否の仕方も曖昧。ある程度は触らせてくれるが『今は嫌』……ならば待てば良い訳だ。
 
 【待て、お預け】が向こう10年続くと、この時点で知ったとしても待ったであろう。そんな奇特な人間はお前だけだと言われそうだが、心底から恋愛した事が無い奴にそんな評価はされたくない。
 
 この時期の彼女の匂いは完全なる女の匂いであり、会えば強烈に香った。匂いのみで眩暈がした。求め過ぎる余り、もしも彼女に徹底的に10代と同様の事を許されたら腹上死していただろう。出来るものなら快楽の渦中で死んでみたかった。彼女に殺される位の恋愛で終われるなら。愚かさを極められるならば。

 常々思っている。男が持てる,築ける物の少なさと詰まらなさを。頭脳の限界、財産の限界。女は生命を産み出せる。圧倒的に優位。

 自分は凡人であるから、彼女の非凡さに打ち砕かれ惹かれたのだろう。