子どもパークレンジャーの記録!

子どもパークレンジャーの活動を報告するブログ。

  第3回 歩くスキーで冬のさんべをパトロール<1月21日(土)~22日(日)>

2006年01月31日 | 山陰地区(2005年度)

実施日:2006年1月21日(土)~22日(日)
実施場所:大山隠岐(だいせんおき)国立公園三瓶山(さんべさん)地区 北の原周辺
(国立三瓶青年の家、島根県立三瓶自然館)
活動テーマ:
◎最後の活動なのでレンジャー、ボランティア、班の仲間とさらに仲良くなる。
◎レンジャーの大切な仕事のひとつにパトロールがあることを学ぶ。
◎動物の足跡などを観察しながら、冬に生きる動植物について知る。
◎報告や発表を通じて、見たこと感じたことを他の人に表現する機会を得る。

開会式、アイスブレイク
 前回・前々回の反省を踏まえ、また今回は雪の中での班行動であるため、野外活動での注意事項、班行動の大切さについて注意をうながしました。アイスブレイクの中では、プロジェクトワイルド「Oh Deer」を行い、からだを動かしながら、森の動物が生きていくために必要な要素について学びました。

歩くスキーで冬のさんべをパトロール②-歩くスキー練習
 室内で道具の説明を受けてから野外に移動し、準備体操を行った後、実際にスキーを装着しました。まず、歩き方、転び方などの基本的な練習を全体で行い、その後に班ごとに周辺を歩きながらスキーに慣れる時間にしました。ほとんど全員が歩くスキーは初めてでしたが、練習が終わるころにはずいぶんと慣れている様子でした。また、スキーをはずして雪面を歩く体験をした参加者もおり、雪にはまって大変だったようで、歩くスキーが冬の有効なレンジャーのアイテムであることを体感していました。

歩くスキーで冬のさんべをパトロール③-冬の野外をパトロール
 歩くスキーをはいて、森のなかやトレイリングコース、なだらかな草原などを班ごとにパトロールした。各班ではレンジャーやボランティアが参加者への解説にあたり、道のとちゅうで発見した動物の足跡、植物、冬の風景の様子などは、後の報告のために各自で手帳にメモしました。前日にスキーに慣れていたため、大幅に遅れる参加者はなく、おおむね班で行動ができました。

報告書づくり、発表
 パトロール中に発見してきたことは、A5サイズの用紙に、左半分に絵を、右半分にその説明を書き、報告書として作りました。ひとりで何枚も書く参加者もいれば、一枚をきれいに仕上げる参加者もいました。班ごとに模造紙(もぞうし)にはり付け、班の報告書として完成させました。発表の際には班全員が前に出て、一番印象に残ったものをひと言ずつ発表していきました。発表後の閉会式で、河原所長より参加者にあいさつがあり、本年度の活動を終了しました。

参加者の反応
(今回の活動の中で発見したことや気づいたことは何ですか)
・さんべの冬はたくさんの動物がいるということを知りました。
・雪の上にもたくさんふしぎがあること
・ヤドリギがすごかった。
・山の気候は変わりやすい。
・こくりつこうえんのだいじなところがわかった。

(その他)
・来年からは(高校生になるので)参加できなくて残念ですが、またの機会にさんべに来たいと思います。インプリさん(ボランティア)として参加できないかな・・・

事務局の感想など
・初日に歩くスキーに慣れるための練習時間を十分にとったため、翌日の野外パトロールがスムーズでした。
・初日夜、曇天のために天体観察会が中止となり、三瓶自然館で動物の足跡の学習に切り替えました。 

報告:JPR山陰地区事務局 井上


  第2回 シラカバの森パトロール隊!<8月20日(土)~21日(日)>

2006年01月25日 | 中部地区(2005年度)

実施した日:8月20日(土)~21日(日)
実施した場所:中部山岳国立公園(乗鞍高原)
活動テーマ:むかしから牛の放牧地が混在する景観として親しまれてきた「乗鞍高原(のりくらこうげん)」。
むかしと今とではどううつりかわってきたのかを知ってもらい、シラカバの木を除間伐(じょかんばつ)することで、むかしの景観を復元しようとしている地元の活動を体験してもらい、人と自然との関わりを学ぶことを目的とします。

① アイスブレイク
活動をはじめる前に、体調確認をかねて「クイックチェック」。全員に意思表示をしてもらった。つづいて「ヤート・サークル」を行いました。みんなで手をつないで円になり、いっせいに後ろに倒れ込むようにしたり、交互にからだを前後に倒したりバランスをとるゲームを行った。ヤート・サークルをする前は不安な声があがっていたが、全員が互いを信頼し協力することで、やってみると意外と簡単にできて楽しかったようです。また「仲間探し」という自分の誕生星座をジェスチャーで表現して、同じ星座の人を探し出すゲームをしました。自分の星座をどう表現したらいいのか悩んでしまう子どももいたが、みんな思い思いのジェスチャーで楽しんでおり、なごやかなふんいきをつくることができました。

② 散策・スケッチ
乗鞍高原を散策して、自然を楽しんでもらうことにしました。
高原内の牧草地を2つのグループに分けて散策。乗鞍の植物や雲のようすを観察したり、牧草の上にねころがって目をとじて視覚以外の感覚を使って全身で乗鞍を体感してもらいました。
途中、高原内で熊が目撃されたとの情報が入り散策コースの一部を変更しました。牛が放牧されている牧草地の辺りまでは散策を続けることになり、子ども達は牛の糞(ふん)が散乱しているところをわきあいあいとしながらも、避けて歩くことに力をそそいでいました(何人かは踏んでしまった様子で、わいわいと騒いでいた。)。
牛と出会ってからはそれぞれ自由にスケッチをはじめ、牛の動きやとくちょうを観察していました。パークレンジャーが牛を手なづけているうちに子どもたち一人一人が牛に触れてみる体験ができました。初めて触れる子どもたちもいて牛に恐る恐る触れていたが、とても良い経験になったようです。

③ ナイトハイク・星座観察
夜空を見上げた時に、夏の星座を見分けられるようになるための星座観察を日本一平で行いました。
星座早見盤の使い方を勉強した後、パークボランティアの解説を聞きながら、星空と星座早見盤を見くらべて、夏の大三角、北斗七星やさそり座などの位置を確認しました。
その後、遊歩道(木道)の上に子どもたち全員があお向けに寝転がり、乗鞍高原の満天の星空を満喫(まんきつ)しました。

④ 景観維持(けいかんいじ)活動(シラカバ伐採)
パークレンジャーから乗鞍高原のむかしの景観について説明をうけて、地元の人達が行っている景観維持活動の目的を理解した上で、活動を開始しました。
景観維持活動開始に当たって、パークレンジャーが「枝打ち用のこぎり」で直径20㎝弱のシラカバの木を伐(き)るデモンストレーションを行いました。
そのあと男の子と女の子のグループに分かれ、「枝打ち用のこぎり」を用いてシラカバ伐採(ばっさい)と伐木(ばつぼく)の玉切り(たまぎり)を行いました。
小径木の伐採及び玉切りを行った女の子のグループは作業が早く終了したので、「鉈(なた)」を使ってシラカバの樹皮を剥(は)ぐ体験も行うことができました。この活動で伐採したシラカバの輪切り(コースター)を作成し、子どもたち全員に持ち帰ってもらいました。

参加者の感想
星座観察と景観維持活動が特に印象に残ったようです。とりわけシラカバ伐採はおもしろかったようで、また体験したいという声が聞かれました。また、リピーターの子どもたちから新たなプログラムとして、“別のコースを散策したい”とか“サイクリングをやりたい”などの声があがっていました。

事務局より
熊の目撃情報によるコース変更など、子どもたちにとって、来るごとに新鮮な刺激や発見が得られました。また、シラカバの伐採など自分の手や体を動かす活動は大変ではあるが良い刺激となり、シラカバの皮の採取といった昨年と少し違うちょっとしたことに驚きと感動を得ていたようです。最終日、午後から天候が崩れそうなようすとの判断で予定時間を繰り上げて解散しました。パークレンジャー、パークボランティアの方々が積極的に関わりを持ってくださったおかげでスムーズに運営できました。

JPR中部地区事務局:上村


  第1回 ゆけ!上高地探検隊!<7月23日(土)~24日(日)>

2006年01月19日 | 中部地区(2005年度)

実施日:7月23日(土)~24日(日)
実施場所:中部山岳国立公園(上高地(かみこうち)ビジターセンター、小梨平及び大正池)
活動テーマ:上高地ビジターセンターを拠点に、小梨平、大正池をレンジャーと共に自然を観察しながら散策します。自然観察の中で、見たものや疑問に思ったことを自分たちで調べ、その結果をまとめてオリジナルの上高地探索マップを作ります。

Ⅰ.散策
上高地の清流を泳ぐブラウントラウトの姿に「おいしそう」とか「たべてみたい」という声があがり、子どもたちの屈託ない感性におどろくばかり。‘野麦(のむぎ)’という地名の由来が50年に一度花を咲かせ実をつける笹のようすからきていることを知ったり、‘アサギマダラ’という渡りの蝶を発見してその羽の美しさなどを観察したりしました。大正池では「池の中で立ち枯れている木の数が年々少なくなっている」というお話を、過去の記録写真をまじえて説明してもらいました。

Ⅱ.星の観察会
熊の出没情報があったこともあり、今年はナイトハイクから星の観察会にプログラム変更。夕方くらいから空には雲がかかっており、ひとつも星を見ることなく終わってしまうのではないかと心配しましたが、暗くなるにしたがって、わずかではあるが雲間から星がのぞきました。一番初めに雲間から“こと座のベガ”が見られると歓声があがり、子どもたちはパークボランティアの“夏の大三角形”の話などに熱心に耳を傾けて聞いていました。

Ⅲ.マップ作成
上高地の散策の中で、観察した昆虫、動物や植物、疑問に感じたこと、パークレンジャーから出された課題などをビジターセンターにある図鑑やインターネットを利用して調べました。ひとり一枚の模造紙が渡され、調べた事柄などを書き込んでオリジナルのマップを作成しました。マップはひとりひとり視点の異なった個性的なものが出来上がり、上高地の自然への理解を深めてもらえたようでした。

参加者の感想
 今年は昨年に引き続き参加してくれた子ども達が大半であった。パークレンジャーの「昨年と比べて池の中の枯木は何本になりましたか」とか「昨年の川の水温は何度でしたか」という質問に「覚えていません」という反応が返ってきたので、「来年も質問するから覚えておくように」といわれ、しっかりとレンジャー手帳にメモを取っていました。昨年と同じ散策コースだったこともあり、「他のところも見てみたい」とか「違うコースもあるの」とか上高地をもっと知ろうと意欲的な関心を示していた。

JPR中部地区事務局:上村


  第5回 九州の水がめ 阿蘇<11月22日(火)>

2006年01月05日 | 九州地区(2005年度)

実施日:11月22日(木)
実施場所:阿蘇(あそ)くじゅう国立公園内 山都町
活動テーマ:九州の水がめ 阿蘇
ねらい:阿蘇のカルデラ地形、火山地質は、この地に降った雨を九州地域において多大なる湧水(ゆうすい)を生んでいます。今回は、本国立公園内に住む、子ども達が水の循環(じゅんかん)について学ぶことにより、阿蘇の自然環境や草原の大切さを知るとともに、自分たちの住む地域が“水”と大きく関わっていることへの気づきと、維持(いじ)への意識を持ってもらう。

① 土が水をキレイにする!
土壌浄化(どじょうじょうか)の実験装置(じっけんそうち)を使い、コーラが水になる実験を見ました。2つの透明(とうめい)水槽(すいそう)の間にある、土が「毛管作用(もうかんさよう)」でコーラを引き上げ、土壌を通ることによって、となりの水槽へは透明の水になって出てきます。この実験は、実際2~3日かかるということでした。子ども達は、その後、佐藤講師の話により、「自分たちの今飲んでいる水は、30年かかって湧き出てきた水」ということに一番驚いていたようでした。

② 土壌浄化装置の見学
実際にホテルに設置された、土壌浄化を使った汚水処理施設(おすいしょりしせつ)を見せていただきました。集まってきた汚水は、臭(くさ)くて見るも躊躇(ちゅうちょ)していたが、装置内を浄化され、最終に出てきた水を透明グラスにとるとほとんど不純物(ふじゅんぶつ)がないほどの水になっていました。ここでは、土壌浄化の仕組みがわかって、土、そして、そこに住む微生物(びせいぶつ)の力のすごさを知りました。

③ 水の循環「紙芝居」
対象年齢にわかりやすくレンジャーの方が「水の循環・湧水」について紙芝居を作成し、話をしました。湧水の多い地域に住む、子ども達にとっては、一番身近な話でもあり、また、あらためて知ることが多い内容でした。あってあたり前の存在だった水ですが、「コンクリ-トが草原をうめつくしてしまうと、水の流れが速くなって、木や家などが流されてしまうから、草原はこんなことにならないためにも大切なんだということがわかった。」など、具体的な理解と守っていかなくてはといういしきも子ども達の中には印象づけられました。

④ プロジェクトワイルド「みんなのトンボ池」
「トンボ池の環境を守りながら、周辺地域に住宅、工場、お店などより良い環境づくりをするには、どうしたらよいか?」というグループワークをしました。あーでもない、こーでもないと子ども達なりになやみ、各グループとも趣向(しゅこう)をこらしたものが出来上がりました。また今回、学校連携事業で、となりあった2校合同で活動を行ないましたが、グループワークの際、学校ごとではなく、混合にしたところ子ども達は、初めは慣れませんでしたが、だんだん慣れて、最終的には、「仲良く、楽しくやれてよかった!」という意見がでました。これは、今後、過疎化(かそか)も進む、地域を担(にな)う子ども達として不可欠(ふかけつ)な“連携”という形に少しでも気づけたのではないかと思います。

■アンケートより
プロジェクトワイルド 「みんなのトンボ池」をして近くの住む人のことしか考えなかったので、その下流の人たちはどうなるかと考えると、またちがうふうにしないといけないことがわかった。他の班の考えはすごいと思った。水をムダに使わず、あまり汚くならないように使おうと思った。
水をきたなくしない。空気をよごさない。排気ガスなど出さないようにする。
僕たちが下流のことを考えなければ、下流の人たちがこまることを知った。上流、下流を考えないといけないからたいへんだなぁと思った。ひとりひとりが考えて行動しないといけないと思った。

事務局より
子ども達は、自分たちに身近な、草原や水、そして阿蘇について決して興味がないわけではないようです。単に経験、体験が不足しているだけで、「あらためて知った。」とう言葉も多くありました。住んでいるからこそ知らないことは誰しもあり、そこに住むからには知ってて当たり前という観点はおいて、これからは、少しでも多く、このような体験の機会をつくっていくことが必要だと感じました。

報告:JPR九州地区事務局 伊志嶺