肩胛骨は翼の名残

最近はサッカーネタばかりです。気まぐれに書いてます。

「サッカー見るプロになれる!50問50答」

2012-05-06 14:56:30 | 5.Book
久しぶりに唖然とする本だった。
目次(=50問)がかなりいいところを突いていることと、
100円だったことから何気なく買い、つらつら読み始めた
ものの...

なんじゃこりゃあああ(笑)

日本代表はダメ
その元凶は金満日本サッカー協会
Jリーグもドンドカ騒いでるだけ
やっぱバルサだろ
ってか俺カンプノウの記者席で見たし

要約するとこんなイメージ。

スポーツのみならず、ノンフィクションを扱う書き手に
一番必要なことは「取材力」と「表現力」を両立させる
ことだと思うのね。

ただ駆けずり回って取材しました、こうでこうでこうでした、
だったら夏休みの小学生の絵日記。
逆にろくすっぽ自分の眼と足を使わずに言葉を弄んでいる
だけならいっそフィクションにしてしまえ。

この本に関して言うなら後者。いや、フィクションにも
ならないレベルだけどさ。

挙げたらキリがないが、一つだけ。
日本にはゴール裏の「サポーター」と一般席の「お客さん」しか
いないとした上で

「試合中ジャンプしながらずっと歌を歌い続けてる『サポーター』」

えっとJリーグのゴール裏にどれくらい行ってるんでしょうか。
どこに「歌い続けてる」「サポーター」を見たのでしょうか。

Jリーグでもカップでも、静まり返る瞬間がある。ボールを蹴る音が、
選手や監督の声が響くときがある。
ゴール裏だって息を詰めてボールの行方を見守る時間は結構ある。

そんなこと、何度か試合に行っていればわかることなのに。
つまり「行きもしないでイメージで適当に書き垂らした」一文である
ことがバレている。

本書が発行されたのは2010年5月となっている。
W杯南アフリカ大会より前で、筆者は「3戦全敗やむなし」と得意げに(?)
予言している。岡田「サン」ではだめだ、と。

結果は子供でも知っている通り。

もちろん「予言」を当てることが商売ではない。しかしこの本を
「入門書」と位置づけているのであれば、筆者、編集者ともに細やかな
注意を払うべきだった。本書を手がかりにサッカーを見始めたら
混乱してしまうだろう。そして結局「サッカーはわからない、つまらない、
だから見ない」となってしまうかもしれない。そんな危険を孕んだ題材と
認識していないのだろうな。


(余談ですが、読んだあとにこのライターを検索したら、一貫性がないこと
やただ代表を叩くだけで有名な人だったんですね)

一応、一つだけいいなと思ったところを挙げておきます。ある種、当たり前
だけど「サッカーはミスの応酬」と書かれたところ。
ミスをしなことが大事なのではなく、ミスをフォローすること、あるいは
ミスをチャンスに変えられることが大事だよね(ってことまで書いてないのが
また情けないのだが)。


本のおかげで大学まで出させてもらったワタクシとしてはどんな本も捨てる
ことができず、たとえ二束三文であろうとタダであろうと古本屋に渡す主義
なのですが、この本だけはこれ以上世間に流通させてはいけない、と勝手に
使命感に燃えて、この世から抹殺させていただきます(笑)。


「永遠の七日間」マルク・レヴィ

2011-12-08 14:00:29 | 5.Book


嘘を知らない女と真実を語らぬ男。二人の出逢いは、神の誤算か、それとも悪魔のたくらみか?
めぐり逢いという名の幕がいま開く――。

フランス・No..1恋愛作家が紡ぐ、極上ラブ・ストーリー待望の邦訳。
彼のこれまでの作品は、全世界で累計1,600万部突破し、39カ国で翻訳されている。
(PHP研究所HPより)

新聞の広告で以前目に止まった↑紹介がずっと心に残っていて
ようやく入手して読みました。

んー。
んー。
んー...。

もっとヒリヒリするような恋の駆け引きや、葛藤や衝突が
あるのかと思っていましたが...。
とくに「男」の方がなんだかあっさり恋に落ちちゃって、
二人が出会うまでの「男」の邪悪さはなんだったの?と
しか思えませんでした。

こう言っては読み手の想像力の欠如なんだけど、つまり
キリスト教的価値観が根づいていない私にはどうしても
ピンと来なかったです。

では「正邪の戦い」かと言えばそういうわけでもなく、
確かにどちらの陣営にも混乱を与えるものの...。


宣伝文句に載せられたパターンでした。
先入観がなかったら、それなりに楽しめたのかもしれない。


っつうことで本棚に残したい本ではありませんでした。

「グロテスク」桐野夏生

2011-11-30 14:22:47 | 5.Book


光り輝く、夜のあたしを見てくれ。堕落ではなく、解放。敗北ではなく、
上昇。昼の鎧が夜風にひらめくコートに変わる時、和恵は誰よりも自由
になる。一流企業に勤めるOLが、夜の街に立つようになった理由は何だっ
たのか。『OUT』『柔らかな頬』を凌駕する新たな代表作誕生。
(「BOOK」データベースより)

美貌の妹ユリコと名門女子高の同級生和恵。最下層の娼婦として孤独で
センセーショナルな死を迎えた二人を取巻く黒い魂のドラマ。
『週刊文春』連載を単行本化。
(「MARC」データベースより)

Amazon
第31回(2003年) 泉鏡花文学賞受賞

週刊誌連載時に大半を読んでいましたが、改めて全体を通して
読みたくなり、文庫本で入手。

悪意に満ち溢れた物語。
自己顕示欲だらけの、むきだしの物語。
文字通り「グロテスク」な物語。

ところが人は自分の醜い部分を敢えて物語で読みたくなる。

桐野作品の常として、登場人物たちがどんどん肥大して
読者を置いていく。視点を次々と変えて「真実」がわか
らなくなる。

でも、真実は一つか?誰もが単純な人格か?
そんな物語を、楽しみとして人は欲するか?

桐野夏生は、つまり、いつも読者の期待に忠実なのだと思う。

徹底的に「悪意」を綴りながらもその果てになぜか爽快感すら
与えてくれる。なぜなら出てくる女性たちがとことん戦って
「勝つ」からだ。

通勤の片手間に読めるような本ではなく、秋の夜長にこちらも
戦う感覚で向き合うべき本。

「インディゴの夜」加藤実秋

2010-03-22 10:26:30 | 5.Book
「クラブみたいなハコで、DJやダンサーみたいな男の子が接客してくれるホストクラブが
あればいいのに」フリーライター・高原晶の一言から生まれた、渋谷のホストクラ
ブ〈club indigo〉。店の評判は上々だが、なぜか次次と事件に巻き込まれる晶たち。
それらを解決するために、個性的なホスト探偵団が夜の街を活き活きと駆け巡る!
第10回創元推理短編賞受賞作を含む連作短編集。 「BOOK」データベースより

体調がすぐれなくて休んでいたときにテレビで見て、面白かったので原作を読んでみました。

んー。
んー。
んー。
悪くないし、キャラもいいし、そもそも目の付け所はすごくいいと思うのですが...
ミステリーにしては構成が浅く、ストリートものにしてはリアルさ、ダークさが
少なく、男子群像ものにしてもやはり浅い、とどれもイマイチ。
サクサク読めていいという見方もあるかもしれません。

ドラマと比較すれば、晶が店を立ち上げた経緯や仕事を続ける点、ホストたちとの
関わり方は、本の方がむしろハード気味で面白い
(※昼ドラだからこの辺は女らしく書き換えたのね)。

ホストたちのキャラクターが、本では書き分けられていない部分もあるのに比較
して、やはりテレビは映像なのでわかりやすい(当たり前か)。キャストもほぼ合ってる
と思う。

ということで、本とテレビ、合わせて一作、という感じかな。



「残虐記」桐野夏生

2009-11-17 21:25:31 | 5.Book
薄汚いアパートの一室。中には、粗野な若い男。そして、女の子が一人――。

失踪した作家が残した原稿。そこには、二十五年前の少女誘拐・監禁事件の、
自分が被害者であったという驚くべき事実が記してあった。最近出所した犯人からの
手紙によって、自ら封印してきたその日々の記憶が、奔流のように溢れ出したのだ。
誰にも話さなかったその「真実」とは……。一作ごとに凄みを増す著者の最新長編。
(amazon.co.jp「出版社/著者からの内容紹介」より)



桐野ワールド全開。超長編でもなく、大作でもないのだけれども、
ずっしり重くて息継ぎが出来ない感じ。
同時にテンポが良いので、途中で置くことも出来ない。
そして読み終わったときには、なんだかとてつもない体験をしたような、
ある種爽快感を覚えるような、要は「小説を読む愉しみ」をしっかり
味あわせてくれる。

これはもう、好き嫌いがわかれるだろうな。
予定調和的な小説、本格推理小説、はたまた文字通り残虐なものを
求めるひとたちにはみな、期待外れに終わるだろうし。

もちろん、現実に起きた新潟の監禁事件を想定して読めばあっさり
裏切られるし。

でも、わたしにとっては大好きな桐野夏生の、なかでもお気に入りの作品に
なった。
一体どこに連れて行かれるのかわからない痺れる感覚。
整合性が取れていないことへの違和感、不安な感じ。
それら全てが一転して見事に「愉しさ」に変わる瞬間の、幸福感。

これぞ桐野夏生。
これぞ小説または物語。
これぞ人間だけが味わえる悦楽。

そんなことまで考えさせてくれる、面白い小説でした。

前後して発表された「グロテスク」や「魂萌え!」が話題を集めたのに
比べると、題材のダークさやボリュームなどから若干影が薄いようですが、
それでもきっちり柴田錬三郎賞は獲っていました。さすがだ。

これからも何度も何度も読み返し、そのたびにざわついた違和感と
置いてけぼりを食らうほどのビートに酔いしれることでしょう。

ビバ、桐野夏生。ずっとこれからもついてきます(笑)。

「続・嫌われ松子の一生 ゴールデンタイム」山田宗樹

2009-11-10 21:50:37 | 5.Book
内容(「BOOK」データベースより)
“嫌われ松子”の死から四年。大学を卒業したものの無為の日々を送る松子の
甥・川尻笙は、初めて夢を見つけようとしていた。一方、望んだ医師への道を
着実に歩んでいた笙の元恋人・明日香にも人生の転機が訪れていた。
松子の生を受け継ぐ二人の青春を爽やかに描く表題作他、松子が思いを寄せた
風俗店店長・赤木の晩年を描く「八雲にて」を収録。
amazon.co.jp


「嫌われ松子の一生」は、現時点でわたしのベスト5に入るお気に入りの作品。
誰にでも松子のようなところはあり、誰もが松子のようには生きられない。
その親近感とカタルシスの混ざり合いが絶妙、かつ構成も緻密で、読み返す
のに耐えられる作品。
その続編ということで、即買いでした!

続編が本編に及ばないのはやむをえないことですね。
っていうか松子は強烈過ぎるから(苦笑)。
二人どちらの話も冗長に思えました。まあその迷いや葛藤が、潔すぎた松子と
の対比になっているのかもしれませんが。

松子の人生を丁寧に辿った若い二人の後日談でありながら、自分に正直に、
一生懸命生き抜いた松子は出てこないのにやはり「続編」なんだ、と思わせる
作りになっています。見事。

一度も会ったことのない松子が、のちのちまで二人に大きく影響を及ぼす。
もしかしたらさらにこの先も続く、大「河」ドラマになるのかもしれません。

短編の「八雲にて」も、読者の要望をよくわかってるなー、という作品。
松子に関わった人の中で、誰もがその後が気になったであろう赤木さん。
彼は本当にいいヤツだったのですね、でもそういう人と結ばれないのが松子
なのですね、とここでもまた松子の存在感が大きい。

本編を再読しますかね。

「ちょいな人々」荻原浩

2009-11-03 21:56:30 | 5.Book
内容(「BOOK」データベースより)
社内女性のほめ言葉に有頂天になる中年課長はじめ、おっちょこちょいだけど愛すべき人たちの破天荒なユーモアワールド。
amazon.co.jp

萩原さん、広いジャンルで多彩なアプローチをしつつも質が一定、職人的で
好きです。

本作はそんな職人気質がいかんなく発揮された短編集で、眠る前に読むのに
最適でした。
ユーモアあり、どんでん返しあり、かつどれもきちっと着地していて、スト
レスが溜まらないからです。

お見舞いにもお勧めの一冊、というたとえがわかるかしら?(笑)

「ストロベリーナイト」誉田哲也

2009-10-11 22:08:01 | 5.Book
内容(「BOOK」データベースより)
姫川玲子、二十七歳、警部補。警視庁捜査一課殺人犯捜査係所属。彼女の直感は、
謎めいた死体が暗示する底知れない悪意に、追ることができるのか。

内容(「MARC」データベースより)
青いシートにくるまれ、放置されていた惨殺死体。警視庁捜査一課の主任警部補・
姫川玲子は、直感と行動力を武器に事件の真相に迫る…。
熱気と緊張感を孕んだ描写と、魅力的なキャラクター。渾身の長編エンターテイ
ンメント。


本屋に行くとどこでも「書店員さんのおススメ」とか「史上最高の女刑事・姫川」
なんていうPOPがついてて気になってました。
別にきっかけがあったわけではないものの買って読んで...。


しまった、やられた...orz 
書店員のおススメPOPには何度裏切られたことか、忘れてたよ。

駄作とは言いませんよ。でも、すんごい面白いってわけじゃない。
脇が甘いっていうか、詰めが甘いっていうか、雑っていうか。
とっ散らかったというか、底が浅いというか。

とにかく、わたしの好きじゃないタイプの本でした。
思わせぶりに引っ張って、オチが着ききってないぞ、みたいな。

姫川玲子、悪くはないと思ってたんですがね、途中までは。
無駄に美人、ノンキャリだけどなりふり構わず出世まっしぐら、
腕っ節も強くて、死体にも動じないどころか監察医と仲良し、なんてね。

しかし、途中から(これまたわたしの好まない)
「男性が『女性に支持されるであろう女性』を描こうとした」
パターンになったような気がして。

後の話ではありますが、フジテレビのドラマ「BOSS」の大澤絵里子(天海
祐希)こそが、本当に女性に支持される女デカだと思うのですよ。

↓以下ネタバレ↓


そもそも、連続惨殺事件の真相が、何年も何年も前に書かれた
「IWGPシリーズ」の「電子の星」と同じだし。あっさりサイト見つかるし。

これまた途中から主人公が姿を消し、一見敵と思えた「悪徳刑事」に
視点が移ってしまうのも興をそぐ。

姫川班の面子もありきたりな設定。昔の刑事ドラマか?みたいな。

↑ここまで↑

うーん、とにかく「騙された」感しか残らなかったです、残念。

ちなみにあとがきでそれこそ書店員さんがキャスティングしているので
わたしもしてみます
(そうでもしないとつまらなくて読み進められなかったというのもある)

姫川=松島菜々子
ガンテツ=寺島 進(以外ありえない)
菊田=竹之内豊(?)
大塚=妻夫木聡
井岡=宮川大輔

ガンテツと井岡は譲れないなあ。

「学問」山田詠美

2009-10-07 21:43:35 | 5.Book
あらすじ(「BOOK」データベースより)
東京から引っ越してきた仁美、リーダー格で人気者の心太、食いしん坊な無量、
眠るのが生き甲斐の千穂。4人は、友情とも恋愛ともつかない、特別な絆で
結ばれていた。一歩一歩、大人の世界に近づいていく彼らの毎日を彩る、
生と性の輝き。そしてやがて訪れる、それぞれの人生の終り。
高度成長期の海辺の街を舞台に、4人が過ごしたかけがえのない時間を、
この上なく官能的な言葉で紡ぎ出す、渾身の傑作長篇。


師匠の最新作。珍しく書き下ろしではありませんでしたが、その分
緊張感があったかな?

とはいえ最初はなんだかもたついていて挫折しかかり...。少し時間を
置いて再開したら止まらない止まらない(笑)。これだから師匠の本は
すごいよ。

相変わらず、帯とか↑あらすじが本質を言い得ていないのが歯がゆい。
「一歩一歩、大人の世界に近づいていく彼らの毎日を彩る、生と性の輝き」
「4人が過ごしたかけがえのない時間を、この上なく官能的な言葉で紡ぎ出す」
いや、なんかそうじゃないんだよ。そんな陳腐な言葉では表せないのだよ。
あるいはこういう表現から想像する凡庸な小説とは全く違うのだよ。

少し露悪気味に読者を振り回しつつ、どこかに嫌味なスパイスがかかった
まま進みつつ、離れられなくなっていく物語世界。
仁美なんかもう、イラっとするくらい小難しい小娘だし、心太も偉そうな
こと言ってるけど大した冒険するわけでなし。

Amyの以前の作品と比較すれば、箱庭のような小さな世界でちまちまと
完結していて、姐さん、あのブロンクスでの煌く世界は何処?もっとうちら
フリークスをぼうっとさせてよ!と言いたくなるのですが。

最後はやっぱり、やられたぜ、師匠。
息つぎできないほどの一気呵成な文章と、謎解きのように最初の部分と
繋がる構成、そこにくっきり浮かび上がる、Amyからのメッセージ。

格言でも人生訓でもない、彼女が自分で感じて掴み取った真理みたいな
ものが、心に直に届く。この瞬間が大好きで、わたしはずっとこのひとの
小説を読み続けているのだと再確認しました。

カツマーでもカヤマーでもない、自己啓発本だの「なぜ○○ないのか」本では
絶対知り得ない、一見何の役にも立たないようなそのメッセージが、心の中に
しっかり種を蒔いていて、わたし自身の経験と結び付いて初めて意味を持つ。
「それを知っている」ということが、根拠のない自信を生む。寄る辺となる。

これこそが、どんなにデジタルな世界になっても「物語」が人間に必要と
される理由だと思えるんだけどな。

とりあえず、師匠、ありがとう!また私の血と肉に溶けていきましたよ。

「Gボーイズ冬戦争 IWGP VII」石田 衣良

2009-10-05 21:21:30 | 5.Book
あらすじ(「BOOK」データベースより)
鉄の結束を誇るGボーイズに異変が生じた。ナンバー2・ヒロトの胸の内に渦巻く、
キング・タカシに対するどす黒い疑念。Gボーイズが揺らげば、池袋のパワー
バランスも破綻しかねない…。タカシの危機にマコトはどう動くか?
史上空前の熱き闘いを描く表題作はじめ4篇を収録した、IWGP第7弾。


ま、安定感があるっていうか期待を裏切らないっていうか、懐かしい
友達に会った気分というか、「ヨッ、久しぶり、マコちゃん」って
感じです(笑)。

いやいや、もちろん今回も面白かった。久しぶりにキング・タカシが
いっぱい出て来たし(少し弱気になってますが)、他の短編も相変わらず
時代を映しながらもナイーヴな少年達を暖かく見守る眼差しがすてき。
石田さんって本当に優しいひとなんだよなあ。

冬戦争にからむ「プロ(影)」はかっこいいし。タカシはこうなっていくの
だろうか?なんて思わせてくれる。

マコちゃんももう20代半ば。以前のようにがむしゃらな正義感だけで
突っ走ったりしない。街のバランス、組織の論理、そんなものも少し
理解して受け容れてる。でも熱くなるポイントは変わらず、言うべき
ことは言う。それはやっぱり読者にカタルシスを与える。

あえて難癖つけるならば、池袋の描き方が少なかったかな?と。
まあ、高田まで出すのはさすがと笑いましたが、IWGPが池袋でなくては
ならない必然性が少し薄かったような。

それにしてもこのシリーズ、やはりキャスティングはTVドラマの
ままで不動ですな(笑)。
今回参戦した「影」は誰がいいかしら?
大げさな話ですが、松田優作のイメージがしました。

これからみんな年を重ねて難しくなっていくのだろうけれども、石田さん、
少し間を開けてでも続けていってくださいな。