教育と臨床心理のおもちゃ箱

歳を重ねるとは経験知が増える。知が統合し、また新たな知恵となる。教育と臨床心理を軸に思いを伝えたい。

シンクロニシティ?

2020年01月03日 | はがき随筆原稿

 初夏の風が心地よいある日、「娘が元気な男の子を出産した」と知人から連絡があった。

 翌朝、いつものようにガラス戸を開け、手の届くところにある火鉢ほどの陶器の器に飼っている7匹のメダカ達に、竹でこさえた耳掻きの形をした匙で餌をやる。鉢の縁をコンコンと叩くと一斉に寄ってくるのでかわいい。

 鉢の横に目をやると、緑の毛糸を浸したような洗面器がある。実は3日前、藻が繁殖してメダカの姿が見にくくなっていたので、洗面器に水を張り、割り箸でからめとった藻を入れておいたものだ。メダカを飼ってもう何年にもなるが、その数は減りはしても増えたことはない。産卵の時期は調べてわかっていたが、卵や稚魚の姿は見たこともない。今回、もしかして藻の中に産卵していたら可愛そうだと思い、捨てる前に洗面器に入れておいたのである。

 水道水をそのまま入れたので、メダカの卵があっても塩素でダメだろうと思いつつ中を覗いてみると、数ミリの細い釘のような物体がピンピン跳ねるように動いている。産まれたばかりのボウフラだろうと思って目を凝らして見ると、1匹2匹……、12匹を確認。割り箸で藻を動かすと、ピッピッと次々に姿を表す。中にはボウフラも同居していたが、”く”の字になって底から水面へと上下に動いている。明らかに動きが違う生命の誕生に、ボウフラには申し訳ないが声高に伝えたい衝動を覚えた。

 ちょうど元号が代わって令和になったばかりである。友人の赤ちゃんと、この小さな命達が無事大きくなりますようにと祈った。



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