『季節の記憶』 保坂和志著
以前に保坂氏の『カンバセーション・ピース』を読んで、何だか淡々としているけれど、ちっとも飽きずに読めて、読後感も良かった本だったので、この本を読んでみました。
やはり淡々と日記風に、離婚して一人息子と暮らす男性の生活が描かれているのですが、一番印象に残ったのは彼らの住んでいる鎌倉の風景と自然です。あとがきを読むと、著者も鎌倉の風景を書きたかったようなので、その意図は成功しているということでしょうか。
この二人と、近所に住む兄妹の4人を中心とした物語なのですが、4人がちょっとづつ、時にはすごく変わっていて、個性的です。その他の登場人物も、それぞれ個性が強い。そして、とても理屈っぽい、時には哲学的な会話をかわすのですが、なんだかこのあたりが村上春樹に似ているような印象をうけました。それから、出てくる人たちが、あくせく働いていないところも似ている。しかし、村上氏のように、不思議な事(羊男とか壁の向こうに行くとか)は起こらず、すごくトラウマになっている事もなさそうで、淡々と日常生活が続いていき、恋愛も、悲劇も、大きな事件も起こりません。それでも、なんだか面白いという不思議な作家だと思いました。
この本のだいぶ後に『カンバセーション・ピース』が書かれたので、後者の方がより面白かったように思います。このような小説に対して、面白いというのもおかしい気がしますが。
鎌倉に住むというのは、東京から見るとなんとなく憧れというか、特別な感じがするのはなぜなのでしょうか。私だけの感覚かもしれないけれど・・・
毎日、鎌倉の山や海を散歩している主人公が、とても羨ましいという感想が一番の気持ちかもしれません。
現在住んでいる山口は、今めちゃくちゃ暑くて、日中外を歩いたら即熱中症で倒れてしまいそうです。外を歩けるのは、午前7時以前と午後7時以降限定という感じです。散歩の友のジャック

