INSIDE INSEAD 

このブログは、INSEADのMBAプログラムに在籍している日本人学生有志が作成している非公式のブログです。

Chan Kim教授による、Blue Ocean Strategy特別授業

2010-04-13 | 5.大学院授業
はじめまして、Dec '10のYMです。
今日、シンガポールキャンパスにてBlue Ocean Strategyの特別講義があったのでその模様をお伝えしようと思います。

いきなりですが、INSEADといってまず思い浮かべる理論は何でしょうか?
おそらく、一番先にあがるのは、Chan Kim教授とRenée Mauborgne教授による、Blue Ocean Strategy(以下BOS)かと思います。実際、BOSはINSEADの看板講座であり、MBAの授業はもちろん、エグゼクティブ向け、マネジャー向け研修等でも、BOSだけを学ぶ講座が用意されているほどです。

なお、この概念は2005年に出版された著作で発表されており、この本の売れ行きは、出版したハーバードビジネススクールプレスのさまざまな記録(翻訳された言語数など)を書き換えたとか。
- アマゾン日本語版: http://bit.ly/cVYYn4
- アマゾン英語版(平易な英語でオススメ) http://bit.ly/dejwFh

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そんなINSEADの看板授業、看板教授の講義ですから、見逃すわけには行きません。シンガポールキャンパスで最大の講堂に、大勢のMBAの学生が集まりました。私も10分前入りして、前方真ん中の特等席をゲットしました。

さて内容ですが、BOSへのイントロ的な位置づけだったため、深さよりも分かりやすさ、面白さ重視だったと思います。そのため、上記著書を読んでいた自分には若干物足りなかったですが、それは来月以降の選択科目を楽しみにしようと思います。
以下、個人的に気づいたメモを貼っておきます。

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1)BOSは既存市場・競合の破壊を目指すものではなく、それらと「無関係な」新たな市場を作ること

2)全ての企業戦略がBOSで片付くわけではなく、Red Oceanでの競争も必要。そしてRed Oceanでの競争の中からBOSが生まれる
2')今までの戦略研究は過度にRed Oceanでの競争に集中しすぎていた。Chanらの功績は注目されてこなかったBOSに日の光をあてたことにある

3) BOS≠Tech/Process Innovation。これらは必要条件でも十分条件でもない。キモはあくまで顧客視点でのValue innovation
3') 歴史が示すとおり、発明者とそれをビジネスにし世に広める者は必ずしも一致しない。そして、金を儲け、有名になるのはBOSを実行した後者(PCの発明者はAppleでもIBMでもなくMITS)

4) BOSの検討単位は"Company"でも"Industry"でもなく、"Strategic move"
4') 一度BOSで成功しても、それは永遠の成功は保証しない。永遠にExcellentなCompanyは存在しない。いずれ海は血で赤くそまる。そして新たなBOSが必要となる

5) BOSデータベースは非常に興味深い。例えば今日の事例はAndre Riew。縮小しゆく「クラシック音楽コンサート」で、彼が採ったBOSとは? http://bit.ly/aK1hTv http://bit.ly/cduuVH

上のメモでは何が何やらという方、すみません。是非上記本を買って読んでみてください。特に序盤のケースはどれもこれも、目からウロコでスカッとして面白いですよ!

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というわけで、今日はちょっとお堅い話でした。ここで、ちょこっと宣伝ですが、私、Twitterやってます。INSEADでの生活を中心にここには書けないぶっちゃけトークもアリです。興味があれば是非Checkしてみてください。
http://twitter.com/yasushi_maru
また、上記内容や、INSEADについて、わからないことがあれば、Twitterで質問していただいても結構です。よろしくお願いします!

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おっと、突然スコールが降ってきました。雷もなってるし、これではしばらく図書館に篭らざるをえないですね。。それでは、勉強に戻ります!

それでは、また!

Champagne Fine

2010-03-29 | 5.大学院授業
Dec'10のSと申します。更新が暫く途絶えてしまいましたが、漸く!シンガポールよりChampagne Fineについてご紹介したいと思います。

日本語で言うならば「シャンパン罰金」でしょうか。INSEADならではのルールの1つであります。自分の所属するセクション(クラス・ホームルーム)によって若干ルールが異なりますが、私のセクションでは

・授業に3分以上遅刻する
・授業中に携帯電話が鳴る
・授業中に居眠りする(誰かが証拠写真を撮る必要あり)
・授業終了3分前以降に質問をする
・馬鹿げたくだらない質問をする

これらをおかしてしまうと、1回あたり10シンガポールドル(700円弱)の罰金を払うことになり、この罰金の行方は、学期末に行われるパーティーでのシャンパン代となります。クラスのSocial Rep(パーティー係)がしっかりと我々の行動のチェックおよびお金の管理をしており、Champagne Fine、なんとP1の間だけで約1500シンガポールドル(約10万円)たまりました!

気がつけばP1が終わり、P2はP1以上に盛りだくさんな毎日ですが、フォンテンブロー組と力を合わせて引き続きこのページを更新していきたいと思います。どうかお付き合いください!!

ブルーオーシャン戦略を学ぶ

2008-06-26 | 5.大学院授業
管理人でJuly 08のAkiroです。日本でもINSEADを一躍有名にしたブルーオーシャン戦略をチャン・キム教授に直接指導を受けながら学ぶことができました。マーケティングの授業などで”これってブルーオーシャンだよね”などと何度もコメントされるブルーオーシャン戦略ですが、ブルーオーシャン戦略そのものを教える授業はそれほどありません。コアのストラテジーのコースで1回あったのと、エレクティブではBlue Ocean Strategy Study Groupというコースがあるぐらいです。

Blue Ocean Strategy Study Groupは授業はなく、学生のグループがブルーオーシャン戦略の本を読んである製品・サービスを分析し、この結果をチャン・キム教授に報告して指導してもらいます。僕たちのグループはiPhoneを選び、ブルーオーシャンの6PathやBuyer Utilityなどのフレームワークに従ってiPhoneを分析しました。

iPhoneはスマートフォンとMP3プレイヤーに機能を追加した製品であり新たなマーケットも作り出していないので、ブルーオーシャンではなくレッドオーシャンの製品だという結論でチャン・キム教授とディスカッションしました。そこでチャン・キム教授に言われたのは”iPhoneはレッドオーシャンの製品かもしれないがウォークマンのようなブルーオーシャンになる可能性もある。iPhoneの成功・失敗をブルーオーシャンの観点で分析して、どうやったらブルーオーシャンになるかの提案をするのがブルーオーシャン戦略の使い方だ”とのことでした。チャン・キム教授はアップルのスティーブ・ジョブズにもブルーオーシャンについてアドバイスをしているそうで、僕たちにもスティーブ・ジョブズにアドバイスする立場で考えるように指示されました。その後考えてみるとiPhoneにはウォークマンのようにその時代を代表する製品にするためのアイディアが見つかり、ブルーオーシャン戦略の本来の目的を理解したのでした。

さらにブルーオーシャン戦略はキャリアにも応用でき、僕たちINSEADの学生は競争を勝ち抜いてきたレッドオーシャンの学生だと言われました。ビジネススクール卒業後のキャリアでは自分のブルーオーシャンを探すためにブルーオーシャン戦略を使おうと思いました。

INSEADの教授

2007-12-31 | 5.大学院授業
管理人のAkiroです。今回はINSEADの教授について書きたいとおもいます。いろいろな学校のアルムナイの方からビジネススクールの教授は教え方もうまく、質問にも丁寧に対応してくれると聞いていました。INSEADに来てから感じるのはINSEADもその例外ではなく、教授のすごさを実感することが何度となくありました。そんな教授の別の姿を授業とは少し離れたところでの付き合いから知ることができました。

僕は4歳と1歳の子供を連れて留学しているのですが、教授の子供がうちの子供と同じ幼稚園に通っているなどの縁で、P1であったLeading People and Organizationの教授、P2のFoundation of Marketingの教授とProcess and Operation ManagementのTutorialをやってくれたPhDの学生の3人とはいろいろ個人的な話ができました。同じ幼稚園に通う子供を持つ親同士になれば、子供を大事に思い子育てに悩む親仲間として話すことになります。異国の地で子供が新しい環境に馴染めるかや幼稚園で友達が出来ているかを気にかける思いには教授も学生も関係ありません。子育ての悩みはここでは書きませんが、授業以外の場での話をする機会を通じて教授が普段何をしているのかや教授としてのキャリアアップにも悩んでいることも知りました。

ビジネススクールの教授には同じ大学でPhDを取ってそのまま教授になっていくパターンもあれば複数の学校で経験を積みながらキャリアアップを目指すパターンがあります。また他の学校をベースにしながら、短期間の客員教授としてINSEADに来て授業を担当している教授もいます。教授から見てもINSEADは世界のトップスクールの一つであり、ここで実績を積むことでさらなるキャリアアップにつながると考えて来ているそうです。

INSEADとしても良い教授陣を揃えることは重要なことです。INSEADが教授を評価する基準としては各科目のエキスパートであるだけでなくダイバーシティも重視しており、教授陣も様々な国籍の人を集め、それぞれの教授にも異文化環境でのビジネスや教育の経験があることが求められます。またINSEADの教授の評価には、良い授業を出来るかが重視されます。(話題になる論文・本を発表することがより重視される学校もあるそうです。)

そこでINSEADの教授は教えることにこだわって綿密な準備をしています。MBAの授業のスケジュールを見ていると、教授は1.5時間の授業を週に4-8コマ持っている場合が多く、授業で教えている時間はそれほど長くはありません。しかし教授が授業の準備として資料の準備だけでなく、授業でどのような話の展開になるかをシミュレーションをしたり、関連テーマの最新動向などをリサーチしたり、他のコースとの関連性をとるために同僚の教授と話し合ったりとやることがたくさんあって、土日も仕事をすることもあるほど忙しいようです。各ピリオド終了時には学生の成績もつけられますが、学生による教授・授業の評価も行われます。ここでの評価が低い教授はそのコースを教えなくなるそうです。

子育ての悩みに限らず、INSEADの教授になり成功するのは大変だということがよく分かりました。MBAの学生としては優秀な教授がしっかりと準備をした授業を受けられるわけで、これはとてもありがたいことだなと思いました。

P1-P2を終えて

2007-12-21 | 5.大学院授業
July 08のAkiroです。ちょうどP2の試験を無事に終えてBreakに入ったところです。

INSEADのプログラムは約2ヶ月のピリオドの単位で進められ、5ピリオド終えると卒業になります。P1,P2とP3の一部が必修のコア科目で、P3の一部とP4,P5が選択可能なエレクティブになります。July08のメンバーはこれまでにP1とP2を終えましたが、ここまではすべてコアカリキュラムで、コアカリキュラム全体で13コースのうち以下の11コースを終えました。コアカリキュラムではビジネスの基礎にあたるところを幅広く学ぶわけですがそのうちの80%以上を終えたところにいるわけで、全体像をほぼおさえたのかなと思っています。そこでここまでで得られたことと感想をまとめておきたいと思います。

Period 1
- Financial Accounting
- Financial Markets & Valuation
- Leading People & Groups
- Prices & Markets
- Uncertainty, Data & Judgement

Period 2
- Corporate Financial Policy
- Foundations of Marketing
- Leading Organisations
- Managerial Accounting
- Process & Operations Management
- Strategy

Program structure全体は以下のリンクを参照してください。
http://www.insead.edu/mba/learning_at_insead/structure.cfm

まずここまでの授業は広く浅く経営に関する全体像をつかむためのものという印象があります。授業で扱ったテーマの一部は仕事でやったことがあり、授業よりも数段深い知識と経験をもっていたので、コアコースの知識レベルはコンサルタントの仕事よりもかなり浅いレベルの知識だなと思いました。ただ範囲とスピードはとても速く、これまでの仕事では3か月のプロジェクトで取り組んでいたようなテーマを数回の授業でこなしていくので次々と新しいことが出てきます。常に勉強し続けていないと分からないことだらけで終わってしまいそうでした。そこでがんばって勉強していると大きな全体図がつかめてきて、自分がこれまでにやってきたことがどこに位置付られて、それが他の領域とどう絡んでいたかが見えてきた気がします。

またその中で自分の特徴も見えてきました。僕は日本の製造業のプロジェクトの経験があったのですが、日本の製造業でよく言われるJIT・カンバン・系列などはクラスメートにはとても不思議な仕組みに見えるようで、その仕組み・背景とそれが日本の製造業の強さにつながっていることを話すと驚かれました。日本には僕よりもこの領域に強い人がたくさんいますが、それでもこちらでは注目されるのは日本が世界でも進んでいる分野だからかと思います。また理系の学部出身なのでファイナンスや統計などの数字系の科目は得意かと思っていましたが、これはそうでもありませんでした。数式や数字の羅列を見ても拒否反応は起こさないのですが、現実の世界の問題に応用するには数式以外の知識が重要で、これはしっかり勉強しないと分かりませんでした。

また自分の得意・不得意や成績の良し悪しとは別に、ケースを読んだり授業を受けていてそのシチュエーションに感情移入して自分ならこうするというイメージが湧いてくることが何度かありました。特にストラテジー、マーケティング、オペレーションやファイナンスでワクワク感がありました。卒業後には自分がワクワク出来るような仕事に就きたいと思うので、自分がどこに興味があるのかがちょっと分かったのも大きな収穫でした。

P1,P2の4か月はあっという間で、毎日目の前のことをこなしていくので精一杯でしたが、いろいろと学ぶことができてよかったです。

INSEADの図書館

2006-11-21 | 5.大学院授業
管理人のYoshioです。

当たり前のことですが、INSEADには図書館があります。しかし、多くの学生は、この図書館で本を借りるよりも、授業の予習のために使用していると思います。この図書館には、授業で使用されている教科書が数冊ずつ置いてあるので、重い教科書を持ってこなくても(はては教科書を買わなくても)、事前に読むように指示されている資料もしくはケースが手元にあれば、それなりに静かな環境で快適に予習することが可能です。

ただでさえ授業のために読まなきゃいけない資料がたくさんあるなか、さらに本を借りようなんて思うマゾ(?)な学生はそういないと思います。かくいう私も、これまで予習のために図書館を利用することがあっても、本を借りたことは1度しかありませんでした(忙しすぎて、結局読めずじまい)。そのため、この図書館の蔵書具合に目を向けたことがありませんでした。しかし、P5になって、以前書かせていただいた通り、ISPという授業がない自主研究をやっていることに加えて、あの有名(本当に有名?)なW・チャン・キム教授とあの超有名(これも本当に超有名?)なBlue Ocean Strategyを研究するというこれまた授業がないクラスを取っているため、現在月曜日にしか授業がなく、読まなきゃいけない資料がほとんどありません。なので、現在は、自分の自主研究のために、好きなように資料を読みことが可能な環境となっております。そうしたなか、原典に当たろうということで、図書館に行くのですが、目的の本が置いていないことが結構あります(経営戦略分野に限ったことかもしれませんが)。今週日曜日も、Ansoffの『Corporate Strategy』という戦略分野では有名な本を借りにいったところ、『new Corporate Strategy』しか置いてありませんでした。ちなみに、私が借りたかった本は1965年に出版されたもので、置いてあった本は、Ansoffが、1965年に出版した本をベースに書き直して、1980年代に出版された本でした。一方、Mintzbergの著作は逆に古いものは置いてあるのですが、比較的新しい『Strategy Safari』は置いてません。そのため、INSEADの図書館の蔵書ぶりには若干不満があります。こんなところに不満を持っている奇特な学生は、私の他にはいないと思いますが。。。

ただ、経営学に関係する雑誌は無茶苦茶充実しております。あの有名(これも本当に有名か?)なStrategic Management Journalはもちろんのこと、日経ビジネス(!!)まで置いてあります。また、マーケットの市場予測など様々なシンクタンクが行っている調査報告書の類も大変充実しております。P4で取りましたIndustry Competitive Analysisという戦略の選択科目におけるFinal Projectでは、LenovoのGlobal Strategyを取り扱いましたが、全世界のパソコン需要予測など、図書館が所蔵している将来のパソコン市場に関する調査報告書を重宝しました。

まあ総括しますと、INSEADの図書館は、過去の本を読んであれこれ調べるという非効率な作業には全く向いていない図書館ですが、最新の理論に触れたり、産業の将来の見通しを調べたりという、授業を受けていく上ではある意味一番重要な作業をするという点では、素晴らしい図書館かもしれません。

P5の過ごし方

2006-11-10 | 5.大学院授業
管理人をしているYoshioです。新装開店したにも関わらず、全然投稿しなくて済みません。

私はClass of December 06ですので、一応12月21日に卒業式を迎える予定です。現在最終学期のP5に入っており、以下の科目を取っています。

1."Scenario Planning"
2."Blue Ocean Strategy Study Group"
3."Corporate Merger"
4."Independent Study Project(ISP)"

1~3は、戦略分野の科目です。1~3は字面で内容がなんとなく分かると思いますが、4は?と思われるかもしれません。INSEADでは、生徒が自分の問題意識に基づき個人でStudy Projectを立案し、一緒にプロジェクトを進めてくれる教授をみつけた上で、DeanがそのProjectを許可してくれれば、"Independent Study Project(ISP)"として、1単位認めてもらえる制度があります。私には、入学前から、企業の戦略立案について思うところがあり(具体的には書きませんが)、1年間その問題意識に沿って勉強してきたので、他学期と比べて時間の余裕があるP5において、自分の考えを自主的にまとめるつもりでした。ところが、学校関係者とたまたま話をする機会があり、自分の問題意識を話してみたところ、『面白い内容なので興味を持つ教授がきっといると思うから、ISPでやってみたら』と言われて、プロジェクトを一緒に進めてくれる教授を探し始めました。教授をどうにか見つけることができて、Deanにも承認してもらったので、ISPに着手した次第です。

P5になって改めて思いますが、いろんな国の人々がINSEADに集まってきています。1の科目では、韓国人、中国人、ベルギー人、ロシア人と、2の科目では、中国人、イスラエル人、イギリス人とグループワークを行っています。3の科目は11月下旬から始まるのでグループをまだ組んでおりませんが、ISPにおいては、ウクライナ人の教授とProjectを進めます。このDiversityこそが、やはりINSEADの1番の魅力だと思います。