■目線■

昨晩は帰りが4時でした。タクシーを自宅近くで停め、そこから歩いて家に向かっているとすぐ横のマンションから子供が出てきた。明け方の4時....どう考えてもおかしい状況に考えを巡らせたが、とにかくその子に声をかけた....


早朝4時過ぎに現れた子供はうちの息子の同級生だった。

保育園も一緒だったのだが、どうも問題のある親を抱える子供らしく話には聞いていた。

その子に『どうしたん、こんな時間に？』と聞くと

『お母さんに出て行けって言われた...』と答えた。半袖、半ズボンの彼は朝方の気温の低さに震え、唇を噛み締め、いまにも溢れそうな涙を必死にこらえていた。

俺は当然『俺が一緒に行ってやるからお家に帰ろう』と言う。
彼は『もう帰ってくるなって....』とうつむいた。

理由がなんであれ、こんな時間に6歳の子供が外に居るのはおかしい。普通の大人なら絶対にしないことだし、してはいけない事だ。内心そんな親に対しての怒りを抱え、子供の手を引きマンションの部屋の前に着き、ドアをノックした。

ほどなくドアは開き母親が現れた。

俺は怒りを抑えながらその母親に話をした。内容は誰しも想像がつくほど当たり前な『子供に対しての親の責任』について。詳しい内容は特に話す事もない。ただ感じたのはその母親の子供に対しての話し方が大人に対するそれと全く同じ話し方であったということ。

母親本人は『子供が勝手に出て行った』と主張し、『いつもの事』と全く心配しているそぶりすら見せない。言うなれば一人の大人が勝手に家を出て行ったかのような話し方でその子に自分の意見を促すのみ....


数分後彼は家に入って行った。


当たり前の事だが『子供は親を選べない』

子供という生き物は大人とは全く違う世界で生きている事を認識出来るのが親という生き物であり、親のみが子供を成長させるのではなく、あらゆる大人があらゆる子供を見守り、成長させるのだ。それ以前に....


親という一種の肩書きを身につけるには子供の存在が無くてはならない。つまり...


『親が子供を育てる』のではなく『子供が親を育てる』のである。


その為には大人である親が子供と同じ目線で会話をしたり、ときに叱ったりが必要なのでは？と思うのである。

こんな経験はありませんか？小さな物を地面に落とした時、いくら探しても見つからない。でも、ふと現れた第三者が難なくそれを見つけてしまう....それが家なら親であったり、兄弟であったり。例えば外なら落としたコンタクトを誰かが見つける....

いかに自分の視野が狭く、ときに盲目かが分かる瞬間だと思いませんか？誰しもそれぞれ違った視点でのものの見方があると思うのです。だからこそ子供には子供の目線で話すことが必要なんです。大人の目線では決して見つけられない何かが必ず見つかるはずなんです。


あなたの目はしっかりと物事を捉えていますか？