★７７歳で人間総合科学大学の現役教授である柴田博氏が日本人（というより医学会）のコレステロール悪玉説に反論しています。
元凶はどうも動脈硬化学会のようです。
学会の重鎮が、学者でありながら以下の記事にあるように「非現実的」なデータでもって、誤った認識を国民に流布させる背景には、血糖値基準や高血圧基準を引き下げて、今まで何でも無かった人を「患者」に仕立ててあげ、医薬費用を掠め取ることと同様の悪巧みがあるとしか思えません。
☆以下記事抜粋です（「選択」２０１４年８月号）
○食事中のコレステロールと動脈硬化の関係に関する動物実験の結果がゆがめられて後世に伝わった。
二十世紀に入り、卵黄でコレステロールを大量に与え、動脈硬化をつくる動物実験が盛んになった。ウサギでは、人間に換算して一日七千八百個近い卵を与えた実験でかなり動脈硬化に近い所見を得ている。とてつもない量である。
○ 一方、ラットを用いた実験は六つあるが、人間に換算して、百九十四個の卵を投与した実験においても、肉眼的にも顕微鏡的にもまったく動脈硬化らしい所見は得られなかった。
草食動物のウサギは、食物中のわずかなコレステロールを取り込む必要上、腸管からの吸収のバリアーがなく、いくらでも血中に入る。しかし、肉食動物のラットやライオンは、一定量しかコレステロールを吸収しないようにバリアーが設定されているのである。
○人類の祖先は二百六十万年も前から肉食を始めており、その生理的メカニズムは肉食動物に近い。もちろん、木の実や果物もかなり摂ってきたので、ラットやライオンのような肉食動物と同一ではない。
その点に注意しないと「炭水化物はゼロでよい」といった今流行の論理の罠にはまるので気をつけなければならない。
○卵を食べさせて血中のコレステロールが上昇するか否かを人間で試みた研究がいくつかある（コナーの研究では）食事中のコレステロールが一日百ミリグラムまでは血中コレステロールは上昇しない。
百ミリグラムを超えると血中コレステロールは上昇する。だが、三百～四百ミリグラム以上に食事中のコレステロールが増えても血中コレステロールは、それ以上は上昇しない。これを天井値または天井効果とよぶ。
○卵一個は二百十ミリグラムのコレステロールをふくむ。ともあれ、二個であれ五個であれ、血中コレステロールは上がらない。先の拙書では一日の卵の摂取を一個とすることを勧めている。これは、それ以上摂ると血中コレステロールが上がるからではなく、他の食品を摂る余地がなくなるからである。一日に摂ってよい総カロリーに総量規制があるためである。
○人間の体には、百六十グラムくらいのコレステロールがふくまれている。そのうち二五％は脳に存在する。末梢神経までふくめると体内のコレステロールの三七・五％は神経系に存在する。体内のコレステロールのうち、食事由来のものは三〇％、七〇％は体内で合成される。脳のコレステロールも七〇％は脳の中でつくられ、末梢から行くものは少ない。
○ 体内におけるコレステロールの働きはきわめて重要で、タンパク質、リン脂質と共に細胞膜の構成要素である。ロコモティブシンドロームの予防のために、骨にも筋肉にももっとも大切なビタミンＤの材料はコレステロールである。
○老化にともなう男性ホルモン・女性ホルモンの減少がさまざまな障害を引き起こすが、性ホルモンの材料もコレステロールである。抗ストレス作用をもつ副腎皮質ホルモンの材料もコレステロールである。
コレステロールの不足は、老化を早め寿命を短くし、草食系男子を生み出す要因ともなる。
○厚生労働省の二〇〇五年版「日本人の食事摂取基準」では、一日の食事中のコレステロール摂取量の上限を男性七百五十ミリグラム、女性六百ミリグラムとした。日本人の実際の平均摂取量は、この半分にも満たない。
二〇一五年版の摂取基準では、高齢者の低栄養を予防する観点から、上限値を撤廃した。英断である。
○それにしても日本の動脈硬化学会はひどい。〇八年には一日のコレステロール摂取量を三百ミリグラム未満と推奨していたが、一二年には二百ミリグラム未満に引き下げた。これを信用すれば、一個で二百十ミリグラムをふくむ卵か、百グラムで二百七十ミリグラムのコレステロールを含むヤリイカのいずれかを摂れば他の食品を摂れないことになってしまう。
フードファディズム→低栄養へとミスリードする指針である。
ランキングに参加中。クリックして応援お願いします！
