IMGRIMOMGRIの春の幻想

人や自然との出会いをテーマに心静まるほっとするシーンを思い出しながら・・・

途方に暮れて

2008-05-11 | diary
夕方近く千早赤坂村を横切るグリーンロードを走っていると一匹の犬が車道をヨロヨロと歩いている。車が危険だということをあまり知らないのか。犬を避けてスピードを落とし車を側道に止める。昨日から降り続いた雨は止んだものの気温は10度まで冷え込み、標高もあるこの山道では一段と寒い。犬は車にゆっくり近づいてきて10m先で立ち止まりじっとこちらを見ている。わたしの顔色を伺っているようだ。見ると首には鎖を付けている。明らかに野犬でなはない。洋犬でしかも飼い犬だ。迷子になったのか、捨てられたのか?道路が危険だとわかっていないようなのでこの犬の環境に突然変化があったのは、おそらく昨日か今日だろう。車を動かし始めると運転席のそばにやってきた。一瞬窓に向かって立ち上がり車の周りをうろうろしている。やはり人が懐かしいのだろうか。周囲には民家などなく、通行量も少ない山間の道路だ。ときおりスピードを上げて車が行き過ぎる。バックミラーを見ると車の後を追いかけてきていた。わたしはこの犬を振り切って2kほど先で暗い林道を登り始めた。林道は管理されてなく路面は土砂と雑草に覆われ荒れ放題だ。終点まで登りつめて小1時間も経っただろうかあたりも暗くなってきたので引き返した。道路に近づいてきたときだ。あの犬がこの暗い林道に入り込んで登ってきているではないか。何ということだろう。まさかわたしの車を追ってきたわけではないだろう。こんな暗い道に入り込んでもこの先は何もない。荒れた道と暗い森しかない。途方に暮れるだけだ。わたしは車を止め運転席から身を乗り出し犬を見た。目が合うと先ほどと同じようにわたしをじっと見つめている。