タワーレコード日本上陸25周年を記念して全国主要6都市で開催中のイベント<LIVE GO!GO! 25TH>の初日。
「Syrup 16g」の五十嵐 隆のソロワークスと、「銀杏BOYZ」(元GOING STEADY)の激しく暴れん坊なステージにはさまれて、THE BACK HORN登場。
なんだかドキドキ、いや、ハラハラするラインナップ・・
場転の間は明るい音楽、ステージのスタッフもお馴染み黄色いエプロン姿。
まるで巨大なショップにいるようだ。
しかし、イベントジングルと「THE BACK HORN!!」のアーティストコールで、一瞬にして空気が変わる。
うぉ~という低く強いどよめき。
一気に暗くなるステージ。静かで重いSE。
みな息を殺して登場を待つ。
真っ赤な照明がこんなに似合うアーティストもそういないのでは、と思う。
明るい赤じゃない。深い深い赤。
細かい技もポイント照明も必要ない。シンプルな赤にすっぽり包まれて・・
「アカイヤミ」の中、彼らの空間が広がる。
ダークな明かりにダークな音。絞り出すよなボーカル。
「もっとわかりやすい歌詞の方が売れるんだけどな」
デビュー当時、業界のおえらいさんがそんなことをつぶやいたのを覚えている。
だけど、その深い歌詞が彼らの魅力。
たとえ丸ごと理解できなくても、音のカケラが、言葉のカケラが、耳に胸に突き刺さる。
その感覚が私は好き。
裸足のボーカリスト山田は、今日も不思議な踊りとともに、体中の熱を吐き出す。
(ボーカルはともかく、ギターもベースも裸足って・・)
何かにとりつかれたような演奏・・
バックホーンのライブはキレテイルと表現される事も多い。
確かにキレタ感じもあるし、とても痛い。だけれど、それでいて不思議と優しい・・。
彼らの真っ直ぐさが、瞳から伝わってくるような気がするからか。
吐き出すようなイメージのボーカルも、決してがなっているだけではない。
併せ持っている素直な澄んだ響き。
ダークな音と澄んだ音が重なって、なおも彼らの空間が広がっていく。
超満員の場内はずっとうごめいている。
スイングって感じじゃないな。うごめいている。
メジャーデビュー曲「サニー」では、危なっかしいぐらい激しく。
「夢の花」「幸福な亡骸」では静かにゆったりと・・
新曲「コバルトブルー」まで、あっという間の40分。
再び“わらわら”登場する黄色いエプロンに、ゆっくり我に返る。
ああ・・もう終わっちゃったんだ・・
もっとひたっていたい、そんなファンも多かったろう。
次はワンマンでたっぷり楽しみたいな。
とはいえ、次のワンマンはまだちょっと先になりそう。
それまでは、発売されたばかりの夏の野音のDVDでも見て
おうちでじっくりひたるとしますか(むむ?きれいにはめられてる?)
THE BACK HORN公式サイトhttp://www.speedstarmusic.co.jp/backhorn/

写真:楽屋にて
お疲れさまなのに、人なつっこい笑顔で迎えてくれるメンバー。
ステージでは狂気すらにじませていたカリスマは、静かで穏やかな表情で・・。
そうだな、まるで嵐の後の水面のよう。
けれど、その奥はかなり深い。まだまだ見えていない何かがきっとある。
そんな神秘さもまた魅力的なんだよねぇ・・。