北海道 秘境・自然 旅日記

北海道の美しい自然や、あまり知られていないマニアックな場所を写真で綴ります。

地図から消えた町~鴻之舞鉱山・前編~

2011年05月17日 06時48分13秒 | 網走の風景
2011年5月5日

紋別市道道305号線沿いに、かつて「東洋一の金山」と謳われた鴻之舞鉱山をご存知でしょうか?
昭和48年に閉山し、もうすぐ40年が経とうとしています。
かつては約1万4000人の人たちがここで働き、暮らしていました。
現在は廃墟を残すのみとなり、訪れる人はほとんどいません。

さて、今回はこの地に足を踏み入れて、当時の人々の生活に思いをはせてみましょう。

今回は遠軽(丸瀬布)側からその金山の足跡をたどります。


遠軽から紋別へはまず「金八峠」を越えなければいけません。
かつては未舗装の険しい峠越えだったようですが、今は立派なトンネルができて、
アクセスが大変楽になりました。

かつての鉱山鉱床図を見ると、この峠にも「藤島坑」「高峰坑」などの鉱床があったようです。


国道を走るとまず目に付くのはこの「学舎の里」の石碑です。
かつての小学校の跡地に建てられました。
「学舎の里」の石碑はこの他2箇所に見られます。


周囲にはこのような建造物跡があります。これが小学校の跡なんでしょうか。



ところで、道路脇のあちらこちらに「金竜町」「旭町」「喜楽町」「元町」「住吉町」「末広町」
といった、旧町名の標識が立っています。
これは鉱山関係者でつくる鴻友会が設置しているそうです。

さらに進んでみましょう。
数分進むと、右手に錆付いた「鴻之舞墓地入り口」の看板があります。
そこから脇へ入ってみます。


脇にそれてすぐ左手に死者を祀るためのお堂があります。
思わず手を合わせました。


そして突き当りには周囲を圧倒する煉瓦積みの巨大な煙突があります。
国道からは見えないのですが、粛々とした気持ちになります。

さらに進んでみましょう。


この辺りから道脇のあちらこちらにずり山が見られます。
金は金鉱石1トンからわずか10グラム程しか精製されません。
したがって、多量の不要土砂がでてきます。


かつての「旭町」のあたりから多くの遺構が見られるようになります。


元山精錬所の手前(遠軽側)、右手に団地のような鉱員住宅跡が並んでいます。


当時の人々の生活が少しだけ感じられました。

ちなみに、鉱山というと劣悪な生活環境と労働条件をイメージしがちですが、
和田秀穂氏著:「鴻之舞鉱山」によると
会社(住友)側の労働者の扱いについては「全山一致」の家族的な雰囲気をつくろうとした努力があった。
(中略)鴻之舞鉱山は、町内秩序が維持され、犯罪や災害が極めて少なかった。
とあります。
残念ながら「たこ労働者」や「朝鮮人の強制連行」は、ここでも行われていました。
ただ、鴻之舞鉱山においては史物によって、「過酷な労働を強いられた」とするものもある一方、
「たこ労働者や朝鮮人労働者への差別がほとんどなかった」とするものもあります。



部屋の中に大木が生えており、時代の流れを感じさせられます。


この住宅跡では廃墟らしい光景が広がっています。


この遺構が風化してしまうのはもったいない気がします。

さて、更に北上していきましょう。


やがて、通称「望郷の煙突」と呼ばれる高さ4~50mの構造物が見えてきます。


ここがかつての元山精錬所の跡です。
昭和13年頃の写真(和田秀穂氏著:「鴻之舞鉱山」参照)と比較すると、精錬ボイラーの跡のようです。


少し近づいてみましょう。


臆病なもので、これ以上入ることができませんでした・・・。

この地区について、「鴻之舞鉱山」によると
中心地が元町(地区)で、精錬所をはじめ、消防署、診療所、郵便局、役場支所などの公共施設が集まり、
昭和12年に建設された封切り映画を見ることができた恩栄館、書店、雑貨店などの商店が並んでいた。
(中略)
家賃、電気代、水道代、風呂、映画もみんなただだった。困ったことがあれば世話所に相談した。
ガラスの修理、屋根の葺き替えなど無料で直してくれた。だから何もなくても生きていけた。


しかし、それ程に繁栄した町は国の政策により昭和48年、一瞬にして消えてしまったのです・・・。

鴻之舞鉱山についての詳細についてはこちらもご覧ください。
「鴻之舞鉱山と上藻別駅逓」

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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なにか写ってないかなぁ (ZEP400)
2011-05-17 08:16:42
おはよう!
よ-く調べたら…
何か  写りこんでそうだね!
だんだんディスカバリーチャンネルの世界!

次が (*_*)楽しみ~
何が出るかな(^^ゞ
返信する
Unknown (きんちゃん)
2011-05-17 09:57:57
 ikebooさん、こんにちわ~
完全廃墟の町ですね~。こんな所全く知りませんでした。
肝試しの場所として若者が利用してそう・・・
こういうところには色々な噂がたつものですが
ここはどうなんだろう??
それにしても湯浴み出来なくて
変な方向に走りつつあるikebooさん・・・
早いとこ治療しないと!
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ZEP400さんへ (ikeboo)
2011-05-17 12:25:16
こんにちは~。
見た感じは変なものは写ってなさそうですが・・。
僕は全くといって良いほど霊感がないので大丈夫かと・・。
でも気が小さいので、ゆっくり探索はできませんでした・・・。
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きんちゃんさんへ (ikeboo)
2011-05-17 12:27:09
こんにちは~。
ここも例に漏れずいろいろな噂がたっているようですが・・。
しかし、どちらかというと粛々とした気分になりました。
今回行ったのが道北と日高だったので、
温泉はなかなか・・・。(涙)
返信する
廃墟 (damerabbit)
2011-05-17 13:53:53
何度か通っているだけでココまで踏み込んだ事は有りませんでした。話では「文中」にも有りますが「栄華の跡」です。早速オイラもリンク貼らせて頂きます。
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damerabbitさんへ (ikeboo)
2011-05-17 17:32:17
こんにちは。
町が1つ完全に消えてしまうというのは不思議な気がします。
それでも遺跡の如く廃墟が残っているので、
何とか利用価値はないかな?とも思います。
リンクの件、よろしくお願いします。
返信する
Unknown (Unknown)
2011-05-17 18:33:29
北海道では 結構 石炭だけでなく
 色々な鉱山が 廃坑になってるし
  厳しい自然の中 廃農した 場所も 一杯あるし
「たこ労働者」や「朝鮮人の強制連行」以外にも 明治政府などによって 囚人が 道路や開墾に 過酷に使われたことも あります
返信する
行ったことはないが (ユキヒロ)
2011-05-17 20:30:10
昔、もう亡くなった伯父さんがここで
勤めていたと聞いた事があり、名前は
昔から知っていました。

たしか金山とききました。

zepさん、あまり脅かさないように(笑)
返信する
北海道のくまさん?へ (ikeboo)
2011-05-18 07:25:46
こんにちは。
おそらく、くまさんでしょうか?
そうなんです。3年前、初めて北海道に来たときは
北海道は単に自然に囲まれて美しい場所としか
認識してませんでした。
北海道の開拓にはいろいろと暗の部分もあるのだということを
最近になって知りました。
こういったことを含めて、北海道なんだということを
改めて感じさせられました。
返信する
ユキヒロさんへ (ikeboo)
2011-05-18 07:28:46
こんにちは。
そう、金山です。
しかも当時は東洋一の産出量を誇った大金山だったようです。
住友が躍進したのは愛媛の「別子銅山」とこの「鴻之舞鉱山」の
おかげだそうです。
歴史は苦手ですが、勉強になりました。
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