飯田橋ライブラリー図書委員会です。
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初回テーマは「再会」です。
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揺れるスカート。今日は垂れ目にしよう。
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テーマ「再会」 作:林美沙希
きっと驚くだろうな。私はこの日を首を長くして待っていた。昔あの娘に言ってしまった悪口。
内容は忘れたけど、傷つけちゃったのはたしか。ちゃんと謝りたい。そんなことを思いながら待ち合わせ場所へ向かった。
かわいいハートのラテアート。勿体なくて飲めない。ガラス張りに映る自分の身だしなみをチェック。すると、外の男性と目があった。カランカラン。「彼」は私の目の前に座る。
「まさか、かれんちゃん?」
彼は頷いた。まさかこんな美男子になっているなんて。驚かすつもりだったのに。かわいいものが好きだった乙女同士仲良くなりたかった。何があったの?気まずい。
「似合うね」
「かっこいいね」
「モテそう」
とにかくこの空気をなんとかしたいのに、返事がない。
バン。バシャ。
え?冷たい。水をかけられた。「彼」はそのまま去っていく。なんでよ。どうして?
・
・
・
私は今、昔好きだった人に水をかけた。運動ができてかっこよかった昔の彼に言われた一言が、私をずっと支配している。
「わーかれんちゃんスカート履いてる。ぶりっ子じゃん」
偶然なのか、その日は私を除いて女子は全員ズボンだった。スカートが怖い。捨てよう。髪を切ろう。かっこよくなろう。これが私なんだ。
そう思っていた。
それだからスカートを履く「奴」が彼だと信じたくなかった。気持ち悪い。好きだったものが、好きだった人に奪い取られた。反吐が出そうだ。やっと口を開いたかと思えば、
「その格好、もう男子じゃん。似合うね」
私は男子じゃない。ただスカートが履けなくなってしまっただけ。あなたに嫌われたくなかっただけの、女の子だよ。
完