最近の労働判例(平成28年)
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裁判年月日 平成27年5月1日~平成28年4月30日and
参照法令 地方公務員法or国家公務員法or地方自治法or
フリーワード 地方公務員
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検索結果 7件
【2 勤務条件】 2件 判例⑤・⑦
【3 分限・懲戒】 3件 判例①・②・⑥
【6 職員団体・労働基本権】2件 判例③・④
①札幌高裁平成27年5月21日判決(判自401号35頁)
懲戒免職処分取消請求控訴事件(北海道和寒(わっさむ)町)
【3-3 懲戒処分】
<事案>
長期間の無断欠勤、事務処理の遅滞等不適切な事務処理を繰り返したことを理由に、懲戒免職処分(本件処分)を受けた原告が、①無断欠勤、不適切事務処理は、精神疾患が原因であって、本件処分には裁量権の逸脱・濫用がある、②告知聴聞手続等を欠いていており、本件処分には手続違反があるとして、本件処分の取消しを求めた事案
<判旨>
1 懲戒事由の該当性
無断欠勤、不適切事務処理の原因が精神疾患であることを否定
いずれも、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」(地公法29条1項2号)に該当
2 裁量権の逸脱・濫用
「公務員に対する懲戒処分について、懲戒権者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の上記行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して、懲戒処分をすべきかどうか、また、懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択すべきかを決定する裁量権を有しており、当該処分は、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に限り、違法となるものと解するのが相当である」(最高裁昭和52年12月20日判決〔神戸税関事件〕、最高裁平成2年1月18日判決〔伝習館事件〕)。
「そして、被告は、本件規程に基づき、本件無断欠勤については、「服務、業務処理関係」の処分事由のうち特に情状の重い場合として停職処分が相当であると判断し、本件不適切事務処理については、「服務、業務処理関係」の処分事由のうち戒告又は減給が相当であると判断した上(本件規程2条2項、別表、附表1)、両者の併合処分(本件規程2条5項、8項2号)により免職処分が相当であると判断したと主張している。上記ア及びイの事情からすれば、これらの各懲戒事由における量定や併合処分が、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したとは認められないから、本件処分は、社会観念上著しく妥当を欠くとはいえず、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとは認められない。」
3 手続違反
「地方公務員法3条1項所定の地方公務員に対する懲戒処分に際しては、聴聞又は弁明の機会の付与は法律上要求されていない」(行手法3条1項9号、13条1項)
②東京高裁平成27年5月28日判決(判時2278号21頁)
懲戒処分取消等請求控訴事件(東京都)
【3-3 懲戒処分】
<事案> 国旗国歌
<判旨>
1 最高裁平成24年1月16日判決(判時2147号139頁)
① 最高裁昭和52年12月20日判決〔神戸税関事件〕、最高裁平成2年1月18日判決〔伝習館事件〕の規範は維持
② 「不起立行為に対する懲戒において戒告、減給を超えて停職の処分を選択することが許容されるのは、過去の非違行為による懲戒処分等の処分歴や不起立行為の前後における態度等に鑑み、学校の規律や秩序の保持等の必要性と処分による不利益の内容との権衡の観点から当該処分を選択することの相当性を基礎付ける具体的事情が認められる場合であることを要する」
2 懲戒停職処分は違法であるとし、国家賠償請求を認容
③大阪高裁平成27年6月2日判決(判時2282号28頁)
行政財産使用不許可処分取消等、組合事務所使用不許可処分取消等請求控訴事件(大阪市)
【6-2 職員団体】
<事案>
労働組合等(労働組合、職員団体又はその連合体)である原告が、平成24年度・25年度・26年度と、市の庁舎内の一部を労働組合等の事務所として利用するために行政財産の目的外使用許可(自治法238条の3第7項)を申請したところ、いずれも不許可処分を受けたことから、これらの不許可処分を違法として国家賠償と不許可処分の取消しを求めた事案
<判旨>
1 規範
「本件各不許可処分は、労働組合等である被控訴人らが、組合事務所として使用していた本件事務室部分に係るものであるが、労働組合等が当然に控訴人の行政財産を組合事務所として利用する権利を保障されているということはできず、控訴人において、労働組合等による上記利用を受忍しなければならない義務を負うと解すべき理由はないのであって、このことは、従前、組合事務所として利用するための使用許可が1年ごとに繰り返されてきたとしても、変わるものではない」(最高裁昭和54年10月30日判決、最高裁平成元年12月11日判決、最高裁平成7年9月8日判決)。
「行政財産である市本庁舎内の本件事務室部分について、その使用を許可するか否かは、原則として、その管理者である控訴人の市長(同法148条、149条6号)の裁量に委ねられているものと解するのが相当である。すなわち、行政財産の用途又は目的を妨げる場合には、その使用を許可することができないことは明らかであるが、そのような事情がないからといって当然にその使用を許可しなければならないものではなく、行政財産である市本庁舎の目的及び用途と目的外使用の目的、態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により、使用許可をしないこともできるものである。」
「したがって、本件においては、管理者である市長の裁量権の行使が逸脱・濫用に当たるかが問題となるところ、管理者の裁量判断は、許可申請に係る使用の日時、場所、目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度、許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度、代替施設確保の困難性など、許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり、その裁量権の行使が逸脱・濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である」(最高裁平成18年2月7日判決)
2 平成24年度の不許可処分について
「被控訴人らに対し、本件事務室部分からの退去を求めることについての意思決定がされた平成24年1月の時点では、市本庁舎内で行政事務スペースが慢性的に不足していたとの事情が存在してはいたとはいうものの、未だ、本件事務室部分を行政事務スペースに割り当てなければならない具体的な必要性が生じていたとまでは認め難い。また、平成24年度不許可処分は、市長の発案によって、市本庁舎内において政治活動が行われる可能性を封じるとの目的で行われたものであって、このような市長による方針の決定は、市会における議員の発言をきっかけに、事実関係の十分な調査や検討を経ずに唐突に行われたものであり、その目的と、これに対して取られた手段である本件事務室部分の使用不許可処分との間に、合理的な関連性があるということもできない。
このことに加えて、平成24年度不許可処分は、長期間、反復・継続されてきた労働組合等に対する便宜供与を破棄するものであるところ、前提事実(3)ケ及び(4)のとおり、控訴人が被控訴人らを始めとする労働組合等に対して、本件事務室部分からの退去を求めたのは、平成24年1月25日又は26日であるところ、同日から控訴人が退去の期限とした平成24年3月31日までの期間は、約2か月と短い上、控訴人が被控訴人らに対して、本件事務室部分の明渡しを求める理由を具体的に説明したのは、明渡しの約1か月前である平成24年2月20日であったことなどの事情も認められる。
このような諸事情によると、本件事務室部分の使用許可を与えるか否かの判断が、その管理者である市長の裁量に委ねられており、被控訴人らが権利として本件事務室部分の貸与を求めることができないことなどを考慮したとしても、平成24年度不許可処分は、その判断要素の選択に合理性を欠くところがあり、かつ、その判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められるので、裁量権を逸脱・濫用したものというべきである。
したがって、平成24年度不許可処分は違法である。」
3 平成25年・26年度の不許可処分について
平成24年7月に、「大阪市労使関係に関する条例」制定
12条「労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は、行わないものとする。」
平成25年度・26年度の不許可処分は、「本件条例12条に基づいて行われたもので、市本庁舎内に必要な行政事務スペースを確保するために行われたものということができ、被控訴人らが被る不利益も上記の程度のものでやむを得ないということができるから、憲法並びに労組法及び地方公務員法の規定やその趣旨に反する(被控訴人らの団結権等を侵害する)ということはできず、合理的な根拠に基づいて行われたものであって、これについての市長の判断が、社会通念に照らし妥当性を欠き、その裁量権の範囲を逸脱したり、濫用したものであるということはできない。
したがって、平成25年度・26年度の不許可処分は「違法であるということはできない。」
④大阪高裁平成27年6月26日判決(判時2278号40頁)
大阪市(組合事務所)事件(大阪市)
【6-2 職員団体】
<事案>
労働組合等(労働組合及びその連合体。判例③とは別の組合)である原告が、平成24年度・25年度・26年度と、市の庁舎内の一部を労働組合等の事務所として利用するために行政財産の目的外使用許可(自治法238条の3第7項)を申請したところ、いずれも不許可処分を受けたことから、これらの不許可処分を違法として国家賠償を求めるとともに、不許可処分の取消しと許可処分の義務付けを求める一方、市が不許可処分後も組合事務所といて占有している部分について明渡しを求めるとともに、使用料損害金を求めた事案
<判旨>
1 規範
「目的外使用を許可するか否かは、その用途又は目的を妨げないことを前提とした上で、原則として、行政財産管理者の合理的な裁量に委ねられているものと解するのが相当である。そして、行政財産管理者の裁量判断は、許可申請に係る使用の日時若しくは期間、場所、目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度、許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度、代替施設確保の困難性等許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり、その裁量権の行使が逸脱・濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱又は濫用として違法となるものと解するのが相当である」(最高裁平成18年2月7日判決)。
「以上の理は、労働組合等が行政財産の目的外使用許可を受けて組合事務所として使用する場合においても変わらないというべきである。
地方公共団体に任用される職員をもって組織される労働組合等は、その勤務条件の維持改善を図ることを目的とするものであり、憲法二八条により団結権等が保障され、労組法の適用がある場合には、使用者による不当労働行為が禁止されている(労組法七条)。しかし、そうだとしても、行政財産管理者の行政財産の目的外使用許可に係る裁量権の行使を直接制約したりすることを許容する法令は存在しない。したがって、行政財産管理者としては、使用を許さないこととする場合には、職員の団結権等に及ぼす支障の有無・程度をも考慮すべき要素の一つとして、その許否を判断すべきものであり、その裁量権の行使が逸脱・濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、職員の団結権等に及ぼす支障の有無・程度や行政財産管理者の団結権等を侵害する意図の有無等をも含めて、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱・濫用として違法となるものと解するのが相当である。」
2 平成24年度の不許可処分について
「被控訴人らにおいて、平成二四年度も使用許可を受けられることを予定していたとしても、それ自体は責められるべきものでもない。
しかるに、橋下市長は、前記のとおり、平成二三年度の許可満了のわずか三か月前に、何の前触れもなく不許可の方針を表明し、事務方においては、平成二四年一月下旬頃になって不許可方針の説明をし、その説明も詳細に渡ることを避けたのであって、平成二四年度不許可処分は団結権等を有する労働組合等である被控訴人らに対する配慮を欠き、あまりに性急であったということは否定のしようがない。そうすると、平成二四年度不許可処分は、著しく合理性を欠き、社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものといわざるを得ない。」
「以上によれば、平成二四年度不許可処分は、その余の点を検討するまでもなく、違法といわざるを得ず、橋下市長及び被控訴人の職員には、その職務を行うについて過失があったものというべきであって、控訴人は、国家賠償法一条一項により、被控訴人らに対し、損害賠償義務を負うものというべきである。」
3 平成25年・26年度の不許可処分について
「労組法は、最小限の広さの事務所の供与を使用者の義務としているものではないし、これを奨励するものでもない。また、最小限の広さの事務所の供与を労働組合等の権利としているものではない。さらに、労組法一条の目的をみても、最小限の広さの事務所の供与に関して何らかの規制を及ぼす趣旨も窺われない。以上によれば、労組法は、最小限の広さの事務所の供与をしないことや、供与している状態を解消することについては、直接規制を及ぼす趣旨ではないと解され、本件条例一二条が労組法二条、七条に抵触するものとは認められない。」
「平成二五年二月の局議までに、同年四月一日には都市制度改革室から大阪府市大都市局への改編、財政局分室(税務部)の設置及びこども青少年局の強化が予定され、これらのことにより行政事務スペースが新たに数百m2不足することが見込まれたことから、行政事務スペースの狭隘は依然として変わりはなく、行政事務スペースは必要であった。」
「被控訴人らは、平成二四年度不許可処分を受け、同年五月一〇日には第二事件が提起されていた(ただし、同処分が違法であることは既に説示したとおりである。)ところ、本件条例一二条により、労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は、行わないものとするとされていたことから、控訴人により平成二五年度不許可処分がされるであろうことは、本件条例が公布された同二四年七月三〇日以降は十分に予測できたのであるから、平成二五年度の明渡しが求められることについて、被控訴人らが予想外の不利益を被ったということはできない。」
⑤札幌高裁平成27年9月11日判決(判自403号23頁)
北海道市町村職員退職手当組合事件(北海道苫前(とままえ)町)
【2-1 給与】
<事案>
死亡退職した職員の退職手当の全部不支給処分が違法であるとして、職員の妻である原告がその取消しを求めた事案
「死亡による退職をした者の遺族に対しまだ当該退職に係る退職手当の額が支払われていない場合において、当該退職後に当該退職手当の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認めるときは、組合長は、当該退職をした者が占めていた職の職務及び責任、当該退職をした者の勤務の状況、当該退職をした者が行った非違の内容及び程度、当該非違に至った経緯、当該非違後における当該退職した者の言動、当該非違が公務の遂行に及ぼす支障の程度並びに当該非違が公務に対する信頼に及ぼす影響を勘案して、当該一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができると定めて」いる。(退職手当条例14条2項、1項3号、12条1項)
<判旨>
1 審査方法
「このような広範な事情について総合的な検討を要する以上、退職手当支給制限処分を行うかどうか、退職手当支給制限処分を行うときにいかなる程度の制限を行うかは、平素から庁内の事情に通暁し、職員の指揮監督の衝に当たる退職手当管理機関の裁量に任されているものというべきである。
そのため、退職手当管理機関が上記裁量権を行使して行った退職手当支給制限処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして、違法とならないものである。
したがって、裁判所が退職手当支給制限処分の適否を審査するに当たっては、退職手当管理機関と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか又はいかなる処分を選択すべきであったかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、退職手当管理機関の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合に限り、違法であると判断すべきものである」(最高裁昭和52年12月20日判決)
「被告は、懲戒免職処分に相当する非違行為を行った者については、退職手当全部不支給とするのが原則である旨主張し、運用方針も同様の方針を示しているので、この点につき検討する。
ア 退職手当の法的性格は、一義的に明確とはいえず、退職手当制度の仕組み及び内容によってその性格付けに差異が生じ得るが、一般的に、沿革としての勤続報償としての基調となる性格に加えて、労働の対償であるとの労働者及び使用者の認識に裏付けられた賃金の後払いとしての性格や現実の機能としての退職後の生活保障が結合した複合的な性格を有していると考えられる。そして、本件における退職手当も、算定基礎賃金に勤続年数別の支給率を乗じて算定されていること、支給率がおおむね勤続年数に応じて逓増していること、自己都合退職の場合の支給率を減額していること等に照らすと、その沿革である勤続報償としての性格を基調としつつ、これらの3つの性格が結合したものと解するのが相当である。
イ また、退職手当支給についての運用方針は、懲戒免職処分に相当する非違行為を行った者については、〈1〉退職手当を全部不支給とするのを原則とし、〈2〉一部不支給にとどめる場合の「非違の内容及び程度」に関する勘案事情を限定列挙した上で、公務に対する国民の信頼に及ぼす影響に留意して慎重な検討を行うものとし、さらに、〈3〉その他の勘案事情を具体的に明記するものである。かかる運用方針は、上記のとおり、公務員の退職手当が、勤続報償としての性格を基調として賃金の後払いや退職後の生活保障等の複合的な性格を有するものであること、本件条例及びこれと同趣旨の国家公務員退職手当法が、懲戒免職処分に相当する非違行為を行った者への退職手当の支給について、考慮要素を掲げるのみで、処分庁の広汎な裁量に委ねたと解されることからすれば、不合理なものということはできない。
以上のとおり、運用方針が不合理なものということができないことからすれば、本件処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められるかを判断するに当たっては、控訴人が運用指針に則って本件処分をしたといえるかどうかによることが相当である。
2 本件処分の相当性
「(1) 本件についてみると、不正行為1ないし7は、亡Aが、金銭の管理を委ねられていた自己の職務上の地位を利用して不正な金銭の受領及び着服を繰り返し行ったというものである。不正行為1ないし7の被害額の合計は18万5300円にとどまるものの、公金の不正な受領ないし着服は、額の多寡を問わず、それ自体非難の程度が大きいものであり、公務に対する信頼を大きく損なうものである。そして、亡Aは、各不正行為を認めることはなく、反省の態度を示していたとはいい難く、被害弁償は何らされていない。
(2) また、亡Aの従前の勤務状況は決して良好とはいえず、事務の未処理、多数誤謬等を繰り返すなど勤務実績が良くないことを理由として、平成18年4月1日付けで分限降任処分を受け、その後も、業者に対する支払懈怠、書類の紛失等を繰り返したとして、平成20年9月1日付けで懲戒処分(減給1月)を受けている(前記認定事実(9))。
(3) 以上によれば、運用方針に照らして、亡Aについては退職手当の全額不支給が相当であり、一部不支給にとどめるべき事由は見出し難い。
被害額は多額ではないが、数十万円の被害金を全額弁償した場合であっても、懲戒免職処分とされた例が複数ある(乙102)。
また、不正行為1ないし7に関連して、亡Aの上司等管理職4名が、管理責任を怠ったとして、平成26年8月1日付けで戒告処分を受け(乙83の1ないし4)、苫前町長及び副町長が減給処分を受けたこと(乙99)との均衡においても、相当といえる。
(4) したがって、本件処分が、亡Aの約20年間の勤続による退職手当763万4445円全額を不支給としたことが、社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したものとはいえない。」
⑥東京地裁平成27年10月26日判決(判タ1422号153頁)
懲戒処分取消等請求事件(東京都)
【3-3 懲戒処分】
<事案>
公立高校の教員である原告が、女子生徒に対し不適切な内容のメールを送信したことなどを理由として、教育委員会から懲戒免職処分を受けたことから、その免職処分には、懲戒免職事由が存在せず、また、裁量権の範囲の逸脱またはその濫用があり、手続上も違法であるなどとして、その取消しを求めるとともに、慰謝料を請求した事案
<判旨>
1 懲戒免職処分理由の存否
懲戒免職処分理由の存在を認定
2 裁量権の逸脱・濫用
「公務員に対する懲戒処分を行うかどうか、いかなる処分を行うかは、懲戒権者の裁量に任されており、懲戒権者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の上記行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して決定することができ、懲戒権者が裁量権の行使としてした懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものと認められる場合に、違法となるものと解される」(最高裁昭和52年12月20日判決、最高裁平成2年1月18日判決)
「本件処分量定が飽くまでも標準的な処分量定を定めるものであり、諸般の事情を総合的に考慮して、処分の加重・軽減の余地を残していることは前記前提事実(7)のとおりであるが、一方で、本件処分量定が非違行為の類型ごとに標準的な処分量定を示しているのは、懲戒権者の判断が恣意に流れることのないように判断の基準を示しているものと解され、特に重い処分である免職が選択された場合、職員に与える不利益は著しいものがあるから、それが本件処分量定と異なる処分であるときは、あえて免職を選択した客観的・合理的な根拠の有無について慎重に吟味する必要があるというべきである。」
「本件非違行為のうち、原告が生徒Aに送信したメールの内容は極めて不適切であり、原告の教員としての資質及び適格性について疑義を抱くだけの理由はあったものではあるが、その結果や影響が必ずしも重大なものとまではいえず、本件処分量定に照らしても、本件非違行為はいずれも「停職」とするのが相当な事案と考えられる一方、本件処分量定を離れて特に重い処分である「免職」をすべき事情も見当たらないことからすれば、本件免職処分は、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとして、違法であるというべきである。
したがって、懲戒処分取消請求については、その余の点を判断するまでもなく、原告の請求は認められる。」
3 国賠請求
「原告を免職処分としたことは、上記のとおり裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとして、その限りで違法というべきであるが、本件非違行為が全て認められ、原告の教員としての資質及び適格性について疑義を抱くだけの理由があったことは既に述べたとおりであって、懲戒権者が一定の裁量権を有することに鑑みると、違法であることを認識しつつ免職処分をしたとも、違法であることを当然に認識すべきであったともいえないから、故意・過失がある国賠法上違法な行為とみるのは相当でない。」
「以上のとおり、原告が賠償請求の根拠として主張するものについては、いずれも違法であると認められないので、国家賠償請求は理由がない。」
⑦最高裁平成27年11月17日判決(判自403号33頁)
中津市(特別職職員)事件(中津市)
【2-1 給与】
<事案>
市の非常勤職員(学校図書館司書)であった原告が、退職手当条例に基づき退職手当の支払いを求めた事案
退手条例の適用対象
① 施行時
「中津市職員(市の経済から給与の支給を受けて常時勤務に服するものをいう・・・)」
② 昭和31年改正
「中津市職員(市の経済から給与の支給を受けて常時勤務に服する一般職の職員を いう・・・)」
③ 昭和38年改正
「市の経済から給料が支給される一般職(地方公務員法に規定する一般職をいう。)の職員」
④ 平成4年改正
「市の経済から給料が支給される職員(地方公営企業労働関係法第3条第2項(注:3条4号?)の職員及び単純な労務に雇用される一般職の職員を除く。)」
<判旨>
1 退手条例の適用対象
「本件条例は、「職員(地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和27年法律第289号)第3条第4号の職員及び単純な労務に雇用される一般職の職員を除く。)」の退職手当に関する事項を定めることを目的とし(1条)、同条に規定する職員のうち常時勤務に服することを要するものが退職した場合にその者又はその遺族に所定の退職手当を支給する旨を定めるとともに(2条1項)、同項所定の職員以外の者のうち同項所定の職員について定められている勤務時間以上勤務した日等が18日以上ある月が引き続いて12月を超えるに至ったもので、その超えるに至った日以後引き続き当該勤務時間により勤務することとされているものを同項所定の職員とみなして、本件条例の規定を適用する旨を定める(同条2項)。」
「本件条例が施行された当時の本件条例1条は、「X市職員(市の経済から給与の支給を受けて常時勤務に服する者をいう…)」の退職手当に関する事項を定めることを目的とする旨を定めていたところ、昭和31年に、X市特別職の職員の退職手当に関する条例(昭和31年X市条例第34号)が制定されたことに伴い、本件条例の適用対象となる者を「X市職員(市の経済から給与の支給を受けて常時勤務に服する一般職の職員をいう…)」とする旨の改正がされて本件条例が一般職の職員のみに適用される旨が明確にされ、さらに、昭和38年に、本件条例の適用対象となる者を「市の経済から給料が支給される一般職(地方公務員法(昭和25年法律第261号)に規定する一般職をいう。)の職員」とする旨の改正がされた。そして、平成4年の本件条例の改正において、本件条例の適用対象となる者に係る規定の文言が、それまで「一般職…の職員」とあったものを「職員(地方公営企業労働関係法(昭和27年法律第289号)第3条第2項(注:3条4号?)の職員及び単純な労務に雇用される一般職の職員を除く。)」と改められたものの、上記改正の際にX市議会に提出された条例案には、国家公務員の退職手当支給率に準じるために所要の改正をすることが上記改正の理由である旨の記載がされているにとどまり、上記改正が地方公務員法3条3項所定の特別職の職員を本件条例の適用対象に加える趣旨によるものであったとの事情はうかがわれない。このような本件条例の改正の経緯等を勘案すれば、本件条例は同項3号所定の特別職の職員には適用されないものと解すべきである。
2 一般職か特別職(嘱託員)か
「被上告人は、旧C村及び上告人の非常勤職員として、旧C村及び上告人の設置する中学校の学校図書館の司書業務に従事していたところ、旧C村が上告人に編入される前はC村教育委員会嘱託雇用職員、嘱託学校司書、C村嘱託職員等の名称で任用され、また、上記編入後は前記3(3)の規則において地方公務員法3条3項3号所定の特別職の非常勤職員として設置する旨が定められていたC教育センター嘱託員として任用されているのであるから、旧C村及び上告人は、被上告人が任用された職を同号所定の特別職として設置する意思を有し、かつ、被上告人につき、それを前提とする人事上の取扱いをしていたものと認められる。そうすると、被上告人の在任中の勤務日数及び勤務時間が常勤職員と同一であることや、被上告人がその勤務する中学校の校長によって監督される立場にあったことなどを考慮しても、被上告人の在任中の地位は同号所定の特別職の職員に当たるというべきである。」
「以上によれば、被上告人は、上告人に対し、本件条例に基づく退職手当の支払を請求することはできないというべきである。」
以 上
検索条件
裁判年月日 平成27年5月1日~平成28年4月30日and
参照法令 地方公務員法or国家公務員法or地方自治法or
フリーワード 地方公務員
(雑誌未搭載のものを除く)
検索結果 7件
【2 勤務条件】 2件 判例⑤・⑦
【3 分限・懲戒】 3件 判例①・②・⑥
【6 職員団体・労働基本権】2件 判例③・④
①札幌高裁平成27年5月21日判決(判自401号35頁)
懲戒免職処分取消請求控訴事件(北海道和寒(わっさむ)町)
【3-3 懲戒処分】
<事案>
長期間の無断欠勤、事務処理の遅滞等不適切な事務処理を繰り返したことを理由に、懲戒免職処分(本件処分)を受けた原告が、①無断欠勤、不適切事務処理は、精神疾患が原因であって、本件処分には裁量権の逸脱・濫用がある、②告知聴聞手続等を欠いていており、本件処分には手続違反があるとして、本件処分の取消しを求めた事案
<判旨>
1 懲戒事由の該当性
無断欠勤、不適切事務処理の原因が精神疾患であることを否定
いずれも、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」(地公法29条1項2号)に該当
2 裁量権の逸脱・濫用
「公務員に対する懲戒処分について、懲戒権者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の上記行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して、懲戒処分をすべきかどうか、また、懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択すべきかを決定する裁量権を有しており、当該処分は、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に限り、違法となるものと解するのが相当である」(最高裁昭和52年12月20日判決〔神戸税関事件〕、最高裁平成2年1月18日判決〔伝習館事件〕)。
「そして、被告は、本件規程に基づき、本件無断欠勤については、「服務、業務処理関係」の処分事由のうち特に情状の重い場合として停職処分が相当であると判断し、本件不適切事務処理については、「服務、業務処理関係」の処分事由のうち戒告又は減給が相当であると判断した上(本件規程2条2項、別表、附表1)、両者の併合処分(本件規程2条5項、8項2号)により免職処分が相当であると判断したと主張している。上記ア及びイの事情からすれば、これらの各懲戒事由における量定や併合処分が、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したとは認められないから、本件処分は、社会観念上著しく妥当を欠くとはいえず、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとは認められない。」
3 手続違反
「地方公務員法3条1項所定の地方公務員に対する懲戒処分に際しては、聴聞又は弁明の機会の付与は法律上要求されていない」(行手法3条1項9号、13条1項)
②東京高裁平成27年5月28日判決(判時2278号21頁)
懲戒処分取消等請求控訴事件(東京都)
【3-3 懲戒処分】
<事案> 国旗国歌
<判旨>
1 最高裁平成24年1月16日判決(判時2147号139頁)
① 最高裁昭和52年12月20日判決〔神戸税関事件〕、最高裁平成2年1月18日判決〔伝習館事件〕の規範は維持
② 「不起立行為に対する懲戒において戒告、減給を超えて停職の処分を選択することが許容されるのは、過去の非違行為による懲戒処分等の処分歴や不起立行為の前後における態度等に鑑み、学校の規律や秩序の保持等の必要性と処分による不利益の内容との権衡の観点から当該処分を選択することの相当性を基礎付ける具体的事情が認められる場合であることを要する」
2 懲戒停職処分は違法であるとし、国家賠償請求を認容
③大阪高裁平成27年6月2日判決(判時2282号28頁)
行政財産使用不許可処分取消等、組合事務所使用不許可処分取消等請求控訴事件(大阪市)
【6-2 職員団体】
<事案>
労働組合等(労働組合、職員団体又はその連合体)である原告が、平成24年度・25年度・26年度と、市の庁舎内の一部を労働組合等の事務所として利用するために行政財産の目的外使用許可(自治法238条の3第7項)を申請したところ、いずれも不許可処分を受けたことから、これらの不許可処分を違法として国家賠償と不許可処分の取消しを求めた事案
<判旨>
1 規範
「本件各不許可処分は、労働組合等である被控訴人らが、組合事務所として使用していた本件事務室部分に係るものであるが、労働組合等が当然に控訴人の行政財産を組合事務所として利用する権利を保障されているということはできず、控訴人において、労働組合等による上記利用を受忍しなければならない義務を負うと解すべき理由はないのであって、このことは、従前、組合事務所として利用するための使用許可が1年ごとに繰り返されてきたとしても、変わるものではない」(最高裁昭和54年10月30日判決、最高裁平成元年12月11日判決、最高裁平成7年9月8日判決)。
「行政財産である市本庁舎内の本件事務室部分について、その使用を許可するか否かは、原則として、その管理者である控訴人の市長(同法148条、149条6号)の裁量に委ねられているものと解するのが相当である。すなわち、行政財産の用途又は目的を妨げる場合には、その使用を許可することができないことは明らかであるが、そのような事情がないからといって当然にその使用を許可しなければならないものではなく、行政財産である市本庁舎の目的及び用途と目的外使用の目的、態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により、使用許可をしないこともできるものである。」
「したがって、本件においては、管理者である市長の裁量権の行使が逸脱・濫用に当たるかが問題となるところ、管理者の裁量判断は、許可申請に係る使用の日時、場所、目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度、許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度、代替施設確保の困難性など、許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり、その裁量権の行使が逸脱・濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である」(最高裁平成18年2月7日判決)
2 平成24年度の不許可処分について
「被控訴人らに対し、本件事務室部分からの退去を求めることについての意思決定がされた平成24年1月の時点では、市本庁舎内で行政事務スペースが慢性的に不足していたとの事情が存在してはいたとはいうものの、未だ、本件事務室部分を行政事務スペースに割り当てなければならない具体的な必要性が生じていたとまでは認め難い。また、平成24年度不許可処分は、市長の発案によって、市本庁舎内において政治活動が行われる可能性を封じるとの目的で行われたものであって、このような市長による方針の決定は、市会における議員の発言をきっかけに、事実関係の十分な調査や検討を経ずに唐突に行われたものであり、その目的と、これに対して取られた手段である本件事務室部分の使用不許可処分との間に、合理的な関連性があるということもできない。
このことに加えて、平成24年度不許可処分は、長期間、反復・継続されてきた労働組合等に対する便宜供与を破棄するものであるところ、前提事実(3)ケ及び(4)のとおり、控訴人が被控訴人らを始めとする労働組合等に対して、本件事務室部分からの退去を求めたのは、平成24年1月25日又は26日であるところ、同日から控訴人が退去の期限とした平成24年3月31日までの期間は、約2か月と短い上、控訴人が被控訴人らに対して、本件事務室部分の明渡しを求める理由を具体的に説明したのは、明渡しの約1か月前である平成24年2月20日であったことなどの事情も認められる。
このような諸事情によると、本件事務室部分の使用許可を与えるか否かの判断が、その管理者である市長の裁量に委ねられており、被控訴人らが権利として本件事務室部分の貸与を求めることができないことなどを考慮したとしても、平成24年度不許可処分は、その判断要素の選択に合理性を欠くところがあり、かつ、その判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められるので、裁量権を逸脱・濫用したものというべきである。
したがって、平成24年度不許可処分は違法である。」
3 平成25年・26年度の不許可処分について
平成24年7月に、「大阪市労使関係に関する条例」制定
12条「労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は、行わないものとする。」
平成25年度・26年度の不許可処分は、「本件条例12条に基づいて行われたもので、市本庁舎内に必要な行政事務スペースを確保するために行われたものということができ、被控訴人らが被る不利益も上記の程度のものでやむを得ないということができるから、憲法並びに労組法及び地方公務員法の規定やその趣旨に反する(被控訴人らの団結権等を侵害する)ということはできず、合理的な根拠に基づいて行われたものであって、これについての市長の判断が、社会通念に照らし妥当性を欠き、その裁量権の範囲を逸脱したり、濫用したものであるということはできない。
したがって、平成25年度・26年度の不許可処分は「違法であるということはできない。」
④大阪高裁平成27年6月26日判決(判時2278号40頁)
大阪市(組合事務所)事件(大阪市)
【6-2 職員団体】
<事案>
労働組合等(労働組合及びその連合体。判例③とは別の組合)である原告が、平成24年度・25年度・26年度と、市の庁舎内の一部を労働組合等の事務所として利用するために行政財産の目的外使用許可(自治法238条の3第7項)を申請したところ、いずれも不許可処分を受けたことから、これらの不許可処分を違法として国家賠償を求めるとともに、不許可処分の取消しと許可処分の義務付けを求める一方、市が不許可処分後も組合事務所といて占有している部分について明渡しを求めるとともに、使用料損害金を求めた事案
<判旨>
1 規範
「目的外使用を許可するか否かは、その用途又は目的を妨げないことを前提とした上で、原則として、行政財産管理者の合理的な裁量に委ねられているものと解するのが相当である。そして、行政財産管理者の裁量判断は、許可申請に係る使用の日時若しくは期間、場所、目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度、許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度、代替施設確保の困難性等許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり、その裁量権の行使が逸脱・濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱又は濫用として違法となるものと解するのが相当である」(最高裁平成18年2月7日判決)。
「以上の理は、労働組合等が行政財産の目的外使用許可を受けて組合事務所として使用する場合においても変わらないというべきである。
地方公共団体に任用される職員をもって組織される労働組合等は、その勤務条件の維持改善を図ることを目的とするものであり、憲法二八条により団結権等が保障され、労組法の適用がある場合には、使用者による不当労働行為が禁止されている(労組法七条)。しかし、そうだとしても、行政財産管理者の行政財産の目的外使用許可に係る裁量権の行使を直接制約したりすることを許容する法令は存在しない。したがって、行政財産管理者としては、使用を許さないこととする場合には、職員の団結権等に及ぼす支障の有無・程度をも考慮すべき要素の一つとして、その許否を判断すべきものであり、その裁量権の行使が逸脱・濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、職員の団結権等に及ぼす支障の有無・程度や行政財産管理者の団結権等を侵害する意図の有無等をも含めて、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱・濫用として違法となるものと解するのが相当である。」
2 平成24年度の不許可処分について
「被控訴人らにおいて、平成二四年度も使用許可を受けられることを予定していたとしても、それ自体は責められるべきものでもない。
しかるに、橋下市長は、前記のとおり、平成二三年度の許可満了のわずか三か月前に、何の前触れもなく不許可の方針を表明し、事務方においては、平成二四年一月下旬頃になって不許可方針の説明をし、その説明も詳細に渡ることを避けたのであって、平成二四年度不許可処分は団結権等を有する労働組合等である被控訴人らに対する配慮を欠き、あまりに性急であったということは否定のしようがない。そうすると、平成二四年度不許可処分は、著しく合理性を欠き、社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものといわざるを得ない。」
「以上によれば、平成二四年度不許可処分は、その余の点を検討するまでもなく、違法といわざるを得ず、橋下市長及び被控訴人の職員には、その職務を行うについて過失があったものというべきであって、控訴人は、国家賠償法一条一項により、被控訴人らに対し、損害賠償義務を負うものというべきである。」
3 平成25年・26年度の不許可処分について
「労組法は、最小限の広さの事務所の供与を使用者の義務としているものではないし、これを奨励するものでもない。また、最小限の広さの事務所の供与を労働組合等の権利としているものではない。さらに、労組法一条の目的をみても、最小限の広さの事務所の供与に関して何らかの規制を及ぼす趣旨も窺われない。以上によれば、労組法は、最小限の広さの事務所の供与をしないことや、供与している状態を解消することについては、直接規制を及ぼす趣旨ではないと解され、本件条例一二条が労組法二条、七条に抵触するものとは認められない。」
「平成二五年二月の局議までに、同年四月一日には都市制度改革室から大阪府市大都市局への改編、財政局分室(税務部)の設置及びこども青少年局の強化が予定され、これらのことにより行政事務スペースが新たに数百m2不足することが見込まれたことから、行政事務スペースの狭隘は依然として変わりはなく、行政事務スペースは必要であった。」
「被控訴人らは、平成二四年度不許可処分を受け、同年五月一〇日には第二事件が提起されていた(ただし、同処分が違法であることは既に説示したとおりである。)ところ、本件条例一二条により、労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は、行わないものとするとされていたことから、控訴人により平成二五年度不許可処分がされるであろうことは、本件条例が公布された同二四年七月三〇日以降は十分に予測できたのであるから、平成二五年度の明渡しが求められることについて、被控訴人らが予想外の不利益を被ったということはできない。」
⑤札幌高裁平成27年9月11日判決(判自403号23頁)
北海道市町村職員退職手当組合事件(北海道苫前(とままえ)町)
【2-1 給与】
<事案>
死亡退職した職員の退職手当の全部不支給処分が違法であるとして、職員の妻である原告がその取消しを求めた事案
「死亡による退職をした者の遺族に対しまだ当該退職に係る退職手当の額が支払われていない場合において、当該退職後に当該退職手当の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認めるときは、組合長は、当該退職をした者が占めていた職の職務及び責任、当該退職をした者の勤務の状況、当該退職をした者が行った非違の内容及び程度、当該非違に至った経緯、当該非違後における当該退職した者の言動、当該非違が公務の遂行に及ぼす支障の程度並びに当該非違が公務に対する信頼に及ぼす影響を勘案して、当該一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができると定めて」いる。(退職手当条例14条2項、1項3号、12条1項)
<判旨>
1 審査方法
「このような広範な事情について総合的な検討を要する以上、退職手当支給制限処分を行うかどうか、退職手当支給制限処分を行うときにいかなる程度の制限を行うかは、平素から庁内の事情に通暁し、職員の指揮監督の衝に当たる退職手当管理機関の裁量に任されているものというべきである。
そのため、退職手当管理機関が上記裁量権を行使して行った退職手当支給制限処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして、違法とならないものである。
したがって、裁判所が退職手当支給制限処分の適否を審査するに当たっては、退職手当管理機関と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか又はいかなる処分を選択すべきであったかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、退職手当管理機関の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合に限り、違法であると判断すべきものである」(最高裁昭和52年12月20日判決)
「被告は、懲戒免職処分に相当する非違行為を行った者については、退職手当全部不支給とするのが原則である旨主張し、運用方針も同様の方針を示しているので、この点につき検討する。
ア 退職手当の法的性格は、一義的に明確とはいえず、退職手当制度の仕組み及び内容によってその性格付けに差異が生じ得るが、一般的に、沿革としての勤続報償としての基調となる性格に加えて、労働の対償であるとの労働者及び使用者の認識に裏付けられた賃金の後払いとしての性格や現実の機能としての退職後の生活保障が結合した複合的な性格を有していると考えられる。そして、本件における退職手当も、算定基礎賃金に勤続年数別の支給率を乗じて算定されていること、支給率がおおむね勤続年数に応じて逓増していること、自己都合退職の場合の支給率を減額していること等に照らすと、その沿革である勤続報償としての性格を基調としつつ、これらの3つの性格が結合したものと解するのが相当である。
イ また、退職手当支給についての運用方針は、懲戒免職処分に相当する非違行為を行った者については、〈1〉退職手当を全部不支給とするのを原則とし、〈2〉一部不支給にとどめる場合の「非違の内容及び程度」に関する勘案事情を限定列挙した上で、公務に対する国民の信頼に及ぼす影響に留意して慎重な検討を行うものとし、さらに、〈3〉その他の勘案事情を具体的に明記するものである。かかる運用方針は、上記のとおり、公務員の退職手当が、勤続報償としての性格を基調として賃金の後払いや退職後の生活保障等の複合的な性格を有するものであること、本件条例及びこれと同趣旨の国家公務員退職手当法が、懲戒免職処分に相当する非違行為を行った者への退職手当の支給について、考慮要素を掲げるのみで、処分庁の広汎な裁量に委ねたと解されることからすれば、不合理なものということはできない。
以上のとおり、運用方針が不合理なものということができないことからすれば、本件処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められるかを判断するに当たっては、控訴人が運用指針に則って本件処分をしたといえるかどうかによることが相当である。
2 本件処分の相当性
「(1) 本件についてみると、不正行為1ないし7は、亡Aが、金銭の管理を委ねられていた自己の職務上の地位を利用して不正な金銭の受領及び着服を繰り返し行ったというものである。不正行為1ないし7の被害額の合計は18万5300円にとどまるものの、公金の不正な受領ないし着服は、額の多寡を問わず、それ自体非難の程度が大きいものであり、公務に対する信頼を大きく損なうものである。そして、亡Aは、各不正行為を認めることはなく、反省の態度を示していたとはいい難く、被害弁償は何らされていない。
(2) また、亡Aの従前の勤務状況は決して良好とはいえず、事務の未処理、多数誤謬等を繰り返すなど勤務実績が良くないことを理由として、平成18年4月1日付けで分限降任処分を受け、その後も、業者に対する支払懈怠、書類の紛失等を繰り返したとして、平成20年9月1日付けで懲戒処分(減給1月)を受けている(前記認定事実(9))。
(3) 以上によれば、運用方針に照らして、亡Aについては退職手当の全額不支給が相当であり、一部不支給にとどめるべき事由は見出し難い。
被害額は多額ではないが、数十万円の被害金を全額弁償した場合であっても、懲戒免職処分とされた例が複数ある(乙102)。
また、不正行為1ないし7に関連して、亡Aの上司等管理職4名が、管理責任を怠ったとして、平成26年8月1日付けで戒告処分を受け(乙83の1ないし4)、苫前町長及び副町長が減給処分を受けたこと(乙99)との均衡においても、相当といえる。
(4) したがって、本件処分が、亡Aの約20年間の勤続による退職手当763万4445円全額を不支給としたことが、社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したものとはいえない。」
⑥東京地裁平成27年10月26日判決(判タ1422号153頁)
懲戒処分取消等請求事件(東京都)
【3-3 懲戒処分】
<事案>
公立高校の教員である原告が、女子生徒に対し不適切な内容のメールを送信したことなどを理由として、教育委員会から懲戒免職処分を受けたことから、その免職処分には、懲戒免職事由が存在せず、また、裁量権の範囲の逸脱またはその濫用があり、手続上も違法であるなどとして、その取消しを求めるとともに、慰謝料を請求した事案
<判旨>
1 懲戒免職処分理由の存否
懲戒免職処分理由の存在を認定
2 裁量権の逸脱・濫用
「公務員に対する懲戒処分を行うかどうか、いかなる処分を行うかは、懲戒権者の裁量に任されており、懲戒権者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の上記行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して決定することができ、懲戒権者が裁量権の行使としてした懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものと認められる場合に、違法となるものと解される」(最高裁昭和52年12月20日判決、最高裁平成2年1月18日判決)
「本件処分量定が飽くまでも標準的な処分量定を定めるものであり、諸般の事情を総合的に考慮して、処分の加重・軽減の余地を残していることは前記前提事実(7)のとおりであるが、一方で、本件処分量定が非違行為の類型ごとに標準的な処分量定を示しているのは、懲戒権者の判断が恣意に流れることのないように判断の基準を示しているものと解され、特に重い処分である免職が選択された場合、職員に与える不利益は著しいものがあるから、それが本件処分量定と異なる処分であるときは、あえて免職を選択した客観的・合理的な根拠の有無について慎重に吟味する必要があるというべきである。」
「本件非違行為のうち、原告が生徒Aに送信したメールの内容は極めて不適切であり、原告の教員としての資質及び適格性について疑義を抱くだけの理由はあったものではあるが、その結果や影響が必ずしも重大なものとまではいえず、本件処分量定に照らしても、本件非違行為はいずれも「停職」とするのが相当な事案と考えられる一方、本件処分量定を離れて特に重い処分である「免職」をすべき事情も見当たらないことからすれば、本件免職処分は、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとして、違法であるというべきである。
したがって、懲戒処分取消請求については、その余の点を判断するまでもなく、原告の請求は認められる。」
3 国賠請求
「原告を免職処分としたことは、上記のとおり裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとして、その限りで違法というべきであるが、本件非違行為が全て認められ、原告の教員としての資質及び適格性について疑義を抱くだけの理由があったことは既に述べたとおりであって、懲戒権者が一定の裁量権を有することに鑑みると、違法であることを認識しつつ免職処分をしたとも、違法であることを当然に認識すべきであったともいえないから、故意・過失がある国賠法上違法な行為とみるのは相当でない。」
「以上のとおり、原告が賠償請求の根拠として主張するものについては、いずれも違法であると認められないので、国家賠償請求は理由がない。」
⑦最高裁平成27年11月17日判決(判自403号33頁)
中津市(特別職職員)事件(中津市)
【2-1 給与】
<事案>
市の非常勤職員(学校図書館司書)であった原告が、退職手当条例に基づき退職手当の支払いを求めた事案
退手条例の適用対象
① 施行時
「中津市職員(市の経済から給与の支給を受けて常時勤務に服するものをいう・・・)」
② 昭和31年改正
「中津市職員(市の経済から給与の支給を受けて常時勤務に服する一般職の職員を いう・・・)」
③ 昭和38年改正
「市の経済から給料が支給される一般職(地方公務員法に規定する一般職をいう。)の職員」
④ 平成4年改正
「市の経済から給料が支給される職員(地方公営企業労働関係法第3条第2項(注:3条4号?)の職員及び単純な労務に雇用される一般職の職員を除く。)」
<判旨>
1 退手条例の適用対象
「本件条例は、「職員(地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和27年法律第289号)第3条第4号の職員及び単純な労務に雇用される一般職の職員を除く。)」の退職手当に関する事項を定めることを目的とし(1条)、同条に規定する職員のうち常時勤務に服することを要するものが退職した場合にその者又はその遺族に所定の退職手当を支給する旨を定めるとともに(2条1項)、同項所定の職員以外の者のうち同項所定の職員について定められている勤務時間以上勤務した日等が18日以上ある月が引き続いて12月を超えるに至ったもので、その超えるに至った日以後引き続き当該勤務時間により勤務することとされているものを同項所定の職員とみなして、本件条例の規定を適用する旨を定める(同条2項)。」
「本件条例が施行された当時の本件条例1条は、「X市職員(市の経済から給与の支給を受けて常時勤務に服する者をいう…)」の退職手当に関する事項を定めることを目的とする旨を定めていたところ、昭和31年に、X市特別職の職員の退職手当に関する条例(昭和31年X市条例第34号)が制定されたことに伴い、本件条例の適用対象となる者を「X市職員(市の経済から給与の支給を受けて常時勤務に服する一般職の職員をいう…)」とする旨の改正がされて本件条例が一般職の職員のみに適用される旨が明確にされ、さらに、昭和38年に、本件条例の適用対象となる者を「市の経済から給料が支給される一般職(地方公務員法(昭和25年法律第261号)に規定する一般職をいう。)の職員」とする旨の改正がされた。そして、平成4年の本件条例の改正において、本件条例の適用対象となる者に係る規定の文言が、それまで「一般職…の職員」とあったものを「職員(地方公営企業労働関係法(昭和27年法律第289号)第3条第2項(注:3条4号?)の職員及び単純な労務に雇用される一般職の職員を除く。)」と改められたものの、上記改正の際にX市議会に提出された条例案には、国家公務員の退職手当支給率に準じるために所要の改正をすることが上記改正の理由である旨の記載がされているにとどまり、上記改正が地方公務員法3条3項所定の特別職の職員を本件条例の適用対象に加える趣旨によるものであったとの事情はうかがわれない。このような本件条例の改正の経緯等を勘案すれば、本件条例は同項3号所定の特別職の職員には適用されないものと解すべきである。
2 一般職か特別職(嘱託員)か
「被上告人は、旧C村及び上告人の非常勤職員として、旧C村及び上告人の設置する中学校の学校図書館の司書業務に従事していたところ、旧C村が上告人に編入される前はC村教育委員会嘱託雇用職員、嘱託学校司書、C村嘱託職員等の名称で任用され、また、上記編入後は前記3(3)の規則において地方公務員法3条3項3号所定の特別職の非常勤職員として設置する旨が定められていたC教育センター嘱託員として任用されているのであるから、旧C村及び上告人は、被上告人が任用された職を同号所定の特別職として設置する意思を有し、かつ、被上告人につき、それを前提とする人事上の取扱いをしていたものと認められる。そうすると、被上告人の在任中の勤務日数及び勤務時間が常勤職員と同一であることや、被上告人がその勤務する中学校の校長によって監督される立場にあったことなどを考慮しても、被上告人の在任中の地位は同号所定の特別職の職員に当たるというべきである。」
「以上によれば、被上告人は、上告人に対し、本件条例に基づく退職手当の支払を請求することはできないというべきである。」
以 上
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