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2013年・ななのに

2013-09-16 21:00:00 | 雑記
「白鷺」

雑記7-2。前回が思っていたよりも長かったため分割。
今回は現時点までの2013年の映画の感想のまとめ。
駆け足かつ簡単に書いているので、気になるやつだけさらっと読みで。

感想の書き方としては、まずタイトル、監督、キャスト、ジャンルの映画情報。
続いて個人的なおすすめ度。(満足度とも言う)
★印が今までのレビューと同様に、鑑賞後に直感で決めているおすすめ度。カッコ内に書いている数値は、今年はストーリーや映像といった個々の内容についても評価をしているので、その重み付き平均。ストーリー、演出、登場人物の評価が高いと優遇されるような重み付けで算出してます。
その下に書いてるのが、僕個人が勝手につけた映画のポイントです。
で、最後に感想。
こんな感じで書いています。

それでは観たやつの感想をざっと。

■『のぼうの城』
監督:犬童一心、樋口真嗣
キャスト:野村萬斎、佐藤浩市、榮倉奈々、成宮寛貴、山口智充、上地雄輔、ほか
ジャンル:時代劇
オススメ度:★★★ (3.23)
・演技達者なキャストが揃っている点
・史実をもとにした話

キャスティングは豪華で良かった。佐藤浩市さんをはじめとする演技達者な方が揃っていて大変魅力的。
ただし主人公ののぼうがそれほど魅力的に感じなかった。もっとスマートな策を練る人物を想像していたけど、わりと後手後手の策ばかりだったようにしか思えない。
石田三成には不思議な魅力があった。最初は小心者に思えるが、最後まで見ると評価が変わる。
「・・・である」というナレーションが個人的にはちょっと微妙。何というか真面目で堅い。
娯楽作品としての出来栄えは良い。分かりやすく楽しめる。


■『フランケンウィニー』
監督:ティム・バートン
キャスト(声):チャーリー・ターハン、キャサリン・オハラ、マーティン・ショート、マーティン・ランドー、ほか
※吹替版:吉永拓斗、湯屋敦子、宮本侑芽、平川大輔、近藤春菜、箕輪はるか、ほか
ジャンル:アニメ/ファンタジー
オススメ度:★★★★ (3.88)
・優しいダークファンタジー
・スパーキーの可愛さ

シンプルで分かりやすい構成。これぐらい分かりやすい作品の方が個人的には好き。
物語はティム・バートン監督らしい、少し優しいダークファンタジー。
ラストはバートン監督ならばこその締め方という感じすらする。
「死んだ人は戻ってこない」という絶対的な事実を安易に壊すのは良くないという意見もあるかもしれないけど、こういう終わり方があっても良いと思う。
スパーキーの犬っぽさが本当に可愛い。犬好きだったら絶対に心に訴えかけてくるものがある。
モノクロのストップモーション・アニメは味がある。
造形美は気味悪いような可愛いような。段々愛おしく感じられるような不思議で味のある造形だった。


■『レ・ミゼラブル』
監督:トム・フーパー
キャスト:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、ほか
ジャンル:ミュージカル/ドラマ
オススメ度:★★★★★ (4.88)
・大ヒットミュージカルの映画化
・豪華キャスト

圧倒的スケールで見事な大河ミュージカルに仕上げている。
とにかく感動できた。悲しさと歓喜で一杯になるラストは、他の作品とは格の違いを見せつける圧倒的な沸点の高さを誇る。
ラストの修道院からの演出は神がかっている。アンの再登場とかは鳥肌が立つ。
歌も良いよね。
ミュージカルに慣れてないと、歌で進行していく流れにどうしても違和感を感じてしまうが、重厚な物語に圧倒されていくにつれ気にならなくなってくる。
歌も演技もうまい役者が集結していて、これ以上ないぐらいの豪華さ。
ジャン・バルジャンとジャベールの因縁の関係性、ファンテーヌの存在感、コゼット登場後の愛の物語などすべてが完璧。
エポニーヌの片思いの愛に切なさで一杯になる。


■『LOOPER/ルーパー』
監督:ライアン・ジョンソン
キャスト:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリス、エミリー・ブラント、ピアース・ガニォン、ほか
ジャンル:SF
オススメ度:★★★ (3.23)
・新しい感覚のSF
・ブルール・ウィリスのグレ感
・批評家の評価が高い作品

SFアクションミステリーとしてはまま面白い。じゃっかんブルール・ウィリス登場までダレ感がある。
終盤の結末はけっこう意外。まさか未来の自分の方が悪役となっていくとは。
現在の自分の行動が即未来の自分(ブルース)に影響が出るというのは面白い。結末もその設定をうまく生かしている。
ラストは切ない。あれほど自分本位だった主人公が初めて誰かのために自らを犠牲にするのだから。
シドを演じている子の不気味さと恐怖、危うさは上手かった。
未来のジョーを処刑し30年経過させるのは斬新。そこから30年後の自分が過去へ戻るドラマまで描くのは斬新。
ジョーがハゲ衰えていくのはある意味切ないって。


■『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
監督:アン・リー
キャスト:スラージ・シャルマ、イルファン・カーン、レイフ・スポール、ほか
ジャンル:ドラマ/ファンタジー
オススメ度:★★★★ (3.92)
・美しく幻想的な映像
・獰猛なトラとのスリリングなサバイバル
・超過酷過ぎる漂流生活

前半は少しだけ退屈かも。ただし漂流が始まってからは一気に釘付けとなる。
映像は圧巻。水の透明感やパイとトラしかいない孤独さを感じさせる海の広大さ、襲いくる自然の猛威など、時に美しく、時に恐ろしく、時に大迫力で美しく描き出している。
予告編にもあった鯨が飛び上がるシーンとか、その前の光る海のシーンも含め幻想的で美しい。
獰猛なトラとの旅のスリルといったらない。もうドキドキする。
けど次第にやせ衰えていくトラの姿が切ない。
主人公パイの打たれ強さには尊敬を覚えてしまう。
すっかり弱ってしまったトラを撫でながら「僕達はここで死ぬんだ」というシーンは切なかった。
こんなにも突飛な冒険譚なのに、トラとの別れのシーンがそっけなく、意外なほどリアルな物語に感じた。
作家の言葉の通り、確かに言葉にならないという感想が的を射てると思う。


■『96時間/リベンジ』
監督:オリヴィエ・メガトン
キャスト:リーアム・ニーソン、マギー・グレイス、ファムケ・ヤンセン、ラデ・シェルベッジア、ほか
ジャンル:アクション/サスペンス
オススメ度:★★★★ (3.57)
・大人なハード・サスペンス・アクション
・リーアム・ニーソン

映像はなかなかセンスが良くて綺麗な感じで良かった。
内容は予想以上にハード。ラストのブライアンの選択など、このハードな映画ならでは。
意外とブライアンも冷酷非道な感じがする。警官殺してるしさ。
ブライアンの凄さは相変わらず感じる。どんな時でも冷静、でも内に秘めた怒りをピリッと感じたりと、ニーソンの上手さが所々に光る。
ブライアンの強さも良い感じ。完全無敵というわけではないけど、強い強い。
少し思うのが、今回の話って、娘が協力してくれなかったらジ・エンドだったんじゃ…。
ブライアンの徹底した追跡、相手の上を行く感は前作より少し下回ってる。
概ね満足できる内容。緊迫感などはなかなか高くてドキドキできる。


■『テッド』
監督:セス・マクファーレン
キャスト:マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス、ジョエル・マクヘイル、ノラ・ジョーンズ、ほか
ジャンル:コメディ/ファンタジー
オススメ度:★★★★ (3.38)
・大人ありきの子供向けテイスト作品
・下ネタ満載
・テッドのエロ・かわいい・渋い・ダメ・良い奴っぷり。

下ネタと麻薬の描写さえなければ、子供に見せても遜色のない感動作。
テッドとジョンが本当に無二の親友で素敵だ。永遠の親友だ。
可愛い外見とは裏腹に中年エロオヤジキャラのテッドのギャップが可笑しい。
テッドが意外なほどに良い奴だった。本当にジョンのことを大切に思っている。
テッドとジョンの喧嘩シーン、テッドが意外なほどに強い。
ラストはまさかの感動的な締めとなっている。
ストーリーはけっこう地味で定番な筋書きを辿る。
何かに似てると思ったら、そう、アルフに似てるんだよね、雰囲気が。


■『アウトロー』
監督:クリストファー・マッカリー
キャスト:トム・クルーズ、ロザムンド・パイク、リチャード・ジェンキンス、デヴィッド・オイェロウォ、ほか
ジャンル:サスペンス/アクション/ミステリー
オススメ度:★★★★ (3.46)
・トム・クルーズのアクション
・硬派なハードボイルド・ミステリー・サスペンス・アクション

かなり硬派なハードボイルド作。目新しさはないけれど作りはしっかりしている良作。
ミステリ・サスペンスものが一転してアクションに変わるカーチェイスシーンは迫力があってドキドキした。
しかもこのカーチェイスシーン、けっこう長めに尺が取られている。トムの振りきれたチェイス、かっこ良い。
終盤の銃撃戦もド直球のアクション全開で迫力があった。スタイリッシュではなく泥臭い。けどそれが良い。
老兵の支援がまた素敵だ。
映画宣伝だとトム=悪役を推していたけど、この作品のトムはそんなに悪役っぽい感じはしない。
むしろ正義感溢れる男な印象。
悪役なトムといえばやっぱり『コラテラル」だよね。


■『ダイ・ハード/ラスト・デイ』
監督:ジョン・ムーア
キャスト:ブルース・ウィリス、ジェイ・コートニー、セバスチャン・コッホ、ユーリヤ・スニギル、ほか
ジャンル:アクション/サスペンス
オススメ度:★★★ (3.19)
・ド派手なクラッシュ映画
・ブルース・ウィリス=ジョン・マクレーンの無茶っぷり

派手さは認める。爆発シーンやらクラッシュシーンなどの迫力はあり、数もとにかく多い。
けど、とにかく中身が薄い。
親子の絆を描くドラマ面はほぼおまけ程度で、とにかく何かが大破するシーンの連続の映画。
ジョン・マクレーンがノリノリで暴走しまくっている気がするのだけど…。
正直マクレーンのついてない男感はあんまりない。あんたノリノリでしょ。
ラストは良い感じに締めているけど、感動するわけではない。


■『ジャンゴ 繋がれざる者』
監督:クエンティン・タランティーノ
キャスト:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、サミュエル・L・ジャクソン、ほか
ジャンル:アクション/西部劇
オススメ度:★★★★ (4.03)
・タランティーノ流、マカロニウエスタン
・痛快なバイオレンス・アクション

意外にも面白い。ストーリーは痛快で良かった。
やたらとブルージーな音楽、「ジャンゴォ~♪」不思議と哀愁すら感じる。何だろ、これ。
タランティーノらしい独特のドロっとした血しぶき描写。鮮烈な赤ではないのでそこまでスプラッターという感じはしない。
登場人物は魅力ある。特にシュルツの魅力がすこぶる大きい。
キャンディの握手に「我慢できなかった」と言うセリフといい、その後のあまりにも呆気ない最後といい、演出の妙が効いている。
どこか控えめなジャンゴも好き。最終的に気取った感じになるけれどそれでもどこか控えめな印象が残る。おそらく自分のキャラに合っていないキャラなんだろうな。
悪役を演じたディカプリオも雰囲気があった。あくまで軽い雰囲気の極悪人。
確かにマカロニ・ウエスタンかも。「荒野の七人」とかに通じる雰囲気がある。


■『キャビン』
監督:ドリュー・ゴダード
キャスト:クリステン・コノリー、クリス・ヘムズワース、アンナ・ハッチソン、フラン・クランツ、ジェシー・ウィリアムズ、シガーニー・ウィーヴァー、ほか
ジャンル:ホラー/SF
オススメ度:★★ (2.50)
・予測不可能な衝撃展開
・悪ふざけエンタメ・ホラー
衝撃のラストというものには2パターンあるんだなと実感。ひとつは全てをひっくり返すろんでん返し。もう一つが前提をぶち折る超展開。この映画は後者の典型。
確かにこんなラスト、絶対に予測不能だわ。
かなり悪趣味な物語は嫌いな人は確実に嫌い。
かつ、映像もかなりグロく気分が悪くなる。加えて見せ方もセンスが悪い。
サスペンス、ホラー演出はなかなか上手い。なので観ていてけっこうドキドキして怖い。
けどすかしもけっこうあって微妙な気分。狼とか無駄に怖くさせすぎだろう。
マーティンの意外性はありかな。普通に考えると知名度でまさるヘムズワースの方がいい役だろうと思ってしまうところがミソ。
ヒロインを演じてた娘はなかなか可愛かった。


■『フッテージ』
監督:スコット・デリクソン
キャスト:イーサン・ホーク、ジュリエット・ライランス、クレア・フォーリー、マイケル・ホール・ダダリオ、ほか
ジャンル:ホラー/サスペンス
オススメ度:★★★ (3.42)
・心を破壊するホラー
・凄惨

久しぶりに観た映画。映画リハビリには刺激が強すぎる内容。
怖さは尋常じゃない。青ざめてしまうぐらいに怖い。
結末も恐ろしいまでの鬱。そのあまりの内容に劇場出る時は顔面蒼白だったかも。
お化け屋敷ムービーではなく、精神的に追い詰めてくるホラー。
結末はオカルト展開へと進む。ちょっと意外かも。
フッテージ(8mmフィルム)に記録された惨殺映像が衝撃的過ぎる。そして超鬱に…。
「芝刈り機」とタイトルされた惨殺映像、やばすぎるって…。
トラウマを抱えるレベル。はっきり言ってPG12どころじゃないと思うのだが。
サスペンスホラーとしての演出は大変に上手い。不安な気持ちの煽り方は近年では随一の完成度。


■『DRAGON BALL Z 神と神』
監督:細田雅弘
キャスト(声):野沢雅子、山寺宏一、森田成一、堀川りょう、八奈見乗児、中川翔子、ほか
ジャンル:アニメ/アクション
オススメ度:★★★ (3.23)
・正真正銘ドラゴンボールワールド
・世界標準語「かめはめ波」

原作者である鳥山明がストーリーに関わっているので、正真正銘ドラゴンボールのアフターストーリーということになるのか。
雰囲気としては、魔人ブウ編以後のバトルに関して強さのインフレが振り切れてしまっている、コメディチックなドラゴン世界。
破壊神ビルスがもっと悪の存在っぽく描かれていると思っていたけど、何かそうでもない。明らかにフリーザやセルとは一線を画す存在として悟空と対峙している。この辺り、流石は神ということか。
超サイヤ人ゴッド、ネーミングはもとい、細くなるってどうなのか…。かっこいい…のか?
超サイヤ人の神という設定や、5人の力を注いでやっとなれたゴッドに自力でなれる悟空とか、展開が凄すぎて驚きの声が上がる。リアル志向な世界観のアニメが増えた中でこういう作品はある意味貴重。
悟空の性格が変わっていないだろうかとちょっと思う。
主役は悟空だけど、MVPはやっぱりベジータだよね。地球を護るためプライドを打ち捨てた王子、可笑しかった。意外と常識的対応ができる。
酔ってる悟飯も可笑しかった。
セル戦後に「もう二度と会うことはないだろう」と去っていった天津飯、魔人ブウ戦にも参戦していない彼が、ブルマの誕生日には駆けつけている事にちょっと驚き。
エンディングはドラゴンボールの歴史を凝縮したような仕上がりで良かった。ドラゴンボールコミックの完全版、少し欲しくなるな。
全体的にギャグチックだけど、最後のビルスと悟空の対決はスピード感があってなかなかかっこ良い。
正しい心を持ったサイヤ人は悟飯と悟天だけ。ピッコロさん、何という親バカ発言を…。


■『リンカーン』
監督:スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:ダニエル・デイ=ルイス、サリー・フィールド、デヴィッド・ストラザーン、トミー・リー・ジョーンズ、ほか
ジャンル:ドラマ/伝記
オススメ度:★★★ (3.19)
・アカデミー主演男優賞受賞のダニエル・デイ=ルイスのリンカーン大統領
・リアリズムもあり丁寧に描かれた政治伝記

間違いなく名作で良い映画であるのだけれど、少々真面目で堅苦しすぎるだろうか。油断していると睡魔に襲われる可能性は大。
リンカーン大統領を決して偉大なる英雄として偶像化せず、ひとりの悩める人間として極めて丁寧に描いている。
そんなリンカーン大統領を演じたダニエル・デイ=ルイスの演技は流石。表情、喋り方、その全てにすっと惹かれるものがある。
印象的だったのは「最も純粋な男による工作」というスティーブンス(=トミー・リー・ジョーンズ)のセリフ。
実際映画でメインとして描かれているのも修正案を通すための裏工作である。
リンカーン大統領が奴隷開放の修正案を通すため、戦争の終結を引き伸ばしたこと。その重荷の全てを自らに課したことは終盤の凄惨なる戦場にて疲れ果てた表情のリンカーン大統領からひしひしと伝わる。
スピルバーグが今リンカーン大統領の映画を撮ったことの意味が何となくだがわかるような気もする。
これだけの決意を秘めた政治家が今の世の中どれだけいるのだろうか。
自ら傷つく覚悟を持ち信念を貫く強さ。見習わなくてはならない。


■『オブリビオン』
監督:ジョセフ・コシンスキー
キャスト:トム・クルーズ、アンドレア・ライズブロー、オルガ・キュリレンコ、モーガン・フリーマン、ほか
ジャンル:SF/アクション
オススメ度:★★★★ (4.03)
・良作SFアクション
・トム・クルーズのSF

SF作品として面白かった。ある種ベタな展開なのだが、不思議と予想を上回った感の方が強い。
結末はハッピーエンドとも悲しい結末とも言える。賛否は別れるかもしれないし、ドライな質感なオチとも言える。あそこでジュリアが微妙な笑顔を浮かべたように思えたのはその辺に起因。
演出面も上手い。曖昧な記憶:モノクロ映像、思い出したことで色づくといった演出は良い。それも鮮やかな色ではなくモノクロピンクに近い色合いだったのがより記憶っぽくて良い。
何と言ってもトムありきの映画なのだが、ヴィカの悲しそうな表情にも少し惹かれた。
トム演じるジャックが、鉄壁のヒーローというわけではなく、どこか人間臭いような野暮ったいような親父感があるところがツボ。
全てにおいてバランスの良い映画だったと思う。長さ良し、映像良し、脚本良し。
超大作というほどの大作感はないが、観客の求めることの多くは叶えていよう。モヤモヤ感は残らない。


■『きっと、うまくいく』
監督:ラージクマール・ヒラニ
キャスト:アーミル・カーン、R・マドハヴァン、シャルマン・ジョシ、カリーナ・カプール、ほか
ジャンル:青春/コメディ/ドラマ
オススメ度:★★★★ (3.92)
・青春コメディ
・人生を前向きに

ザ・友情!という感じのドラマ。名門工科大ICEに集った青年3人のコミカルな青春劇。
実は作中で自殺者3人(ひとりは助かるが…)も出るという、とんでもなく重い内容を含む。けど不思議と悲しさをほとんど感じないコミカル演出。
インド映画の笑いのセンスはちょっと日本の感覚とは違う気もする。悪ふざけが過ぎないか?
特にチャトルに対する演説の仕打ちは下手したら自殺もののメンタルダメージを与えかねない気がする。
途中でミステリ仕立ての仕掛けが盛り込まれているのが斬新。
ランチョーの才能・性格に嫉妬。けど魅力は確かに高い。
一番感動したのはファルハーンが父親に自分の道を受け入れてもらえるシーン。目頭が熱くなった。
前向きな映画であることは間違いなく、面白いドラマに仕立てているので、万人受けする映画かも。陽気すぎるのが苦手な人は少し距離を感じるかも。
音楽、主題歌はなんか良かった。
「きっと、うまくいく」悪くない言葉。迷った時に、怖気づいた時に、自分を鼓舞するルーチーンに。
生涯ベスト10に推すという人もけっこういるようで、ツボにはまった人はその素敵なストーリーに魅了される。確かに良い映画であることは間違いなし。


■『華麗なるギャツビー』
監督:バズ・ラーマン
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートン、エリザベス・デビッキ、ほか
ジャンル:ドラマ
オススメ度:★★★★ (3.73)
・絢爛豪華なセレブ生活
・ディカプリオ演じるギャツビーの魅力
・質の高いビターな結末

かなり大人向けの、本当にビターな結末。何ともいえない気持ちになってしまう。
ギャツビーの一人の女性を一途に想い続ける姿、どんなに富を得ても愛する女性と結ばれない結末、やはり何ともいえない。
ニック以外、彼の死を悼んでいない姿にも、切なさを感じる。
後半の悲劇的結末へと進む展開は本当にやるせない。
ギャツビーに対してニックと同様に好感を持てるかどうかで作品の評価が大きく変わりそう。
装飾品やらは絢爛豪華で映像も派手目だが、演出は抑えめな自然志向。文芸作品を読んでる感覚すらある。
なので少し退屈感もある。ハラドキするような作品では全くない。
レオナルド・ディカプリオ、裏のある大金持ちのセレブ役が何だか似合う。
プライベートでも仲の良いディカプリオとトビー・マグワイアの共演というのも乙。


■『サイレントヒル:リベレーション3D』
監督:マイケル・J・バセット
キャスト:アデレイド・クレメンス、キット・ハリントン、ショーン・ビーン、デボラ・カーラ・アンガー、ラダ・ミッチェル、ほか
ジャンル:ホラー/アクション
オススメ度:★★★★ (3.88)
・前作映画の純粋なる続編
・サイレントヒルの雰囲気の再現度の高さ

前作(映画の)『サイレントヒル』の完全続編となっていたのは驚き。6年もの歳月を経っているのだから意外。
サイレントヒルの音楽は相変わらずいいい。
映画オリジナルのストーリーに、ゲームの設定、物語を上手く融合させている。なので実はゲームより分かりやすい。
ゲーム「サイレントヒル3」の映像の再現度は高い。ゲームを知ってるとニヤリするシーンばかり。あの禍々しくも凶悪な三角頭も登場。
映画の前作を知ってると、前作サイレントヒルと繋がるストーリーから浮かび上がる父親の変わらない気持ちに感動できる。
主役のヘザーを演じた娘、確かに可愛い。
ゲーム原作では変人ぽい印象があるヴィンセントが、意外なほどにまともな人物として描かれる。
映像はグロめ。闇に侵食される不気味な映像のセンスの高さは相変わらず。
灰が降る街。3D映画との相性も高い。
前作がバッドエンドタイプの結末だったのに対し、今作はグッドエンドタイプの結末。


■『風立ちぬ』
監督:宮崎駿
キャスト(声):庵野秀明、瀧本美織、西島秀俊、西村雅彦、志田未来、野村萬斎、ほか
ジャンル:アニメ/ドラマ/青春
オススメ度:★★★★ (3.57)
・宮崎駿監督作品
・スタジオジブリ

登場人物があまりにみんな真っ直ぐでひたむき過ぎて、自分が少し恥ずかしくなる。魅力ある人物像なんだけど…親しみはあまり感じられない。
ストーリーは上質。あくまで上質。起伏が少なく盛り上がりに欠けるため退屈に感じることもある。
ラストのあっさり感は全ジブリ作品の中でも屈指。盛り上がりどころもあったのかもしれないけど、ここだ!というべきところがなんか無い。
内容は完全に大人向けアニメとなっている。子供が観て楽しいとは決して感じまい。
『ポニョ』よりもさらにファンタジー要素は減り、ほぼ皆無に。
映像(絵)は流石はジブリで温かみのある絵で、かつとても綺麗。
音楽も流石の良さ。メインテーマは聴き入る。
「創造的人生の持ち時間は10年だ」など、なかなか心に痛いセリフも。少し自己嫌悪にも。
独特の雰囲気のある魅力ある悪役風キャラがいなかったのも残念なところ。カプローニがその位置づけなのかもしれないが、少々弱い。もっと個性的じゃないと。
菜穂子は幸せだったのかどうか。二郎は菜穂子を愛していることは間違いなく伝わってくるが、仕事に熱意を傾けるあまり、毎日帰りが遅い。その間、菜穂子は部屋にひとり。
二郎の完璧過ぎる性格は好きな人は好きっぽい。熱意があり、優しく、善良。仕事もできユーモアセンスもある。けど淡々とした印象もなんかある。声をあてた庵野監督、なんか合ってる気もする。
それから菜穂子と同室で結局タバコ吸ってるし…もマイナスな点。
最後にひとり診療所へ帰る決意をする彼女に、孤独な影を感じてしまう。
零戦崇拝の映画だなんて批評もあるようだけど、テーマの趣旨としては零戦に敬意を表しているわけじゃなく、その設計者の純粋なる熱意に対する敬意ということなんだと思う。
効果音の多くがおそらく人の声だった点がなんか印象的。不思議な感じと温かみと不自然さを感じる。


■『パシフィック・リム』
監督:ギレルモ・デル・トロ
キャスト:チャーリー・ハナム、菊地凛子、イドリス・エルバ、チャーリー・デイ、芦田愛菜、ほか
ジャンル:アクション/SF/ロボット
オススメ度:★★★ (3.10)
・怪獣ハリウッド

WEBレビューだと評価はかなり高い作品なのだが、そこまで良い作品かと言うと疑問を感じる。
カイジュー、KAIJUと作中で呼ばれているが、別にカイジューが世界標準の言葉に昇華されたわけでは多分無い。WASABIとかJUDOとかBENTOとかとは違う。
ストーリーは典型的なハリウッド脚本。盛り上がりどころも順当にあるが、驚きとかは一切ない。はっきり言って薄っぺら過ぎる内容。
アメリカンな軽いノリがちょいちょい苦手。
ラストがあまりにも過ぎる。人類最後の手段が自爆って。しかも1回ではなく2回も。
所々入れられている日本語も不自然。日本の特撮をオマージュした作品なので、日本向けのサービスなのだとは思うが、正直「何故このタイミングで唐突に日本語を…」となる。
怪獣やその手の特撮好きにはたまらない映画なのかもしれない。けどそうじゃない人にとってはうーん。
菊地凛子が正ヒロイン役っていうのはけっこう凄い。脇役のひとりではなく正ヒロインなのだ。ハリウッド映画の。
ヒロインの子供時代を演じた芦田愛菜の演技が予想以上に上手い。しかも一瞬とかじゃなくそれなりの長さのあるシーン。別撮りなのは仕方ないとしてもけっこう印象に残るシーンとなってる。
はっきり言って、異常なまでに世間の評判が良い映画。個人的にはそんなに好きな映画だとは言えないのだけど、良い映画だったのだろうか? うーん。


■『ワールド・ウォー Z』
監督:マーク・フォースター
キャスト:ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、ファナ・モコエナ、ダニエラ・ケルテス、ほか
ジャンル:アクション/パニック/ホラー
オススメ度:★★★ (3.34)
・ブラッド・ピット
・120%中の120%全力型ゾンビ

何故か宣伝サイドではゾンビ映画であることをひた隠しにしている映画。
ブラピが演じた主人公ジェリーはなかなか魅力あり。小奇麗な感じなのも印象良し。
ZはゾンビのZ。最後まで観ないとタイトルが繋がらないが、あの終わり方でこのタイトルならなかなか良いのでは。
正直に言うと中盤前(イスラエルへ行く前)ちょっと眠くなった。けど退屈な作品というわけではない。
前半(ジェリーの家族との逃避)と中盤以降は良い感じのドキドキ感。怖さは並。まぁ純粋なるホラーではないので。
ゾンビ=動きがのろい。という図式は近年ではもう崩壊している。人間以上の身体能力。怖ぇ。
主人公が強すぎないところが、作品に妙なリアル感と、主人公に対する親近感を上げている。
ジェリーが旅客機内で手榴弾を投げて、機体に穴を開けて、人が外へ吸い出されていくシーン。…ちょっ、酷くないか?
Zに対向するため、ジェリーが導き出した結論はなかなか新鮮。超展開でもなく納得もいく。
綺麗に完結まで描かず、終わりを“戦いの始まり”として締めたラストは上質。

とりあえず、現時点までの今年の鑑賞映画は以上。
画像がないと、映画の感想・紹介記事としてはちょっと寂しいところはあるだろうか。

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