作業ってなあに?

作業療法士のこと、作業のことなどについて知ってもらいたいと思い書いてみます

作業と自己効力感

2022-04-29 10:13:30 | 日記
高齢や病気によりやりた作業をあきらめてしまうことがある。
デイサービスに通っている方にも「こんな体になったらもう畑はできない」「娘に外に出ることを禁止されている」「若いころあちこち行ったからもう旅行はいい」など、作業をあきらめていると思われる発言が多く聞かれる。

作業をあきらめてしまう要因には、自信の喪失や失敗体験、自己効力感の低下などがあるのではないだろうか。私たちが「できるのでは」と思うことでも本人が「できない」と思えば、作業を実行することは難しい。私たちが「うまくできているのに」と思っても、本人が「できていない。思う仕上がりと違う」と思えば、その作業の満足度は低くなってしまう。

では、どうしたら「できる」という気持ちを引き出すことができるのだろうか。
その人にとって大切な作業であること、明確な目標があること、自分の役割であると自分が期待していることなどが挙げられる。これらを対話の中で明らかにすることで「できる」という気持ちを高めることができるのです。

「できる」という実感を持って作業を行えば、自己効力感も高まり自分らしい生活を送ることができるようになるのではないでしょうか



認知症と作業

2022-04-17 21:47:00 | 日記
認知症になると「怒りっぽくなる」「自分で決めることは出来ない」「色々なことがわからなくなる」という認識がありませんか?好きなこと、やりたいことがあっても「危ないからやめておいた方がいい」と説得するのではないでしょうか。

今日、認知症の方の話を聞く機会がありました。認知症になると本人に話を聞いてくれる人は少なくなり、家族や支援者に話しを聞く。普通の会話はしてもらえず「体調はどうですか?」「ご飯は食べれていますか?」「今日は何月何日ですか?」と尋問ばかりされる。

認知症になっても好きなことはしたいし、やりたいことは自分で選びたい。出来ることもある。確かにその通りですよね。

自分らしい生活を送る権利は、例え認知症であっても守られて当たり前だと思います。好きな作業をして、出来ることは自分でする。どう生活するのか自分で選ぶ。
出来ないことは助けてもらったり、工夫したりしてやる。自分で伝えたり、どう工夫したらいいのか分からない、何が困っているのか分からない。そういう方たちと対話を通して自分らしい生活ができるよう支援する。作業療法士はサポーターではなくパートナーでありたい。そう思いました。

役割と居場所

2022-04-08 20:30:00 | 日記
デイサービスに通い始めばかりの方は「家に帰りたい」「今日は休みたい」と言われる方が多くいらっしゃいます。
何をしたらいいのか分からず、何となく落ち着かなかったりするのです。そんな方には、故郷のこと、家族のこと、仕事のこと、趣味、日課などをお聞きします。
そこから、その方の意味ある作業を探っていきます。

昔と同じようにできなくても、全部できなくても、一人でできなくてもいいのです。やり方を変えたり、誰かと一緒にやったり、その作業をやっている人のそばで見ているだけでもいいと思います。

そこから少しずつその方のことが分かってきます。自分のやりたいことや、好きな作業に関われる時間があればデイサービスで過ごす時間が少しずつ楽しいものになっていきます。すると「帰りたい」「休みたい」という気持ちは減ってくるのではないでしょうか?
役割、やることがあると、そこが居場所になるのです。

作業が行われる要因

2022-04-01 20:51:00 | 日記
車椅子やベビーカーで無人駅を利用するのはわがままなのか。そんな記事を読みました。
人は自分の好きなことをする自由があると思います。一方で、人は誰かの助けがないと1人では何もできないのも事実です。

作業をするということは、その人が大切にしていること、どんな人に影響を受けたのか、どんな経験をしてきたのか、どんな環境で育ったのか、どんな生活をしたいのか、など色々な要因が複雑に関係し合って行われるのです。

「車椅子でどこかに行く」という作業の名前だけでなく、その作業にどんな意味があって、それはどんな要因が関係している作業なのか。そんなことまで考えられるといいなと思いました。