作業ってなあに?

作業療法士のこと、作業のことなどについて知ってもらいたいと思い書いてみます

デイサービスでの作業療法士の役割  その2

2022-01-28 22:52:00 | 日記
デイサービスでは作業療法士以外にも介護士、看護師、理学療法士、相談員など他職種が働いています。また同じ職種でも経験年数の違いや年齢差も大きいのが特徴だと思います。そんな職場で作業療法士としての専門性を発揮するにはどうしたらいいのか?私自身答えを見つけられているわけでも、正解があるわけでもありません。

しかし、一つ言えること。
それは、作業療法士が前を走ってはいけないということです。専門性を押し付けてはいけないし、作業に固執してはいけないと思うのです。若い頃はそれをやってしまい失敗しました。

作業とは個別性があり、意味があり、感情を伴い、環境により異なります。
それを踏まえれば、その方の作業歴や生育歴、文化的背景、家庭環境など広い視点を持っていなくてはいけません。

利用者さんやスタッフの人たちが大事にしている作業は何なんだろう?どういう風に作業を行うことがその人にとって良いのだろう?自分の作業を自分で考えられるように道標となる。それが作業療法士の役割だと思っています。



デイサービスでの作業療法士の役割

2022-01-20 22:30:00 | 日記
作業療法士である私がデイサービスでどのような役割を担っているのか今日は書いてみたいと思います。

年をとったり病気になったりすると、出来ないことややらなくなることが増えてきます。家では「病気の人」や「何も出来ない人」見られてしまいがちです。転ぶと危ないからと、外に出たり今までやっていた役割を取り上げられてしまいます。すると自分でも「私は何もできない厄介者」と思うようになります。

そんな方がデイサービスにきて自分に出来る作業を見つけます。作業療法士はその方が今までどのような作業を経験してきて、そこにどのような意味があるのかを聞きます。
 そしてデイサービスで実際に作業をします。初めは「できない」「立てないから無理」と自信がない方も周りで同じような状況の方がやっているところを見て「自分もやってみようかな?」と思うようになります。
 実際にやってみると「思ったより出来るわ」「前はもっと上手に出来たのに」「疲れた」など、やらないと分からない感情が生まれます。その感情をしっかり受け止めて、次のステップに進みます。無理にやらせるのではなく、自分がやれそう、やりたいと思うことを自分のやり方、ペースで行なっていけるようにします。
 
 作業療法士はあくまでも前に出ず、後ろからそっと背中を押す役割です。そして環境を整えます。

作業の満足度

2022-01-12 20:06:00 | 日記
作業は健康と深く関係があると言われています。生活は作業の積み重ねで行われています。生活満足度はその人が幸せと思えるかどうかに影響を与えます。満足度が高ければ健康になるし、低ければ不健康になります。

では生活の中で得られる満足はどのような作業をした時に得られるのでしょう。ある研究では「つながり」「承認」「貢献」「努力」「楽しさ」「上出来」などを感じた時に満足するとの結果が出たそうです。

私はウクレレやピアノを弾くことが好きで時々カフェのイベントで演奏します。
他のメンバーと一緒に演奏することで一人で演奏する時とは違った楽しさがあります。仕事以外のつながりを感じます。演奏した後拍手をもらったり「素敵な演奏だったね」と言われると嬉しいです。イベント前には練習をします。難しい曲が弾けるようになると達成感があります。

しかしネガティブな感情もあります。練習時間が思うようにできないと「上手に演奏できるかな?」と不安になります。「こんなレベルで人前で演奏していいのかな?」とも思います。練習の時は上手くできたのに本番で失敗することもあります。

作業の満足度はこのような作業の経験を積み重ねることで自分らしい生活が送れるようになるのではないでしょうか。
皆さんの自分の好きな作業を行う時にどのような感情が起こるのか考えてみてはどうでしょう?


作業の力

2022-01-06 20:41:00 | 日記
「何をするか」「何をしないか」でその人が将来どんな人になるか、どんな生活を送るかが決まります。作業にはその人の人生や生活を左右する力があるのです

好きな作業ができなくなると不健康な生活になってしまいます。

病気になったり年をとったりすると、できなくなる作業があります。買い物が好きだった人が移動手段がなくなったり、家族から「危ないから外に出てはいけない」と止められてしまうことで買い物に行かなくなることがあります。
買い物に行かなくなると、化粧をしなくなったり、人と話すことが少なくなります。外出のための洋服を買うこともなくなり、一日中部屋着で過ごすようになるかもしれません。
買い物という作業を一つ行わなくなることで生活全体が大きく変わったしまうのです。

作業療法士は、その人にとって買い物にどのような意味があったのかを探ります。
外の空気を吸うためだったのかな?
季節の商品を見たかったの?
買ったものを誰かにあげたかったの?
途中に会う人とお話しすることが楽しかったの?
など買い物にはその人にとっての目的や意味があったはずです。
買い物という作業ができなくなっても、同じ意味や目的を叶える作業ができればその人の生活は変わるかもしれません。

作業療法士は好きな作業、やめてしまった作業ができるように一緒に考えていくことが仕事です。

作業の意味

2022-01-01 20:25:00 | 日記
作業とは「やりたい」「やっていること」「周りからやることを期待されている」ことを言います。作業が上手く出来ているかはその人がどう感じているかが大事です。周りから見た感じと、その人がやってみている感じには差があることもあります。

例えば私は車を運転することが好きです。目的はあまり決めずただひたすら走ります。渋滞や信号待ちがあまり好きではないので高速や空いていそうな道を走ります。サービスエリアや観光地には寄りません。
人から見ると「ガソリンの無駄遣い」「疲れないの?」「せっかく遠出したのに寄り道しないの?」と思うかもしれません。
でも私にとっての「車を運転する」という作業には「一人の時間」や「景色を見る」ということが大事な意味を持っています。

目には見えない意味やこだわりが作業にはあります。それは作業をやっている人に聞いてみないと分からないのです。

皆さんも自分の好きな作業にはどんな意味やこだわりがあるのか一度考えてみてはどうでしょう?もしかすると今まで気付かなかったことに気づくかもしれませんよ!