本作での喧騒的で活気に満ちた雰囲気や、如何にも楽しげな表情、アリーヌ・シャリゴが身に纏う垢抜けない衣服などは、『都会のダンス』とは対照的に、気楽で田舎的ながら、どこか心を許してしまえるような安心感や幸福感を観る者に与える。
ルノワールはこの頃、アリーヌ・シャリゴと、『都会のダンス』のモデルを務めたシュザンヌ・ヴァラドンの二人に心惹かれていたとされ、画家がそれぞれに感じていた人物像や抱いていた想いが表現されていると考えられている。
なお画家は田舎のダンス・都会のダンスの両作品を描く前に、≪ダンス三部作≫の第一作目となる『ブージヴァルのダンス(ボストン美術館所蔵)』を制作している。