『老後とピアノ』
著者は朝日新聞社で編集委員とかされてた方で稲垣えみ子さん。
私とほぼ同年。50歳で早期退社した後、40年ぶりにピアノにどはまりするというエッセイ。
図書館でこれを見つけとき笑ってしまった。『老後とピアノ』って内容の想像は容易にできそうで、ひねりのなさが潔く楽しない?。
私たちの年代はやはりピアノを習うってのは定番の憧れで…というより、親世代が子どもにピアノを習わせるってのが夢でありステータスだった時代でもあるのね。
私の家庭は残念ながらその余裕はなくて、オルガン教室に1年通っただけだったけど、やはりずーっとピアノを弾きたいっていう希望は持ち続けていたわけね。
確かに子ども時代に習わされていた経験と、大人になって習いたいという気持ちはきっと別物。
もちろん、子ども時代にその素地を作っておく事はとても大切だと思うけど、やらされ感と渇望はモチベーションがまるで違うものね。
大人には残りの時間がそれほど多くはない、だからこそ本当に好きなことを納得できるようにやってみたい。
その気持ちが出とるように伝わってきます。
ちなみに私は45歳でピアノを習い始めた。もちろんハノンやバイエルなど定番のコースをおさらいしている時間などない。
先生がそこそこ何とかなりそうな曲集を探してくれて、つっかえっかえながらショパンのノクターンが弾けるようになった。
苦節15年である。
レッスンの時、先生が「この間、小学生にこの曲を弾かせたら…」とか言われ苦笑いしつつ何とかね(笑)
でも、去年の暮から🐶たちの心配やら何やらでメンタルぼろぼろ状況になってからレッスンは全くできていなかった。
大好きだったピアノの音が耳に刺さってつらかった。
けど先週あたりから、ようやくピアノを弾けるようになった。
そしてこのタイミングでこの本に出会った。神様の采配かな。
稲垣さんは目標が高く、腱鞘炎を起こすほど練習していたけど、私には無理。
逆にレッスンの課題に追われず、これまで習ってきた曲や、クラシック以外で弾いてみたかった曲をゆっくり楽しんでる。
つっかえつっかえでも、ゆっくりゆっくりでも、ピアノの音を奏でられる事が好きだ。それだけで楽しい。
いくら頑張ってみても、ラ・カンパネラが弾けるようになるわけじゃない。
なら、自分の好きな音を楽しめはいい。
そう思えた。
昔、NHKのピアノでポップスをという番組があって服部克久がル・ローヌという曲をレッスンしていた。当時、私はピアノもなく練習する手段もなかったのに、その曲がとっても美しくて番組をみていた。
調べてみると30年ぐらい前の番組だったみたい。
そして、いま、ようやくその曲を弾いてる。とても楽しい。
ピアノに戻ってこれて本当に良かった。