宝泉寺 ブログ

寺の中のジェンダー

 東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会委員長が、森喜朗氏から橋本聖子氏に替わった。その理由は、ご存じの通り、「女性蔑視発言」によるものだ。
 小薮千豊氏が、批判するなら発言の全てを見よというので、全文を見てみたら、アチコチに気になる言葉が見られる。
 「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」は、マスコミで何度も取り上げられたが、その発言後の言葉も気になる。「組織委員会も女性は7人くらいおられるが皆わきまえておられる」何をわきまえているのか。男性が造り上げてきた社会常識をわきまえるべきとも取れる。

 当宗派では大昔(3~40年前かな)に、有髪尼僧を認めよという話をされた先輩僧侶がおられた。今では、有髪女性僧侶は異端視されることはないが、当時は尼僧は剃髪すべきと思われていたことを示している。男性僧侶には剃髪を義務づけていないのに、尼僧は剃髪にすべきという「しきたり」があったからだろう。
 ましてや、尼僧は結婚してはいけない、独身であるべきというしきたりは、もっとハードルが高かった。男性僧侶は結婚しても何も批判されないのに、である。

 久我猊下は、SDGsを大切にせよと、お言葉説明会でお話しをされた。SDGsの目標は17ある。その5番目には、「ジェンダー平等を実現しよう」とある。ジェンダーとは、社会的な性差という意味である。生物的な性差を踏まえた上で、社会の中では女男の差別をなくしていくことである。

 宗門重役にも、宗会議員にも、女性は一人もいない。ジェンダーバランスが著しく欠けているのが、当派の状態になる。宗門のジェンダーバランス変革は、先が見えにくいが、個々の寺院での変革なら、身近になってくる。お庫裡さんが、社会問題との関わりを維持していくことで、地位向上につながるのではと感じる。
 寺門興隆といったって、社会が良くならなければ、何の意味もない。社会を護ることという視点がなければ、寺を護ると言うことにはつながらない。
 愛知県布教師会研修会でお招きした互井観章師(NHK番組シブ5時で使用される東京都新宿区の寺、日蓮宗経王寺住職。)は、寺庭婦人は「寺の宝だ」と話された。寺庭婦人だから宝ではなくて、寺の宝になるべき存在だからガンバレ!とおっしゃったと考えている。
 住職はお庫裡さんにに、「俺の言うことを聞け!」といってはいけないし、お庫裡さんは、あなたを立てますと思ってもいけない。社会の課題と関わり合うことで、性差別という身近な課題が見えてくるものだと思う。

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