宝泉寺 ブログ

ゴミ屋敷(修正)

 檀家さんで、こういう家があった。とにかく、汚い。野良猫の住み処になっているし、仏間には洗ったことがないような布団が置いてあるし、天井の蛍光灯の紐には、びっしりとホコリが付いていた。あのホコリを見ると、10年以上は掃除をしていないはずだ。スリッパも汚れ放題で、履いても履かなくても、私の足袋が汚れそうだった。
 親戚の人が、ごめんなさい、こんな汚いところでお経を上げてもらって申し訳ないと言ってくれるほど。いわゆるゴミ屋敷だった。

 別の家でのこと。ここはゴミ屋敷と言うよりも、掃除がしていない家だった。そこの仏壇でお経を上げていると、仏壇と私の間を、何かが猛スピードで通り抜けていった。うん、何だ?気のせいだったのかなと、そのまま読経を続けていると、再び何かが反対側から通り抜けていった。今度は、その姿をしっかりと確認した。それはネズミだ。

 ゴミ屋敷とか、掃除のできていない家というと、人として、どういうなまくらな人なのかと思うことが多いと思う。怠惰で清潔感がなくて、いい加減な人生を送った人だというように思うしかない・・・・が、そうでもないかもしれない。
 ゴミ屋敷・掃除のできない家と言われるような住民は、何らかの事情で片付けられないとか、あるいは、片付けるのが下手な人なのか、掃除下手な人かもしれないのだ。

 私には得手・不得手がある。得意なのは、ランナーの調子を見ること。日本陸連の瀬古利彦さん(同級生だ)よりも私の方が正確だ。瀬古さんが、今日はこの選手は調子いいですねと話しているけど、ヒザに余裕がないから脱落するぞと思うと、確実に遅れていくのだ。私の方が瀬古利彦さんよりは正しいのだ。
 私の不得手なのは、料理・掃除だ。まぁいいか、この程度で済ませようといつも思う。今日のご飯はサバ缶とご飯でいいやとか、誰も見ていないから、ここは掃除を止めておこうとか思う。

 ゴミ屋敷の住人は、たまたま片付けが下手くそだったのかもしれない。掃除のできない人は、ただ掃除が下手だったのかもしれない。
 臭い・汚い・邪魔・うっとおしいと、毛嫌いしがちだが、その住人の思いを、きっちりと知ってから判断することが欠かせないと思う。


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