映画「祝の島」ブログ

映画「祝の島」(ほうりのしま)のスタッフによるブログ。
製作過程の日記や最新情報をお知らせします。

6月21日 トークイベント報告

2010-06-21 18:27:24 | 日記
6月19日、
無事、映画「祝の島」は劇場公開致しました!

ポレポレ東中野では、連日トークイベントを行っております。
詳細は、HPもしくは前回のブログ記事をご覧下さい。

***
6月21日は、写真家の広川泰士さんをお迎えして、
監督纐纈あやとのトークショーを行いました。

その様子を報告致します。

***

纐纈は祝島ではじめて毎日海を目にする生活をした経験をふまえて
「海っていうのは、いろんなものを運んできてくれるものだと思う。
 食べ物が得られる、というのはもちろん、
 いいニュースも、文明も、神舞のようにカミサマも海からやってくる。
 古代、島国に住んでいた日本人にとって、海に対しての感覚というのは
 こういうものだったのかな、と感じた。」
と語りました。


そして、広川さんは映画の中に出てくる棚田に触れ、
「あの棚田は本当にすごい。
 有名人でもなく、歴史に残るような人でもない普通の人が
 ああいう偉業を成し遂げている」
 と驚きの声をあげていました。

棚田を作っているのは岩。
もともと、江戸時代まで「岩見島」とも呼ばれていた祝島。
そんな石や岩の多い祝島での撮影を振り返り纐纈は、
「石や岩は不思議。
 時間の記憶を持っているように思う。
 棚田を見ていると、それを作った30年だけでなく
 それ以上の時間を感じる。
 あの石垣の前に立つとまるでタイムスリップするような感覚になる。」
と話しました。

そして広川さんは
「この映画が伝えていることは
 自分たちが受け継いできたものを、次の世代へ繋げる。
 それに尽きる。」
と。

纐纈も
「ほんとうにそうですね。
 インタビューをしていても、共通して感じるのは
 すでに亡くなった人の思いを受け継いで
 これからの人達のために繋げようという思い。
 そのときその場だけ、でなく
 過去、未来を考えて、今を選択している。」
と話しました。

そして広川さんは
「昔の人は、それを普通にやっていたんだよね。」
とおっしゃいました。


纐纈は、原発に反対している祝島の漁師さんについて触れて、
「祝島の漁師さんが元気なのは、
 漁師である誇りを手放していないからだと思う。
 保証金を受け取らず、海を売らずにいるのは
 自分たちの誇りを売らないということだと思う。」
と話します。

これを受けて広川さんは
「そもそも、私物化しているのがおかしい。
 お金で売れるようなものではない。」
とおっしゃいました。

最後に、纐纈は
「原発に、賛成か反対かというのはもちろんあるけれども、
 それはあくまで、原発についての話しで。
 その先、本当に向かいたいところは、
 どこなのかということ。」
と話し、

広川さんも
 「島の人たちのしていることはもっと大きなことだ。」
とおっしゃいました。


写真と映像。

それぞれ手法は違うものの、
原発のある場所、その予定地を撮ったおふたりには
共感できるところが多くあったようでした。


***

次回は、
6月25日(金)12:30の回上映後 
土本基子さん(映画同人シネ・アソシエ)をお迎えし、
纐纈あや監督、本橋成一プロデューサーとの対談となります。

お時間に都合のつく方は
是非お越し下さい!

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