~2021年8月21日 主催:NPO法人生活サポート千葉(共催:千葉県弁護士会)の「被疑者等連続研修」に、元千葉県弁護士会会長及川弁護士さんとともに、当法人代表理事の宮澤進が招かれ対談しました~
2021年8月21日 主催:NPO法人生活サポート千葉(共催:千葉県弁護士会)の「被疑者等連続研修」に、元千葉県弁護士会会長及川弁護士さんとともに、当法人代表理事の宮澤進が招かれ対談しました。
2009年8月、埼玉弁護士会が創設した【社会復帰支援委託援助制度】の指定施設となった当法人運営の緊急一時シェルターは2か所。この緊急一時シェルター事業を通じ、貧困を主な背景として住居も喪失した罪を犯した方へ、逮捕勾留中から釈放日当日に向けて生活保護法への適切かつ迅速なコーディネートと住まいの確保支援等を行ってまいりました。弁護士の皆さまからの支援依頼に加え、保護観察所や矯正施設等からの支援依頼を合計すると、現時点で811件に及んでいます。
過去には、2010年2月「更生保護と犯罪予防 60周年記念号」(更生保護法人日本更生保護協会 発行)、2010年3月「月刊福祉 特集 更生保護と社会福祉」(全国社会福祉協議会 発行)で、「被疑者・被告人段階」から取り組む「弁護士と社会福祉士の入口支援」として、当法人の支援活動が大きく取り上げられた経緯がありました。2009年頃はあくまで「研究」として刑事司法領域の「入口支援」は一部でなされていたものの、2009年当時から既に実践している入口支援団体は数少ないものでした。
全国に先駆け取り組んだ(刑事司法手続における、いわば)入口支援ともいえる、当法人の「実践活動」にご注目頂いたのが、及川弁護士さんを中心とする千葉県弁護士会松戸支部における弁護士さん達でした。
そして試行期間を経つつ、千葉県弁護士会も【社会復帰支援活動援助制度】を2015年に創設し、現在に至っています。
そしていよいよ本年2021年度から、厚生労働省・法務省連携の下、都道府県からの【受託事業】として各都道府県の地域生活定着支援センターの業務に【被疑者等支援業務】が追加されました。まさに入口支援が「公的制度」となったのです。
【国の責務である社会保障・社会福祉制度】は、様々な制度の狭間に置かれている当事者の方を試行錯誤の支援手法を通じ民間の支援団体が必死で支援し、積み重ねた結果、公的責任の所在を顕在化・明確化させ、国・自治体の施策とさせていく経緯を辿って【結実】したものが多数存在します。
その視点に立てば【被疑者等支援業務】が【地域生活定着支援センターの受託業務という公的制度】となった経緯は、【公的責任が明確化】されたことを意味します。これは、当法人として歓迎すべき方向性です。
一方、公的制度になるという事は「枠組」が出来上がる瞬間です。そして同時に残念ながら付きまとうのは「枠外」も出来上がり、そして【権力によって、見えなくさせられる始まりの瞬間】でもあります。この「支援システムとなった構造の、枠外」にこそ、支援を必要とする、貧困状態に置かれた多くの当事者がいらっしゃいます。だからこそ2009年から当法人がしっかり警察署・拘置所等へ足を向け、【福祉事務所による生存権保障へコーディネートする緊急一時シェルター事業の重要性】も、より一層増すことでしょう。
最後に、NPO法人生活サポート千葉さんは千葉県を活動拠点されており、当法人は埼玉県を拠点しています。県もお隣同士です。これからも本領域で互いに切磋琢磨してまいりたいと考えています。この度は貴重な対談機会を頂戴し、誠に有難うございました。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
代表理事(社会福祉士) 宮澤進