https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12378778467.html
さて、米朝首脳会談が中止になりました。
何度も書いていますが、米朝首脳会談を開催するためには、
(1) アメリカ側は「完全、検証可能、不可逆的な北朝鮮の非核化」を要求し、北朝鮮側は「朝鮮半島の段階的な非核化」を望むという、非核化の溝を越えられない
(2) 北朝鮮側は「未来永劫、恒久的な体制保障」を欲し、アメリカ側は「トランプ大統領の体制保障」しか提供できないという、体制保障の溝も越えられない
と、二つの「溝」を越えることが必要でした。
が、予想通り溝を越えることが不可能で、開催中止と相成ったわけでございます。
『米朝首脳会談 6・12中止 北朝鮮、米に再考促す 対話継続の意思
https://mainichi.jp/articles/20180525/dde/001/030/049000c
トランプ米大統領が米朝首脳会談の中止を発表したことを受け、北朝鮮は25日、金桂冠(キムゲグァン)第1外務次官の談話で「米国側に時間と機会を与え、対座する用意がある」など対話継続の意思を表明し、米国に会談中止を再考するよう求めた。トランプ氏は24日、記者団に対し首脳会談中止について説明、北朝鮮の非核化に向け「最大圧力」を継続すると警告。一方で、北朝鮮の姿勢次第で首脳会談が開催されるとの考えも示した。(後略)』
散々に口汚くアメリカ側を罵り、事前協議もすっぽかし、会談中止の言い訳を与えておきながら、いざ、アメリカが会談中止を決断すると、北朝鮮側は「再考を促す」という行為に出ています。
そもそも、今回の米朝首脳会談の話が始まったのは、北朝鮮側の要望でした。北朝鮮を訪問した韓国使節団に、金正恩がアメリカ大統領との首脳会談を提案したのが始まりです。
そして、なぜ金正恩が米朝首脳会談を望んだのかといえば、単純に「自分の命が惜しい」ためです。
北朝鮮の外務省の金桂官第1次官は、昨日、トランプ米大統領の米朝首脳会談の中止通告を受け、談話を発表しました。金次官の談話は、
「意外であり非常に残念」
「いつ、いかなる方式でもアメリカと対座して問題を解決していく用意がある」
との表明でした。
当たり前ですが、金次官の談話は、金正恩の意思そのものでしょう。
驚くべきことに、金次官の談話では、トランプ大統領について、
「心のうちで高く評価してきた」
と、持ち上げ
「われわれの国務委員長も、トランプ大統領と会えば良いスタートを切ることができると述べて、そのための準備に努力の限りを尽くしてきた」
などなど、明らかな「ラブコール」を送っています。
ここまでラブコールを送るならば、なぜ5月24日まで、あそこまで露骨な敵意を見せたのかと、呆れかえってしまうわけですが、いずれにせよ金正恩が混乱状態に陥っているのは確実だと思います。
もっとも、前述の二つの溝は、それこそ金正恩が亡命でもしない限り、決して越えられません。そして、イラン、サウジという「核ドミノ」を警戒するアメリカが、少なくとも一つ目の溝について譲歩することはないでしょう。
となると、今後の展開としては、
(1) アメリカが北朝鮮を武力攻撃する
(2) 北朝鮮が核弾頭搭載ICBMで核実験を成功させ、アメリカに「核保有国」として認めさせる
のいずれかしかないのです。
そして、朝鮮半島でアメリカが軍事行動に出ることは、中国人民解放軍のA2AD(接近阻止・領域拒否)と真っ向から衝突します。A2ADとは、東アジアにおいて中国が展開する軍事行動に対するアメリカの介入を防ぎ、同時に第2列島線の内側の海域において、アメリカ軍が自由に作戦を展開することを阻害するという、人民解放軍の基本戦略です。
米朝首脳会談が中止になったことを受け、アメリカの軍事作戦遂行の可能性が高まり、中国は激怒するのではないかと想像していたら、案の定。
『中国激怒──米朝首脳会談中止
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/post-10243_1.php
24日夜、トランプ大統領が米朝首脳会談中止を宣言すると、中国は激しい怒りを表明。北朝鮮が唯一最大の核実験場を完全破壊した直後に会談中止を宣言するとは信義にもとると即時に社説と論評を掲載した。(後略)』
中国は環球時報の社説で、猛烈にトランプ大統領の決断を批判しています。
中国としては、何とか「アメリカが悪い」「トランプが悪い」という国際世論を作り、アメリカの軍事介入を防ぎ、北朝鮮を存続させ、「現状維持」を狙いたいところでしょう。
とはいえ、「現状維持」の時間稼ぎは、それこそ北朝鮮の核ミサイル開発に猶予を与えることになるため、アメリカとしては看過できません。
改めて、東アジアはの「平時」は終わったと、つくづく感じます。我が国は「戦時の東アジア」でいかに生き残るのか、サバイバルのために「平和」という思考停止から脱却せねばならない時期なのです。
さて、米朝首脳会談が中止になりました。
何度も書いていますが、米朝首脳会談を開催するためには、
(1) アメリカ側は「完全、検証可能、不可逆的な北朝鮮の非核化」を要求し、北朝鮮側は「朝鮮半島の段階的な非核化」を望むという、非核化の溝を越えられない
(2) 北朝鮮側は「未来永劫、恒久的な体制保障」を欲し、アメリカ側は「トランプ大統領の体制保障」しか提供できないという、体制保障の溝も越えられない
と、二つの「溝」を越えることが必要でした。
が、予想通り溝を越えることが不可能で、開催中止と相成ったわけでございます。
『米朝首脳会談 6・12中止 北朝鮮、米に再考促す 対話継続の意思
https://mainichi.jp/articles/20180525/dde/001/030/049000c
トランプ米大統領が米朝首脳会談の中止を発表したことを受け、北朝鮮は25日、金桂冠(キムゲグァン)第1外務次官の談話で「米国側に時間と機会を与え、対座する用意がある」など対話継続の意思を表明し、米国に会談中止を再考するよう求めた。トランプ氏は24日、記者団に対し首脳会談中止について説明、北朝鮮の非核化に向け「最大圧力」を継続すると警告。一方で、北朝鮮の姿勢次第で首脳会談が開催されるとの考えも示した。(後略)』
散々に口汚くアメリカ側を罵り、事前協議もすっぽかし、会談中止の言い訳を与えておきながら、いざ、アメリカが会談中止を決断すると、北朝鮮側は「再考を促す」という行為に出ています。
そもそも、今回の米朝首脳会談の話が始まったのは、北朝鮮側の要望でした。北朝鮮を訪問した韓国使節団に、金正恩がアメリカ大統領との首脳会談を提案したのが始まりです。
そして、なぜ金正恩が米朝首脳会談を望んだのかといえば、単純に「自分の命が惜しい」ためです。
北朝鮮の外務省の金桂官第1次官は、昨日、トランプ米大統領の米朝首脳会談の中止通告を受け、談話を発表しました。金次官の談話は、
「意外であり非常に残念」
「いつ、いかなる方式でもアメリカと対座して問題を解決していく用意がある」
との表明でした。
当たり前ですが、金次官の談話は、金正恩の意思そのものでしょう。
驚くべきことに、金次官の談話では、トランプ大統領について、
「心のうちで高く評価してきた」
と、持ち上げ
「われわれの国務委員長も、トランプ大統領と会えば良いスタートを切ることができると述べて、そのための準備に努力の限りを尽くしてきた」
などなど、明らかな「ラブコール」を送っています。
ここまでラブコールを送るならば、なぜ5月24日まで、あそこまで露骨な敵意を見せたのかと、呆れかえってしまうわけですが、いずれにせよ金正恩が混乱状態に陥っているのは確実だと思います。
もっとも、前述の二つの溝は、それこそ金正恩が亡命でもしない限り、決して越えられません。そして、イラン、サウジという「核ドミノ」を警戒するアメリカが、少なくとも一つ目の溝について譲歩することはないでしょう。
となると、今後の展開としては、
(1) アメリカが北朝鮮を武力攻撃する
(2) 北朝鮮が核弾頭搭載ICBMで核実験を成功させ、アメリカに「核保有国」として認めさせる
のいずれかしかないのです。
そして、朝鮮半島でアメリカが軍事行動に出ることは、中国人民解放軍のA2AD(接近阻止・領域拒否)と真っ向から衝突します。A2ADとは、東アジアにおいて中国が展開する軍事行動に対するアメリカの介入を防ぎ、同時に第2列島線の内側の海域において、アメリカ軍が自由に作戦を展開することを阻害するという、人民解放軍の基本戦略です。
米朝首脳会談が中止になったことを受け、アメリカの軍事作戦遂行の可能性が高まり、中国は激怒するのではないかと想像していたら、案の定。
『中国激怒──米朝首脳会談中止
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/post-10243_1.php
24日夜、トランプ大統領が米朝首脳会談中止を宣言すると、中国は激しい怒りを表明。北朝鮮が唯一最大の核実験場を完全破壊した直後に会談中止を宣言するとは信義にもとると即時に社説と論評を掲載した。(後略)』
中国は環球時報の社説で、猛烈にトランプ大統領の決断を批判しています。
中国としては、何とか「アメリカが悪い」「トランプが悪い」という国際世論を作り、アメリカの軍事介入を防ぎ、北朝鮮を存続させ、「現状維持」を狙いたいところでしょう。
とはいえ、「現状維持」の時間稼ぎは、それこそ北朝鮮の核ミサイル開発に猶予を与えることになるため、アメリカとしては看過できません。
改めて、東アジアはの「平時」は終わったと、つくづく感じます。我が国は「戦時の東アジア」でいかに生き残るのか、サバイバルのために「平和」という思考停止から脱却せねばならない時期なのです。