女性特有のがんの予防法
近年若い女性を中心に子宮頸がん、乳がんが急増しています。ここでは重要な予防法をお伝えします。
子宮頸がんの原因と予防法
子宮頸がんは命はもちろんのこと、出産の機会まで奪ってしまう可能性がある怖い病気です。ただ、子宮頸がんは1つだけ他のがんと違う点があります。
それは原因が特定されているという点です。冒頭でも申し上げたように他のがんは原因が特定されていないため確実な予防は困難です。
それに対して、子宮頸がんは原因が特定されているので定期検診によって予防できます。
子宮頸がんの原因はウィルス
子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で起こることが発見されました。
ヒトパピローマウイルスはとてもありふれたウイルスなので性交渉を経験したことのある女性の80%が感染するといわれています。なのでほとんどの女性が子宮頸がんになる可能性があります。
感染したからといってすぐにがんが発症するわけではありません。人間の免疫力によって多くの場合、ウイルスは体から自然に排除されます。
しかし、この機能がうまく働かずにウイルスが子宮頸部に残り、長い間感染が続いた場合に、その部分の細胞が少しずつがん細胞へと進行してき、子宮頸がんとなります。
子宮頸がんはある程度進行するまで症状が出ない
子宮頸がんは発症しても症状はすぐには出ませんので毎年検診を受けて早期発見するしかありません。命はもちろんのこと、妊娠や出産の可能性まで奪ってしまい、生活や人生に大きな影響を及ぼす病気なので毎年の検診は必ず受診しましょう。
以下の症状が出たら注意してください。
- 月経以外の出血
- 性交時の出血
- おりものの異常(量が増える・変色など)
- 排尿が困難
もし異常を感じた場合にはすぐに医師に相談をしましょう。
子宮頸がん2つの予防法
子宮頸がんを予防法は2つありますが最優先なのは検診を受けることです。先ほどお伝えしたように進行が遅く、2年に1回検診を受ければ防ぐことができます。もう一つの予防法は予防接種ですが、副作用も数多く報告されており、出来るだけ避けたほうが賢明です。
予防法1:2年に1回必ず検診を受けること
子宮頸がんの1番の予防法は2年に1回は必ず検査を受けることです。子宮頸がんは長い期間で徐々に進行していくものなので異形成の段階での発見が重要になります。
異形成からがんに進行するまで5年~10年かかるといわれていますので異形成の段階で発見できれば子宮頸がんになることを防ぐことができます。
※異形成とは 子宮頸がんになる前の細胞は、異形成と呼ばれる正常な細胞とは異なった形をしています。異形成の原因はHPVの持続感染です。 HPVに感染しても、約90%の人は免疫機能によってウイルスを体外に排除できますが、ウイルスを排出できずに感染が長期化すると異形成になることがあります。 異形成は程度によって「軽度異形成」→「中等度異形成」→「高度異形成」と進行し、異形成の一部は子宮頸がんへ移行します。がんに進行する可能性が一番高いのは「高度異形成」で、高度異形成の20〜30%ががんに進行すると考えられています。でも異形成の段階で治療をすれば子宮頸がんにはなりません。 この異形成を発見する検査が、子宮がん検診で行われる細胞診です。
2年に1回必ず定期検診を受診することで異形成の段階で発見でき、子宮頸がんを防ぐことができます。
定期検診の流れ
① 問診
問診では問診票を記入し、医師から質問をされます。流産、中絶の有無、性交渉の経験ど答えにくい質問をされることがありますが、正直に話すことが大事です。その情報が外部にもれることは絶対ありません。
② 内診
内診台に乗り、医師による診察を受けます。子宮頸部の状態を目で確認することが視診で、内診では子宮全体と卵巣・卵管などを触って調べます。
③ 細胞診
やわらかいヘラやブラシのようなものを腟内に挿入し、 子宮頸部の表面を軽くなでるようにして細胞を採取します。ほんの少し出血することはあっても痛みなどを感じることはほとんどありません。
通常、検診結果は2週間~3週間くらいで出ます。
検診の費用は無料の場合もある
子宮頸がんの検診は受ける場所によって金額が異なります。
厚生労働省の女性特有のがん検診推進事業として、対象年齢の女性に対し子宮頸がん及び、乳がん検診の無料クーポンも配布されています。子宮頸がんの検診の場合、20・25・30・35および40齢の女性が対象です。
自治体にもよりますが費用は掛かったとしても1000円~2000円のケースが多いようです。
会社の健康診断に関しても少額で検診を受けれます。
予防法2:予防ワクチンを受ける
予防策の1つが予防ワクチンを受けることです。予防ワクチンは多くの副作用が報告されており、おすすめはしませんが、念のためお伝えしておきます。
予防ワクチンを接種することによってHPV感染を防ぐワクチンです。
子宮頸がん予防ワクチンによってHPV感染を防ぐことができ、子宮頸がんとその前がん病変、外陰上皮内腫瘍、腟上皮内腫瘍、尖圭コンジローマなどの発症を防ぐことができます。
予防ワクチンは3回受ける
予防ワクチンは半年の間に3回受けると大きな効果が期待できます。同じワクチンを3回接種します。
予防ワクチンですべてを防げるわけではない
ワクチンの接種は高リスク型の2種類のHPVの感染から子宮頸部を守ることで子宮頸がん予防効果を発揮します。
しかし、ワクチンでは予防できない高リスク型HPVもあります。 早期発見と、治療のためにワクチン接種とあわせて、定期的な子宮頸がん検診を受けることが重要です。
予防ワクチンの副作用には要注意
予防ワクチンは子宮頸がんの原因であるHPVへの感染を防ぐことができますが一方で副作用も多く報告されています。
現在専門家によっても意見の分かれるところなので慎重に判断しましょう。
予防ワクチンは公費の助成を受けれるようになった
予防ワクチンが認可された当初は「任意接種」扱いで3回分の費用約6万円は自己負担でしたが、2013年4月1日から法律で定められた「定期接種」となり、対象者は公費の補助を受けられるようになりました。詳しくはお住いの自治体に確認してください。
長くなりましたので、次回乳がんの予防から
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