近頃爽快な文章に、と思っていたら、池内 紀著の表題を読んで暑さの折の清涼感満喫であった。
近ごろ「前面展望車」に嵌まり、しかし物見遊山気分よりは浮いた物足りなさを感じていたところであった。著者の作物はほとんど読んではいない。ドイツ文学など昔々ヘルマン・ヘッセの「車輪の下」を読んだくらいである。清純な精神の年頃の話である。重い口調はいくらこの年では汗がでる。どこから読み出してもよい。それ故本書には栞が添えられていない絶好の読み物である。
三次から江津までの山中、川傍を走る各駅停車の車輌である。車内女子アナウンサーの声で「締まるドアにご注意を」「整理番号は必ず忘れずに」「ホームは左側です」とかを聞き流す。ただレールの変哲もない走りを眺めている。こらが結構楽しい。新幹線は隧道が多いとは聞いているが、強ち新幹線に限った話ではなく、鈍行路線でも同様で有る。そして幾山河を乗り越える。どうやら日本海沿いの江津駅に近づく。製紙工場煙突と江川橋か見えたころには辛抱が切れるところであった。なにしろ三次・江津間およそ三時間半経過するのである。
近ごろ「前面展望車」に嵌まり、しかし物見遊山気分よりは浮いた物足りなさを感じていたところであった。著者の作物はほとんど読んではいない。ドイツ文学など昔々ヘルマン・ヘッセの「車輪の下」を読んだくらいである。清純な精神の年頃の話である。重い口調はいくらこの年では汗がでる。どこから読み出してもよい。それ故本書には栞が添えられていない絶好の読み物である。
三次から江津までの山中、川傍を走る各駅停車の車輌である。車内女子アナウンサーの声で「締まるドアにご注意を」「整理番号は必ず忘れずに」「ホームは左側です」とかを聞き流す。ただレールの変哲もない走りを眺めている。こらが結構楽しい。新幹線は隧道が多いとは聞いているが、強ち新幹線に限った話ではなく、鈍行路線でも同様で有る。そして幾山河を乗り越える。どうやら日本海沿いの江津駅に近づく。製紙工場煙突と江川橋か見えたころには辛抱が切れるところであった。なにしろ三次・江津間およそ三時間半経過するのである。