姫と太郎の賑やかなお家

姫14歳、太郎9歳。高機能広汎性発達障碍の子供たちとの賑やかな暮らしぶりを綴っていこうと思います。

音楽会

2009-11-08 10:29:53 | 日記
先週、姫の音楽会がありました。
姫の小学校は音楽会と図工展を交互に開催します。
今年は音楽会の年でした。
姫にとっては小学校最後の音楽会です。
インフルエンザの影響で一度、延期になり、開催が危ぶまれたりもしましたが
何とか無事に全学年揃っての開催となりました

練習時間が短かったにもかかわらず、みんな上手でした。
姫たち5年生も2年前より演奏も合唱も上手になっていました

ただ、私個人として残念なのは姫が楽しそうじゃなかったこと
姫はずっと眉間にしわを寄せてました

「バカバカしくてやってらんない」という感じではなく、
緊張でいっぱいいっぱいという感じです。目が泳いでる
幼稚園の頃、姫は何をしていても楽しそうでした
ニコニコと嬉しそうに歌ったり踊ったりしていました。

運動会でも私の方を見ながら嬉しそうに・・・
「姫ちゃん、走って~」とみんなに言われながらも、マイペースで楽しそうでした。

姫はそんな楽しかった頃のビデオを見るのが好きでよく見ていました。
それが、去年「お母さん、姫、なんか一人だけみんなと動きが違うんだけど」って突然言い出しました。
「何を突然?いいやん。楽しそうやし、可愛くて
「え~!おかしいって!ビックリやわ!変!間違ってるやん!
「何を今更・・・もしかして、姫、今までずっと見てたのに気づいてなかったの?
「うん、今、気づいた
「そっちのがビックリやわ!」と心で叫びつつ
「でも、これはこれでいいと思うけど。みんなも姫ちゃん可愛いな~
楽しそうやね~って言ってたし、お母さんもそう思ってるけど
「イヤ!一人だけ違うのって変やもん!おかしい!

姫は小学生になってから運動会でも音楽会でもいつも緊張で張りつめた顔をしていました。
幼稚園よりも完成度が重視されるし、周りの子たちからも言われてしまいます。
姫なりに一生懸命でも周りには「出来てない」「合ってない」って言われてたんでしょう

クラブでも「姫、本番の時の顔、怖いんだけど」って言っても
「だって、そうなるの!」って・・・

今の姫は自分が楽しむよりも「周りに合わせる」「間違えない」「注意されない」
そのことばかり気にかけているようです。
「みんなと一緒がいい」「普通になりたい」

年頃の女の子としては当然のことかもしれないけれど
「姫は姫なんだ」って「姫にしかないいいところがある」って思えるようになってほしい

「他の子と比べてはいけません」ってよく言われるけど、
私は小さい頃の姫と今の姫を比べてしまう
音楽会の間、小さい頃の姫の笑顔が頭から離れなくて
目の前の姫を見ているのが辛くて仕方なかった。

あの頃みたいに笑ってほしいって、楽しんでほしいって思ってしまう。
姫が笑わなくなったのは、笑えなくしてしまったのは
姫の抱えた生き難さやしんどさに気づかなかった私のせいだなって思います。

1年生の時、担任のI先生に
「姫ちゃんは当然知っていると思うようなことを知らないことがあります。
なんというか浮世離れしている感じがします」
って言われたのに、私ったら
「そうなんですよ~ マイペースでおっとりし過ぎたところがあって
なんて言って笑ってたんですから

姫の話から察するにI先生は姫に合わせた対応をしてくださっていたようです。
「ずっとI先生が良かったなぁ。I先生は授業中に他の話はしなかったし、
黒板にも関係ないこと書かんかってんで。
言ってることもよく解ったし・・・I先生が一番良かったのになぁ」って。
鈍感な母親よりよっぽど頼りになりますね

結局、I先生は2年の新学期には他校へ赴任してしまわれたので真相は聞けないままですが、
私はI先生は気づいてたんだろうなぁって思います。
先生なりに言葉を選んで知らせよう、気づかせようとしていたのに私の方が全く意に介さず…
先生も歯痒かっただろうなぁ

小学校最後の音楽会でも姫の笑顔が見られなくて残念だったけど、
姫が得意なものを見つけて、自信が持てるようになったら
また、みんなと一緒に楽しんで笑ってくれるかなぁって思うことにします。

やっと気づいて、告知もして、姫なりに頑張ってるんだから
少しずつ、少しずつ姫のペースで前進あるのみ

幸い姫は頑張って少しでもステップアップ出来たと認めてもらえれば納得して
また次のステップへ進める子です。
周りの人が「え?それだけ?」って言うほどのステップでも、
「出来たよ~」と素直に喜び、次を目指す子です。

そんな姫だから、いつかきっと自分の力でゴールすると思います





就学前健診

2009-11-06 11:35:55 | 太郎のこと
昨日は太郎の就学前健診がありました。

「5日に学校に行って先生に『もしもし』してもらうからね。
学校の中では上靴を履くんだけど、一緒に買いに行ける?」
「うん、行ける

休みの日に二人で靴屋さんに出かけた時も、
タロはぐずることもなく試着をして真っ白な上靴を買いました。

帰ってからも「お父さん、見て!タロ、学校に行くねん。
お母さんが『これを履くんだよ』ってね~買ってくれた」

10日前では考えられないことです

健診の当日も「今日、学校?」と聞いてきました。

「そう。今日は学校に行く日だよ。
だから、お昼にお仕事が終わったら迎えに行くからね」
一度、お家に自転車と荷物を置きに帰るからね。
お母さんがお昼ご飯を食べて、用意が出来たら学校に行くよ」
「わかった!」飛び跳ねて嬉しそうにしている太郎を見て私も嬉しかったです。

健診はスムーズに終わって、いよいよ教頭先生との『就学相談』
本当なら教育委員会との面談が終わっていなくてはいけないのに
入院の為9日に延期になってしまって
こんな状態でどう切り出せば?と不安でした。

教頭先生の前に座った私は
「今年になって高機能広汎性発達障碍と診断されました。
主治医とも相談したところ、特別支援クラスにお願いしたいと思っています。
学校でのストレスを出来るだけ減らすことを一番に考えたいと思っています」
と切り出し、主治医から保育園宛ての意見書のコピーと検査結果、
現在の療育の経過と就学までの計画書を見ていただきました。
そして家でのパニックの様子から学校でも一人でクールダウン出来る場所が欲しいこと。
友達とのかかわりが苦手なこと。
こんなにたくさんの集団に入ったことがないので私にも全く予想がつかないこと。
そして何より自己評価が低く、傷つきやすいこと。
私なりに精一杯話しました。

上手く伝わっただろうか。
太郎なら見た感じ普通クラスでも大丈夫と言われるだろうか。

ドキドキしていた私に教頭先生は
「そういうことでしたら、特支クラスが良いかもしれませんね」とあっさり

何だか、拍子抜けしてしまってぼんやりしている私に
「集団がしんどいようであれば、特支クラスのようにこじんまりしたところが良いでしょうね。
学習面では個人に合わせていくので、遅れる心配はないと思います。
それよりはやはり学校を好きになってもらわないと。
楽しく通ってもらえうようにしていきたいですね。
特支クラスの見学にもいらしてください。
うちには特支のベテランがおりますから何でも相談してください。
入学後も担任や他の先生方と相談しながらその都度考えていきましょう」
教頭先生の言葉を素直に喜べない自分が嫌ですが
今まで「大丈夫、普通ですよ」とか「知能は高いんでしょ?」とか言われ続けてきたせいか、何だかスッキリしないんです

特別支援クラスに入れるかどうかの最終決定はどこがするんだろう?
学校?教育委員会?
このモヤモヤは9日に持ち越されそうです





ウザい?

2009-11-02 15:51:28 | 姫のこと
寝る前になると姫はベッドの中から
「お母さん、あのさぁ・・・」と話しかけてきます。

「そんなこと考えてないで寝れば?」
と思うことが多いのですが、昨夜のはちょっと聞き捨てならない


「今日、AKとかYRとか普通に姫と喋ってたら
後からRKちゃんとYSに何か言われてた。
なんか怒られてるみたいやってん。
それにRKちゃんとYSは今日は姫を避けてるみたいやってん。
それで、AKとYRに『姫のこと嫌いなん?』って聞いたら
『嫌いじゃないよ』って言ってくれてんけど、
YSはさぁ『ウザい』ってお母さん、姫ってウザい?」

「え?ちょっと姫、YSに面と向かって『ウザい』って言われたの?」
「うん」
「で、何も言わずに黙って聞いてたの?」
「うん」
「ねぇ、姫はさぁ、年下のYSからそんなこと言われても怒らへんの?腹立たんの?」
「うん」
こんなやり取りをしていても、姫は怒っている様子も悔しがっている様子もありません。

どうして姫と喋っていた友達が怒られていたのか。
嫌いじゃないのにどうして喋ってくれないのか。
昨日は普通に接していたはずの子が今日は避けていたのは何故か。
姫は何故ウザいのか。
「姫はこの4つが解らないんだけど、お母さんには解る?」
という雰囲気なんです。
少し不安そうな感じはあるけど、怒りや悔しさは微塵も感じられない

そんなこと、もし私が後輩から面と向かって言われたら・・・
ん?なんかヘン 

普通だったら、先輩はもちろん、同い年や後輩に対してでも言わないんじゃないか?
YSちゃんは前にも顧問の先生に褒められた姫に「生意気!」って言ったよね
YSちゃんは相手が姫だから言った?
何も言い返さない。怒らない。姫だから言えたんだ!


このYSちゃんとRKちゃんの二人はずっと前から気になってた子たち。
したたかというか、なかなかの曲者

それでも、まだ上級生(現在中1)がいるうちは良かった。
明るく元気いっぱいのMIちゃんがみんなをまとめて引っぱり
物静かで優しいYKちゃんが気を配ってくれていた。

その子たちが卒業を前に引退した3月
お別れの日、引退式の途中から姫は泣きっぱなし
その日は帰りが遅くなったので私は太郎を連れて姫を迎えに行った。
姫はやっぱり泣いていて、帰り道もYKちゃんに肩を抱かれて泣きながら歩いていた

別れ際にMIちゃんが言った言葉
「泣くな、姫!がんばれ! タロ、お姉ちゃんのこと守ったりや」

YKちゃんも「姫ちゃん、がんばって」と言ってくれた。

姫はずっと彼女たちに守られていたんだと思います。

彼女たちが卒業してから、見ていて歯痒いくらいYSちゃんとRKちゃんに振り回されている姫

そんな姫の様子を「マジメ~」と笑い
「ウザい」と突き放す

「真面目で人を疑わない」のが姫のいいところ
心配だし、ヤキモキするし、悔しい
でも、私には真似できない姫のいいところ

検査の結果を聞いた後、T先生が仰った
「人を信じて疑わないのは姫ちゃんのいいところです。
叱るところじゃないです。
お母さんの心配は解ります。歯痒い気持ちも・・・
でも、このことは姫ちゃん自身が経験を重ねて、
いつか自分の中で納得して折り合いをつけていくしかないんです。
辛いけど、見守ってください」

この先、姫はいったいどれくらい姑息なやり方で、待ちぼうけになったり、
おごらされたり、仲間外れや酷い言葉を投げつけられるんだろう


一度だけ、姫がパニックを起こして泣きながら叫んだことがあった
「わかってるよ!みんな姫が笑ってるから気にしてないって思ってるけど
姫だって嫌な気持ちになってる!嫌だって思ってる!
だけど、何て言っていいか、わかんないの!
どうしていいか、分かんないから、笑っちゃうのに!
姫だってみんなと一緒にいたい!一緒に遊びたいの!」

そう言って泣き叫んだ姫は、そのまま眠って目が覚めたらいつもの姫でした。

「姫、我慢してるの?学校で嫌なことあったの?」って聞いても
「え~?ないよ~ 何で?」と笑う姫。

そんな姫を見ると辛いです。

『二次障害』という言葉が重くのしかかってきます。

太郎の抱えているもの

2009-11-01 09:47:50 | 太郎のこと
太郎の診断を受けてみようと思った一番の理由は
 「低すぎる自己評価」です
一度でも「キライ」と言われると太郎の中に刻み込まれます
小さい子供のケンカです
今「キライだ~」って言っても1時間もすれば何事もなかったように
仲良く遊んでいたりするもんです
でも、太郎にとっては表向きの話
「遊ぶけど、みんなはタロがキライやねん
キライって言ったもん」
自己評価の下がりきった今の太郎にとって「キライ」は消し難い傷になります。

年長さんになってから「小学校に行ったら・・・」って言われる機会が増えました。

そして「タロは学校なんか行かん」って言い始めました。
理由は「友達」
みんなに嫌われてる
友達がいない、出来ない、作れない

家に帰って姫とケンカして、言われてしまいます。
「もう!タロのバカ!あっち行け!」
途端にフラッシュバック
「うわ~ あ~ タロのバカ~ 
タロなんか、タロなんか いなくなれ!
やっぱりタロはバカだ~
うわ~ タロなんか タロなんか いない方がいい~
うわ~ ごめんなさい~
タロが悪い、タロが悪いんだ~」

一人で寝室の布団の上で枕を叩きつけ、
自分の頭を叩き、泣き叫びます

こんな時、太郎には私の声も届きません。

少し落ち着いたら自分から出てきます。

「抱っこしてください」

抱きしめると「お母さん、タロ、キライ?」

「だ~い好き。お母さんはタロが大好き」
「お母さん、ごめんなさい
 謝ることなんてないのに
 太郎は悪くないのに・・・こんな日は一緒に泣いてしまいます