生業として見た弁護士業界

2023-12-13 19:41:39 | 2021年12月以降
 今日は、生業(なりわい。生活の糧)として弁護士業界を俯瞰してみたいと思います。

1 現状

 <注釈>
 インハウス弁護士(企業内弁護士)は、以下の「所得」データにおいてそもそもカウントされていません。文脈上インハウス弁護士はサラリーマンとしてくくる方が正しいため、今日のお話では一切含みません。
 インハウス弁護士(サラリーマンとしてしっかりした生活を送れる)は弁護士全体の1割いますので、以下の話の中では、実態より悪くなってしまうのではないかという懸念もありますが、ただ逆に、事実上インハウス弁護士に近いが「事業所得」として得ている場合は、「所得」にカウントされていますので、その分は実態より良く出ます。今日のところは、学術論文ではなく大勢を見ることに主眼がありますので、上記はプラスマイナスゼロとして扱いたいと思います。
 <注釈終わり>


 昔は、弁護士は医者と並んで「稼げる」職業と言われており、実際にそうでした。ベンツに乗っているのは、893か医師か弁護士かと言われた時代もありました。普通に「弁護士でございます」と言っておれば2000万円~3000万円稼げた時代も確かにあったようです。
 比較的最近では、過払いバブルの時(2007年からの5年ぐらいでしょうか)、1日で数百万円分の受注とかザラだったという話も聞きます。

 しかし、現状ではそのようなことはありません。

 弁護士は、「所得」の中央値(1位からビリまで並べて、順位が真ん中の人という意味。平均値ですと一部の超高給取りが引き上げてしまうので実態と合いません。)で言うと、年700万円程度です。
 
 弁護士の場合、ほとんどが雇用関係ではなくて委任関係ですので、事業所得となります。よって、「所得」というのは「収入」とは全く異なり、「収入」から「経費」を引いた残額です。この「経費」が本当の経費だけであれば、「所得」=本当のサラリーマンで言うところの税引き前収入に相当しますが、接待をする弁護士とかですと自分の飲み食い代やぜいたく代(ゴルフのような遊びも?)も含まれる接待交際費も(計上できるものは)「経費」に入れられますので、感覚的には、実質的な収入は、「所得」よりは多いです。
 しかし、当たり前ですが普段の生活費は計上できることもないのでやたらめたらに経費として控除できるわけではなく、「所得」が700万円であれば、例えば、売上を意味する「収入」が1200万円、実質的な経費が300万円、接待交際費が200万円でそのうち半分は自分のぜいたくとすると、実質的な肌感覚的な年収は1200万円-300万円-200万円×0.5=800万円(この例では「所得」は、1200万円-300万円-200万円=700万円)ぐらいではないでしょうか(もしかしたら、「収入」がもう少し多くて、接待交際費がその分多いかも知れませんが)。
 
 この「所得」700万円を多いと見るか、少ないと見るか。。。

 私は、少ないと思います。

 というのは、まず、サラリーマンと異なり身分の保障が全くありません。(「勤務弁護士」「アソシエイト」等と呼ばれる弁護士でさえも)圧倒的大多数が雇用関係ではないので、いつ追い出されるかわかりません。自由業者(自営業者)ですので、失業手当等も関係がないことになります。身体を壊したら、「はい、おしまい」です。
 退職金も基本的にはありません。
 少なくとも弁護士法人でなければ、保険料・年金も組織が半分負担してくれるということは基本的にはありません(年金は、国民年金(第1号)になります)。
 
 そして、サラリーマンと異なり、弁護士になるまでコストがかかります。
 今は、予備試験ではない場合は、ロースクールに行かなければなりませんから、大学卒業後さらにコストと時間がかかります。つまり、投資をしていることになります。また、今では司法試験合格は簡単になりました(難易度としては簿記1級を合格者平均点以上で合格するぐらいではないでしょうか)が、昔は、「最終的に合格しなかったら本当に路頭に迷ってしまうかも知れない」というリスクを負って受験に参戦していました。
 
 以上のようなサラリーマンと比較してのデメリットを補えるほど高給とは、私は全く思いません。

 さらに言うと、昔は司法試験に合格する層はサラリーマンの道を選んでいれば優良大企業に入れた層ばかりで、その層が年次を重ねて所得分布でも上位にいるはずで、その人たちを含めても半分が「所得」700万円以下である、さらにさらに全体の4分の1は何と「所得」200万円以下である、と考えると、、、

 私は、「弁護士は、高給取りどころか、むしろ、経済的には恵まれない業種になりつつある」と考えています。
 
 ※下4分の1が200万円以下、そのすぐ上の4分の1(下4分の1から2分の1まで)が200万円~700万円ということで、実は、すそ野が広い、極端に難しい数学の試験の得点分布のような悲惨な分布図なのです。

 
 このような話をすると、必ず、以下のような反論が出て来ます。

○崇高な使命を帯びている職業なのだから、カネの話をすべきではない、社会に貢献できればそれでいいではないか、本望である、成仏できる。

 →このようなことを言う人も一部にいるようですが、それは功成り名を遂げた耄碌じじいの妄言ですので、そういう思想をお持ちであることは尊重しますが、本記事では一切無視します。

○司法試験が簡単になって弁護士が増えたんだから仕方ないだろ、競争原理だ、それを最近の弁護士は厳しいというのは甘えに過ぎない。

 →一面では正しいでしょう。だけどね、、、だいたいこういうことを言うやつって、その簡単になった司法試験さえも受からない、今いる自分の業界の中でもうまく行っていない、箸にも棒にもかからない人間が多いんだよね、ぷけら(笑)。甘えてるの、お前だろ(爆)。競争に勝ったことがないやつが、競争競争って言うなよ。

2 原因

 なぜこのようなことになってしまったのでしょうか。

 本当にたくさん原因があると思います。

①法テラス(日本司法支援センター)の浸透

 法テラスというのは、法務省傘下の組織で、資産・収入が一定水準以下の方については、弁護士費用を低廉に抑えて、分割払いにするということによって、弁護士に依頼できるようにするという仕組みです。イメージで言うと、例えば、本来着手金40万円のところ、それを18万円とかにして、法テラスが一旦弁護士に対して立替えて支払い、クライアントは法テラスに対して毎月5000円や1万円を返していくという感じです。

 で、この法テラス対象の資産・収入が、結構高いのです。具体的な数字は避けますが、大都市圏以外の場合は、真面目にこつこつ働いている立派な方でも容易に該当してしまうという、かなり高めの設定になっています。高めの設定というのは、要するに、この法テラス制度を活用できる人がかなり広範囲になるということです。

 そうすると、この水準に該当する方としては、弁護士に直接、通常価格で依頼する意味が基本的にはなく、当然法テラスを利用するということになります。そうなると、全体として見ると、法テラスという安価で弁護士に依頼できる人がかなり多いということになり、全体として当然値下げ圧力となります。

 私は、弁護士として、もちろん。司法アクセスの向上には反対しません。これ自体は良いことでしょう。ですが、その使命は「国」が負うべきものであって、弁護士の犠牲のもとに推進すべき話ではありません。国が依頼者が負担できない弁護士費用を補助すべきです。一弁護士としては、申し訳ありませんが、自分が犠牲になって、司法アクセスの向上に貢献しようとは思いません。何しろ、弁護士にとっては、単純に豪快に価格が下がり、法テラスに対する報告義務が増えるだけの話ですので。
 ※この辺りは、弁護士によって発想は違うと思いますが、私は、賛成できないという意味です。

 で、そんなに弁護士にとって厳しい制度なら、弁護士みんなが断るから、制度として成り立たなくなるから、遅かれ早かれ、弁護士費用が引き下げられるなんなりするのではないかという反論もあるでしょう。
 これは、理屈としてはまさにそのとおりです!
 ですが、②によって、法テラス案件に応じる弁護士、応じざるを得ない(応じなければ日々の収入が途絶えかねない)弁護士が結構いるのです。

②弁護士の増加

 弁護士が増えれば、(パイ全体が大きくなっていない以上)1人あたりの実入りは減ります。

 これは要素としてはあるでしょうね。
 特に個人案件については、弁護士会や法テラスの法律相談に行って、その時の担当弁護士にそのまま依頼するというパターンは結構あります。ですが、弁護士が増えれば、そもそも「弁護士会や法テラスという、知らない弁護士当たる法律相談に行く前に、何とかつてをたどって弁護士にお願いできる」という方の数が増えますから、弁護士会や法テラスの法律相談経由からの受任という割合が減るでしょうね。
 ※なお、完全に蛇足ですが、何の法的根拠もなく(むしろ紹介手数料を徴取することが禁止されている弁護士法に違反する疑いが非常に濃厚なのですが)、某弁護士会は、紹介手数料を15%徴収しています(おそらく全国どこの弁護士もほぼ同じことをしているはずですが率は多少違うかも知れません)。弁護士が提訴しても、人権の番人ではなくて権力の番人である裁判所は、極めて高い確率で「裁判所が判断すべき案件ではない(内部理論?)」として却下しますから、誰も争わないんですが(笑)、それを見越して弁護士会がショバ代を徴収という感じですね。本当の却下理由は、「弁護士会>一弁護士(しかも、弁護士会法律相談から案件をもらうような零細弁護士)」「波風を立てたくない」に過ぎないんですが。

 また、個人的にも、相見積もり的な話は増えているような気はします。
 ※私は、相見積もりで買いたたこうとしているなと分かった瞬間降りたりしますが(笑)。見積もるだけで時間がかかりますし、何より、買いたたこうというタイプのクライアントはめんどくさいし、感情移入しづらいからです。別に、今のところ、案件に困っていないし。。。

➂あまりに長期間かかる訴訟

 本当に、日本の裁判の進行はトロいです。

 期日のたびに、はい、今度は原告の反論、はい、今度は被告の反論、、、、と永遠に繰り返す訳です。

 裁判官もレベルが下がっていますから、事件の早期で、「本件の争点は○○と●●であり、・・・」と整理できず、時には土俵が何なのかも不明なまま(弁護士も最近は頭が悪いのが多いので争点を理解せずにひたすら相手方を論難しているだけの書面も多い)グダグダずっと水掛け論をやっている訳です。

 これの何が無駄かというと、期日のたびに、裁判所も弁護士も、「この事件、どんな感じだったかな」と事件記録(提出書面等)を見返す訳で、当然100%覚えているはずもなく、それどころか何十件も抱えていれば、かなりの部分読み直さな変えればならず、思い出すのに莫大な時間がかかってしまう訳です。

 挙句、とにかく判決を書きたくない裁判官が多いので、何が何でも和解でと裁判所が望む案件も多く、当事者(金銭面での勝訴はもちろんそうですが、裁判所に正義を判断してもらいたいという想いもあるのです)の納得も得られたような得られないような形で終わってしまうので、「ひたすら書面のやり取りをしたけど、結局、これですか、何なの・・・」という想いになっても不思議ではない訳です。

 さて、生業として見た弁護士業界としての文脈で言うと、なぜこれが困るかというと、一般的な案件の「着手金+成功報酬」の場合、(当たり前ですが)かかる時間が無駄に多くなればなるほど、時間単価が下がるのです。

 着手金が20万円とか聞くと、「え、新卒の初任給もいきなり取るの?」とか思われるかも知れませんが、考えてもみてください、ある程度争いの激しい案件でしたら、「はい、今度は原告、はい、今度は被告・・・」というターンを繰り返していれば、140時間(サラリーマンの1ヶ月業務量)なんてすぐ経ってしまいますよ。そうしたらね、投資までして(それなりの努力をして)弁護士になって、責任も負って、身分保障もなく、新卒で事実上一人では何もしようがない新人サラリーマンと同じ収入になる訳ですよ。
 これがいかに不合理かというのはお分かりになっていただけると思います。

 ちなみに、今現在、タイムチャージは露骨に中国や台湾の弁護士の方が日本の弁護士(大手を除く)より高いですが、訴訟に関しては金額としては大差ないという印象です。しかし、例えば中国(大陸)の訴訟は始まってしまえば1回~2回!で終わることが多いので、感覚的には、労力は、日本の訴訟の5分の1~下手すれば10分の1です。これがどういうことかというと、時間当たりの単価にすると、中国の弁護士は日本の弁護士の5倍~10倍ある、ということになる訳です。

➃契約書・録音がない案件における認容確率、認容金額が低い(裁判所が、間接事実の積み上げによる事実認定を怠っている)
 
 これですね、真の意味の司法の危機だと私は思っています。

 セクハラ・パワハラが一番わかりやすい例なのですが、とにかく録音がないと裁判所は認めないんですよ。理由は単純。直接示す証拠がないから。
 ※今だったら、旧ジャニーズの何とかというじじいの性虐待は(存命だったら)認定されないと思いますので、おそらく、裁判所はこの面で益々退化しているのではないでしょうか。
 
 本来ですね、裁判所は、もちろん直接示す証拠があればそこからすぐに認定できますが、そのような直接的な証拠がなくても、種々の状況を示す証拠を積み上げて事実を認定することができますし、しなければならないんです。
 ですけど、今、ほとんどの裁判官は、こういうことをしません。彼らの作業は、「はい、契約書がありますね→契約が締結されましたね。」「はい、契約書がありませんね→契約が締結されたかどうかはわかりませんので、立証不十分です」と単純に仕分けることだけになってしまっています。
 ※前者は正しいですが、後者は本来正しくありません。契約書がなくても、その他の事実の積み上げから認定できる場合はもちろんあるのです。

 ですから、裁判官は、アホでも認定できる事実しか認定しないので、セクハラ・パワハラといった明らかな証拠なんてないことの方が多い案件は基本的に認められないのです。

 しかも、日本の場合、仮に精神的に病んでしまっても因果関係云々がうるさいですし、慰謝料というのは極めて低額に抑えられていますので、仮に賠償請求が認容されたとしても、賠償金額は(自殺事件で、因果関係が認められ場合は除き)何百万円オーバーとかそういうことにはならないのです。

 ※しばしば勘違いされるのが、離婚の慰謝料です。確かに離婚の慰謝料というのはありますし、(不貞行為がある場合は)認められやすい慰謝料ではあります。ですが、多額になる場合は、それは本当は慰謝料ではなくて、おそらくは「財産分与」です。これは、「婚姻期間中に増えた財産は半分こね」という法律上のルールがあるので、相手方(配偶者)が高給取りの場合は、帰責事由如何にかかわらず多額になるのです。

 これが、生業としての弁護士業という観点からどういう影響があるかというと、要するに、このような事案の積み重ねによって、弁護士に依頼してもしなくても結局それほど賠償は期待できないということになり、弁護士に依頼するインセンティブがなくなってしまうのです。

 アメリカは認容金額が異常ですが、やはり、ある程度認容されて金額も乗ってこないと、「弁護士費用を負担してでも弁護士に依頼したい」とは思えないでしょうね。

 なお、日本の場合、強制執行制度が極めて脆弱(判決を無視しても実は何のお咎めもないし、財産調査も基本的には国は何も手伝ってくれない)、弁護士に財産強制調査権が与えられている訳ではないということも、弁護士依頼が増えない理由でもあるでしょうね。

⑤不祥事の際の罰金、課徴金、賠償金、役員が刑事罰等に問われるリスクがいずれも低いため、企業法務も低調にならざるを得ない。

 例えば、ある悪事をした場合、1億円儲かるが、100億円の罰金を課せられる可能性が20%あるという事例を仮定しましょう。
 これは、マイナスの期待値が100億円×20%=20億円で、プラスの1億円より圧倒的に大きいので、マイナスの方が圧倒的に大きな事案となります。
 そうすると、どうすれば、罰金を課せられないようになるか、というのを真剣に検討するインセンティブになります。

 では同種事案で、1億円儲かるが、3000万円の罰金を課せられる可能性が1%あるという事例を仮定しましょう。
 これは、マイナスの期待値が3000万円×1%で30万円で、プラスの1億円より圧倒的圧倒的圧倒的に小さいので、プラスの方が圧倒的圧倒的圧倒的に大きな事案となります。

 はい、後者が日本です。

 日本の場合、企業が不祥事を起こしたとしても、はっきり言うと大したことないのです。
 だから、粉飾決算だってなんだってするのです。何しろ、それが合理的な行動なのですから。
 ※ビッグモーターの行動も、経済合理性に適っているんですよ。たまたまやりすぎてバレてしまっただけで。

 こういう社会なので、要するに、(ごくごく一部の企業を除いて)企業・企業経営層も、真剣にルール通りに活動していこうなんて本当は思っていないのです。
 コンプライアンス云々言っていますけど、98%ぐらいの企業は、目的が「『コンプライアンス体制を整えています』と言えるようにすること」になってしまっているでしょう。

 そうしますと、結局のところ、弁護士を使って、法的にしっかり(本気で)整えよう、という企業がごくごく少数に限られてしまうということになり、これは、生業としての弁護士業という観点では、弁護士の業務が増えない理由の一つとなります。

➅ネットの情報がしっかりして来ていて、弁護士以外の法人・個人のレベルが明らかに上がっており、自力て完結できる例が増えている。

 これは、弁護士のレベル低下(地頭の悪い人でも、家庭環境に恵まれてせっせと勉強に励みさえすれば、よほど勉強が苦手でない限り何とか弁護士になれる状況になっている)と密接に関連しているのですが、最近は、

 「弁護士でない法人・個人+もともとがしっかりしている+勉強熱心+自分のことであるという真剣さ+ネット情報」>「弁護士」

 になって来ている印象があります。

 最近、冗談抜きで、4分の1前後ぐらいの確率で、相手方弁護士等の書面を見て「は?バカじぇねえの?」と思います。
 基本的な知識がないし、争点を捉えていないし、何より日本語がおかしい(笑)。端的に、頭が悪いんだと思います。

 頭が悪い人って、結局何をやってもダメで(しかも、頭の悪い人に限って努力もしない。つまり、頭が悪いというのは、努力しない積み重ねという結果でもある)、しっかりした素人の方が少し頑張るだけですぐに抜かれるんです。

 で、しっかりした方であれば、弁護士でなくても、この弁護士が、少なくとも弁護士という水準を保っているかどうかというのはわかりますので、「こんなんだったら、高いカネ払って弁護士雇うより、自分でやった方がいい!」と思う訳です。

 そして、最近は、本当にネット情報がかなりしっかりしていますので(本当に勉強になるページや動画が結構あります)、真剣に努力する人は本当にレベルが高くなるのです。

 このあたりも、弁護士需要が低迷する理由でしょうね。

 ※今日の話とずれるので一言にしますが、居酒屋が厳しいのは、Youtubeで美味しいおつまみ・料理の作り方ジャンルの素晴らしい動画がたくさん出てきているのも一因だと思っています。

3 今後

 弁護士増加のペースはだいぶ和らいできましたが(今年だけ、ロースクール在学中(最終学年)でも受験が可能というルールになったという特殊要因で増えましたが、今後受験者数がどんどん減る関係で合格者も減っていくでしょう)、今後は、弁護士業界の生業としての苦境は益々深刻になると思います。

 理由は、、、

○法テラスが対象とする一定の資産・収入以下の方が増えて、法テラス案件が増え、労力単価が益々低下していくと思われる。

○AIの精度向上により、これまで弁護士に依頼していた契約書チェックが一部、AI+超若手企業内弁護士にシフトしていく可能性があり、業界全体として契約書チェック・作成によって得られていた収入が減少していくと思われる。

○ネット上の情報及びAIの精度向上により、弁護士に委任しない個人案件(当事者調停・訴訟)が増加していくと思われる。

○企業・国全体のパワーがなくなり、海外勢から「うちはこの契約内容を飲まない企業とは取引しません」と言われて、日本サイドの要求が通らなくなり、そうすると、もはやダダ飲みして案件を取るしかなくなり、そうであれば、弁護士の真剣なチェックが不要になっていく、、、という事例が増加していくと思われる。

○在野(企業内と大事務所を除いた弁護士)に優秀な人材がほとんどいなくなり、企業としても「そんなんだったらうちの職員+インハウス弁護士で十分だわ」と考える例が増加していくと思われる。

 あたりです。


 弁護士業というのは、司法の一翼を担う重要な仕事であるのは間違いありません。

 そして、私自身、(実はあまり正面から認めたくはないのですが(笑))人生いろいろ回り道をして損をして生涯賃金的には億単位で失った印象はあり、そもそも理系に行かなかったことを筆頭に人生後悔だらけですが、今のこの弁護士という職業には満足していますので、あまり弁護士業の衰退は見たくないです。

 また、弁護士という職業は、まがりなりにも努力が必要な職業であって、やはりないがしろにされたり軽んじられたりするべきではない職業であろうな、というのは思います。

 ですので、「弁護士業」には輝いてもらい、若い方がこぞって目指すような業界になってもらいたいと思っています。
 ※私が過去いた中では、生命保険業とか地方公務員(県庁)とかは、もう💩としか言いようがなくて、若い方がこぞって目指すような業界であってはいけないと思っていますが(笑)。って、そう考えると、私なんて💩業務人生ですね(自虐爆)。アンチ、インチ、遠地、音痴、ウンチですよ。

 10年後、弁護士業界はどうなっていますかね。